【豊かな頃から一変、経済不安が渦巻く社会に・・・社会的報復】中国で相次ぐ 無敵の人・・・駐在する日本人男性 「景気は本当に悪い 不動産、小売り、IT総崩れですよ、こんなの経験したことがない、底が見えない」アーカイブ最終更新 2024/11/26 22:301.影のたけし軍団 ★???中国で子どもが襲撃される事件が相次ぐ。容疑者はいずれも中高年の男性で、生活に困窮し自暴自棄になった中年の「社会的報復」という見方が少なくない。氷河期世代の筆者は2010年代に中国に移住し、生まれて初めて「成長とはこういうものか」と実感すると同時に、経済的に豊かになると期待が持てれば人々は一党独裁も言論の制約も受け入れるのだと理解した。だが、永遠に続くかに見えた中国経済の高揚感は急激にしぼみ、中国社会は日本のバブル崩壊後と似た空気が漂う。中国政府は、国民の暴発の芽をどの程度恐れているのだろうか。現在の中国の状況を見てみると、中国恒大集団のデフォルト危機が表面化して3年が経った。同社は今も存続しているが、政府が救済を渋ったこともあって、危機は業界全体に広がり、景気をじんわりと冷やしていった。2024年に入るとあらゆる統計指標が不景気を示すようになった。2010年代前半から広州市に駐在する日本人男性(52)は、「景気は本当に本当に悪い。不動産、小売り、IT。総崩れですよ。こんなの経験したことがない。底が見えない」と話す。1990年代の日本経済を知る人は口々に、今の中国を「当時の日本に近い状況」と表現するが、中国人の多くにとって日本のバブル崩壊は他人事であり、「何かあっても政府が助けてくれる」と思い込んで不動産に投資を続けてきた。現役世代の中国人は初めて「頑張っても報われない」社会を経験している。今の20代は、改革開放以来初の氷河期世代になるかもしれない。今年6月に蘇州、9月に深センで日本人学校の児童が襲撃され、2人の死者が出た。「日本人を狙った犯行か否か」に注目が集まるが、実際は中国では6月以降、10月末までに子どもを狙った襲撃事件が5件発生している。10月末には北京の小学校前で児童3人を含む5人が切りつけられた。現場は中国のトップ大学やIT企業が集積するエリアに位置する、名門校として名高い小学校だった。一連の事件で容疑者の詳細な動機はいずれも公表されていない。ただ、容疑者はいずれも40歳以上の男で、事業に失敗した、前科があるなど、人生が順調でないことを示唆する情報もある。失うものがなく、犯罪を起こすことに何の躊躇もない人を指す「無敵の人」というネットスラングがあるが、中国で相次ぐ子どもを狙った切りつけ事件の容疑者も、「将来に希望を持てない中高年による、社会への報復」と受け止められている。いわば中国版無敵の人だ。若者の失業率の高さが取りざたされるが、彼らは選り好みしなければ職はある。本当に苦しいのは失業しても転職が容易ではない35歳以上と言われる。中国政府は一連の事件にどの程度危機感を持っているのか。9月に入って次々に経済対策を打ち出したところをみると、今の社会の空気感を不安視しているのは間違いない。社会をひっくり返すような広がりのある抗議活動は、概して若者が起点になる。アラブの春の引き金になったのは、チュニジアの若者による抗議の自殺だった。海外の事例を出すまでもなく、天安門事件も、ゼロコロナ政策に無言の抗議を行う「白紙運動」も、中心に大学生がいた。上海市当局がハロウィン期間に中心部でコスプレを禁止したと報じられた。中国政府がいちばん恐れているのは、前途ある若者による一見軽そうな「連帯」なのかもしれない。浦上 早苗 : 経済ジャーナリスト早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。https://toyokeizai.net/articles/-/841849
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氷河期世代の筆者は2010年代に中国に移住し、生まれて初めて「成長とはこういうものか」と実感すると同時に、経済的に豊かになると期待が持てれば人々は一党独裁も言論の制約も受け入れるのだと理解した。
だが、永遠に続くかに見えた中国経済の高揚感は急激にしぼみ、中国社会は日本のバブル崩壊後と似た空気が漂う。中国政府は、国民の暴発の芽をどの程度恐れているのだろうか。
現在の中国の状況を見てみると、中国恒大集団のデフォルト危機が表面化して3年が経った。同社は今も存続しているが、政府が救済を渋ったこともあって、危機は業界全体に広がり、景気をじんわりと冷やしていった。
2024年に入るとあらゆる統計指標が不景気を示すようになった。2010年代前半から広州市に駐在する日本人男性(52)は、「景気は本当に本当に悪い。不動産、小売り、IT。総崩れですよ。こんなの経験したことがない。底が見えない」と話す。
1990年代の日本経済を知る人は口々に、今の中国を「当時の日本に近い状況」と表現するが、中国人の多くにとって日本のバブル崩壊は他人事であり、「何かあっても政府が助けてくれる」と思い込んで不動産に投資を続けてきた。
現役世代の中国人は初めて「頑張っても報われない」社会を経験している。今の20代は、改革開放以来初の氷河期世代になるかもしれない。
今年6月に蘇州、9月に深センで日本人学校の児童が襲撃され、2人の死者が出た。「日本人を狙った犯行か否か」に注目が集まるが、実際は中国では6月以降、10月末までに子どもを狙った襲撃事件が5件発生している。
10月末には北京の小学校前で児童3人を含む5人が切りつけられた。現場は中国のトップ大学やIT企業が集積するエリアに位置する、名門校として名高い小学校だった。
一連の事件で容疑者の詳細な動機はいずれも公表されていない。ただ、容疑者はいずれも40歳以上の男で、事業に失敗した、前科があるなど、人生が順調でないことを示唆する情報もある。
失うものがなく、犯罪を起こすことに何の躊躇もない人を指す「無敵の人」というネットスラングがあるが、
中国で相次ぐ子どもを狙った切りつけ事件の容疑者も、「将来に希望を持てない中高年による、社会への報復」と受け止められている。いわば中国版無敵の人だ。
若者の失業率の高さが取りざたされるが、彼らは選り好みしなければ職はある。本当に苦しいのは失業しても転職が容易ではない35歳以上と言われる。
中国政府は一連の事件にどの程度危機感を持っているのか。9月に入って次々に経済対策を打ち出したところをみると、今の社会の空気感を不安視しているのは間違いない。
社会をひっくり返すような広がりのある抗議活動は、概して若者が起点になる。
アラブの春の引き金になったのは、チュニジアの若者による抗議の自殺だった。海外の事例を出すまでもなく、天安門事件も、ゼロコロナ政策に無言の抗議を行う「白紙運動」も、中心に大学生がいた。
上海市当局がハロウィン期間に中心部でコスプレを禁止したと報じられた。中国政府がいちばん恐れているのは、前途ある若者による一見軽そうな「連帯」なのかもしれない。
浦上 早苗 : 経済ジャーナリスト
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育など。中国メディアとの関わりが多いので、複数媒体で経済ニュースを翻訳、執筆。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。新書に『新型コロナVS中国14億人』(小学館新書)。
https://toyokeizai.net/articles/-/841849