【半導体熱狂の台湾】GDP成長率8.6%、一人当たりGDP日本超え・・・半導体の受託生産で世界シェア7割アーカイブ最終更新 2026/06/04 18:101.影のたけし軍団 ★???5月下旬、台湾へ出張してきました。株式市場を含めた台湾経済は好調で、「バブル感」が漂っていました。一方、電力不足、少子化、水・土地・人材不足、産業間の格差拡大、および半導体大手・TSMC社への過度な依存など構造的問題も垣間見えました。熱していたのは天気だけではありませんでした。景気もかなり熱しており、バブルとすら言える状況がそこにはありました。以下、台湾経済の現状を整理してみましょう。一人当たりGDP(2024年)3万3,983ドル日本(3万2,859ドル)を初超えGDP成長率(2025年)8.6%2010年以来の最高値インフレ率(2025年)1.9%政府予測1.94%(通年)失業率(2026/3)3.35%近年3%台で安定住宅価格上昇率(2024/3Q)12.5%前四半期比でも拡大加権指数(TAIEX)(2026/5)4万4,732ポイント2023年比で約2.5倍足元、加権指数はさらに上昇し、4万6,000ポイントを超え、過去最高値を更新し続けているのが現状です。今回、意見交換をした政府や市場関係者たちは口をそろえて「景気は良好」「台湾経済は好調」といった見立てを示していました。台湾は半導体の受託生産で世界シェア7割を占め、人工知能(AI)向けなど先端半導体の供給拠点となっている点も、景気や株価を押し上げている要因と言えます。一方で気になったのが、実体経済と株価が乖離(かいり)していて、低所得者層から中間層を中心に、景気の果実を実感しきれていない点です。今回現地で利用したタクシーの運転手たちの多くが、信号で止まるたびにスマホで株価を眺めていましたが、「タクシーの運転手は表面上の仕事。収入のほとんどは株式投資から来ている」(台北市内の運転手)とのことでした。「普通に働いていては食べていけない」という感覚と実情は、未来を担う若年層の間でも広範に共有されているように見受けられました。特に首都・台北市で暮らし、働く若者たちは、「勤め先からの給料だけじゃ生活していけない」「住宅は桁違いに高いからとても買えない」「住宅を買えないから結婚もできない」「生活に全く余裕がないから子供も作れない」といった具合に嘆いていました。実際、台湾の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の推定平均人数)は0.89と世界的にも最低水準にあります。近年の年間出生人数を調べてみると、2024年は約13万5,000人だったのが、2025年には約10万8,000人となりました。10年前の約21万人から半分近くまで減ってしまったという経緯です。今回話を聞いたある政府関係者は、近い将来「5万人時代」がやって来ると非常に警戒していました。私が今回コミュニケーションを取った20代後半から40代前半の男女においても、そのほとんどが独身で、既婚であったとしても子供はいないというケースがほとんどでした。少子化の荒波にストップをかけるべく、頼清徳(ライ・チントー)総統は5月20日に発表した就任2周年演説で、0~18歳の全ての子供に月額5,000元(約2万5,000円)を給付するという大胆な政策を発表しました。台湾政府として少子化が経済社会の持続的発展にいかに深刻な影響を与えるかを危惧している現状を物語っていると私は受け止めました。そして、TSMCの成長に陰りが生じれば、台湾経済全体が悪影響を受けるという潜在的リスクを抱えているだろう、というのも今回の出張を通じた発見の一つでした。TSMCの台湾経済における存在感と影響力を整理すると、おおむね以下のようになります。●世界ファウンドリー市場シェア約70%(AI向け先端半導体で世界独占的地位)●台湾GDP(2025年、26兆~27兆台湾ドル)に占める割合14~15%●TSMC単体売上高約3.8兆台湾ドル(台湾GDPの1割強を実質生み出している)●台湾半導体産業全体では、GDPの約18%、輸出の約60%を占める●台湾加権指数(TAIEX)におけるウエート約42%(2026年5月)このように、「台湾経済=TSMC経済」と言っても過言ではない存在感と影響力を誇っている現状が見て取れます。ただ裏を返せば、「TSMC次第」というのは台湾経済にとってはリスクとなるでしょう。
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熱していたのは天気だけではありませんでした。景気もかなり熱しており、バブルとすら言える状況がそこにはありました。以下、台湾経済の現状を整理してみましょう。
一人当たりGDP(2024年)3万3,983ドル日本(3万2,859ドル)を初超え
GDP成長率(2025年)8.6%2010年以来の最高値
インフレ率(2025年)1.9%政府予測1.94%(通年)
失業率(2026/3)3.35%近年3%台で安定
住宅価格上昇率(2024/3Q)12.5%前四半期比でも拡大
加権指数(TAIEX)(2026/5)4万4,732ポイント2023年比で約2.5倍
足元、加権指数はさらに上昇し、4万6,000ポイントを超え、過去最高値を更新し続けているのが現状です。今回、意見交換をした政府や市場関係者たちは口をそろえて「景気は良好」「台湾経済は好調」といった見立てを示していました。
台湾は半導体の受託生産で世界シェア7割を占め、人工知能(AI)向けなど先端半導体の供給拠点となっている点も、景気や株価を押し上げている要因と言えます。
一方で気になったのが、実体経済と株価が乖離(かいり)していて、低所得者層から中間層を中心に、景気の果実を実感しきれていない点です。
今回現地で利用したタクシーの運転手たちの多くが、信号で止まるたびにスマホで株価を眺めていましたが、「タクシーの運転手は表面上の仕事。収入のほとんどは株式投資から来ている」(台北市内の運転手)とのことでした。
「普通に働いていては食べていけない」という感覚と実情は、未来を担う若年層の間でも広範に共有されているように見受けられました。
特に首都・台北市で暮らし、働く若者たちは、「勤め先からの給料だけじゃ生活していけない」「住宅は桁違いに高いからとても買えない」「住宅を買えないから結婚もできない」「生活に全く余裕がないから子供も作れない」といった具合に嘆いていました。
実際、台湾の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の推定平均人数)は0.89と世界的にも最低水準にあります。近年の年間出生人数を調べてみると、2024年は約13万5,000人だったのが、2025年には約10万8,000人となりました。
10年前の約21万人から半分近くまで減ってしまったという経緯です。今回話を聞いたある政府関係者は、近い将来「5万人時代」がやって来ると非常に警戒していました。
私が今回コミュニケーションを取った20代後半から40代前半の男女においても、そのほとんどが独身で、既婚であったとしても子供はいないというケースがほとんどでした。
少子化の荒波にストップをかけるべく、頼清徳(ライ・チントー)総統は5月20日に発表した就任2周年演説で、0~18歳の全ての子供に月額5,000元(約2万5,000円)を給付するという大胆な政策を発表しました。
台湾政府として少子化が経済社会の持続的発展にいかに深刻な影響を与えるかを危惧している現状を物語っていると私は受け止めました。
そして、TSMCの成長に陰りが生じれば、台湾経済全体が悪影響を受けるという潜在的リスクを抱えているだろう、というのも今回の出張を通じた発見の一つでした。
TSMCの台湾経済における存在感と影響力を整理すると、おおむね以下のようになります。
●世界ファウンドリー市場シェア約70%(AI向け先端半導体で世界独占的地位)
●台湾GDP(2025年、26兆~27兆台湾ドル)に占める割合14~15%
●TSMC単体売上高約3.8兆台湾ドル(台湾GDPの1割強を実質生み出している)
●台湾半導体産業全体では、GDPの約18%、輸出の約60%を占める
●台湾加権指数(TAIEX)におけるウエート約42%(2026年5月)
このように、「台湾経済=TSMC経済」と言っても過言ではない存在感と影響力を誇っている現状が見て取れます。ただ裏を返せば、「TSMC次第」というのは台湾経済にとってはリスクとなるでしょう。