【カミソリやガラス片を飲み込んだような強烈な喉の痛みが特徴】新型コロナの新変異株 「ニンバス」、小さなお子さん(10歳未満)の感染も目立つアーカイブ最終更新 2025/08/25 01:011.影のたけし軍団 ★???小林 茉保 : ナビタスクリニック小児科医師ここ数週間、世界中でCOVID-19(新型コロナウイルス。以下、新型コロナ)の感染が再び広がりつつあります。その背景にはいくつかの新しい変異株の存在があり、それぞれに特徴的な症状が見られることから、注目が集まっています。日本でも同様に、6月下旬以降、定点医療機関からの報告数が増加傾向にあり、小さなお子さん(10歳未満)の感染も目立ってきています。最近注目されているのが、オミクロン系の変異株である「NB.1.8.1(通称、ニンバス)」です。2025年5月中旬には世界22カ国以上で確認されました。「カミソリやガラス片を飲み込んだような強烈な喉の痛み」という症状が最大の特徴とされており、これまでのオミクロン株と同様に高い感染力を持つことが指摘されています。埼玉県では2025年5月以降、それまで主流だったXEC系統からNB.1.8.1系統に置き換わり、6月以降は毎週NB.1.8.1系統の検出割合が高水準で推移していることが、公式発表のグラフからも読み取れます。お盆休みや夏の帰省・イベントによる人の移動増加、猛暑による換気不足が流行に拍車をかけているといえるでしょう。筆者は少し前に、発熱と軽い腹痛を訴えて来院した5歳の女の子を診察しました。発熱からわずか1時間しか経っておらず、ウイルス量が十分に検出されない可能性があったため、検査は実施しませんでした。しかし、同居する16歳のお兄さんが迅速検査で陽性であったことから、この子も「みなし陽性」(症状や状況から感染を推定すること)と判断しました。この女の子にはニンバス株でよく報告される「強い喉の痛み」といった特徴的な症状は見られませんでした。ただ、普段の診療ではどの変異株かまでは調べず、株の種類がわかるのは、行政や研究機関でまとめられたデータによってです。当時はまだニンバス株が今ほど大きく話題になる前の時期でもあり、診断はあくまで同居家族の陽性結果と本人の発熱に基づいた「みなし陽性」であって、株の種類までは特定していません。飛沫感染やエアロゾル感染でうつる新型コロナは、これまでと同じように幼稚園や保育園、学校だけでなく、家庭内でも感染が広がるリスクがあります。そのため、家庭内感染にも十分な注意が必要です。これまでの新型コロナでもそうですが、子どもは持病などがなければ、一般的に大人より重症化しにくいといわれています。それでも「今は元気そうだから大丈夫」と油断せず、慎重に様子をみることが大切です。先ほどの女の子も、持病はなく元気そうでしたが、重症化や後述するMIS-C(小児多系統炎症性症候群)を予防する効果が確認されているワクチンの接種歴がなかったため、慎重に経過を観察しました。最近の研究によって、新型コロナに関する新たな知見が少しずつ蓄積されてきました。その1つが、小児のワクチンに対する有効性です。アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置く大規模な医療機関、Kaiser Permanente Southern Californiaの研究グループは、アメリカ医師会が発行する医学雑誌『JAMA Network Open』に研究結果を発表しました。この研究によると、変異株XBBに対応した最新の新型コロナウイルスワクチンを5〜17歳の子どもに接種した場合、入院や救急外来の受診が63〜73%減少したと報告されています。なお、XBBそのものは以前ほど優勢ではありませんが、その系統から派生した複数の変異株(先ほど紹介したNB.1.8.1など)が猛威をふるっており、WHO(世界保健機関)もこれらに対するワクチンの有用性を発表しています。また、CDC(アメリカ疾病予防センター:Centers for Disease Control and Prevention)が発表した大規模公衆衛生調査など、複数の研究レビューによれば、mRNAワクチンにはMIS-Cの発症リスクを大幅に減らす効果があるとされ、特に5〜11歳の小児でおよそ85%以上の予防効果が示されています。もちろん、接種を受けるかどうかはそれぞれの家庭の状況や価値観に基づいて判断していいと思います。ただ、こうした科学的な知見は「重症化やまれな合併症を防ぐ手段として、選択肢の1つになりうる」という意味では、参考になるかもしれません。
ここ数週間、世界中でCOVID-19(新型コロナウイルス。以下、新型コロナ)の感染が再び広がりつつあります。
その背景にはいくつかの新しい変異株の存在があり、それぞれに特徴的な症状が見られることから、注目が集まっています。
日本でも同様に、6月下旬以降、定点医療機関からの報告数が増加傾向にあり、小さなお子さん(10歳未満)の感染も目立ってきています。
最近注目されているのが、オミクロン系の変異株である「NB.1.8.1(通称、ニンバス)」です。2025年5月中旬には世界22カ国以上で確認されました。
「カミソリやガラス片を飲み込んだような強烈な喉の痛み」という症状が最大の特徴とされており、これまでのオミクロン株と同様に高い感染力を持つことが指摘されています。
埼玉県では2025年5月以降、それまで主流だったXEC系統からNB.1.8.1系統に置き換わり、6月以降は毎週NB.1.8.1系統の検出割合が高水準で推移していることが、公式発表のグラフからも読み取れます。
お盆休みや夏の帰省・イベントによる人の移動増加、猛暑による換気不足が流行に拍車をかけているといえるでしょう。
筆者は少し前に、発熱と軽い腹痛を訴えて来院した5歳の女の子を診察しました。
発熱からわずか1時間しか経っておらず、ウイルス量が十分に検出されない可能性があったため、検査は実施しませんでした。
しかし、同居する16歳のお兄さんが迅速検査で陽性であったことから、この子も「みなし陽性」(症状や状況から感染を推定すること)と判断しました。
この女の子にはニンバス株でよく報告される「強い喉の痛み」といった特徴的な症状は見られませんでした。ただ、普段の診療ではどの変異株かまでは調べず、株の種類がわかるのは、行政や研究機関でまとめられたデータによってです。
当時はまだニンバス株が今ほど大きく話題になる前の時期でもあり、診断はあくまで同居家族の陽性結果と本人の発熱に基づいた「みなし陽性」であって、株の種類までは特定していません。
飛沫感染やエアロゾル感染でうつる新型コロナは、これまでと同じように幼稚園や保育園、学校だけでなく、家庭内でも感染が広がるリスクがあります。そのため、家庭内感染にも十分な注意が必要です。
これまでの新型コロナでもそうですが、子どもは持病などがなければ、一般的に大人より重症化しにくいといわれています。それでも「今は元気そうだから大丈夫」と油断せず、慎重に様子をみることが大切です。
先ほどの女の子も、持病はなく元気そうでしたが、重症化や後述するMIS-C(小児多系統炎症性症候群)を予防する効果が確認されているワクチンの接種歴がなかったため、慎重に経過を観察しました。
最近の研究によって、新型コロナに関する新たな知見が少しずつ蓄積されてきました。その1つが、小児のワクチンに対する有効性です。
アメリカ・カリフォルニア州に拠点を置く大規模な医療機関、Kaiser Permanente Southern Californiaの研究グループは、アメリカ医師会が発行する医学雑誌『JAMA Network Open』に研究結果を発表しました。
この研究によると、変異株XBBに対応した最新の新型コロナウイルスワクチンを5〜17歳の子どもに接種した場合、入院や救急外来の受診が63〜73%減少したと報告されています。
なお、XBBそのものは以前ほど優勢ではありませんが、その系統から派生した複数の変異株(先ほど紹介したNB.1.8.1など)が猛威をふるっており、WHO(世界保健機関)もこれらに対するワクチンの有用性を発表しています。
また、CDC(アメリカ疾病予防センター:Centers for Disease Control and Prevention)が発表した大規模公衆衛生調査など、複数の研究レビューによれば、
mRNAワクチンにはMIS-Cの発症リスクを大幅に減らす効果があるとされ、特に5〜11歳の小児でおよそ85%以上の予防効果が示されています。
もちろん、接種を受けるかどうかはそれぞれの家庭の状況や価値観に基づいて判断していいと思います。ただ、こうした科学的な知見は「重症化やまれな合併症を防ぐ手段として、選択肢の1つになりうる」という意味では、参考になるかもしれません。