【TBS制作 Netflix・九条の大罪 好調スタート】加速する地上波の 「ネトフリ下請け化」アーカイブ最終更新 2026/04/07 21:461.影のたけし軍団 ★???今年WBCがNetflix(以下、ネトフリ)で独占配信されたことは、地上波にとって大きな転換点だった。WBCは、第1回大会の2006年以降、主に地上波で放送。2023年の第5回大会では、決勝戦(日本対アメリカ)が平均世帯視聴率42.4%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を記録するほどの“ドル箱コンテンツ”だった。それが今大会、日本における独占配信権をネトフリが取得したため、地上波では視聴不能に。試合映像の中継制作を担ったのは日本テレビで、SNSでは〈日テレはネトフリの下請けになったのか〉と揶揄されたものだ。ネトフリをはじめ各種動画配信サービスは、テレビ局にとって自社番組を“二次利用”するためのプラットフォームだった。それが昨今ではドラマや映画、アニメなどのエンタメコンテンツを中心に、すでに立場が“逆転”しつつある。たとえばキー局・TBSは、数年前からネトフリと手を組んでオリジナル番組を制作。自局では放送せずネトフリで独占公開するのが特徴で、4月2日にはドラマ『九条の大罪』が配信開始した。この“ネトフリ×TBS”作品は、すでに恋愛リアリティ企画『未来日記』(2021~2022)、脚本家・宮藤官九郎と大石静が共同執筆したオリジナルドラマ『離婚しようよ』(2023)が制作・配信され、同作で第3弾となる。大手外資系動画配信サービスのなかでも、とりわけネトフリは桁違いの製作費を投下することで知られる。2026年1月には大手映画配給会社「東宝」とのパートナーシップ強化を発表。2028年から複数年にわたり東宝系の制作スタジオを賃借し、日本における制作拠点を拡張する見通しだ。年間で最大15作を作るなど、制作本数を一気に増やす精力的な姿勢を見せている。そうしたネトフリの力を借りようと目論むのが地上波だ。そもそも日本は、内需市場の規模が中途半端に大きいため、関連商品や広告への二次展開など多角的なIP利用による“総力戦”であたれば“そこそこ”の収益化が可能だった。そのため、グローバルな市場で戦うための視野がなかなか持てないまま現在に至ってしまったといえる。しかし配信時代、視聴者にとっても制作者にとっても国境はない。視聴者がアクセスできる作品の供給数が爆発的に多くなるなかでは、当然制作側の競争力が激化する。映画評論家・前田有一氏は、映画界を牽引するハリウッドではすでに「制作費の高騰」が起きていることを指摘した。「かつては1本あたりの制作費が1億ドル規模でも『超大作』と言われたものですが、今や2億~3億ドルかけるのが当たり前。(中略)超大作の制作費規模が2億や3億ドル前後と高騰し、それを回収するとなると、北米市場だけでは全く足りない。世界市場で回収する映画を作らなくてはいけなくなりました」(前田有一氏)業界が縮小し、海外資本の制作費に立ち向かう体力もない瀕死の地上波。なんとか収益を確保するため、外資のお金を頼り、海外に評価されそうな作品を作ろうと焦っているのがテレビ局の“イマ”だといえる。テレビ局はいよいよ崖っぷちだ。お金があり、制作力もある場所のほうが魅力的なのは自明の理で、人材の流出も進む。たとえば2024年からネトフリと5年契約を締結したプロデューサーの磯山晶氏は元TBS局員で、『池袋ウエストゲートパーク』(2000)や『木更津キャッツアイ』(2002)、『不適切にもほどがある!』(2024)などを手掛けてきたヒットメーカー。ほかにも局を辞めて制作会社に転職したり、フリーランスになったりしてネトフリの番組制作に関わろうと目論む人は後を絶たない。では、カネもヒトも不足する瀕死の地上波が、ネトフリに頼れば“いいもの”を作ることができるのだろうか。元テレビ朝日局員のプロデューサー・鎮目博道氏が、テレビ局の制作体制について解説する。「今のテレビ局は、とにかく世界で当たるコンテンツを作りたいと焦りに焦っている。理由はシンプルで、いくら日本の市場でヒットしても、大したビジネスにならないからです。現状、スポンサー収入は減少傾向で、テレビ業界の縮小は目に見えている。頭打ち感がある中で、唯一目標とできるのが『海外ウケを狙う』ことです」(鎮目博道氏、以下同)
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それが今大会、日本における独占配信権をネトフリが取得したため、地上波では視聴不能に。試合映像の中継制作を担ったのは日本テレビで、SNSでは〈日テレはネトフリの下請けになったのか〉と揶揄されたものだ。
ネトフリをはじめ各種動画配信サービスは、テレビ局にとって自社番組を“二次利用”するためのプラットフォームだった。それが昨今ではドラマや映画、アニメなどのエンタメコンテンツを中心に、すでに立場が“逆転”しつつある。
たとえばキー局・TBSは、数年前からネトフリと手を組んでオリジナル番組を制作。自局では放送せずネトフリで独占公開するのが特徴で、4月2日にはドラマ『九条の大罪』が配信開始した。
この“ネトフリ×TBS”作品は、すでに恋愛リアリティ企画『未来日記』(2021~2022)、脚本家・宮藤官九郎と大石静が共同執筆したオリジナルドラマ『離婚しようよ』(2023)が制作・配信され、同作で第3弾となる。
大手外資系動画配信サービスのなかでも、とりわけネトフリは桁違いの製作費を投下することで知られる。
2026年1月には大手映画配給会社「東宝」とのパートナーシップ強化を発表。2028年から複数年にわたり東宝系の制作スタジオを賃借し、日本における制作拠点を拡張する見通しだ。年間で最大15作を作るなど、制作本数を一気に増やす精力的な姿勢を見せている。
そうしたネトフリの力を借りようと目論むのが地上波だ。
そもそも日本は、内需市場の規模が中途半端に大きいため、関連商品や広告への二次展開など多角的なIP利用による“総力戦”であたれば“そこそこ”の収益化が可能だった。そのため、グローバルな市場で戦うための視野がなかなか持てないまま現在に至ってしまったといえる。
しかし配信時代、視聴者にとっても制作者にとっても国境はない。視聴者がアクセスできる作品の供給数が爆発的に多くなるなかでは、当然制作側の競争力が激化する。映画評論家・前田有一氏は、映画界を牽引するハリウッドではすでに「制作費の高騰」が起きていることを指摘した。
「かつては1本あたりの制作費が1億ドル規模でも『超大作』と言われたものですが、今や2億~3億ドルかけるのが当たり前。(中略)超大作の制作費規模が2億や3億ドル前後と高騰し、それを回収するとなると、北米市場だけでは全く足りない。世界市場で回収する映画を作らなくてはいけなくなりました」(前田有一氏)
業界が縮小し、海外資本の制作費に立ち向かう体力もない瀕死の地上波。なんとか収益を確保するため、外資のお金を頼り、海外に評価されそうな作品を作ろうと焦っているのがテレビ局の“イマ”だといえる。
テレビ局はいよいよ崖っぷちだ。お金があり、制作力もある場所のほうが魅力的なのは自明の理で、人材の流出も進む。
たとえば2024年からネトフリと5年契約を締結したプロデューサーの磯山晶氏は元TBS局員で、『池袋ウエストゲートパーク』(2000)や『木更津キャッツアイ』(2002)、『不適切にもほどがある!』(2024)などを手掛けてきたヒットメーカー。
ほかにも局を辞めて制作会社に転職したり、フリーランスになったりしてネトフリの番組制作に関わろうと目論む人は後を絶たない。
では、カネもヒトも不足する瀕死の地上波が、ネトフリに頼れば“いいもの”を作ることができるのだろうか。元テレビ朝日局員のプロデューサー・鎮目博道氏が、テレビ局の制作体制について解説する。
「今のテレビ局は、とにかく世界で当たるコンテンツを作りたいと焦りに焦っている。理由はシンプルで、いくら日本の市場でヒットしても、大したビジネスにならないからです。現状、スポンサー収入は減少傾向で、テレビ業界の縮小は目に見えている。頭打ち感がある中で、唯一目標とできるのが『海外ウケを狙う』ことです」(鎮目博道氏、以下同)