高校生ワイの小説(途中)を評価してくれ最終更新 2023/08/11 01:361.名無し物書き@推敲中?8SoWk午後四時。都内某区ホームセンターの軒下は、急な夕立に暗かった。雨やみを待つ学生が二つ、微妙な距離を保っている。二人は邪魔にならぬよう、入口の端、積み荷の横を選んで居た。空は汚れた雲の手で、その一面を覆い隠されている。九月の湿気と通り雨は、直ぐ止むようでいて、しかし永遠でもある。確かに存在する空間は、想いの交錯する境界であった。二人を跨る緊張がしみ出し、雲々を暗黒に染め上げている。感情の一切を薄靄に包まれて、その輪郭がぼやけていた。ただ苦しい空気が、場を淡々と治めている。湿気が芯まで入り込み、気分が腐りかけている。重苦しい沈黙か、安心か。端から見ればどちらだろうか。当人達にとって、少なくとも後者ではなさそうだ少年は袋を持っている。二つの大きな袋には、カッターとガムテープと、雑多な工具がいっぱいである。彼は空を見ていた。何か書いてあるわけでもない。少年は今、空を見なければならなかった。少女は反対に、水溜まりを見ていた。二メートル先である。二人の視線は長いこと重なっていなかった。雨に気づいてから、大体五分と過ぎた頃合いである。視線はそのままに彼が始めた。「雨、止まないね…ごめんね飯島さん。傘、学校に置いて来ちゃって…やっぱり傘買おっか?」男はあえて飯島と言った。飯島と呼ばれた彼女も、一つ袋を持っている。中は血のりだの、手錠だの、よく分からぬものばかりだった。しなやかな両腕が交差され、袋の底少し上をゆったりと抱きしめている。男は彼女が為に、袋を地面に置けないでいた。腕の痺れが迫ったか、二つを左手に持ち替えていた。彼は時代に似合わず、こういところに意地のある男であった。「大丈夫。九月の通り雨だから、きっとすぐに止む。」飯島は袋の中身を確認しつつ返した。その擦れる音が止むと、彼女はおもむろに地面においた。そして言葉を続ける。「それにしても、何に使うんだろ。これ。小坂君、本当にこれであってるの?」小坂は少し色めいた。平静を保ちつつ返す。「高橋と村田のメモがあるから間違いない。はず…」沈黙が幾秒か流れた後、飯島は曇った空を見、溜息交じりに続けた。「漢のメイドカフェ、ねぇ…」侮蔑を含んだ言葉に、小坂は不意を突かれた。それは、平素飯島から感じる気品と優しさとは違ったものだった。小坂は戸惑ったが、直ぐに勘違いであると結論づけた。彼は分かりやすい疑問の表情を作って飯島を見た。しかし2023/08/05 01:17:3611コメント欄へ移動すべて|最新の50件2.名無し物書き@推敲中?8SoWkしかし、次の言葉は決定的だった。「私…身内ノリっていうの?ああいうの嫌い。こんなの、寒いだけ。雨が降る何て思わなかった。」小坂は耳を疑った。彼は飯島の目を向いた。飯島もこちらを見ていた。正確には少し上を見ていた。薄目だった。その目は怒っているでもなかったが、明らかな軽蔑と、それだけで済まされない何かを有していた。小坂は、彼の「飯島怜子」を修正する必要に迫られた。彼は怜子を好いていたが、それは彼の知っていた限りにおいてだった。彼の知っている怜子は美しい女だった。彼は怜子の髪が好きだった。怜子は長く、黒い髪の持ち主だった。彼はそれを見る度に、音楽室のグランドピアノを思った。彼女は前髪を簾風におろし、額から少し浮かせた所に置いていて、風が吹くとそれが揺れた。黒々と光る繊維、その一つ一つが彼女を讃へ、彼女を生み出したこの地上を祝福した。彼はその時、永遠と幽玄を感じたものだった。殊更に彼を魅惑せしめたのは、彼女が「女子」ではなかったことである。小坂は人格者であった。彼は差別と不正をしなかったし、誰にでも厚意をもって接した。お徳用にばら撒かれる優しさは、時としてその存在を薄める。しかし彼は顏が良かった。運動もそれなりにできた。小坂は女子の好意を正面に受けた。彼の周りには、表面上、爽やかで快い風が流れていたが、そこには常に緊張があった。できすぎる人間を前に、青年の心はささくれる。小坂を賛辞する男は全て、それと等質の憎しみを持っていた。彼らの多くに自覚はない。彼らは心から小坂を尊敬しているつもりであったが、小骨が喉につかえるのをいつも気にしていた。それが嫉妬だと分かってしまっても、それはそれで苦しむだけだ。狭い世間で、小坂の天賦は自尊心に脅威だった。小坂がその、「思春期の結晶体」とも言うべきそれを、どれほど自覚していたかは分からない。ただ何となくの違和感を、彼らの言葉に見ていたのは確かであろう。小坂が引き受けるもう一つの緊張、女子達の好意もまた重大だった。彼は理性の上で彼女達を丁寧に断ったが、深い部分では拒絶を示していた。彼の冷徹な批評心は、彼女らを言葉で語ることはしなかった。小坂の尊厳がそれを、徹頭徹尾拒否したのである。小坂自身にも屈折があった。高く見て上の下の都立校、要領の良い人間が集まる環境に、小坂の深層にある鬱屈が、聡明で、憂いのある大人を求めるのは自然だった。彼は二年に進級してすぐ、怜子に思慕を抱いたのである。2023/08/05 01:18:413.名無し物書き@推敲中?8SoWk彼女を恋慕するのは、何も小坂ばかりでは無かった。けれども小坂は相当の人格者であり、クラスでは誰も、怜子のとなりに彼を想像して止まなかった。小坂は自身の想いの根本にあるものを知覚していなかったが、それでも落ち着いた怜子が好きだった。故に、その発言は不意を突かれた形となった。仮に怜子でなくても、悪口こそ小坂のもっとも嫌うところである。彼は真意を確かめるべく続けた。「飯島さん?」怜子は再び視線を外して言った。「そのまま。鼻を折られたことが無いの。だからいつも勘違いする。自分達が死ぬほど面白いってね。どこにでもある、ありふれてることが分からない。」小坂はまだ、怜子が何を言いたいのか掴み取れなかった。言っている意味は分かる、ただ、その話をする意図が分からない。語り口はいつもの怜子であり、その落ち着きが異様だった。彼女は台本でも読むようだった。たどたどしささえ、演出のようだった。明確な悪意の言葉であったが、不思議と心地よい語りだった。小坂は態度を決めかねたが、中立を保ったまま返答した。「って言ったって、満場一致で決まったじゃんか。飯島さんだって賛成したでしょ?」「あんなの投票じゃないわ。お墓にお線香するみたいなもの。もうやることは決まってたの。」彼は少し怒って言った。「飯島さんが思ってるほど、みんなそんな悪い奴じゃない。言ったらきっと、皆聞く耳を持ったと思うよ。」怜子は間髪入れず答える。「悪い人が悪いことをするって言うのなら、世の中どんなに簡単か知れないわ。問題はね、悪意が無いことなのよ。」彼には怜子の言っていることが分からなかった。「それにね、今言ったそれ、そう、「みんな」って言葉。私好きじゃないのよ。その中に私はいない。いや、小坂君だって、高橋君達だってそうなのよ。全員が無意識。」小坂はもう訳が分からなった。確かに怜子の言うことは支離滅裂で難解を極めたが、それ以上に彼は優しかった。「彼等」達への嫉妬と憎悪を理解する為に、彼の心は曇りが不足していた。いや、曇りが拭き取られ過ぎていた。そこが彼の素晴らしき所以であり、人間としての限界であった。今の怜子が可愛いと思えるほど、小坂は大人ではなかった。2023/08/05 01:19:584.名無し物書き@推敲中?8SoWk小坂には怜子が冷淡な存在に見えた。その深層に何があるのか、一ミリの仮説も立たないままである。限界まで感情を抑えて聞く。「結局なんだい?飯島さんは、高橋やら、村田のことが嫌いなの?」怜子はため息をついた。怜子は先程から雲を見ている。「だけじゃない。唯奈ちゃんも、カナちゃんもよ。もっと言えばね、嫌いなのはその人達じゃない。もっと、もっと大きいもの。」「?」「記号って言うのがいいかな。全部これなの。高校生に与えられた役割っていうのか、ステレオタイプ。でも、自分は演じてることに気づかない。自分は唯一だって思う。漢のメイドカフェだってそうよ。ありふれた低レベル。ユーモアの欠片もない。何となくやらなきゃいけない、やることが正しい気がしてるの。そんな雰囲気が「みんな」。そこには誰もいない。熱と、役割があるだけ。「ノリ」だとか、「空気」だとか、全部創るのよ。」怜子の語気は段々と強くなってきた。怜子はまだ話し続けていたが、彼には届かない。そこにはもう、彼の知っている「飯島怜子」はいなかった。小坂の脳内に、怜子の暖かな笑顔が浮かんでは消える。落ち着いた声も、優しげな瞳も遠くへと行ってしまった。彼は今までの恋慕と反対に、嫌悪の念を彼女に向けた。そして、彼はここにいる女が本当に怜子だとは思えなかった。(その実、怜子と話した機会はそう多くなく、今日も周りの計らいで買い出しに来たのであるから、彼の知らない怜子がいても当然とも言える。しかし、それにしても異常だった。)2023/08/05 01:20:345.名無し物書き@推敲中?8SoWkそこにいるのは、魔の射した抜け殻である。小坂は昔日の怜子を取り戻そうと必死に彼女を想起した。ハイライトを作るには明らかに、時と経験が不足する記憶であった。それでも彼は躍起になった。小坂と怜子の間に、象徴的な出来事は何もない。本当の所は、今日が唯一にして最後になるはずであった。時流が自然であれば、今喋っているのは小坂だったろう。雨が降らなければ、と。彼は滅裂を思った。彼はもう一度、語りを終えた怜子を見た。思えば、彼女を正面から見つめたことは少ない。彼が知るところの多くは、授業中の横顔だった。今の横顔も、あのときと変わらぬ美しさがあった。けれども小坂には、それが全く異質なものに感じる。観念の中、怜子がひたすらに流転する。二人の間には、ただ恐ろしい沈黙が在った。雨は止むことを知らない。乱雲の層が陽の光を全て包み、地上にその搾りかすを垂れるようである。雨粒の数千が建物の屋根を伝い、目前に溜まりを作っている。新しい幾つかが滴り、その上に波紋を作るさまが見える。怜子は視線を傾け、波紋の行く末を見守っていた。その様子をまた、小坂はじっと眺めていた。彼は依然、彼女の真意を解し得なかった。だが、彼は結論を急いだ。怜子はそう、ストレスが溜まっていたのである。それもそのはずだ。いつも優等生でいる何て、いくら彼女でも不可能な芸当である。ここはひとつ、話を聞くこととしよう。小坂は分かっていながらも、自らに強く麻酔を打った。幸い、小坂は演じることの得意な青年だった。もちろん、悪意などない。彼の純真を汚さぬために、人生の多くでそれが役立ったのだ。小坂は半自覚的に道化となることがよくあった。いつもそれに半分は気が付いて、嫌悪と共にしまってきた。その蓋がはがれる時が、もう目前に迫っていることを小坂は知らなかった。それが幸福であるか否か、誰の預かるところでもない。ともかくも彼は言った。「飯島さんも疲れてるんだよな!話ぐらいなら、いくらでも聞くよ。」2023/08/05 01:21:236.名無し物書き@推敲中?8SoWk彼は怜子が呆れるのを予想していた。そして正解を期待した。彼は彼女の正体を早く知りたかった。早く安心したかった。しかし、怜子の返答は予想外だった。彼女は驚くことも、ましてや呆れることもなく、ただ微笑んでこちらを見た。怜子が振り返った時、そこには明確な永遠があった。豊かな時間があった。瞬間、周りの空気がふわりと舞い上って、この湿気ばかりの空間に、僅かの花を咲かせて消えたのだ。小坂の知っている怜子の内でどれよりも美しく、儚く、なによりも優しさが在った。小坂は言葉を待った。「私知ってたよ。小坂君が好きな人のこと。」彼はそれほどの衝撃を覚えなかった。それはもう、大分前から分かっていたことのようだった。形のない直感に、名前を充てられたのみだった。それ以上に、彼は怜子の瞳に意外な感情を覚えた。そこには諦めがあった。彼は分からないままだった。いや、分かりたくないのかもしれない。それは怜子のことだけでは無い。彼自身のこともそうだった。小坂は今、成長の直前にいる。成長というのは適切ではない。変化、というべきだろうか。自覚的な痛みを伴う変化である。彼は怜子の瞳を力なく見つめ返し、ただ一言「ごめん」と言ったのみであった。腑抜けた笑みが漏れるのが、小坂にはひたすら辛かった。彼は怜子から目を逸らし、ホームセンターの方を見て言った。「やっぱり傘買ってくるよ。あんまり遅くなると、門も閉まっちゃうしね。」2023/08/05 01:21:547.名無し物書き@推敲中?5dO6d少しは改行 しろ2023/08/07 20:59:508.名無し物書き@推敲中?CD2w6まあまあだけどな(´・ω・`)。無難だけど個性がないね。2023/08/08 12:29:429.名無し物書き@推敲中?r8JdR>>7ごめんやで。ブラウザ版の方に、改行ちゃんとして、完成させてスレ立てしたから暇やったら見てくれると嬉しい。2023/08/11 01:29:4210.名無し物書き@推敲中?r8JdR>>8ありがとう。完成させたから見てくれると嬉しい。URL貼ろうとしたけど、NGワードになっちゃって貼れんかった…2023/08/11 01:31:5811.名無し物書き@推敲中?r8JdR「創作発表」板のや2023/08/11 01:36:53
【渡辺真衣被告】「何度、農薬やロープを持ち出したことか…」『頂き女子りりちゃん』に3800万円を騙し取られた50代男性「月給20万円」「自宅はゴミ屋敷」の困窮生活ニュース速報+131329.22024/12/25 14:24:53
少年は袋を持っている。二つの大きな袋には、カッターとガムテープと、雑多な工具がいっぱいである。彼は空を見ていた。何か書いてあるわけでもない。少年は今、空を見なければならなかった。少女は反対に、水溜まりを見ていた。二メートル先である。二人の視線は長いこと重なっていなかった。雨に気づいてから、大体五分と過ぎた頃合いである。視線はそのままに彼が始めた。「雨、止まないね…ごめんね飯島さん。傘、学校に置いて来ちゃって…やっぱり傘買おっか?」男はあえて飯島と言った。飯島と呼ばれた彼女も、一つ袋を持っている。中は血のりだの、手錠だの、よく分からぬものばかりだった。しなやかな両腕が交差され、袋の底少し上をゆったりと抱きしめている。男は彼女が為に、袋を地面に置けないでいた。腕の痺れが迫ったか、二つを左手に持ち替えていた。彼は時代に似合わず、こういところに意地のある男であった。「大丈夫。九月の通り雨だから、きっとすぐに止む。」飯島は袋の中身を確認しつつ返した。その擦れる音が止むと、彼女はおもむろに地面においた。そして言葉を続ける。「それにしても、何に使うんだろ。これ。小坂君、本当にこれであってるの?」小坂は少し色めいた。平静を保ちつつ返す。「高橋と村田のメモがあるから間違いない。はず…」沈黙が幾秒か流れた後、飯島は曇った空を見、溜息交じりに続けた。「漢のメイドカフェ、ねぇ…」侮蔑を含んだ言葉に、小坂は不意を突かれた。それは、平素飯島から感じる気品と優しさとは違ったものだった。小坂は戸惑ったが、直ぐに勘違いであると結論づけた。彼は分かりやすい疑問の表情を作って飯島を見た。しかし
無難だけど個性がないね。
ごめんやで。ブラウザ版の方に、改行ちゃんとして、完成させてスレ立てしたから暇やったら見てくれると嬉しい。
ありがとう。完成させたから見てくれると嬉しい。URL貼ろうとしたけど、NGワードになっちゃって貼れんかった…