日経平均5万円でも「生活苦しい」…なぜ? 専門家が明かす「株高不況」の正体と唯一の対策アーカイブ最終更新 2025/11/02 19:241.番組の途中ですが転載は禁止ですpW4cQ日本株の上昇が止まらない。日経平均株価は5万円の大台を突破。だが、そうした株式市場の熱気とは裏腹に、家計は日に日に厳しさを増している。この落差は一体どこから来るのか? 近著『株高不況』が話題の第一生命経済研究所の藤代宏一氏に、その背景や理由、そして、今後、個人はどうすべきなのかについて聞いた。株価の高値更新というニュースには、ほぼ毎回、街角の人の次のようなコメントがセットとなっている――「生活するのがやっとで、景気がいいとはとても思えない」。これには多くの人が共感をするだろう。「私も、今の株価の上昇はバブルではないのか、とあちこちでよく聞かれます」と語るのは藤代宏一氏。彼の著書『株高不況』には、〝株価は高いのに生活が厳しい本当の理由〟というサブタイトルがついている。早速、聞いてみよう。今の株価はバブルではないのか?「現在の株価は、企業収益に対して適正と言える範囲内であり、1989年に日経平均株価が4万円に接近したバブル期とは違います。いろいろなデータで裏付けることは可能ですが、わかりやすい経済成長率を用いて説明をしていきます」(藤代氏/以下同)経済成長率は、国の経済規模が、一定期間にどれだけ増加したのかを示す割合のこと。一定期間に新しく生みだされた生産物やサービスの金額の合計である、国内総生産(GDP)の前年比の伸び率で表される。GDPには「実質GDP」と「名目GDP」の2つがある。実質GDPは“物価変動の影響を取り除いた数値”で、名目GDPは“物価変動を含んだ数値”だ。通常、経済成長率というときは、実質GDPの伸び率を指している。「世の中の景気の実感に近いのは実質GDPの動きです。ここ数年の実質GDPの伸び率をみると、横ばいの推移となっています。このような状態では、景気が良いと感じる人は多くはないでしょう。一方、名目GDPをみてみると、まったく様相が変わってきます」日本の名目GDPは、’22年あたりから増加のスピードが加速している。’23年に590兆円に達し、’24年には608兆円と初めて600兆円を突破、約3年で50兆円以上増加したことになる。その結果、実質GDPとは大きな格差が生じている。「実質GDPが伸び悩む中、名目GDPが急拡大したのは物価上昇、つまりインフレが進行したからです。インフレとは、物価や賃金などあらゆるモノの価格が上昇することです。その中の一つとして〝株の値段〟も上がっていると理解することができます。実際、名目GDPと株価は長期的に連動することが知られています」企業が販売する製品やサービスは、販売数量が変わらなくても、価格を値上げすることができれば売上高や利益は増える。すると、株価の裏付けとなる企業収益(一株当たり利益)も増加することになり、株価は上昇する。人々の景気の実感に近い実質GDPの動きは、たしかに停滞をしており、食料品や日用品の値上がりもあって不況感は漂っているものの、その値上がりそのものが、名目GDPを押し上げ、さらに企業業績を増加させている――これが株価上昇の原動力となっているのだ。2025/10/30 16:43:5529すべて|最新の50件
株価の高値更新というニュースには、ほぼ毎回、街角の人の次のようなコメントがセットとなっている――「生活するのがやっとで、景気がいいとはとても思えない」。これには多くの人が共感をするだろう。
「私も、今の株価の上昇はバブルではないのか、とあちこちでよく聞かれます」と語るのは藤代宏一氏。彼の著書『株高不況』には、〝株価は高いのに生活が厳しい本当の理由〟というサブタイトルがついている。早速、聞いてみよう。
今の株価はバブルではないのか?
「現在の株価は、企業収益に対して適正と言える範囲内であり、1989年に日経平均株価が4万円に接近したバブル期とは違います。いろいろなデータで裏付けることは可能ですが、わかりやすい経済成長率を用いて説明をしていきます」(藤代氏/以下同)
経済成長率は、国の経済規模が、一定期間にどれだけ増加したのかを示す割合のこと。一定期間に新しく生みだされた生産物やサービスの金額の合計である、国内総生産(GDP)の前年比の伸び率で表される。
GDPには「実質GDP」と「名目GDP」の2つがある。実質GDPは“物価変動の影響を取り除いた数値”で、名目GDPは“物価変動を含んだ数値”だ。通常、経済成長率というときは、実質GDPの伸び率を指している。
「世の中の景気の実感に近いのは実質GDPの動きです。ここ数年の実質GDPの伸び率をみると、横ばいの推移となっています。このような状態では、景気が良いと感じる人は多くはないでしょう。一方、名目GDPをみてみると、まったく様相が変わってきます」
日本の名目GDPは、’22年あたりから増加のスピードが加速している。’23年に590兆円に達し、’24年には608兆円と初めて600兆円を突破、約3年で50兆円以上増加したことになる。その結果、実質GDPとは大きな格差が生じている。
「実質GDPが伸び悩む中、名目GDPが急拡大したのは物価上昇、つまりインフレが進行したからです。インフレとは、物価や賃金などあらゆるモノの価格が上昇することです。その中の一つとして〝株の値段〟も上がっていると理解することができます。実際、名目GDPと株価は長期的に連動することが知られています」
企業が販売する製品やサービスは、販売数量が変わらなくても、価格を値上げすることができれば売上高や利益は増える。すると、株価の裏付けとなる企業収益(一株当たり利益)も増加することになり、株価は上昇する。
人々の景気の実感に近い実質GDPの動きは、たしかに停滞をしており、食料品や日用品の値上がりもあって不況感は漂っているものの、その値上がりそのものが、名目GDPを押し上げ、さらに企業業績を増加させている――これが株価上昇の原動力となっているのだ。