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1. 重力の影響が明確に観測されている
銀河の回転速度や銀河団の振る舞いは、目に見える物質（星、ガスなど）だけの質量では説明できません。具体的には、銀河の外縁部の星が、予想以上に速く回転していることが観測されています。通常の物質だけでは、星々がこれほど速く動くと、重力が足りずに銀河の外側に飛び出してしまうはずです。しかし、そうはならない。これは、目に見えない「質量」、つまりダークマターが追加の重力を提供していると考えられます。
2. 重力レンズ効果
宇宙空間を通過する光が、銀河や銀河団の近くを通過する際に曲がる現象（重力レンズ効果）が観測されています。この効果の強さを説明するには、観測される可視物質だけでは足りません。追加の質量が必要であり、それがダークマターの存在を裏付けるものとされています。この現象は、目に見えないが確実に「質量」が存在していることを示しています。
3. 宇宙マイクロ波背景放射
宇宙の初期段階で残された「宇宙マイクロ波背景放射」という放射線の分布も、ダークマターの存在を示唆しています。この放射線の分布パターンは、宇宙の進化過程でダークマターが重要な役割を果たしたことを示しており、これが現在の宇宙の構造形成に大きく影響していると考えられます。
4. 代替理論も存在するが…
ダークマターの存在に対する代替理論として、MOND（修正ニュートン力学）や修正重力理論などがあります。これらの理論は、重力そのものが遠距離で違う振る舞いをすることで、ダークマターなしで銀河の回転や他の現象を説明しようとします。しかし、これらの理論は現在のところ、観測されている現象すべてを一貫して説明するには至っていません。一部の状況を説明できても、広範な宇宙の現象や観測結果に対してはダークマターの方がより適切な説明を提供しています。
5. 存在しない可能性は極めて低い
以上の理由から、ダークマターが存在しないとする考え方はありますが、現在の観測データや理論に基づくと、その可能性は非常に低いとされています。むしろ、ダークマターの性質が未知であるためにまだ直接的に検出できていないだけだと考えられています。たとえるなら、電気が発見される前の時代に、電気の存在は見えないけれどその効果は確実に観測されていたようなものです。私たちはダークマターそのものをまだ捉えられていませんが、その影響は確実に観測されています。
結論
ダークマターの存在を支持する観測的証拠は非常に強力です。重力を通じてその影響が確認されているため、現在のところ「存在しない」とする仮説よりも、ダークマターが存在しているが直接的に観測されていないという見方が主流です。