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松本拓也くんは、一見するとクラブ通いが好きで、賑やかな場所で楽しむことに興味があるように見えるが、実はどこか影のあるキャラクターだ。典型的な「陰キャ」な彼が、なぜかクラブに通い詰めるようになったのは、ある日友人が連れて行ってくれた夜の街の熱気に魅せられたからだ。
とはいえ、彼が目立つファッションや華やかな雰囲気に馴染めるわけではない。松本くんのお洒落の感覚はどこかずれている。彼の定番コーディネートはドルチェ＆ガッバーナのベルトにボロボロのジーンズ。服装にはこだわりがないのか、ベルトはブランド品にもかかわらず、明らかに古びていて、スタイルにも統一感がない。これだけではなく、髪型も黒髪でモサモサしており、ヘアスタイルに気を使っている様子は皆無だ。そんな姿でクラブに現れると、他の客たちから一目で「場違い」と見られることも多いが、松本くん自身は気に留めていないようだ。
周りが盛り上がっている中、松本拓也くんも一応はそれに合わせようとする。自分なりに手を上げたり体を動かしたりと周囲に溶け込もうと努力している姿が見られるが、どこかぎこちなく、自然体とは程遠い。友人の目を気にしながら、無理に盛り上がる姿はまさに「キョロ充」そのもの。周囲の視線を感じながらも、無理やり楽しもうとする彼の姿には、少し痛々しさが漂う。
しかし、松本拓也くんにとってクラブ通いは、仲間の輪に入るための必死の手段でもある。彼は周りと同じように楽しむことで、少しでも「リア充」に近づけるかもしれないと考えているのかもしれない。
https://i.imgur.com/ZkRyLqU.jpg
https://i.imgur.com/uEnTRt3.png
https://i.imgur.com/xaT8ubn.png
彼の写真には、毎回同じようなポーズ、同じような角度で、ドルガバのベルトやボロボロのジーンズが見え隠れしている。周りが楽しそうにしている中での、彼の無理に笑った表情やぎこちないポーズは、見る人によっては「頑張ってるな」と感じるかもしれないが、実際はどこか痛々しい。彼が楽しんでいることをアピールしようとすればするほど、逆に「本当は楽しめていないのでは？」という印象を与えてしまっているのだ。
そんな投稿に対して、友人たちは見て見ぬふりをするか、内心苦笑いをしていることが多い。周囲には、松本拓也くんに直接「やめといた方がいいよ」と言う人はいないが、誰も彼の投稿には反応しない。いいねもなく、コメントもないそのSNSのタイムラインは、どこか寂しさが漂っている。しかし松本くん自身は気づいていないのか、それとも気にしないふりをしているのか、週末になるたびにまた新しいクラブ写真を投稿し続けている。
https://i.imgur.com/IDAZfqF.jpg
https://i.imgur.com/5InC7HE.png
大学では、女の子を見つけるたびに「この前お酒奢ってやったよな？」と、自分が女の子に飲み物を奢る「頼れる男」であることを必死に示そうとするが、女の子もその気まずさに引いている様子が丸わかりだ。そもそも、松本くんが奢ったところで、それが相手の気持ちに響いているわけではない。相手が適当に「ありがとう」と言っても、それを真に受けて「俺に気があるのかも」と勘違いし、さらにしつこくアプローチしている。
さらに、彼はこの自慢をSNSにまで持ち込み、「また女の子と飲みに行ったぜ！」と投稿するが、いいねもコメントもゼロ。大学の友人たちからも、「あれは寒い」「一人で浮かれてるだけ」と陰で笑われているが、本人は全く気づいていない。それどころか、SNSでの反応のなさを「みんな嫉妬してるんだろう」と思い込み、ますます自己陶酔に浸っているのだ。
周りはみんな分かっている。「お酒を奢った」ことをしつこくアピールする彼が、実は女の子に全く興味を持たれていないどころか、距離を置かれていることも。その現実を認めようとせず、ひたすら自分が「気前のいいモテ男」であるかのように振る舞う松本くんの姿は、痛々しさの極みであり、ただただ周りをうんざりさせているだけだ。
松本拓也くんは、福岡銀行に就職してからというもの、「銀行員らしさ」を意識して立ち居振る舞いを変えようと努力している。しかしその努力はどこか空回りしており、学生時代と同じく、周囲の空気とのズレを生み出している。
銀行の朝礼では、先輩が話す内容を誰よりも大きな声で復唱し、「やる気のある若手」を演じているが、声の大きさと内容が噛み合っておらず、「中身がない」と陰で失笑されている。身だしなみにも気を使っているつもりで、毎朝ワックスで髪を固め、スーツも新調しているのだが、Yシャツの襟元はいつも少し曲がっており、靴は磨かれておらず、全体に“ちぐはぐ”な印象を与えている。
営業成績は平凡ながらも、毎日SNSには「お客様との信頼関係が第一」などというポエムめいた投稿をアップ。だがやはり「いいね」はゼロ。周囲の同期もフォローしてはいるが、ほとんどがミュート状態で、彼の熱量を持て余している。
ある日、彼は取引先の女性社員に「よかったら今度、融資のことでも飲みながら話しませんか？」と軽いノリで誘ったが、真顔で「それ、セクハラって言われますよ」と返され、空気が凍りついた。その後、彼は「あれは誤解だ」と周囲に弁明し続けたが、すでに“面倒な人”として認識されていた。
休憩中には、学生時代と変わらずクラブ通いの話を持ち出し、「昨日の夜はマジで盛り上がってさ」と語るのだが、同僚たちは無表情でうなずくだけ。「またその話か…」と、心の中でため息をついている。
本人はというと、「銀行マンとしての自分」を演出しているつもりで毎日を懸命に生きている。しかし、その姿はやはりどこかぎこちなく、虚勢と現実のズレが痛々しくにじみ出ている。
社会人5年目、松本拓也くんは念願の「副主任」に昇格した。同期の中ではやや遅れをとっての昇進だったが、彼は「これは銀行に必要とされた証だ」と思い込み、急に態度を変え始める。
朝礼では以前よりさらに声を張り上げ、「では本日も、信用第一でまいりましょう！」と自作の標語を読み上げるようになった。周囲は内心、「こいつ何様だ」と思いながらも表向きは苦笑いでやり過ごしていた。業務中にも、後輩に対して「ここで気づくのが、君と俺の差かな」といった上から目線のアドバイスを繰り返し、チーム内の空気を微妙にしていた。
そんなある日、彼は地方の小規模企業に対する融資案件で、杜撰な調査を行い、回収不能の危機を招く失態を犯してしまう。直属の上司が対応に追われる中、松本くんは「僕は情熱で動いたんです。マニュアルにはない価値を信じた」と開き直った。だがその言い訳も通じず、彼はしばらく“窓際”へと追いやられることとなった。
この頃から、松本くんは「会社はもう俺のことを評価できていない」と感じ始め、転職サイトに登録。LinkedInには「地域金融のプロフェッショナル」「地域密着型コンサルタント」といった肩書をずらりと並べ、あたかもバンカー界のカリスマであるかのように装った。
しかし、実際に受けた面接では、「口調が空回りしている」「熱量はあるが実績が伴っていない」と酷評され、内定はどこからも得られない。面接後も「きっと俺が有能すぎて警戒されたんだ」と自分を納得させ、再びポエム風の投稿をSNSにアップするが、反応は相変わらずゼロ。
そして今も、松本拓也くんは、昼間は静かな支店の隅で資料を整理し、夜になるとクラブに繰り出し、明るく笑いながら写真をアップしている――コメントも、いいねも、ないままに。