日銀総裁 植田和男最終更新 2024/10/31 14:391.名無しさんHUnqVがんばれ2024/07/31 04:10:5599コメント欄へ移動すべて|最新の50件2.名無しさんcHteo日銀、国債買い入れ減額決定へ 市場は半減見込む2024/07/30 18:00 日経速報ニュース 日銀は31日の金融政策決定会合で国債買い入れ減額の詳細を決める。現状は月6兆円程度買い入れているが、市場では今後1?2年程度で月3兆円まで半減する案が有力視されている。事実上の量的引き締めとなり、国債市場の中心的な担い手が日銀から民間に移っていく契機となる。 日銀は前回6月の決定会合で国債買い入れを減らす方針を決め、今回の7月会合で今後1?2年程度の具体的な減額計画を詰めるとしていた。 日銀は7月上旬、減額幅の決定の参考にするために債券市場参加者から意見を聞いた。公表されたこの会合の議事要旨には月2兆?4兆円までの減額が望ましいとの声が多く掲載された。減額のペースを巡っては「当初大きく減額」を求める意見や、「段階的な減額が望ましい」とする声など市場の意見は割れた。 23?25日に聞き取ったQUICK月次調査(債券)によると、市場参加者の予想は中央値で1年後の買い入れ額が4兆円、2年後は3兆円となった。日銀内でも「サプライズにはしたくない」(関係者)との意識があり、金融機関の決算期も考慮して2025年度末をめどに3兆円程度に減らすなどの案が浮上する。 異次元緩和で国債を大量に買い入れてきた結果、日銀が保有している国債は600兆円近くに膨らみ、長期金利の押し下げ効果も1%程度に上るとされている。3月まで実施していた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)で金利水準も人為的に抑え込んできた。 日銀の植田和男総裁は6月の記者会見で「市場で長期金利がより自由に形成されるように(減額する)」と述べていた。日銀の国債買い入れの減額が進めば金利には上昇圧力となり、さらに金利が動くようになれば市場取引が活性化する効果が見込める。金融機関はビジネスをしやすくなり、国内外の投資家が日本国債の売買や保有を増やす可能性もある。 日銀が保有を減らす分の引き受け手は銀行や保険、海外投資家などが想定されている。資金循環統計によると、日銀が異次元緩和に着手する前の12年末時点で、銀行など預金取扱金融機関は全体の4割近くを占める最大の国債保有者だったが、足元の保有割合は1割程度にとどまっている。 ただ、かつて主要な担い手だった銀行はバーゼル規制によって、自己資本に占める金利リスク量の割合を一定以下に抑えることが求められている。生命保険各社も国債を買い増す余力は大きくないとの見方がある。日銀は買い入れを減らす過程で混乱が起きないかを、入念に検証していくとみられる。【関連記事】・日銀、30日から決定会合 追加利上げの有無焦点・国債の「海外販促役」 野村やJPモルガンなど指定 財務省・神田財務官、31日に退任 介入指揮「令和のミスター円」2024/07/31 04:12:253.名無しさんcHteo日本国債と日経平均の先物に売り 日銀が追加利上げ検討と伝わる2024/07/31 02:51 日経速報ニュース 【NQNニューヨーク=川上純平】日本国債の先物相場が日本時間31日未明の取引で下落している。中心限月の9月物は前日比44銭安い142円93銭を付ける場面があった。日本経済新聞電子版などが同日、日銀が31日まで開く金融政策決定会合で追加利上げを検討すると報じたのをきっかけに売りが広がった。 日経によると、現在は0?0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力という。日銀は、賃金上昇を背景に物価と景気が上向いているとみているようだ。 31日未明の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落している。9月物は一時、前日の清算値と比べ600円安い3万7890円を付けた。日銀の利上げが景気を冷やすと懸念された。30日の米株式市場で半導体などハイテク株に売りが出ているのも日経平均先物の重荷となっている。2024/07/31 04:12:514.名無しさんcHteo日銀が追加利上げ検討、0.25%程度への引き上げ議論へ=報道[東京 31日 ロイター] - NHKや時事通信など国内メディアは、日銀が31日に開く2日目の金融政策決定会合で追加利上げを検討し、短期金利を0.25%程度に引き上げる案を議論すると報じた。NHKは、9人の政策委員の多くが物価は見通しに沿って上昇しているという見方を示しているものとみられると伝えた。日銀が追加利上げを決めれば、3月にマイナス金利政策を解除し、政策金利を0─0.1%程度に引き上げて以来。時事通信は、物価高で個人消費が鈍る一方、賃上げや政府の定額減税などの効果で景気の腰折れは回避できると日銀は判断していると報じた。急速な円安で輸入インフレが再燃する恐れもあり、利上げが妥当との見方が広がっているという。日本経済新聞は、会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権を行使せず容認する構えと伝えている。一方、NHKと時事は、実質賃金はマイナスが続いていることから委員の間で追加利上げに慎重な声もあり、会合で最終判断すると報じている。2024/07/31 04:13:265.名無しさんcHteo日銀が追加利上げ検討、0.25%に 量的引き締めも決定へ2024/07/31 02:00 日経速報ニュース 日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討する。現在は0?0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力だ。3月にマイナス金利政策を解除したが、賃金上昇などで物価と景気はなお上向き基調にあると判断した。国債買い入れを減額する量的引き締めの具体策も決め、日本経済は「金利ある世界」へさらに一歩踏み込む。 日銀はマイナス金利の解除後も、短期金利を0%近辺と極めて低めに誘導してきた。政策金利を0.25%に引き上げれば、リーマン・ショック直後の2008年12月(0.3%前後)以来、15年7カ月ぶりの水準に戻る。会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権は行使せず、容認する構えだ。 日銀が3月に続いて追加利上げに動くのは、インフレ率が目標とする2%を上回ってなお上昇基調にあるからだ。6月の消費者物価指数(CPI、生鮮食品除く)は前年同月比2.6%上昇し、27カ月連続で2%を上回った。政策委員の一部は早期の追加利上げが必要と主張しており、31日の会合で最終判断する。 会合では、保有国債を圧縮する量的引き締めも正式決定する。3月のマイナス金利解除後も国債を月額6兆円程度買い入れてきたが、市場は1年半後の25年度末をめどに購入量を同3兆円程度に半減する案を有力視している。 日銀は13年以降に大規模な量的緩和に踏み込み、24年3月末時点で国債発行残高の53%を保有して長期金利を事実上コントロールしてきた。大規模緩和の解除後も買い入れペースを維持してきたが、金利引き上げとともに保有国債を圧縮する量的引き締めに転換する。 日銀が強い影響力を及ぼしてきた債券市場は、民間取引主体の「金利が動く世界」へと段階的に回帰する。 植田和男総裁は6月の決定会合後の記者会見で、日銀の予測通りに物価上昇が続けば「政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整していくことになる」と指摘していた。3月のマイナス金利解除後も、日本経済は賃上げなどによる物価押し上げ圧力を保っている。 物価上昇率が2%程度で推移し続ければ、日銀は中期的にさらなる追加利上げも検討していく考えだ。 バブル経済の崩壊後、日銀は1999年にゼロ金利政策に踏み込み、極めて長く超低金利政策を続けてきた。長期緩和の副作用として円安が発生。2024年4月末には対ドルで一時1ドル=160円台と1990年4月以来の円安水準をつけた。歴史的な円安水準も日銀の金融正常化を後押しする材料となっている。 家計にとって金利の引き上げは追い風と逆風の両面がある。マイナス金利解除後、メガバンクや地銀は17年ぶりに普通預金の金利を引き上げた。住宅ローン金利が上がればマイナスの影響が出るが家計全体でみれば預金が借入金を上回り、日銀関係者は「(追加利上げは)家計全体では差し引きでプラスになる」とみる。 一方で、金利の上昇は巨額の債務を抱える政府部門にとって財政再建の圧力を強めるものになる。2024/07/31 06:13:066.名無しさんcHteo今日の株式 反落か 日銀の追加利上げ観測で、円高重荷2024/07/31 07:14 日経速報ニュース 31日の東京株式市場で日経平均株価は反落か。日銀が31日まで開く金融政策決定会合で追加利上げを検討すると伝わった。外国為替市場で急速に円高・ドル安が進行しており、自動車など輸出関連を中心に売りが先行しそうだ。日経平均は前日の終値(3万8525円)から600円ほど安い3万7900円程度が下値メドとなる。 31日付の日本経済新聞朝刊は「日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討する。現在は0?0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力だ」などと報じた。市場では消費の弱さなどを理由に7月会合では長期国債の買い入れ減額だけを決定し、追加利上げは見送るとの見方が大勢だった。 報道を受け、30日のニューヨーク外国為替市場では円相場が一時1ドル=152円台後半まで上昇した。追加利上げが決まれば低金利環境の状態が薄れ、株価の割高感が許容されにくくなるとの見方は日本株全体にとって逆風となる。半面、金利上昇の恩恵を受けやすい銀行や保険など金融株などには買いが入りやすい。きょう昼ごろには日銀の会合結果が公表される見通しだ。 30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比203ドル(0.50%)高の4万0743ドルで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が9月にも利下げを始め、米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が支えだった。一方、ハイテク株には持ち高調整の売りが優勢で、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は1.28%安と6月上旬以来の安値で終えた。エヌビディアが大幅安となり、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3.88%安で終えた。東京市場でも値がさの半導体関連株に売りが出て、日経平均を下押しするだろう。 日本時間31日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落した。9月物は前日の清算値より490円安い3万8000円で取引を終えた。米マイクロソフトが30日の取引終了後に発表した2024年4?6月期決算で、成長の柱として注目のクラウド基盤「アジュール」などの増収率が市場予想に届かず、時間外取引で株価が大幅に下落している。 個別ではTDKに注目だ。30日発表した24年4?6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比4倍の596億円だった。ICT(情報通信技術)市場向け製品の出荷が増えたほか、円安が寄与した。1株を5株にする株式分割も発表しており、好感する買いが先行するだろう。 日立やアドバンテスト、商船三井などが24年4?6月期決算を発表する。デジタルマーケティングの自動化サービスなどを手掛けるFaberCompanyが東証スタンダード市場に新規上場する。米国では米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の記者会見が予定されている。ボーイングとアーム・ホールディングスが24年4?6月期決算を発表する。2024/07/31 07:26:207.名無しさんcHteo日経平均、日銀追加利上げ観測が重荷(先読み株式相場)2024/07/31 08:04 日経速報ニュース 31日の東京株式市場で日経平均株価は反落か。日銀が31日まで開く金融政策決定会合で追加利上げを検討すると伝わった。外国為替市場で急速に円高・ドル安が進行しており、自動車など輸出関連を中心に売りが先行しそうだ。日経平均は前日の終値(3万8525円)から600円ほど安い3万7900円程度が下値メドとなる。 31日付の日本経済新聞朝刊は「日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討する。現在は0?0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力だ」などと報じた。市場では消費の弱さなどを理由に7月会合では長期国債の買い入れ減額だけを決定し、追加利上げは見送るとの見方が大勢だった。 報道を受け、30日のニューヨーク外国為替市場では円相場が一時1ドル=152円台後半まで上昇した。追加利上げが決まれば低金利環境の状態が薄れ、株価の割高感が許容されにくくなるとの見方は日本株全体にとって逆風となる。半面、金利上昇の恩恵を受けやすい銀行や保険など金融株には買いが入りやすい。きょう昼ごろには日銀の会合結果が公表される見通しだ。 30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比203ドル(0.50%)高の4万0743ドルで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が9月にも利下げを始め、米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が支えだった。一方、ハイテク株には持ち高調整の売りが優勢で、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は1.28%安と6月上旬以来の安値で終えた。エヌビディアが大幅安となり、主要な半導体関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3.88%安で終えた。東京市場でも値がさの半導体関連株に売りが出て、日経平均を下押しするだろう。 日本時間31日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落した。9月物は前日の清算値より490円安い3万8000円で取引を終えた。米マイクロソフトが30日の取引終了後に発表した2024年4?6月期決算で、成長の柱として注目のクラウド基盤「アジュール」などの増収率が市場予想に届かず、時間外取引で株価が大幅に下落している。 個別ではTDKに注目だ。30日発表した24年4?6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比4倍の596億円だった。ICT(情報通信技術)市場向け製品の出荷が増えたほか、円安が寄与した。1株を5株にする株式分割も発表しており、好感する買いが先行するだろう。 日立やアドバンテスト、商船三井などが24年4?6月期決算を発表する。デジタルマーケティングの自動化サービスなどを手掛けるFaber Companyが東証スタンダード市場に新規上場する。米国では米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表とパウエルFRB議長の記者会見が予定されている。ボーイングとアーム・ホールディングスが24年4?6月期決算を発表する。2024/07/31 08:17:558.名無しさんcHteo日銀利上げ 10?12月期に0.5%まで引き上げか・明治安田総研の小玉氏2024/07/31 14:24 日経速報ニュース 小玉祐一・明治安田総合研究所フェローチーフエコノミスト 日銀が31日まで開いた金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げると決めたのは、景気や物価の見通しが「オントラック(想定通り)」だと判断したためだろう。10?12月期には0.5%まで利上げすることは大いにあり得るとみている。6月の公表文で削除していたフォワードガイダンス(先行き指針)に該当する表記を、今回改めて正常化を進める形にした点は印象深い。 景気と物価動向だけを素直に眺めるなら、もう少し利上げの判断を遅らせるべきだったとも考えられる。しかし、足元では外国為替市場で進む円安が政治的な課題となっている。日銀は過去四半期にわたって、現実的には為替相場を横目に見ながら政策を運営してきた。1ドル=160円を超えて円安が進む局面で利上げを決めると投機筋がさらなる円売りに動きかねない状況だったが、足元での利上げは円安圧力を封じ込める好機だったといえる。 今回の利上げによって、住宅ローン金利の上昇などを通じて足元で「弱めの動き」としている住宅投資は腰折れしかねない懸念がある。日銀も注意深く見ていくことになると思うが、景気全体に影響を及ぼすとは考えづらい。国債買い入れの減額は市場にあった意見のおおむね中間を採ったとの印象で、計画を示したことで関心も相対的に低下していくだろう2024/07/31 14:31:079.名無しさんb6jmM植田日銀総裁が利上げに積極姿勢、タカ派発信で年内追加観測も浮上https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-31/SHGUKVT1UM0W00?srnd=cojp-v2実質金利は深いマイナス、政策金利0.5%の壁も「特に意識せず」10月追加利上げの可能性、景気下振れリスク高める恐れもーUBS 日本銀行が追加金利を引き上げた31日の金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁は今後数回の利上げにも前向きな姿勢をにじませた。総裁発言をタカ派と受けとめた市場では、早くも年内追加利上げの見方が浮上している。 日銀が決定した政策金利の水準は0.25%程度。植田総裁は、2年以上にわたって目標の2%を超えているインフレを踏まえると、「実質金利は非常に深いマイナスにある」と何度も強調した。低い実質金利を続けることで「急激な調整を強いられる」先行きリスクに早めに手を打った対応との見解も示した。日銀が政策金利0.25%に引き上げ、経済・物価想定通りなら利上げ継続 その上で、現在の政策金利は景気や物価に景気を過熱させず冷やしもしない中立金利に比べてかなり下の水準にあり、今回の利上げは「そこの範囲での調整だ」と説明。中立金利自体に大幅な不確実性があるが、しばらくはその不確実な領域に入ることはないとの認識を示した。過去の利上げ局面において上限となった「0.5%の壁」も「特に意識していない」と語った。 こうした植田総裁の発言は、経済・物価に大きな下振れリスクが生じない限り、当面は粛々と利上げを進め、金融緩和度合いの調整していく考えを示したものといえる。円安が物価に与える影響の強まりを含め、物価の上振れリスクを警戒し、タカ派的な発信を強めている可能性がある。 UBS証券の足立正道チーフエコノミストは総裁発言について「完全にタカ派的だ」とし、次は10月にも利上げがあり得るとみている。日銀が早く金利を上げる意図を示したことで、今後は円高が進行するリスクを意識する必要があると指摘。「企業が値上げできる環境をつぶしてしまう可能性がある。景気に関係なく金利を上げていこうとしており、ますます景気の下振れリスクを高めてしまう」と懸念を示した。 今回の利上げの景気への影響について総裁は、小幅であり、「強いブレーキが景気にかかるとは考えていない」と明言した。一方で、今後の利上げについては「ここまでの利上げの影響についても確認しつつということに当然なる」と説明。力強さを欠く個人消費などが、日銀の見立て通りに持ち直していくのか、まずは夏場の景気とデータが鍵を握る。 農林中金総合研究所の南武志主席研究員も、次の利上げのタイミングは10月と予想している。植田総裁は予想よりも大きな規模と速さでこれまで正常化を進めてきたとしながらも、「問題は本当に物価と景気が日銀がみているように進んでいくかだ。例えばサービス価格などはそこまでまだ強くはない」とみている。日米金利差も左右 31日の海外市場では円が急伸。同日発表の米国の経済指標に反応し、1ドル=149円台と4カ月半ぶりの高値を付けた。米連邦公開市場委員会(FOMC)が同じ日程で開く会合では、金融政策の維持が見込まれる一方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が数カ月以内の利下げを示唆する可能性もある。日米金利差が引き続き市場の動向を左右することになりそうだ。 第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストはリポートで、7月上旬に政府が為替介入に動いた「後詰め」として日銀は利上げをしたとの見方を示す。3月のマイナス金利解除では政策修正が小さ過ぎたため、十分に内外金利差が縮小しなかったと指摘。その上で、「今後、円安が進めば政府と協調して早ければ年内12月頃に利上げをもう一度行う可能性も残る」とみる。 財務省は同日、6月27日-7月29日の為替介入額が5兆5348億円だったと発表した。日米金利差を主因に円安の流れが止まらない中、政府・日本銀行が4-5月に続いて介入を実施していたことが示された。政府・日銀の為替介入、5兆5348億円-29日までの1カ月間 植田総裁は会見で、円安が物価を想定以上に押し上げる可能性に関して、「重要なリスクと認識して政策判断の一つの理由とした」と説明。一方、為替が今回の利上げの最大の判断材料だったかという質問に対しては「必ずしも最大の要因ではなかった」と答えた。2024/08/01 06:54:4310.名無しさんb6jmM日銀利上げ、次はいつか 12月の織り込み6割程度に2024/08/01 17:49 日経速報ニュース きのう追加利上げを決めた日銀が次に動くのはいつか――。金融市場では「再利上げは12月」との織り込み度合いが6割程度となっている。日銀は7月31日、経済データ次第で「引き続き政策金利を引き上げる」との姿勢を示した。市場では早くも次の利上げ時期をめぐる思惑が広がっている。 /home/member/news/202408/ucljpg_1470b4f511ce123dd6943b5d0788fa27.jpg?format=raw 変動金利と固定金利を一定期間交換するスワップ市場のなかで、日銀の政策金利である無担保コール翌日物金利(TONA)を変動金利とするのが、翌日物金利スワップ(OIS)市場だ。金利を交換する期間を日銀会合の間とした「金融政策決定会合間取引」では、12月の日銀会合から次の来年1月の会合の間のOIS金利12月限は1日13時45分時点で0.38125%となっている。 追加利上げ後である1日午前のTONAの加重平均金利は0.227%付近となっており、現時点のOIS金利12月限はTONAを0.15425%上回っている。日銀がTONAの誘導目標を0.25%から0.5%へ引き上げると利上げ幅は0.25%で、OIS金利とTONAの差は想定される利上げ幅の61.7%となる。この値が、市場が見込む12月利上げの確率となる。 政策金利を「0?0.1%」から「0.25%」へ引き上げた日銀の植田和男総裁は会合後の記者会見で「今回の展望リポートで示した経済、物価見通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げる」との見方を示した。 2006年以降の前回の日銀の利上げ局面では、政策金利は0.5%までしか上昇しなかった。だが、植田総裁は0.5%について「壁とは意識していない」とも答えた。 アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎氏は「植田総裁の発言は次の利上げを意識させるものだった。利上げの道筋をクリアに捉えている印象だ」と話す。そのうえで「市場は年内に0.5%の追加利上げをどうしても意識してしまう」という。 利上げ確率は、次の9月会合は6.2%にとどまり、11月会合は30.7%となっている。植田総裁は「前もって何カ月ごとに決めてパスを描いているわけではない」としているが、みずほ証券の丹治倫敦氏は「前回利上げした3月から4カ月後である7月に追加利上げしたことから、『次は12月に』という思惑が出やすい」と指摘する。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美氏は「これまでの会合と比べ7月ははっきりと日銀が政策正常化のスタンスを示している。吹っ切れた印象だ」と語る。今後出てくる毎月勤労統計などから、日銀が物価目標である2%の安定達成への自信を深めれば3度目の利上げの観測はさらに高まっていきそうだ。2024/08/01 20:33:5511.名無しさん8UDxh2024年08月01日17時00分明日の株式相場に向けて=日銀会合を境に変わり始めた相場の波紋 名実ともに8月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比975円安の3万8126円と急反落。前日は日銀金融政策決定会合の結果がサプライズを伴う追加利上げだったにもかかわらず、後場に切り返し570円あまりの上昇をみせたことでヤレヤレムードが漂った。しかしそれも束の間、きょうは円高進行と合わせた怒涛の売り攻勢で日経平均は一時1300円以上の下げに見舞われた。これまでハト派色を際立たせていた植田日銀総裁のタカ派への宗旨替えは、タイムラグを置いて株式市場上空に暗雲を引き寄せている。ただ、ドル・円の1ドル=150円割れと言っても、これは3月中旬以来であり年初からみれば、まだ大分円安である。3月中旬の日経平均は3万9000円台後半から4万円近辺に位置していた。その意味では、直近の下げはやや過剰に反応しているともいえるのだが、問題は日銀が利上げマインドに変わってしまったということである。 きょうは午後1時25分に発表されたトヨタ自動車<7203>の決算発表に市場関係者の視線が集中した。株価は朝方から軟調に推移していたが、決算発表直後は瞬間的に上に振れて2800円台に乗せる場面があったものの、間髪入れず売りが浴びせられて下値を探る展開に変わり、一瞬にして2700円近辺の大台攻防へと舞台が回った。結局2700円台をギリギリ割り込み下落率は8.5%弱に達した。同社にとって7月は受難の相場だったが、8月も出足から大陰線でスタートする形となってしまった。 同社がこの日発表した25年3月期第1四半期(24年4~6月)決算は、営業利益が前期比17%増の1兆3084億6200万円と2ケタ増益を確保し過去最高を更新した。事前のコンセンサスには若干未達となったが、そこまで嫌気される決算内容ではなかったはずである。しかし、期待されていた通期計画の上方修正を見送ったことから売りの砲火を浴びた。これは前日の米国株市場で引け後に決算発表を行ったアーム・ホールディングス<ARM>が、好調な内容だったにもかかわらず、通期業績予想を増額しなかったことが嫌気されて時間外で急落したパターンとも似ている。 トヨタの場合、通期の想定為替レートをいくらに設定するかが注目ポイントともなっていた。同社に先立って7月25日に4~6月期決算を発表した日産自動車<7201>のケースでは、営業利益が前年同期比99%減という衝撃の決算内容で、25年3月期通期の営業利益も6000億円から5000億円(前期比12%減)に1000億円も減額した。この時に通期想定為替レートを1ドル=145円から155円に大きく円安方向に修正したことが話題を呼んでいた。ドル・円相場の実勢は見ての通り既にそこから5円も円高に振れている。1000億円の減額では済まないのではないかという懸念が広がる。 そして、トヨタも想定為替レートを日産同様に大幅に円安方向に修正するのではないか、という思惑が市場には漂っていた。しかしトヨタは今回の決算発表で、通期想定為替レートを前回と同じ1ドル=145円で動かさなかった。そこは評価していい部分だが、株式市場はひとたび潮流が発生するとどうあがいても流されてしまうことが多い。決算プレーも注目度の高い銘柄の場合、決算を跨ぐ前にあらかじめ方向性が決められてしまっているような時がある。総合的な評価をせず、ウィークポイントに焦点を当てる。表現は悪いが難癖をつけて売り叩くような相場で、これは全体相場の流れの悪さも示唆している。 トヨタについては国土交通省が前日に一連の認証不正問題を巡り、再発防止を求める是正命令を出している。偶然とはいえ、売られる方向に流れが向いてしまっている。今後同社の辛口の想定為替レートを更に突き抜ける円高に見舞われる可能性もあり、値ごろ感にほだされての押し目買いも現状はまだリスクがありそうだ。 あすのスケジュールでは、7月のマネタリーべースが朝方取引開始前に日銀から開示されるほか、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札が行われる。また、後場取引終了後に7月の財政資金対民間収支が発表される。なお、国内主要企業の決算発表では、JT<2914>、イビデン<4062>、エーザイ<4523>、任天堂<7974>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>などが予定されている。海外では7月の米雇用統計に対するマーケットの注目度が高く、このほか6月の米製造業受注も発表される。また、この日はシェブロン<CVX>の決算が発表される。2024/08/02 00:30:1912.名無しさん962Vw植田の馬鹿げた軽口でトヨタ様がクソ株に変わり果てた植田は国賊2024/08/04 16:32:3013.名無しさんM4lCc「巨鯨・日銀」の空白埋まるか 国債村、消えたプレーヤー-金利が動く世界へ(1)2024/08/04 19:00 日経速報ニュース 日銀が追加利上げを決断し、同時に国債保有を圧縮する「量的引き締め」も開始した。日本経済は中央銀行による金利コントロールから、市場原理による「金利が動く世界」に戻る。国も企業も家計も、これからは金利の規律と向き合うことになる。 「インフレ率が2%で推移するなら、政策金利も2%程度まで戻すのが自然だ」。7月末に追加利上げに踏み切った日銀。日本は1995年以降、政策金利が1%を超えたことがないが、日銀関係者は利上げのゴールを2%程度と見込む。 超低金利が続くとみていた市場にはサプライズとなり、公表翌日の1日に円相場は1ドル=148円台まで買い戻された。一方で日経平均株価は2日に史上2番目の下落幅を記録。市場は揺れながら「金利が動く世界」へ向かう。早期安定の試金石は、まさに中銀の統制を解く債券市場にある。 日本国債の発行残高は1082兆円。日銀はその53%を保有する「池の中の鯨」だ。巨大な買い手がいなくなれば、金利は急騰リスクを抱える。財務当局は「大量の預金を抱える国内銀行がその空白を埋める」と切望する。民間銀行などは日本国債の9%を現在保有するが、約10年前は39%(317兆円)と最大のプレーヤーだった。 「国内銀行だけで200兆円は国債を買える。ただ、長期金利の最終水準がみえてこないと買いに行けない」。あるメガバンク首脳はそう思案する。 確かに民間銀行に国債を買い入れる余力はある。ただ、金利が上昇し続ければ保有国債に含み損が発生する。ある大手銀行は長期金利が1.2%になれば本格的な国債買いに動く腹づもりだが、現在は1%を切っており「動く地合いではない」。 最大の問題は国債取引の人の厚みもノウハウも薄れていることだ。ある大手銀は日本国債の取引担当がわずか2人。30年前は10人超いたものの、金利が動かなくなってチームを縮小した。国債取引で中核的な役割を果たす「国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)」も、三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)が資格を返上したほか、欧州系のアール・ビー・エス証券(当時)なども撤収した。 1998年の資金運用部ショック、2003年のVaRショックと、かつて国債市場は金利急騰で大混乱したことがあった。当時と異なるのは、国債のトレーダーも運用機関も層が薄くなり、金利急変動の耐性がないことだ。 長期金利は経済の好不調に合わせて上下動するのが自然な姿だ。日銀が国債の大量購入で長期金利を人為的に抑えつけると、世界のマネーフローは為替相場でしか調整できなくなった。極端に開いた日米金利差で発生したのが歴史的な円安だった。「円売りが連鎖してキャピタル・フライト(海外への資本逃避)になれば、1ドル=300円も冗談でなくなる」。ある自民党議員は海外投資家に真顔でそう脅された。 円売り連鎖という目先の苦境は遠のいた。とはいえ、秩序だった市場を取り戻さなければ、次なるリスクを抱え込む。 S&Pグローバル・レーティングなど主要格付け機関は、財政悪化にもかかわらず日本国債の格付け見通しを「安定的」と据え置いている。その理由は、皮肉にも日銀による巨額の国債買い入れ策があったからだ。民間主体で国債相場を支えきれないなら、財政悪化はそのまま国債格下げリスクとなる。邦銀の格下げにも直結し、日本企業のドル調達難という新たな危機となる。 中央銀行頼みのツケはすぐにはなくならない。市場のプレーヤーの厚みを取り戻す必要がある。【関連記事】・利上げ判断揺れた日銀 物価上振れリスクを重視・利上げニッポン 選別の夏、大荒れ相場で勝ち組探る・日銀「為替と戦う」利上げの成算 FRBとの蜜月いつまで2024/08/05 06:18:2614.名無しさんM4lCc疑心暗鬼の金利市場 日銀の追加利上げは遠のくのか?2024/08/05 15:11 日経速報ニュース 国内債券市場で長期金利が急低下している。米国の景気後退懸念が浮上して米金利が大きく下がり、リスクオフ(回避)が加速しているためだ。市場では米経済が急速に落ち込むシナリオに懐疑的な声が多いものの、仮に米連邦準備理事会(FRB)が大幅利下げを迫られるような状況となれば、日銀の追加利上げは遠のきかねないとのリスクシナリオが浮上している。 2日発表の7月の米雇用統計が予想外に低調な結果で、同日の米市場では株安・債券高が進行。その「ビッグウェーブ」が5日の東京市場を襲った。日経平均株価の下げ幅が一時4700円を超えたほか、円相場は1ドル=141円台後半と約7カ月ぶりの高値をつけた。国内長期金利は一時前週末比0.200%低い0.755%と、約4カ月ぶりの低水準を記録し、リスク回避はとどまる様子がない。 債券投資家の混乱ぶりを象徴するのが長期国債先物だ。大阪取引所は5日午前、長期国債先物で取引を一時停止する「サーキットブレーカー」を発動。制限値幅を拡大したうえで取引を再開すると、前週末比2円34銭高い146円14銭まで上昇した。現物債市場でも値付け業者(マーケットメーカー)の腰が引け気味だったため、「(買い手と売り手が提示する最良価格である)ビッド・アスクの差が大きく開き、現物債売りのインパクトが増幅された」(国内証券のストラテジスト)という。 長期金利は現在の水準で定着するのか。ポイントは2点ある。1点目は米国の景気後退が本当に実現するかどうかだ。 米雇用統計では非農業部門の雇用者数が市場予想を下回ったが、前月比では11万4000人増と10万人台は維持する。野村証券の宍戸知暁シニア金利ストラテジストは「週間の新規失業保険申請件数は20万件台と過去の景気後退時にみられた40万件を大幅に下回り、米景気後退にはまだ距離がある」とみる。 2つ目は円高や株安で日銀が追加利上げを諦めるかどうかだ。ある国内証券のエコノミストは「米国の景気減速で日銀が描く経済・物価見通しが下振れするなら、10月会合での追加利上げは相当難しくなる」と語る。半面、足元の株安が単なるバリュエーションの調整であれば「日銀のシナリオに変化はなく、最終的に1%程度までは追加利上げが見通せる」(野村の宍戸氏)とも読める。 市場関係者によると、利上げ到達点の想定といえる2年先に始まる1年物の翌日物金利スワップ(OIS)金利は5日午前に0.6%近辺となったようだ。日銀が追加利上げを決めた直後の1日は0.7%台後半だった。前週後半には2回の追加利上げを織り込んでいたが、現在は「少なくとも1回」に後退した。 5日の金利低下は「売り方の買い戻しを巻き込んだパニック的なもの」(国内証券のストラテジスト)との声が現時点では支配的だが、相場の先行きは結局、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)次第だろう。5日の動きを「過剰評価」と一蹴しようとしている市場参加者も実は疑心暗鬼になっている。2024/08/05 15:19:1715.名無しさんPuyVb日銀・内田副総裁「金融市場が不安定な状況で利上げせず」2024/08/07 11:14 日経速報ニュース 日銀の内田真一副総裁は7日、北海道函館市で開いた金融経済懇談会で講演し「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べた。「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある」とも語った。 日銀は7月の金融政策決定会合で、利上げを決めた。政策金利とする無担保コール翌日物レートの誘導水準を0?0.1%から0.25%に引き上げた。内田氏は「円安を受けて輸入物価が再び上昇に転じていることを踏まえた。消費者物価を上振れさせるリスク要因で、よりリスクに中立的だ」と説明した。 もっとも「引き続き政策金利を引き上げるとの考え方は、経済・物価の見通しが実現していくとすればという条件が付いている。この点、ここ1週間弱の株価・為替相場の大幅な変動が影響する」と指摘した。 「金融資本市場では米国の景気減速懸念を契機に世界的な急速なドル安と株価の下落が生じている。円ドル相場はこれまで円安方向で大きなポジションが積み上がっていたことの巻き戻しがあり、変動幅が大きい。日本の株価は円安の修正もあって他国より下落幅が大きい」と分析した。 「株価の変動は企業の投資行動や資産効果などを通じた個人消費、ひいては経済・物価の見通しに影響するものであり、政策運営上重要な要素だ」とも強調した。 株価の下落について「米国経済はソフトランディングする可能性が高いと考えているし、日本の株価上昇の背景には企業の収益力の強化がある。両国の経済のファンダメンタルズが大きく変わったとは思えない。米国の単月の指標に対する反応としては大きすぎる」と意見した。 そのうえで「最近の内外の金融資本市場の動きは極めて急激で、その動向や経済・物価に与える影響について高い緊張感をもって注視する」と指摘した。 現行の0.25%という金利水準については「名目としても、特に実質ベースでみれば、極めて低い水準だ」と話した。欧米と異なり、もともと、一定のペースで利上げをしないと利上げが遅れて物価上昇への政策対応が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に陥ってしまう状況ではないとの認識も示した。 円安が修正されたことで「物価の上振れのリスクはそのぶんだけ小さくなった」とも話した。【関連記事】・日経平均乱高下、一時1100円超高 日銀・内田副総裁発言で・疑心暗鬼の金利市場 日銀の追加利上げは遠のくのか?2024/08/07 11:51:5616.名無しさんPuyVb日銀、市場連動の金融政策に 内田副総裁「不安定なら利上げせず」2024/08/07 14:15 日経速報ニュース 日銀の利上げに対する姿勢が変わりつつある。7日午前に北海道函館市で開いた金融経済懇談会で内田真一副総裁が「市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と明言したためだ。日経平均株価が過去最大の幅で上げ下げするなど金融・資本市場の混乱に配慮した格好だが、金融政策を市場に連動する形で運営することには危うさもはらむ。 内田副総裁が示した配慮の1つは株価だ。挨拶では株価が企業収益や経済見通しを反映して形成されるのを前提に、歴史的な高水準にある企業収益に関し「単なる円安の恩恵といったものではなく、より本質的な収益力の強化によるもの」と評価。そのうえで「株価の変動は企業の投資行動や資産効果などを通じた個人消費、ひいては経済・物価の見通しに影響するもので政策運営上重要な要素」だと説明した。 さらに外国為替市場で急ピッチに進む円高についても配慮をみせる。「円安が修正された結果、輸入物価を通じた物価上振れのリスクはその分だけ小さくなった」と指摘した。足元での円ベースでの輸入物価の上昇が「ほぼこれまでの円安によるもの」だとしたうえで「この点で円安の修正は、政策運営に影響する」と述べ、むしろ円高に伴う物価の下押し圧力も意識し始めている。 これらを踏まえ、内田副総裁は「市場の変動の結果として見通しやその上下のリスク、見通しの確度が変われば、当然金利のパス(経路)は変わってくる」と総括した。さらに「欧米の利上げプロセスとは異なり、わが国の場合、一定のペースで利上げをしないと(政策対応が後手に回る)『ビハインド・ザ・カーブ』に陥ってしまうような状況ではない」とも述べ、利上げを急がない考えを明確にした。 7月末の金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げた日銀は公表文で、今後の利上げの前提条件として「『経済・物価情勢の展望(展望リポート)』で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば」と説明していた。その考え自体は同じものの、内田副総裁は「ここ1週間弱の株価・為替相場の大幅な変動が影響する」との立場だ。 植田和男総裁は7月の決定会合後の記者会見で、利上げについて「少しずつ調整をしておいた方が、先に行って慌てて調整するという事態に追い込まれたときに、ものすごい急激な調整を強いられるというリスクを減らす」と説明していた。利上げを遅らせてもビハインド・ザ・カーブには陥らないと語った内田副総裁とは見解が異なる。 利上げ決定から間を置かずに日銀の根幹を担う副総裁が利上げに慎重な「ハト派」へと急転換したようで、野村総合研究所の木内登英エグゼクティブ・エコノミストは7日付のリポートで「わずか1週間のうちに総裁と副総裁が全く逆の見解を述べたことは大いに問題ではないか」と指摘。「日銀の説明はあまりにも振れが大きく、日銀に対する信認を損ねるものになるのではないか」とも警鐘を鳴らす。 内田副総裁が主張するように日銀が市場動向に連動する形で金融政策を運営することになれば、決定会合前から金融・資本市場が不安定になり、自ら利上げの選択肢を省いてしまうことにもなりかねない。日米景気は大きく崩れないとの前提のもとに日銀は「タカ派」のままなのか、もしくは「ハト派」に回帰したのか。しばらくは投資家の目線も揺れ動きそうだ。2024/08/07 14:31:1017.名無しさんr6lrG円キャリー取引、第3次ブームに幕 130円台視野-生田弦己2024/08/06 19:19 日経速報ニュース 「円キャリー取引」が主導してきた円安局面が幕を閉じつつある。対ドルの円相場は5日に一時1ドル=141円台まで上昇。年初からの下落分をほぼ全戻しした。日米金融政策の転換で日米金利差が縮小方向に動く中、「円キャリー後」の経験則に照らすと1ドル=130円台に上昇する可能性も見えてきた。 「これまで積み上げたポジション(持ち高)を手放すことを余儀なくされている、そんな相場だ」。1日の円上昇幅が4円を超えた5日夕、三菱UFJ銀行の野村拓美エグゼクティブエキスパートはこう話した。 「スピード違反」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト)といえるほどの円急伸を受け、翌6日は一時146円台まで円が売り戻された。だが、このまま再び円安・ドル高が加速していくとの見立ては少ない。 米商品先物取引委員会(CFTC)によると、7月30日時点でヘッジファンドなど非商業部門(投機筋)の円売り持ち高は7.3万枚。3週で10.8万枚縮小した。同日時点で1ドル=152?153円台で推移していた円相場はその後一気に上昇したため「投機筋の円売り持ち高はほぼ解消した」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)との見方が優勢だ。「円相場のテーマは日米金利差縮小に移った。外債の売却を進めていきたい」(国内大手生命保険会社)といった声も聞かれる。 投機筋が円売り持ち高を増やした主因が、円キャリー取引だ。低金利の円を調達し、高金利のドルで運用して金利差収益を得ようとする取引を指す。 円キャリーとは取引の呼び名で、「円キャリーファンド」など特定のプレーヤーがいるわけではない。民間のヘッジファンドや海外金融機関など海外勢が中心に手掛ける。ある外国銀行関係者によると「政府系ファンドが手掛けることもある」という。円資金を貸し出すのも主に海外の金融機関だ。円を借りてドルで預金するほか、さらに短期金融市場に回して運用収益の上乗せを目指すこともある。 今回の円キャリー取引活発化の局面は2022年に始まったとの指摘が多い。ロシアのウクライナ侵略が始まって世界的なサプライチェーン(供給網)の混乱が生じ、米国をはじめ先進国のインフレ圧力が高まったことが背景にある。結果、米連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制のための利上げを長く続けることになり、円売り・ドル買い圧力が高まることになった。1990年代後半や2007年ごろに続く第3次の円キャリーブームだ。 こうした経緯からすれば「ウクライナ侵略が始まった1ドル=114円台まで逆回転しても驚きはない」(外国銀行幹部)。円キャリーという円安の支えがはずれたことで、円高方向の値幅が出やすくなるためだ。シティグループ証券の高島修通貨ストラテジストは「これまでの円安・ドル高は米国のインフレや財政拡大など新型コロナウイルス禍の特殊な環境で起きていた。そこから移行する段階に入ってきた」と話し、徐々に円高方向に転換するとみる。2024/08/08 01:31:4718.名無しさんr6lrG 過去の経験則をたどれば、円キャリー取引が沈静化した後には大幅な円高に振れることが多い。例えば、CFTCの円売り持ち高が24年とほぼ同水準にまで膨らんだ07年の安値は1ドル=124円台。売り持ちの縮小で107円台まで上昇した後、リーマン・ショックが起きた08年には87円台まで円高が進んだ。 1998年の「LTCMショック」前も活発なキャリー取引を背景に円相場は147円台まで下落していた。同ショックを受けて約3カ月で113円台まで上昇し、翌年には101円台を付けた。ともに数カ月?1年ほどで3割程度の円高・ドル安が進んだ形だ。今は金融危機が差し迫っているわけではないものの、地政学リスクなど他の要因が重なることで円上昇が増幅する恐れはある。 今後の円相場の原動力は「金利差と需給要因。1ドル=160円台には戻らないとみて国内輸出企業の中には円を買う動きも出てきた」(邦銀ディーラー)。円が急伸したことで円買い・ドル売りに遅れた主体は一定程度いるとの見方もあり、円の上昇圧力がじわりときいてくる可能性もある。 みずほリサーチ&テクノロジーズによると、足元の日米10年金利差(一部、経常収支や直接投資など円需給要因含む)からみた円相場のフェアバリューは142?143円。「日銀の追加利上げやFRBの利下げへの観測がさらに高まることがあれば、一段の円高進行はあり得る」(東深沢武史主任エコノミスト)との声も上がり始めた。130円台への上昇は目前だ。【関連記事】・円キャリー取引とは 金利差で収益、活発化なら円安に・企業経営者、株急落を警戒 円高で「価格交渉に影響も」・日経平均3217円高の3万4675円 上昇幅は過去最大2024/08/08 01:32:1519.名無しさんr6lrG経済・物価の反応確認しつつ、適時かつ段階的に利上げ必要-日銀意見https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-08/SHU5FHT1UM0W00?srnd=cojp-v2緩やかなペースの利上げは緩和程度の調整、引き締め効果を持たない正常化が自己目的になってはならず、政策運営は注意深く進める必要 日本銀行が7月30、31日に開いた金融政策決定会合では、政策委員から経済や物価の動向を見ながら、段階的に利上げを実施する必要があるとの意見が出た。「主な意見」を8日に公表した。 それによると、2025年度後半の物価安定目標の実現を前提に、「中立金利は最低でも1%程度とみている」との見解が示された。その上で、「急ピッチの利上げを避けるためには、経済・物価の反応を確認しつつ、適時かつ段階的に利上げしていく必要がある」との指摘があった。 利上げ後も「0.25%という名目金利は引き続き極めて緩和的な水準であり、経済をしっかりと支えていく姿勢に変わりはない」との認識も示された。このほか、「緩やかなペースの利上げは基調的な物価の上昇に応じて緩和の程度を調整するものであり、引き締め効果を持たない」との見方もあった。 会合では、17年ぶりだった3月会合以来となる今年2回目の利上げを決定した。主な意見からは、経済・物価が日銀の見通しに沿って推移していることに加え、物価の上振れリスクに対する警戒感が委員の間で強まっていたことがうかがえる。 一方で、「金融政策の正常化が自己目的になってはならず、今後の政策運営については、注意深く進めていく必要がある」との意見も出た。現時点では経済の持続的成長を裏付けるデータが少ないため、「次回会合で重要な経済データを点検して変更を判断すべきだ」との主張もあった。 植田和男総裁は会合後の記者会見で、経済・物価情勢が見通しに沿って推移すれば「引き続き金利を上げていく」とタカ派姿勢を示した。直後に米経済の後退懸念も強まり、世界的に株価が急落するなど金融市場は一気に不安定化。これを受けて、内田真一副総裁は7日の講演で「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べ、ハト派的な姿勢を明確にした。 追加利上げと同時に決めた国債買い入れの減額計画に関しては、市場に金利形成を委ねるため、「基本的には計画に沿って、国債買い入れの減額を淡々と進めていくべきである」との見解が示された。また、減額計画の目的はあくまでも市場領域の回復であるとし、「金融引き締めにあるのではない」との指摘も出た。他の主な意見足元の経済、極めて低い金利を幾分引き上げる程度に良い前向きな企業行動の持続性確認なら、一段の緩和調整必要現状は下振れ気味のデータ多く、より慎重に見極める必要賃金と物価の好循環が働きだした、基調物価は2%へ着実な歩み家計を中心に物価目標が従来より意識されていることを認識する必要関連記事市場不安定な状況で利上げしない、当面現行緩和を継続-内田日銀副総裁日銀の政策正常化に早くも試練、市場急変動で追加利上げ観測が後退植田日銀総裁が利上げに前傾姿勢、タカ派発信で年内追加観測も浮上日銀が政策金利0.25%に引き上げ、経済・物価想定通りなら利上げ継続(詳細を追加して更新しました)2024/08/08 12:06:0220.名無しさんVxtrB「内田プット」でも晴れぬ視界、円下落、輸出株買いは慎重(スクランブル)2024/08/08 日本経済新聞 朝刊 7日の東京株式市場で、日経平均株価は日銀の内田真一副総裁による「ハト派」発言をきっかけに急騰した。前日比900円安から1100円を超えて上げる場面があった。内田氏の発言はひとまず株式市場に買い安心感を与えたが、まだ視界が晴れたとは言いがたい。 国内運用会社のファンドマネジャーは7日午前、急ピッチで上昇する株価を見て一瞬、買い注文の手を止めた。「6日の3000円を超える上昇が頭をよぎった」ためだ。予定通りアニコムホールディングスなどの内需株を買い付けたが、激しい値動きにハラハラしたという。 市場関係者をハラハラさせる展開となったのは、日銀の内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と語り、買い安心感が広がったためだ。ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは「日銀が早期に政策金利を0・5%に上げることはないと受け止められ、投資家に冷静になる時間を与えた」と話す。 8月の歴史的な株安を引き起こしたのは、日銀が7月末に利上げに踏み切ったのがきっかけだ。低金利の円を借りて米ドルなどの高金利通貨に投資する「円キャリー取引」やそれと連動した日本株買いが巻き戻された。 野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは、ここまでの株安を日本版「テーパリング・ショック」と呼ぶ。米連邦準備理事会(FRB)のバーナンキ議長(当時)が2013年5月に量的緩和縮小(テーパリング)に突然言及し、世界的な株安を招いた「バーナンキ・ショック」になぞらえた。 日銀の金融政策に対する警戒感が下落の一因だっただけに、市場では内田氏の発言は「どこまで下がるか分からない疑心暗鬼を緩和する清涼剤になった」(大和証券の林健太郎シニアストラテジスト)との声がある。 7日は株価が乱高下する中でも、日経平均を対象としたオプション価格から算出し、相場の急変動に対する警戒感を表す日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)は12%低下して終えた。下落不安に備えるプットオプションのように「内田プット」が利いたといえる。 ドル円相場と日経平均株価の連動性は8月以降強まっている。相関係数(10日移動平均)は8月5日以降はマイナス0・4~0・6程度で約5カ月ぶりの低水準で推移する。円が下落すると日経平均が上がる傾向が強いことを示す。7日も円相場が円安に進むと株価が上昇した。 一方で7日に買われた個別銘柄をみると、業績への期待が高く、5日までに株価を大きく下げていた銘柄が中心だ。7日は生成AI(人工知能)半導体への期待が大きいディスコが12%高、防衛関連として期待される三菱重工業が10%高となった。本来は円安が業績改善につながるはずの輸出関連株に対しては、投資家はまだ半身の姿勢でトヨタ自動車は1%安で終えた。 朝日ライフアセットマネジメントの武重佳宏資産運用統括部長は「輸出関連株は割安感はあるものの、円相場が1ドル=155~160円の時と比べると、業績の上振れ期待は薄れている」と話す。 バーナンキ・ショックでは以前の水準に株価が戻るのに半年以上かかった。りそなアセットマネジメントの下出衛チーフ・ストラテジストは「日銀が金融引き締めの方向であることは変わらない。日経平均が4万円台を回復するのは25年以降になるだろう」と指摘する。2024/08/09 06:07:5621.名無しさんVxtrB「円キャリー」想定外の巻き戻し 日銀、金利正常化に試練2024/08/09 日本経済新聞 朝刊 日銀による金利正常化が投機筋の動きによって難しくなっている。7月末の利上げ決定後、為替相場で急激な円安修正が起き、株価は大幅下落した。日銀は物価が見通し通りに推移すれば追加利上げするシナリオを描くが、過去の異次元緩和で積み上がった膨大な「円キャリー取引」の巻き戻しで市場は乱高下しかねない。 日銀は8日、追加利上げを決めた7月30~31日の金融政策決定会合の「主な意見」を公表した。政策委員からは「適時かつ段階的に利上げしていく必要がある」など今後も追加利上げを求める声が相次いだ。 7月会合後に市場が急変した。日銀が想定外だったのは低金利の円を市場で借り、各種資産で運用する「円キャリー取引」の急激な巻き戻しだ。 これまでの円安局面でヘッジファンドなどは円売りを仕掛けていたとみられ、円相場は5日に1ドル=141円台をつけ、7月上旬の161円台から20円ほど円高・ドル安が進んだ。 こうした急激な円安修正が大幅な株安を引き起こした。東京証券取引所の売買主体の6~7割は海外投資家で、その中でも円安・株高のシナリオにかけていた外国の投機筋が持ち高の調整を迫られ、大量の株売りにつながった。円キャリー取引で調達した投機マネーの一部は米ハイテク株などにも向かっていたとみられ、世界的な資産価格の押し下げ圧力にもなる。 日銀が大規模緩和を長期継続したことで、自ら円キャリー取引が膨張する環境を築いてきた。日銀によると、円キャリー取引の規模を反映するとされる、外国銀行在日支店の「本支店勘定(資産)」は、異次元緩和を解除した24年3月時点で13兆5000億円となり、異次元緩和下で約2倍に膨らんだ。日銀自身による金利正常化の取り組みを縛る恐れも出てきた。2024/08/09 06:43:1322.名無しさんVxtrB東京マーケットワイド(前・後場)(月~金 8:30~11:40 、12:29~15:20)― 前 場 ―【月曜日】岩本 秀雄/仲田 奈々【火曜日】櫻井 英明/安蒜 幸紀【水曜日】鈴木 一之/西谷 祐紀子【木曜日】中嶋 健吉/小川 真由美【金曜日】松崎 泰弘/小川 真由美― 後 場 ―【月曜日】今野 浩明/小川 まどか【火曜日】福永 博之/西谷 祐紀子【水曜日】櫻井 英明/小川 真由美【木曜日】鈴木 一之/安蒜 幸紀【金曜日】和島 英樹/仲田 奈々2024/08/09 08:50:2723.名無しさんrRvSFドルが利下げしそうなのにと日本製が高くなるからドルの利下げが遅れる年内は利下げ無い2024/08/09 22:20:5524.名無しさんDKFCX円キャリー取引は株安の犯人か 膨張と崩壊のメカニズム2024/08/12 05:00 日経速報ニュース 8月5日、日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録した。その暴落の一つのきっかけになったとして市場関係者が挙げるのが外国為替市場を舞台にした「円キャリー取引」だ。積み上がった円キャリー取引の巻き戻しが急な円高を引き起こし、株安と共振したとの見立てが多い。振り返れば、円キャリー取引は1998年と2007年にもピークを迎え、その後の市場動揺と連動してきた。膨張と崩壊を繰り返す「円キャリー取引」のメカニズムを追えば、金融市場のゆがみの一断面が見えてくる。 円キャリー取引とは 低金利の円を借り、高金利のドルなどで運用することで金利差収益を得ようとする手法だ。国によって異なる金利の差に目をつけた裁定取引(アービトラージ)の一種だ。 借りてきた円を高金利通貨に両替する過程で円売りを伴うため、円相場にとっては円安圧力となり、反対に取引が解消に向かう局面では円高圧力となる。 日本では2024年3月まで8年間、日銀による大規模緩和の一環でマイナス金利が続いてきた半面、米国では23年7月まで急速に利上げが進んだ。マイナス金利解除後も日本の金利の絶対水準は低い。1カ月物の日米金利差は足元でも5%以上開いており、これに目をつけた円キャリー取引が活発になっていた。 円キャリー取引を手掛ける主体は様々だ。ヘッジファンドなどの投機筋のほか、政府系ファンドや金融機関、外国為替証拠金(FX)を手掛ける個人投資家たちもいる。通常は円を交換したドルを預金や債券に振り向けるが、一部に株式を購入するケースがある。資金の貸し手は、円預金を持つ外国銀行が中心だ。 キャリー取引の調達通貨となっているのは円だけではない。世界主要国の中で相対的に金利が低いスイスフランや人民元もキャリー取引の調達通貨として注目されたことがある。ただ、ヘッジファンドなどプロにとっては、取引量が多く流動性が豊富で売買しやすいことが重要なため、日本円が選ばれがちという事情がある。 弱点もある。相場の急変動だ。金利収入を得るためには時間の経過が必要で、その間に相場が大きく動けば金利差収益が消し飛んでしまうリスクを抱えた取引ともいえる。2024/08/12 11:58:0325.名無しさんDKFCX 歴史的には第3次ブーム 実は今回の円キャリー取引が盛り上がったのは、過去30年間で今回が3回目だ。第1次のピークは1998年。日本国内で金融不安が高まり邦銀が市場で資金を手当てする際に上乗せ金利を求められる「ジャパンプレミアム」が発生。割安なコストで海外勢が資金を調達できるようになり、旧米ソロモン・ブラザーズ出身の大物債券トレーダー、ジョン・メリウェザー氏が率いた米大手ヘッジファンドのロングターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)など多くのファンドや金融機関が、こぞって円キャリー取引を手掛けた。LTCMは調達資金で投資資金を元手の数十倍に膨らませ、理論価格よりも実勢が割安だと判断したロシア国債などを大量に買い入れた。円相場の下落も続き、98年6月には日米両国による協調介入を実施したが円売りに歯止めがかからず、8月に147円まで円安が進んだ。 第2次ブームはリーマン・ショック前の2007年前後だ。米国は06年まで17会合連続で利上げを敢行し、政策金利を2年で4%強引き上げていた。欧州でもインフレ対応で利上げが続いた一方、日本は金利が据え置かれた。円キャリー取引は拡大し、「欧州では円建ての住宅ローンを貸し出す動きすらあった」(みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト)。円を低利で調達し、自国内の相場に見合った水準の金利で貸せば、利ざやを厚くできるというわけだ。 その後、第1次の98年はロシア危機によるLTCMの破綻、第2次の07年はサブプライム問題の表面化などによって投資家のポジション解消が急激に進んだことで終幕。結果として円相場は大きく円高に振れることになった。 今回の第3次ブームを引き起こしたのは新型コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵略だ。サプライチェーン(供給網)の混乱が生じたことで、食料やエネルギー価格が高騰、インフレ対策として米国が急激に政策金利を引き上げる一方、日本の金利はマイナス圏での推移が続いた。 加えて、日本は輸入コストの上昇などで貿易収支が悪化。円売り需要が拡大した。金利差面に加え、需給面でも円高リスクが低いと捉えられたことで、一段と円キャリー取引が膨らむことになった。 足元の円キャリー取引の規模は数百兆円に達するとの見方もあるが、正確に示すデータはない。政府や日銀ですら、円キャリーの正確な規模は把握できていないとの指摘が多い。 正確なデータが存在しない中、円キャリーの取引規模を類推できるデータの1つが、日銀が公表する外国銀行在日支店の本支店勘定(資産)だ。海外勢は、円キャリー取引を組む場合に外銀から借り入れることが多いためだ。24年3月時点で13兆5000億円を超え、22年1月から2倍超に増えた。 また、国際決済銀行(BIS)が四半期に1回公表する円建ての貸し出しデータなども手掛かりの1つだ。2024/08/12 11:59:5526.名無しさんDKFCX 5日の株価暴落と円キャリー 8月5日には日経平均株価が4451円安の3万1458円まで下落し、過去最大の下げ幅を記録した。市場の一部では今回の株価急落の原因を、円キャリー取引に求める声が出ている。過去の第1次、第2次のブームではLTCMなどの投機マネーが借り入れた円資金を高リスク資産に投じるなど予想以上のリスクをとっており、今回も似たような取引が膨らんでいたのではないかという連想も働いている。 今回の円キャリー取引の急激な巻き戻しの引き金になったのは、日米金融政策の方向性の転換だ。 前週7月31日に日銀は金融政策決定会合で政策金利の引き上げを決定。植田和男総裁も会合後の記者会見で追加利上げに意欲的な姿勢を示した。日米金利差が縮小すれば円高圧力は高まり、金利差収益も薄くなってしまう。 予想しなかった日銀の追加利上げを受け、円キャリー取引を手掛けるヘッジファンド勢はあわてて、円売り・ドル買いのポジションの巻き戻しに動いた。取引解消を急いだ理由は、日米金利差の縮小だけではない。円売り・ドル買いで得られる金利差収益は、年間で1ドルあたり8円程度(1日あたり2銭程度)。金利差のもうけを吹き飛ばす価格変動に耐えられず、円キャリー取引の解消を一気に加速させたのだ。 そこに、今回は個人投資家による外国為替証拠金(FX)取引の円売りポジションの巻き戻しが「円高の一要因になった」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也調査部長)。ファンドと個人FXの取引解消が同時進行し、7月上旬に37年半ぶりの円安水準となる1ドル=161円96銭まで下落していた円相場は、5日に一時141円台後半まで上昇。1カ月足らずで20円程度円高が進んだ計算だ。 そんな急激な円高進行が、投資家の日本株売りに火をつけた。昨年春以来の日本株の上昇は、歴史的な円安による日本企業の業績押し上げがもたらした面が大きかったからだ。円売りと日本株買いを組み合わせる「ジャパントレード」で高いリターンを上げてきた海外ヘッジファンドも多く、こうしたファンド勢のジャパントレードの解消によって円高と日本株安がスパイラル的に進んだ。 加えて、米ドルを保有する投資家が、日本株買いに円の変動リスクを抑える「為替ヘッジ」取引を組み合わせる取引も広がっていた。為替ヘッジは実質的には低金利の円を借りて高金利のドルを貸すことになるためだ。これらが急速な円高進行で一気に見直しを迫られた。 また今回の円キャリー取引では、交換したドルを米国株などに振り向ける動きがあったという。あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「キャリー取引は一般的に金利差収益を重視するが、リスクを取れる投資家の一部に、株式に投資して二重で利益を取りにいくといったケースがあっただろう」と話す。 つまり、円キャリー取引の巻き戻しが引き起こした円高が、日本株を買っていた様々な投資家の前提を揺るがせたと言えそうだ。為替ヘッジという金利差を生かした取引手法の前提も崩れた。海外では、円キャリー取引の巻き戻しが米国株の売りにつながったとの見方もあるが、現時点でインパクトは読みづらい。 そもそも、8月2日に発表された7月の米雇用統計が市場予想に届かず、米国で景気後退懸念が急速に広がったことが、日本株の売り圧力になっていた面もある。 円キャリー、巻き戻しは終わったか 外為市場のプロの間でも見立ては割れている。ある外資系証券の為替担当者は「円キャリーの巻き戻しは3割程度ではないか」と話す一方スイスの金融大手UBSはドル円のキャリー取引の巻き戻し規模を4割程度と分析。米JPモルガンもキャリートレードの75%が解消されたとする。 円キャリーの動向を間接的に示すとされる米商品先物取引委員会(CFTC)が発表する非商業部門(投機筋)の円売り越し幅は7月2日時点で18万4223枚と、07年6月以来の規模に膨らんでいたが、6日時点では1万1354枚。1カ月で9割超減った。米ゴールドマン・サックスはこうしたデータから「円キャリー取引は9割程度は巻き戻されたといえるが、先物以外のポジションが存在することを考えると、実際のところはもう少し巻き戻しの余地があるのではないか」と指摘する。 円相場は9日夕時点、1ドル=147円20銭程度で推移する。日経平均株価も9日、193円高の3万5025円で取引を終えるなど、相場は落ち着きを取り戻しつつあるように見える。三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは「株も為替も相場が急変したあとでしばらくは落ち着きどころを探る展開だろう」と話す。【関連記事】・円キャリー取引、第3次ブームに幕 130円台視野・円キャリー取引とは 金利差で収益、活発化なら円安に2024/08/12 12:01:4527.名無しさんYo6y3円相場、ようやく安定へ 確実視される米利下げと慎重な日本の利上げに焦点2024/08/14 15:13 日経速報ニュース 外国為替市場で円相場がようやく安定しつつある。14日は岸田文雄首相の自民党総裁選への不出馬を巡って円買い・ドル売りが加速する場面があったものの、相場が上値を試す動きは続かなかった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げが確実視され、日銀は追加利上げのタイミングを慎重に探る姿勢で市場の混乱も収まってきた。しばらくは歴史的な円安が再来せず、円の急騰も避けられる時間帯が続きそうだ。 14日の東京市場で円相場は1ドル=146円台を中心に推移した。自民党の次期総裁候補に、円安是正に向けて日銀に利上げを求めるような発言をしていた河野太郎デジタル相や茂木敏充幹事長の名前が挙がるなか、岸田首相の不出馬表明で思惑的な円買い・ドル売りが入り一時146円07銭近辺まで上昇。だが、ほどなく147円前後に値を戻し、この日の安値は147円18銭近辺で値幅は1円11銭となっている。 市場の共通認識(コンセンサス)ではなかった日銀による7月の利上げ決定や、経済指標の下振れで台頭した米国の景気後退(リセッション)懸念で荒れていた円相場は落ち着きつつある。日銀の公表値をベースに東京市場での値動きをみると、日経平均株価が過去最大の下げ幅を記録した5日から7日にかけて2?4円だった円相場の値幅は9日以降は1円前後に縮まってきている。 円相場が平静を取り戻してきているのは一時141円台に乗せた5日の急伸で、ヘッジファンドなど投機筋による円のショートカバー(売り持ち解消)がおおむね終わったとみられているためだ。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでは米通貨先物市場で非商業部門(投機筋)による対ドルでの円の売越幅は6日時点で1万1354枚まで減り、中立的な水準に近づいた。 JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉チーフ為替ストラテジストは13日付リポートで「ポジション調整が一巡したのであれば、今後、円の対ドル相場の主なドライバーは米国と日本の政策金利見通しに戻っていく可能性が高い」と指摘。市場が混乱するさなかに投機筋のポジションの偏りが整理されたおかげで円相場は理由の判然としない変動が避けられるようになり、日米の金融政策が方向性を決めると読む。 FRBをみると、市場が予想する利下げ開始のタイミングは既に9月で決着し「焦点は政策金利の引き下げ幅に移った」(外為オンラインの佐藤正和シニアアナリスト)。13日発表の7月の米卸売物価指数(PPI)の伸びは市場予想に届かずインフレ沈静化を示唆。リセッションには至らずとも米景気は減速感が強く、佐藤氏は「底割れ回避のため、9月に通常よりも大きい0.50%の利下げを決める可能性は十分ある」とみる。 一方の日銀はどうか。政策金利はいまだ低いものの、追加利上げを決めた数日後に急ピッチな円高と日本株の急落に見舞われたのは事実で、次の利上げに日銀は相当慎重にならざるを得ないとみる市場参加者は増えている。不透明感が増す自民党総裁選に関しても「誰が総裁になったとしても日銀は大胆に動けない。少しずつ利上げしていく以外に選択肢はない」(大和証券の末広徹チーフエコノミスト)との声がある。 振り返ると日本の政局が円相場を方向付けたのは、最近では安倍晋三元首相が大胆な金融緩和を求めて自民党総裁選と総選挙を戦った2012年くらいだ。株価の乱高下で与野党が23日に開く閉会中審査に日銀の植田和男総裁の出席を求める状況下では、利上げ観測が再び盛り上がるのも難しい。円相場を左右するのは「円買い圧力よりドル売り圧力次第」(SMBC信託銀行の二宮圭子シニアFXマーケットアナリスト)の面が大きく、米利下げ開始が明確ななかで円相場の急変動も回避できる可能性は高まっている。2024/08/14 15:29:1128.名無しさんyABDe生保の国内債含み損、08年以降で最大 6月末10兆円、金利上昇で一段と拡大も2024/08/15 日本経済新聞 朝刊 生命保険会社が保有する国内債券の含み損が拡大している。主要12社・グループの国内債券の含み損は2024年6月末時点で10兆250億円と、データが遡れる08年以降で最大となった。金利には先高観があり、含み損はさらに拡大するとの見方がある。 24年4~6月期決算を集計した。日本生命保険の6月末の国内債の含み損は2兆4412億円で、3月末から1兆4296億円拡大した。第一生命保険は8991億円増の1兆3769億円、明治安田生命保険は7063億円増の8677億円だった。住友生命保険の含み損は6047億円増加し1兆48億円だった。 生保各社は年限の長い保険商品を販売し、負債として長期の保険契約を抱える。契約の多くを円建てが占めるため、集めた保険料は国内の公社債や株式で運用する。金利リスクを減らすために、償還期間の長い債券が主な運用資産となる。 国内金利は昨年夏ごろから上昇している。日銀がマイナス金利を解除した24年3月以降は金利上昇に拍車がかかり、生保各社が主要な運用資産としている30年債の利回りは約13年ぶりの高水準だ。7月末には市場予想よりも早く日銀が追加利上げを決め、金利の先高観は強い。 もっとも国内債は満期まで持ち切れば損失とならず、保険会社に認められた「責任準備金対応債券」として持っていれば、保有債券を時価評価しなくても済む。生保各社は公社債の多くを同区分で保有している。各社は満期保有を前提としており、評価損が実現しなければ直接的な収益への影響は限定的だ。 生保各社は25年度に導入される新規制を見据えて国債購入を進めてきた。新規制では財務の健全性を高めるために、負債にあたる保険契約の年限と保有資産の償還期間の差を縮めるよう求められている。各社は20年度ごろから金利水準にかかわらず超長期債を積み増し、年限差の縮小に取り組んできた。 足元では新規制対応が一巡したため、平準的に国債を買い入れる誘因は乏しい。金利に先高観があるなかで国債を購入しても将来の含み損が拡大するリスクがあり、各社は様子見姿勢を維持している。金利水準を見極めつつ、保有資産の入れ替えを進めていくとみられる。 有価証券全体でみると20兆7000億円の含み益となっている。株高で国内株式は22兆2000億円の含み益となったほか、円安の影響で外国資産の円建ての評価額が膨らみ外国証券の含み益が拡大した。 12社・グループの24年4~6月期の基礎利益は、前年同期比35%増の8443億円だった。円安に伴う外国証券の利息収入の増加で運用関連の収益が伸びたほか、契約時に保険料をまとめて支払う一時払い保険の販売も継続して好調だった。 個別の保険商品では、契約時に保険料をまとめて支払う一時払い商品の解約件数が高止まりしている。金利上昇局面が到来し、高い利回りを求めて乗り換える動きが増えているためだ。今後も金利上昇による解約が続くとみられ、解約リスクのコントロールも当面の課題になる。2024/08/15 06:07:2729.名無しさんQFnww国債費、過去最大28兆円計上へ 金利2.1%想定、利払い増―25年度概算要求時事通信 経済部2024年08月19日20時28分配信 財務省は2025年度一般会計予算の概算要求で、借金である国債の元本返済と利払い費に充てる国債費として、過去最大の28兆9116億円を計上する方針であることが19日、分かった。日銀の政策修正を受けた長期金利の上昇を反映させ、国債利払い費を算出する際に使う想定金利を2.1%まで引き上げるため。利払い負担の増加で一段と財政が圧迫され、政策の幅が狭まることは避けられない。来年度予算、特別枠4.2兆円 賃上げ促進、物価高対策を重視―概算要求 想定金利は、過去の経験を踏まえて足元の金利水準に1.1%ほどの急騰リスク分を加味して算定する。当初予算段階で23年度までは7年連続で過去最低の1.1%だったが、24年度は1.9%とし、17年ぶりに引き上げた。同年度の概算要求時の想定金利は1.5%だった。長期金利の上昇圧力が強まっているため、25年度は想定金利をさらに引き上げる。2024/08/20 03:20:0830.名無しさんoNw7C「ストップ安800社」恐怖増幅 緩和を過信、投げ売り殺到-急落・急騰 日本株の真相㊤2024/08/20 02:00 日経速報ニュース 日本株の急落が世界を揺るがした。日経平均株価が最高値圏から一転、5日に1987年の「ブラックマンデー」を超える下げを記録した背景には、日本の株式市場が抱える弱さがある。 5日月曜日の早朝、野村証券の大手町本社。中島豊副社長はトレーディングフロアにいる役職員や個人富裕層部門の幹部に指示を出した。「今日は極端な動きになるから気をつけるように。これは金融危機ではない。冷静にいこう」 日銀利上げと弱い米雇用、重なった想定外 市場担当として数々のショックを経験してきた中島氏。前週から胸騒ぎを感じていた。7月末に日銀が利上げに積極的な姿勢をみせた。8月2日発表の米雇用統計は弱く、景気懸念を生んだ。想定外が重なり、同日の米国市場は荒れた。週明けの東京時間でも投資家の売りが膨らむことは容易に想像できた。 それでも5日の急落劇はベテラントレーダーたちの想像を超えた。三菱UFJフィナンシャル・グループ株は取引開始直後から前週末比20%安となり、兆円単位の企業価値が一瞬で吹き飛んだ。全上場銘柄の2割相当の約800社が制限値幅の下限(ストップ安水準)まで下げる異常事態。保有株を「売れなくなる恐怖」がさらなる売りを誘発する悪循環に陥った。 ファンド勢は借り入れで運用規模を拡大しリターンを高める。一方で含み損が拡大したり、相場変動率が高まったりすると強制的に保有株の圧縮を迫られる。いわゆる「投げ売り」だ。JPモルガン証券は日経平均急落の最大要因は投げ売りだったと分析する。 ファンド勢の間では低金利の円を借りて様々な資産を買う動きがあった。円売り・日本株買いは人気取引の一つ。前提は日銀が金融正常化を慎重に進めることだった。 日米金利差の縮小が緩やかであれば円安傾向は続き、輸出企業の利益を押し上げる。「円安が続くなら日本株買いといった雰囲気があった」。ゴールドマン・サックス証券の日本株営業責任者、ジョン・ジョイス氏はこう証言する。 市場には緩和環境が長く続くという過信や慢心はあった。だからこそ日銀が円安の悪影響を理由に利上げに踏み切り、早期追加利上げも辞さない姿勢を示したのはファンド勢の想定外だった。 「レバ投信」の先物売りも下げ助長 7月中旬に1ドル=161円台をつけた円相場は5日、一時1ドル=141円台まで円高が進んだ。直近1カ月の上昇率は12%に達した。米国野村証券のストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏によると統計学の正規分布に従えば「マイナス5シグマ(標準偏差)」の発生確率。1万年に1度しか起きないくらいの異常な動きだった。ファンド勢は強烈な円高・株安で機械的に持ち高を落とさざるを得なかった。 大量投げ売りの主体はもう1つある。レバレッジ型と呼ばれる高リスク投資信託だ。例えば上昇局面では先物を買い、相場の2倍の値上がりを目指す。株高を前提に個人が購入し資産規模が膨らんだ。緩和依存の産物といえる。反作用で急落局面では大量の先物売りが発生し、5日午後に推計約5千億円の売りを出した。日経平均下落幅は4451円を超え、史上最大の下げとなった。 日銀は87年のブラックマンデーで金融引き締めへの転換が遅れ、バブル発生と崩壊につながった。市場に配慮しすぎた金融政策は経済の「ゆがみ」を大きくする。これが歴史の教訓だ。 著名エコノミストのモハメド・エラリアン氏は「日銀はもっと早く正常化を始めたほうがよかった」と指摘し、相場変動に直面しても、利上げを進めるべきだと説く。日経平均は急落翌日の6日に最大の上昇幅(3217円)を記録したが、経済の正常化なしに持続的な株高は実現できない。【関連記事】・急回復の日本株、危機は去ったか 「全値戻し」の道険しく・急落日本株、動くか年金マネー リバランス買いに期待・日銀「市場の人質になるな」 モハメド・エラリアン氏2024/08/21 06:11:2031.名無しさんoNw7C新興国超える日本株変動率「41%」 海外短期マネー席巻-急落・急騰 日本株の真相㊥2024/08/21 02:00 日経速報ニュース 米ボストン。日本株専門の運用会社カナメキャピタルのトビー・ローズ氏はメールボックスを開くたびに悲しい気持ちになる。 日経平均株価が史上最大の下落を演じた5日以降、出資を検討する投資家の問い合わせは日銀の利上げなどマクロ政策に関するものばかり。個別企業への関心は低下したように感じる。 日本株投資歴20年のローズ氏は2018年に独立し、中小型株ファンドを立ち上げた。順調に資金を集めてきたが、相場急落で水を差された。「日本企業が経営改革に取り組んでもカジノ市場だと思われると長期マネーは入りにくい」 世界の主要株価指数の変動率を並べると、日経平均は16日時点で年率41%と突出して高い。日本株の時価総額は970兆円と、米国や中国に次ぐ世界3位だ。にもかかわらず、株価の値動きはトルコやメキシコなどの新興国よりも荒い。 日本株クラッシュを生み出した背景には収益機会を求めて瞬時に世界を行き来する「ホットマネー」の存在がある。1935年に当時のルーズベルト米大統領が用い、現代ではヘッジファンドを指す場合が多い。 08年のリーマン危機後は金融機関の投資行動に規制がかかり、市場に流動性を供給するヘッジファンドの存在感がいっそう高まった。日本株市場は売買代金で現物株の7割、株価指数先物の8割を海外投資家が握り、うち過半をヘッジファンドが占める。 5日の急落相場で猛威を振るったのは、景気や金融政策の方向性を先読みして取引するグローバルマクロ戦略のヘッジファンドだ。日米金利差がすぐには縮小しないとみて「円売り・日本株買い」の取引を仕掛けてきたが、日銀の追加利上げで円安が反転すると一斉に取引を逆回転させた。 5日午後に動き出したのが、数百に及ぶ専門の投資チームに資金を分散し、市場全体の動向とは関係なく安定したリターンを目指すマルチ戦略ファンドだ。厳格なリスク管理で知られ、一定の損失に達すると取引を強制的に手じまう。「あそこのポジションが解消になったぞ」。ヘッジファンドのトレーダーの間ではミレニアムやポイント72の名前をあげながら下落幅拡大の要因探しが始まった。 さらに、コンピュータープログラムに従い、相場の方向性に沿い持ち高を動かす「CTA」と呼ぶ順張りヘッジファンドが株安に拍車をかけた。円高反転で株高シナリオが崩れ、取引解消を急いだ。 米フロリダ本拠のCTA、ダン・キャピタル・マネジメントは「上昇トレンドの弱まりを受け、日本株指数先物の保有額をピークの3分の1に縮小した」(ジェームス・デイリー最高経営責任者)と話す。 米国市場ではホットマネーが資金を引き揚げると、株価が割安な水準に下がるのを待っていた長期投資家が現れ、株価を下支えする。そんな「逆張り投資」の代表格が著名投資家ウォーレン・バフェット氏だ。 米運用ティー・ロウ・プライスのダニエル・ハーレイ日本株ポートフォリオ・スペシャリストは今回の下落局面で「売られすぎた日本株に追加投資した」と明かす。だが、独自の判断基準に従い、リスクを取って相場の方向と逆に動く投資家は日本では少数派だ。 今の国内機関投資家の多数派は、株価指数構成銘柄をまるごと買う「受け身」の投資家だ。 日本株の最大の投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は9割以上をインデックスで運用する。日本株に投資する公募投資信託のうち、約9割を指数連動のインデックス運用が占める。市場参加者が個別株を選別しない投資家ばかりだと、株価は一方向に動きがちだ。 異なる相場観を持つ多様な投資家が参加してこそ市場の価格発見機能は強まり、株価は安定性を増す。長期投資家を呼び込むためにも投資先の日本企業が自らの価値を磨き、投資魅力を高め続けるしかない。【関連記事】・「ストップ安800社」恐怖増幅 緩和を過信、投げ売り殺到・日経平均株価4451円安 相場急変動で「全員投げ売り」・急回復の日本株、危機は去ったか 「全値戻し」の道険しく2024/08/21 06:14:0732.名無しさんoNw7C日銀は年内にも利上げ、金利差縮小で135円の円高想定-明治安田生命https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-20/SIAFEFT1UM0W00?srnd=cojp-v2恒常的に超長期債を買わなければならない時期は終わった-北村氏外債のポテンシャル高い、中長期投資の選択肢に入れる必要-北村氏 明治安田生命の北村乾一郎運用企画部長は、年内にも日本銀行の追加利上げが行われる可能性があり、内外金利差の縮小により円の対ドル相場は1ドル=135円に向かうとみている。 北村氏は20日のインタビューで、利上げは2024年度内にあと1回、「12月にもあるような気がする」と述べた。また、7月末の利上げ後に急速な円高が進み、「中央銀行が動き出すときに内外金利差による影響があることを改めて認識した」と言う。米国の金利が下がる一方、日銀は緩やかながら利上げの方向にあり、内外金利差の一段の縮小から「円高の見通しに変わりはない」とも語った。 日本国債に対する投資姿勢は、25年度適用の規制対応で金利リスクを削減するため、「超長期債に前のめりだったことは事実だが、恒常的に買い入れなければならない時期は終わった」と説明。今は「世界の債券投資先の一つ」でしかなく、外債との比較で「是々非々で投資していく」との考えだ。 日銀が7月末の金融政策決定会合で国債買い入れの減額計画を公表したことにより、日銀の買い入れは今後徐々に減っていく方向にある。日銀に代わる国債の買い手として生命保険会社に対する期待も強いが、生保は外債などとの比較考量を重視する姿勢に転じており、債券相場を押し上げるには力不足の可能性がある。 自民党総裁選挙について北村氏は、誰が新しい首相になっても「基本的に日銀の独立性が担保される」と予想。市場への影響力という点では米国の大統領選の方が大きいとし、特にトランプ前大統領が返り咲いた場合、積極財政と強硬な移民政策により景気減速とインフレが共存するスタグフレーションに陥り、ドル安・円高が加速するリスクがあると読む。 米国の長期と超長期の金利が低下する中で為替の変動もあるため、デリバティブ(金融派生商品)を合わせながら考えれば、「オープン外債を含めた外債のポテンシャルは高い」と指摘。外債投資のヘッジコストはなお高水準だが、トータルなリスクリターンを追求する観点から「中長期投資として選択肢に入れなければならない」と話した。2024/08/21 07:49:0433.名無しさんoNw7C日経平均111円安 去らぬ円高、下がらぬ「恐怖指数」-桝田大暉2024/08/21 15:01 日経速報ニュース 1510文字 21日の東京株式市場で日経平均株価が反落し、前日からの下げ幅は一時400円を超えた。売りを招いたのは、為替市場での円高進行だ。週後半には米連邦準備理事会(FRB)議長の講演も控え、円相場の先行き不透明感は強い。日銀の利上げ観測も重なり、日本株固有の懸念材料となっており、「恐怖指数」は高止まりしている。 終値は前日比111円(0.3%)安の3万7951円。前日の米国株安は売りの一因だが、より大きかったのは不安定な円相場だ。 「しばらくは為替相場にお付き合いする展開になりそうだ」。野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは21日午前の日本株の下落をみてこうこぼした。 午前の東京市場で対ドルの円相場は一時1ドル=144円台まで上昇し、自動車など主力の輸出株の売り材料になった。ホンダが一時3%安となったほか、トヨタ自動車やスズキ、コマツなどそれぞれ一時2%安まで落ち込んだ。円高進行が業績の重荷になると警戒されたためだ。 日本株の最高値を演出したのは歴史的な円安だが、米利下げ観測の強まりを受けて円相場は反転。足元では円買い・ドル売りが優勢になり、企業業績に対する見方も厳しくなっている。 野村証券がまとめる業種別の経常利益予想をみると、2024年度の「自動車」は直近8月15日時点で前年度比9.5%減だった。為替相場の円安修正が進んだ7月後半からマイナス幅を広げており、24年に入ってからの最低水準で推移している。 新型コロナウイルス禍による供給制約で生じたペントアップ(先送り)需要が一巡するなどの見方から、自動車株は7月前半までの円安環境下でも減益予想だった。北岡氏は「円高進行でさらに下押しされ、業績面からは自動車株を評価できない」と指摘する。 前日20日の東京市場は対ドルの円相場が円安に振れたことが、自動車メーカーを主力とする日本株の買い手掛かりになっていた。しかし21日には状況が一転、為替相場に右往左往する展開が続く。 こうした状況が投資家心理に影を落とす。日経平均の予想変動率を示す「日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)」は21日午前に上昇し、10時台には一時30.16と警戒水準とされる20を上回る。 予想変動率は投資家の不安心理が高まると上昇しやすいことから、「恐怖指数」の異名を持つ。市場が「今後1年間に日経平均が68%の確率で上下30.16%の範囲で動く」と見込んでいることを示す。20日は27.61で、急落した5日の70.69から下げているものの高止まりしている。 三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは日経平均VIが高止まりする一方、米国の「恐怖指数」が落ち着いていることに着目する。米S&P500種株価指数のオプション価格を基に算出する「VIX指数」は20日が15.88だった。目安とされる20を明確に下回っている。 為替水準によって企業収益がぶれやすい日本株にとって、「このところの為替の急変動は日本株固有の不安材料だ」(石金氏)。石金氏は「米国株より不安定になりやすく、日経平均VIが落ち着くには時間がかかる」とみる。 円相場の居所が不透明なままでは、投資判断の根拠となる企業収益が見通しにくい。この日の日経平均VIの上昇は投資家が抱える「わだかまり」を映している。 今週は年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が控えている。FRBのパウエル議長は23日に講演予定だ。米国経済の現状認識や利下げの進め方についての発言は、金利・為替を含むマーケットの大きな変動要因になる。円相場をにらんだ神経質な展開が続きそうだ。 (桝田大暉)【関連記事】・日経平均反落 終値は111円安の3万7951円・ドル、利下げ観測で1月以来安値 新興国通貨買いに波及画像商品画像画像商品画像画像商品画像一覧に戻る2024/08/21 20:11:2434.名無しさんauSQv株急落でも動じぬ個人投資家 「割安」判断、3000億円買い-急落・急騰 日本株の真相㊦2024/08/22 02:00 日経速報ニュース 「追い証(信用取引の追加証拠金)が発生すれば致命傷になりかねない」。日本株が急落した8月5日午後、東京都の50代男性は三菱重工業など10銘柄近くを一斉に投げ売りした。銀行や商社の株価急落をみて恐怖を覚えたからだ。「損失を取り戻すのにどれほどかかるのか」と漏らす。 ネット証券大手の松井証券のコールセンターはこの日、個人からの問い合わせ件数が通常の3倍に達した。「『追い証』を巡る相談が急増した。新NISA(少額投資非課税制度)の対応で増員していたが、それでも電話が取り切れなかった」(同社)という。 日経平均株価は2月、1989年末の史上最高値を34年ぶりに更新した。日本企業が変革を進め、海外投資家からの評価を高めた。今年から始まった新NISAもあり、個人マネーが日本株に戻り始めた。日増しに参加者が増えるなか、未曽有の急落に見舞われた。 過去の相場急落時、個人は決まって売りを急いだ。たとえば、2008年9月のリーマン・ショック。東京証券取引所によると、急落日を含む週間の売買額は、手元資金で売買する「現金」取引と、資金や株を借りて投資する「信用」がともに売り越しだった。信用取引で保有する株の評価額が大きく悪化すると、追加で証拠金を入れる必要がある。今回は信用取引は3581億円を売り越す一方、現金取引では3027億円を買い越した。相場の急変に動じない個人の新たな投資行動が垣間見える。 「優良株に投資するめったにないチャンス」。神奈川県の個人投資家、小野和彦さんは5日、圧倒的な国際競争力があるとみるダイキン工業株の購入に動いた。過去数年のPBR(株価純資産倍率)などから割安と確信できたためだ。 若い世代が買い向かう様子は、ネット証券の売買状況に明確に表れている。楽天証券では急落を受けてNISAの成長投資枠での買いが急増。5日の買い付け額は1?7月平均の約2倍に膨らんだ。 個人の投資行動は着実に変わっている。総務省の「家計調査」をもとに株や投資信託などを購入した金額をみると、1980年代後半は有価証券の処分額に対して購入額は1?2倍にとどまっていたが、2024年1?6月は購入額が処分額の6倍に達した。 投信の平均保有期間も長期化している。QUICK資産運用研究所によると、今年3月末時点で2.7年と10年前に比べて半年ほど延びた。日本の個人には株や投信が値上がりするとすぐに売却する短期売買の傾向が強かったが、腰を据えて値上がりを待つ長期投資が広がり始めた。 昨年から投資を始めた茨城県の20代男性は「奨学金の返済が終わり貯蓄が増えてきたが、銀行は利率が低く、老後資金のために投資に回そうと思った」と語る。 個人が投資に目を向けるのは、将来への不安が大きい。金融庁が19年に示した老後の生活に2000万円が必要との試算は、大きな物議を醸した。物価高の長期化で円の価値は低下。多くの人が投資について真剣に考え始めた。 個人に機関投資家のような運用期間の縛りはない。今回も6日以降の株価の急反発を下支えした。リスクをとれる個人の参加が増え、市場に厚みが出れば、日本株市場の安定感を高めることにもつながる。・「ストップ安800社」恐怖増幅 緩和を過信、投げ売り殺到・新興国超える日本株変動率「41%」 海外短期マネー席巻・荒れ相場、新NISAで積み立て継続 長期で利益生む2024/08/22 02:42:0135.名無しさんauSQv長期金利、株価回復に後れ 日銀総裁あす閉会中審査2024/08/22 13:07 日経速報ニュース 今月初めの動揺から落ち着きつつある金融・資本市場にあって、国内長期金利の上昇が日本株の回復に後れをとっている。市場の混乱にくさびを打ったのは日銀の内田真一副総裁の「不安定な状況で利上げをすることはない」との7日の発言だ。あすの国会閉会中審査に出席する見通しの日銀の植田和男総裁が何を語るかも、今後のマーケットを占ううえでいつも以上に重要だろう。 /home/member/news/202408/ucljpg_b60c182cf730c5340a3020366bec24fe.jpg?format=raw 日経平均株価は22日の午前終値が3万8190円だった。5日に3万1458円まで落ち込んだ日経平均は急落前である7月31日の3万9101円からの下げ幅の9割近くを埋めている。一方、5日に0.75%まで急低下(債券価格は上昇)した長期金利は22日午前時点で0.875%と7月末時点の1.045%にまだ距離がある。 6日までの急落と急反発はほぼ連動した日経平均と国内長期金利に差が出てきたのは7日の内田副総裁の講演以降だ。「金融・資本市場が不安定なら利上げしない」という内田氏の発言は「市場が安定すれば利上げに向かう」とも受け取れる。株価が急落分を取り戻してくれば、再び日銀の利上げを織り込んで長期金利も7月末時点の水準へ近づいてもおかしくないだろう。 大和証券の末広徹チーフエコノミストは「株価の反発により利上げ観測は戻ってきている」としたうえで「だが、為替は円高・ドル安のままで来年後半に国内インフレ率が2%割れとなれば、来年前半まであと2回程度の利上げ後は動きづらくなる。こうした見方が長期金利の上昇を抑えている」とみる。一方で株価の堅調さは為替より米経済のソフトランディング(軟着陸)期待が支えになっているという。 あすの閉会中審査における植田総裁の発言を巡っては、末広氏は「『金融・資本市場は落ち着きつつあり、そうなれば追加利上げの環境が整ってくる』といったような発言なら、現時点のマーケットの想定の範囲内だろう」と話す。2024/08/22 13:14:5736.名無しさんauSQv国内勢が外債投資を活発化 米利下げ確信、残高復元へ2024/08/22 13:45 日経速報ニュース 日本の投資家による外国債券の投資が活発化しつつある。堅調さを保った米景気も減速は避けられず、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始に確信を持っているためだ。外債投資のメインである米国債では金利上昇(債券価格の下落)で売りを迫られていた状況が変わり、減らしていた残高を復元する動きが広がりそうだ。 財務省が22日発表した週間の対外・対内証券売買契約によると、国内投資家は11?17日の週に海外の中長期債を3週連続で買い越した。買越額は1兆8540億円と5月12?18日の週以来およそ3カ月ぶりの大きさだ。4日以降の2週間では計3兆3937億円となり、7月の売越額(1兆4857億円)以上に買い戻した計算になる。 外債投資が活発となるきっかけは米金利の低下だ。7月末に4%前後だった米長期金利は足元では3.8%前後に水準を切り下げている。5日には3.66%と約1年2カ月ぶりの低水準をつける場面もあった。米景気後退(リセッション)懸念が和らぎ、金融・資本市場が落ち着きを取り戻すなかでも米金利は戻りが鈍く、じりじりと低下傾向にある。 FRBが21日公表した7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、参加者の大多数が9月の利下げが適切だと説明。さらに過半には満たないものの、幾人かの参加者は7月の利下げを支持していたことが明らかになった。時間とともに米利下げ転換の確信が深まるなか、国内投資家は「今後の金利低下を見込んで外債を買った可能性がある」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト)。 日本投資家にとって為替相場の変動リスクをヘッジ(回避)して外債を購入するのはハードルが高い。FRBの利下げがまだ始まっていない段階では、日米の短期金利差を映すヘッジコストがかさむためだ。3カ月物でみると昨年秋ごろに6%台だった「ドル・円」のヘッジコストは足元では5%台前半まで下がってきたが、4%弱で推移する2年や10年物の米国債利回りを上回ったままだ。 ヘッジコストが高いと円で投資資金を調達している日本の金融機関が、ヘッジ外債を購入しても得られる利回りはコストを賄えない。そのため、外債投資の主体はドルで資金を調達しやすい大手銀行が中心で、債券利回りの低下に伴う「キャピタルゲイン(値上がり益)を狙って買ったのではないか」(国内運用会社のファンドマネジャー)とみられている。 FRBの政策金利水準は現在5.25?5.50%と高い。9月に通常の倍にあたる0.50%の利下げがかなわなかったとしても利下げ局面に入れば「米金利が低下する余地も大きい」(国内運用会社)。米利下げ転換が既定路線となりつつあるなか、急ピッチな利上げで損失覚悟の売りを迫られた国内勢が外債投資に復帰する素地は整ってきている。2024/08/22 14:16:1637.名無しさんpy6UD日銀総裁、市場の乱高下巡る答弁に注目 きょう閉会中審査出席 収束と発言の一貫性、苦慮2024/08/23 日本経済新聞 朝刊 日銀の植田和男総裁が23日、衆参両院で開かれる閉会中審査に出席する。日銀は7月末の金融政策決定会合で政策金利を0.25%へと引き上げたが、その後株式相場や為替相場が乱高下した。閉会中審査では国会議員が市場の反応への見方や、追加利上げの家計や企業への影響などを尋ねる見通しで、植田総裁の答弁に注目が集まる。 閉会中審査とは国会が閉会している間、必要に応じて重要な案件を審査するために開くものだ。金融市場の波乱を受けて与野党が開催を決めた。鈴木俊一財務・金融相も出席する。 国立国会図書館のデータベースによると、日銀総裁が閉会中審査に出席するのは、2015年11月に黒田東彦前総裁が参院の予算委員会に出席して以来、約9年ぶりだ。異次元緩和の開始から2年以上過ぎたタイミングで、2%物価目標の達成が遅れる理由を問われた。白川方明元総裁は4回、福井俊彦元総裁も3回出席している。 これまで植田総裁の発言のたびに市場は大きく動いてきた。7月末の決定会合後の記者会見で、政策金利の水準で「0.5%は壁として意識していない」と述べ、利上げ継続を示唆した。7月利上げを織り込んでいた市場参加者は少なく「サプライズ色の強い利上げだった」(市場関係者)。 7月中旬に1ドル=161円台をつけた円相場は8月5日、一時1ドル=141円台まで円高が進んだ。7月の米国の雇用統計が予想外に悪化して米国株が急落したことも連動し、日経平均株価は5日に過去最大の下げ(4451円安)を記録した。 マイナス金利を解除した3月会合後の記者会見では追加利上げを示唆する一方、「緩和的な金融環境は続く」と述べた。市場は日米金利差を意識し、3月27日には一時、1ドル=151円90銭台と約34年ぶりの円安水準まで円が売られた。 4月会合後の会見では「円安による基調的な物価上昇率への影響は無視できる範囲だったか」と問われた植田総裁が「はい」と答える一幕があった。円安を容認していると受け止められ、会見の最中にもかかわらず円安が進行した。 岸田文雄首相は5月7日に植田総裁と官邸で面会。政治方面では行き過ぎた円安への懸念が強まった。植田総裁はその後の発信で円安による物価の上振れリスクに言及するなど軌道修正した経緯がある。 7月会合後の記者会見で植田総裁は、金融正常化に前向きな発言に終始した。「過度な円安を阻止する面があったことは否めない」(日銀関係者)。足元の円相場は1ドル=145円前後で推移し、株価は3万8000円台を回復した。 「相場の変動は避けたいが、市場に合わせて言うことを都度変えるのは好ましくない」。日銀関係者は閉会中審査を前にこう語る。別の関係者は「7月会合で説明した追加利上げへの考え方は変わっていない。物価や経済のデータ次第だときちんと説明する必要がある」と話す。 日銀の内田真一副総裁は8月7日、今後の追加利上げについて物価や金融情勢を踏まえ「慎重に考えるべき要素が生じている」と述べた。内田氏の発言は不安定な市場の沈静化を優先したものとみられる。 その一方で内田氏の講演資料には、7月末会合後に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の物価見通しがそのまま引用された。「利上げしないと言っているわけではない」(日銀関係者)。閉会中審査では内田副総裁と、植田総裁の発言内容との整合性にも焦点が当たりそうだ。 日本時間23日夜には経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が講演を予定する。植田総裁は23年には出席したが、今回は2人の副総裁含め出席を予定していない。 関係者によると、植田総裁は閉会中審査への出席が決まる前から今年のジャクソンホールは出ない見通しとなっていた。「プログラム上、今回は参加の必要がないと判断した」(日銀関係者)ようだ。 ジャクソンホールは学識経験者も多く集い、過去には主要国の金融政策運営が同会議と連動して動くような場面もあった。近年では黒田前総裁が21年、出席しなかった。2024/08/23 06:07:3538.名無しさんpy6UD外為10時 円相場、下げ渋る 145円台後半 日銀正常化を意識2024/08/23 10:30 日経速報ニュース 23日午前の東京外国為替市場で円相場は下げ渋っている。10時時点は1ドル=146円08?10銭と前日17時時点と比べて82銭の円安・ドル高だった。10時すぎには一時145円69銭近辺まで下げ幅を縮めた。日銀の植田和男総裁が23日午前に衆議院財務金融委員会で経済・物価見通しの実現の確度が高まれば「緩和度合いを調整する」と述べ、金融政策の正常化が意識されて円買い・ドル売りが増えた。 日銀の植田総裁は、8月上旬に混乱した金融・資本市場について「引き続き不安定」としたうえで「極めて高い緊張感を持って注視する」などと述べた。市場では「(金融引き締めに積極的な)タカ派度合いは弱めているものの、7月の金融政策決定会合後に示した政策正常化に向けた姿勢は維持している」(国内銀行のストラテジスト)との見方があった。 10時前の中値決済に向けては、「ドル需要が強かった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。国内輸入企業による円売り・ドル買い観測は円相場の重荷となった。 円は対ユーロでも下げ幅を縮めている。10時時点では1ユーロ=162円43?46銭と、同66銭の円安・ユーロ高だったが、その後ユーロに対しても円買いが増えた。ユーロは対ドルで軟調に推移し、10時時点では1ユーロ=1.1119ドル近辺と同0.0017ドルのユーロ安・ドル高だった。2024/08/23 10:34:5439.名無しさんpy6UD日銀総裁「経済物価見通し実現の確度高まれば緩和度合い調整」2024/08/23 10:16 日経速報ニュース 日銀の植田和男総裁は23日、衆院財務金融委員会に出席した。経済や物価の見通しが「私どもが持っている姿通りに実現していく確度が高まっていくということが確認できたとすると、今後金融緩和の度合いを調整していく」とし、「基本的な姿勢に変わりはない」と述べた。 金融資本市場の動向や7月に決定した利上げが経済や物価の見通し、リスクなどに及ぼす影響を見極めていくとの姿勢を示した。2024/08/23 10:36:3140.名無しさんpy6UD日銀総裁、市場安定を優先 利上げは否定せず2024/08/23 12:26 日経速報ニュース 23日の衆院財務金融委員会の閉会中審査に出席した日銀の植田和男総裁は、金融・資本市場について「極めて高い緊張感を持ちつつ注視する」と述べた。今月初めに大きく混乱した市場は落ち着きつつあるが、植田氏は市場の安定を優先する姿勢を示した。一方で、利上げを決めた7月の金融政策決定会合後の記者会見で継続利上げへの意欲を示唆した植田氏は、追加利上げの可能性を否定することもなかった。 ■市場動向「極めて高い緊張感を持ち注視していく」 植田氏は23日、国内外の金融資本市場について「引き続き不安定な状況にある」としたうえで「当面はその動向を極めて高い緊張感を持ちつつ注視していく」と述べた。 月初の株式相場や為替相場の急激な変動後、初めての公の場での植田氏の発言となり、市場の関心は高かった。ソニーフィナンシャルグループの菅野雅明チーフエコノミストは「日銀は市場とのコミュニケーションでギクシャクした面があったため、マーケットに対して安心感を与える対話が求められていた」と話す。 みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは「7月末の会見などから発言内容や政策判断の軸は変わっていないが、タカ派色は抑制的だった印象だ」と語る。 長期金利の指標となる新発10年債利回りは23日午前、前日を0.025%上回る0.895%で始まったが、衆院委員会の開催中に0.890%へ上昇(価格下落)幅を縮めた。「マーケットを何も刺激せず無風で乗り切ろうとの印象を受けた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジスト)との声もあった。 ■「見通し実現の確度が高まれば緩和度合いを調整」 植田氏は「経済・物価見通し実現の確度が高まれば緩和度合いを調整する」とも指摘した。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「額面通りに受け取らない方が良い。年内利上げがなくなったというわけではない」という。 外国為替市場における円相場の反応は、債券相場より大きくなった。朝方は1ドル=146円台前半と前日夕から1円あまり下落していた円相場は、植田総裁の発言が伝わると今後の利上げの可能性が意識されて一時145円30銭近辺まで下げ渋った。 外為市場では「タカ派度合いは弱めたが、7月の会見で植田氏が示した政策正常化への姿勢は維持している」(国内銀行のストラテジスト)との受け止めがあった。 それでも一時的に増えた円買い・ドル売りは一服し、昼ごろの円相場は145円台半では上値の重さが目立つ。ステート・ストリート銀行東京支店長の若林徳広氏は「145円台前半になると国内の市場参加者から円売り・ドル買いが出やすい印象」と話す。 日本時間23日夜には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)で講演する。今後の円相場を占う材料として「本丸はパウエル氏発言」との声も聞かれる。 植田氏の発言は早期利上げを織り込むことにはならず、身構えていた債券市場や外為市場の参加者にとっては肩すかしとなった面もある。安全運転に徹したとの見方は多い。2024/08/23 12:43:4241.名無しさん5mNc1NYダウ、一時500ドル弱上昇 FRB議長の発言受け2024/08/24 00:39 日経速報ニュース 【ニューヨーク=竹内弘文】23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は一時前日比500ドル弱上昇し、取引時間中の値ではあるが、7月17日に付けた史上最高値(4万1198ドル、終値ベース)を上回った。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が23日の講演で9月利下げ開始をほぼ明言したことで、リスク資産の株を買う動きが広がった。 利下げ観測の高まりを背景に、主要通貨に対して米ドル安が進んだ。対円では1ドル=一時144円台半ばと、講演前に比べて2円程度円高・ドル安が進行した。対ユーロでは1ユーロ=1.119ドル近辺と2023年7月以来のドル安・ユーロ高水準を付ける場面があった。 日米や米欧の金利差縮小観測がドル安につながった。米国債利回りは各年限で低下(債券価格は上昇)した。金融政策の影響を受けやすい2年債利回りは3.92%程度まで低下した。2024/08/24 02:15:5542.名無しさん5mNc1米金融政策 転換点 FRB議長、9月利下げ「時が来た」――日銀総裁、緩和「調整の姿勢変わらず」 追加利上げに含み2024/08/24 日本経済新聞 朝刊 日銀の植田和男総裁は23日、衆院財務金融委員会と参院財政金融委員会の閉会中審査に出席した。今後の金融政策について「経済・物価の見通しがおおむね実現していく姿になれば、金融緩和の度合いをだんだん調整していくという基本的な姿勢に変わりはない」と説明した。(関連記事総合3面に) 植田総裁は見通し実現の方向に経済が進めば「もう少し金利の調整をすることができる局面が来る」と述べ、今後の追加利上げに含みを持たせた。 閉会中審査は日銀が7月末に利上げを決定した後、国内外で市場の乱高下が起きたことを受け、開かれた。植田総裁は「米国の景気減速懸念が急速に広がったのを機に、世界的なドル安や株価下落が進んだことが大きかった」との見解を示した。一方で、直近の株価回復については、日本企業の決算発表を受け「企業収益力が評価された面もある」といった認識を示した。 8月5日に日経平均株価が暴落した直後だった7日には内田真一副総裁が「慎重に考えるべき要素が生じている」などと語った。植田総裁は23日、「市場の大きな変動時には極めて高い緊張感を持って注視する。そのなかでの(内田氏の)発言は適切だった」と述べた。2024/08/24 06:15:3043.名無しさん5mNc1コラム:市場激変の裏にカネ余り、米軟着陸予想は維持=尾河眞樹氏[東京 23日] - 7月末の日銀金融政策決定会合をきっかけにドル円が急落。これが株価の暴落を招いた、という理由から、衆院財務金融委員会と参院財政金融委員会は、閉会中審査を8月23日に開催し、参考人として日銀の植田総裁の出席が要請されたという。同決定会合では、声明や植田総裁の記者会見で、あくまで「経済・物価が日銀の見通し通りに推移すれば」の条件付きではあるものの、今後も比較的淡々と利上げを継続するような姿勢が示されたことは、確かに予想以上にタカ派的な印象で、一部の市場関係者にはサプライズだったかもしれない。<ドル円の下落トレンド、きっかけは米CPI>しかし、今回のドル円の下落トレンドは、7月11日公表の6月の米消費者物価指数(CPI)の結果が市場予想を下回ったことがきっかけだったと筆者はみている。シカゴ通貨先物市場IMMにおける投機筋による円の持ち高(ポジション)を見ると、ネット売り越し(円ショートポジション)は、7月2日時点に18万4000枚と、過去最大規模に膨らんでいたが、翌週の16日時点では15万枚まで急速に縮小。投機筋のポジション調整は既にこの時点で始まりつつあった。その後月末にかけて日銀金融政策決定会合や、米連邦公開市場委員会(FOMC)などのイベントが続く中で、7月30日には7万3000枚まで円ショートポジションは縮小した。同FOMC後の記者会見では、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、「9月の利下げ開始もありうる」と明言し、市場参加者にとってはこれもややハト派方向のサプライズとなった。ダメ押しは8月2日に発表された7月の雇用統計だ。失業率が4.3%と、市場予想(4.1%)を大きく上回ったことで、唐突に「サーム・ルールにヒットしたから米景気は後退に陥るのではないか?」と「米景気後退説」が広がり、米株価も急落。サーム・ルールとは、直近3カ月の失業率の平均値から過去12カ月で最も低かった失業率を引いた数値が0.5を上回ると、景気後退の確率が高いという経験則である。これにより、VIX指数が一時65まで急伸するなど、市場全体がリスクオフに傾くなかで、8月13日時点では、投機筋の円ポジションは、いよいよ2万3000枚の「買い越し(円ロング)」に転じた。結局、ドル円相場は米CPIの発表があった7月11日の高値161円台から8月1日の安値141円台まで、約20円も下落した。日米の短期金利差を狙った円キャリー取引により、過去最大級に積みあがった円ショートポジションはこれでようやく解消され、投機筋主導の過度な円安はいったんリセットされたと言えよう。2024/08/24 08:42:2844.名無しさん5mNc1<米雇用情勢悪化は一時的、利下げ年内0.75%>問題は、7月の米雇用統計は確かに弱かったが、市場が突如景気後退を織り込むほど米労働市場が弱いかどうかだ。州別のデータから見ると、ハリケーンと自動車工場閉鎖の影響が大きく、一時的な悪化の可能性はある。また、米コンファレンスボードが公表している「家計による雇用環境判断DI(「仕事が潤沢」-「職探しが困難」)」を見ると、直近7月のデータはプラスの18.1と、緩やかに減速はしているものの「仕事が潤沢」に大きく傾いていることが分かる。もちろん、労働市場については様々な指標を複合的に確認する必要があるものの、失業率上昇の要因は、単に労働市場の需要が減少しているだけでなく、移民などの要因で労働力の供給が増えていることが影響している可能性もある。市場では年末までに約1.0%もの利下げが織り込まれているが、ソニーフィナンシャルグループは、米国経済についてソフトランディングを予想しており、年内は0.25%ずつ3回の利下げにとどまるとみている。<ポジションの一方向の傾り、相場変動を増幅>重要なポイントは、7月末から8月上旬にかけての急激な円高と株価の暴落は、あくまで「投機筋のポジション調整」に過ぎなかったという点だ。政府にしてみれば、今年から始まった新NISAの普及により、「貯蓄から投資へ」の流れが加速するなかで、相場急変の洗礼による恐怖感からこの流れが止まってしまうことをおそらく懸念しているのかもしれない。しかし、今回の急速な円高・株安について、もしその責任を日銀に求めるとすれば、ややポイントがずれているように感じる。相場の「トレンド」というものは、一方向に永遠に続くことはなく、行き過ぎた相場は必ず調整を迎える。ただ、通常であれば、中期や短期でポジション調整による下落を繰り返しながら長期の上昇トレンドが続いていく。しかし、今回はあまり調整らしい調整が起きないまま、過去最大まで円ショートポジションが積みあがってしまったことで、巻き戻されるときのマグニチュードが大きくなった。これには、コロナ以降のグローバルなカネ余りや金融環境の緩みが続いていることで、リスクテイクが促進され、ポジションが一方向に傾く傾向が背景にあると筆者は考えている。2024/08/24 08:44:4245.名無しさん5mNc1<リスクテイクの素地残る、カネ余り依然大きく>日米欧の中央銀行のバランスシートを見ると、金融市場がいかにカネ余りの状態かがよくわかる。米欧については22年から量的引き締め(QT)を行っているため、足元資産残高は減少傾向にあるが、リーマン・ショック前の2008年1月を100としてみると、FRBは約8倍、欧州中銀(ECB)は約5倍、日銀は約7倍の規模で、コロナショック直前の2020年1月から比較しても、FRBが約2倍、ECBは1.3倍、日銀が1.4倍の規模である。こうしたマネーがリスクテイクのターゲットにしたのが、日本と諸外国との短期金利差に目を付けた円キャリー取引だ。先述した「IMMポジション」は、あくまでシカゴ通貨先物市場で取引している市場参加者が、米商品先物委員会(CFTC)に報告したものであって、金融市場全体の投機筋の動きを示しているわけではない。加えて、為替は様々な要因で変動することから、このポジションだけをみて為替相場を語ることはできない。しかし、22年央頃から、このIMMの円ポジションとドル円の連動性が、非常に高くなっているのは、やはりカネ余りの影響があるのではないか。今回の激しいポジション調整により、いったん連動性は崩れたが、今後も今回のようにポジションが一方向に傾いたときには要注意だ。<日米実質金利差とドル円の相関は回復へ、年末142円予想>一方、過去に連動性が高かった日米実質金利差とドル円の相関性は、円キャリー取引の活発化により今年春頃から大きく崩れていたが、今回のポジション調整による急激な円高で、足元は日米実質金利差から推計されるドル円の適正水準にドル円相場が戻ったように見える。まだ完全に連動性が回復したとは言い難いが、今後は円キャリー取引で重視される日米の短期金利差よりも、景気動向に左右される長期金利のほうに注目が集まり、インフレ期待を差し引いた日米実質金利差が、再びドル円相場の参考になるのではないか。今後再び円キャリー取引が活発化するかといえば、一回壊れた相場の修復には、しばらく時間がかかるだろうと筆者はみている。また、日米の金融政策の方向性は明確であるものの、政策金利変更がどの程度のペースで実施されるかは依然不透明であり、米大統領選も混戦模様であることを踏まえれば、ドル円のボラティリティーはしばらく高止まりするため、円キャリー取引には不向きな相場環境となるだろう。筆者は引き続き日米実質金利差の予想をベースにドル円の見通しを組み立てているが、現状ドル円の年末予想値は142円前後としている。2024/08/24 08:46:5046.名無しさんhfwTi日本株、出遅れ招く円高圧力 米エヌビディア決算が焦点-今週の市場2024/08/25 04:30 日経速報ニュース 日経平均、円高が重荷 今週は米国の主要株価指数が最高値を更新する可能性が高い。市場関係者は9月の米利下げを確実視している。ダウ工業株30種平均は23日、7月に付けた最高値までわずか23ドルに迫った。一方、日経平均株価は円高傾向が重荷となり出遅れ感が強まりそうだ。 ジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長講演後の株価反応は分かれた。米国株が上昇した一方、日経平均先物は円高が進むと下落した。「年初から商いが集中した3万8000円台の価格帯では戻り売りが出やすい」(みずほ証券の中村克彦マーケットストラテジスト)側面もあり、日経平均は上値が重そうだ。 米エヌビディアが28日、2024年5?7月期決算を発表する。人工知能(AI)向け次世代製品「ブラックウェル」の生産遅延が懸念されており「業績だけでなく遅延の影響度も注目点」(ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジスト)だ。 米長期金利、低下余地は限定的 米債券市場で、長期金利の指標となる10年物国債利回りの低下余地は限られそうだ。前週は米労働省が雇用統計について年次改定の推定値を公表し、過去の雇用者数を大幅に下方修正した。早期利下げが意識され、米長期金利は一時3.7%台まで低下した。今週は目立った材料を欠き、利下げ織り込みが一段と進む可能性は低い。 米国では9月の利下げが確実視され、通常の倍となる0.5%の利下げ幅を見込む声もある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「9月6日の8月雇用統計までは利下げ観測を強める材料がない。行き過ぎた利下げ期待が調整される可能性が高く、金利低下余地は乏しい」と話す。 国内債券市場でも材料が少なく、方向感を欠いた展開となりそうだ。9月の自民党総裁選を前に政局の不透明感を意識して様子見姿勢が強まるとの見方もある。 円相場、上値を試す展開 外国為替市場で対ドルの円相場は上値を試す展開か。前週は米労働市場の減速が意識されたほか、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が近く利下げに転じる姿勢を示したことを受け、円買い・ドル売りが進む局面があった。今週は米物価指標に注目が集まる。日銀の追加利上げ観測が円相場を支えるとの見方もある。 30日にFRBが重視する7月の米個人消費支出(PCE)物価指数が発表される。米国ではFRBによる9月の利下げ転換がすでに確実視されているが、インフレ鈍化を示す結果となれば大幅利下げの織り込みが進み、円買い・ドル売りの動きが強まる可能性がある。 日銀の金融政策動向は円相場の支えになりそうだ。三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは「株価が戻りつつあることなども踏まえ、年内の追加利上げ期待が高まりやすい。弱まっていた円買いの動きが復活しやすい」とみる。 原油相場は一進一退 原油相場は一進一退か。米利下げ期待と中東情勢の緊迫感の緩和が綱引きしており、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は70ドル台での推移となりそうだ。 米国はガソリンの需要期である夏場のドライブシーズンが終盤にさしかかっている。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神隆之首席エコノミストは「需要期の最後の盛り上がりが一時的に価格を押し上げる可能性がある」とみる。米ドルの下落もドル建てで取引される原油価格の上昇圧力となる。 野村証券の高島雄貴エコノミストは「今週は目立った経済指標がなく、横ばい圏内」とみる一方、「中国の景気見通しの不透明感は続いており、相場の下押し圧力となる」と指摘する。 金は最高値の更新が続き、足元で持ち高調整の売りが広がりやすくなっているが、米利下げ観測の強まりが金利のつかない金の支えとなる。2024/08/25 08:03:5047.名無しさんniyqD米利下げトレード活発、REIT・金・新興国へ 日本株に試練2024/08/26 05:00 日経速報ニュース【この記事のポイント】・米主要株価の指数は最高値が視野・ドル高一服、新興国にマネーが回帰・ドル安・円高、日本株は試練の展開 金融市場で9月の米利下げを前提にした取引が活発になっている。利下げが米景気を下支えするとの見方から米主要株価指数は最高値更新を視野に入れ、ドル高一服を追い風に新興国にもマネーが回帰し始めた。日本株はドル安・円高が業績の伸びしろを縮めるとの見方から短期的には上値の重さが意識される試練の展開になりそうだ。 「政策を調整すべき時が来た」。23日午前8時(日本時間午後11時)、主要中央銀行の首脳や経済学者が集う経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」での米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言を受けて、世界の市場関係者は9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げを確信した。【関連記事】FRB議長、9月利下げ「時が来た」 米金融政策が転換点 市場では米利下げトレードが早速活発になっている。23日は米長期金利の指標である10年債利回りが前日より0.06%低い3.79%まで低下する場面があった。金利低下の恩恵を受けやすい金は国際指標のニューヨーク先物(中心限月)が20日、一時1トロイオンス2570.4ドルと3営業日連続で最高値をつけた。金利低下による利払いコスト軽減効果が大きい不動産上場投資信託(REIT)への資金流入も目立つ。 米長期金利の低下傾向が外国為替市場でのドル安進行につながっている。円やユーロなど主要通貨に対するドルの総合的な強さを示すドル指数は23日に一時100台と23年7月末以来の低水準をつけた。幅広い通貨に対してドル売りが進むなか、対ドルの円相場は23日に一時1ドル=144円近辺と8月上旬以来の水準まで上昇した。 ドル安は新興国が抱えるドル建て債務の縮小につながるため、新興国の通貨買いの要因になる。米指数算出大手MSCIが算出するアジア新興国の通貨指数はドル安の裏側で上昇。23日に1年半ぶりの水準に上昇した。対ドルでタイバーツは1年1カ月ぶり、マレーシアリンギは1年半ぶり、フィリピンペソは4カ月ぶりの高値圏にある。 新興国では通貨安に歯止めがかかり金融市場が安定するとみた海外投資家のリスク選好姿勢が強まる。仏資産運用大手アムンディのグループ最高投資責任者(CIO)、ヴァンサン・モルティエ氏はインドなど新興国市場の株式や債券への選好姿勢を明らかにした上で、「経済は堅調な内需拡大が見込めるほか、米株対比の割安さが強く上昇余地が大きい」と話す。 米国の利下げは投資マネーの蛇口をゆるませる。米インベスコ・アセット・マネジメントが1974年以降の金融政策サイクルと世界の主要資産の運用成績の関係をまとめたところ、米利下げ開始後の12カ月間では債券やコモディティー(商品)よりも株式のリターンが大きかった。2024/08/26 06:04:0548.名無しさんniyqD 実際、24年7月にテック株が崩れた米国株にも資金は戻り始めている。パウエル発言を受けてダウ工業株30種平均は8月23日、7月17日につけた過去最高値(4万1198ドル)にあと23ドルに迫った。経済の軟着陸(ソフトランディング)への期待が高まったためだ。 ゴールドマン・サックスのヤン・ハツィウス氏らエコノミストは8月17日付のリポートで、直近の米週間失業保険申請件数と7月の小売売上高を受け、今後1年以内に米国が景気後退に陥る確率を25%から20%に引き下げた。9月6日発表予定の8月の米雇用統計が良好なら15%まで引き下げる見通しだ。 利下げが米株高につながるかはその理由による。過去の利下げ開始時点を基準に米S&P500種株価指数の24カ月先の騰落率を比べると、ITバブル崩壊と米ニューヨークでの同時多発テロによる影響が重なった01年時は37%安だった。 07年時は低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き問題が表面化し、翌08年のリーマン・ショックにつながって31%安となった。一方、景気後退を伴わない予防的な利下げだったと評される95年時は70%高、98年時は41%高だった。 相場を左右する今回の米景気はどうか。QUICK・ファクトセットによるとS&P500構成銘柄の今期予想EPS(1株当たり利益)の増益率見通しは11%。「インフレに対する勝利宣言は時期尚早」(アムンディのモルティエ氏)との声は残るものの、市場では「企業業績は軟着陸の中での増益が予想され、米株相場は上昇基調が続く」(インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジスト)との期待が大きい。 一方、日本株には円高の伏兵が立ちはだかる。低金利の円で調達し高金利通貨で運用する円キャリー取引の膨張などを背景に一時1ドル=161円台と歴史的な円安が進み、今はその修正局面にある。 岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは「秋口にかけて円相場は130円台まで上昇する可能性もあり、10月ごろまでは日本株の上値は重い」とみる。 目先の日本株は足踏みを予想する声が多いものの、中長期的な再浮上への期待は少なくない。BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラテジストは「中間決算での業績の上方修正を受けてEPSは切り上がっていく」とみて、年末には日経平均4万円台の回復、年度末(25年3月)には4万2000円台の最高値更新を予想する。・南に向かう投資マネー 脱インフレ時代の勝ち組探す・転換期の米欧中銀 市場との対話、軟着陸の成否も左右・[社説]利下げ「予告」のFRBは軟着陸へ万全を2024/08/26 06:05:2049.名無しさんVICdQ今日の東京円相場 大幅上昇か ドル安加速、米利下げ意識2024/08/28 07:48 日経速報ニュース 28日の東京外国為替市場で円相場は大きく上昇しそうだ。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始を織り込む形で円やユーロなど主要通貨に対するドル安が加速している。日銀の追加利上げへの思惑がくすぶるなかで、日米の金利差縮小を見込んだ円買い・ドル売りも入りやすく、相場を押し上げるだろう。円相場は26日につけた高値(1ドル=143円45銭)を試す場面がありそうだ。 日本時間28日早朝の外国為替市場では円相場が143円70銭台で推移し、前日17時時点と比べて1円20銭程度の円高・ドル安となっている。米国では27日実施された2年物国債入札で投資家の旺盛な需要が確認でき、流通市場では政策金利の影響を受けやすい米2年債利回りが低下(価格が上昇)。FRBの9月利下げ開始が確実視されるなか、円買い・ドル売りが優勢となった。 米利下げ観測を背景にドルが全面安の様相を呈しているのも円相場を押し上げる。ドルは対ユーロでは約1年1カ月ぶりの安値圏で推移し対英ポンドでも2022年3月以来およそ2年半ぶりの安値に沈んでいる。27日にはドルの総合的な強さを示すドル指数が一時100.51と1年1カ月ぶりの安値をつけており、28日の東京市場でも円買い・ドル売りを誘うだろう。 28日は日銀の氷見野良三副総裁が山梨県金融経済懇談会で挨拶し、記者会見する。8月上旬には金融・資本市場の混乱を受けて内田真一副総裁が「市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と明言していた。だが、日米で株価が戻りを試すなか、市場では日銀の追加利上げが改めて意識されている。氷見野副総裁が市場の落ち着きを受けて利上げに前向きな姿勢を示せば、円買い・ドル売りが増えやすい。 海外ではオーストラリア(豪)で7月の消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想を下回る結果となれば、早期の利下げ開始が意識されて豪ドル売りが膨らむだろう。米国の株価動向にも注目だ。28日は米株式市場の取引終了後にエヌビディアが5?7月期決算を発表する。人工知能(AI)ブームの代表的な銘柄とあって決算発表を受けて株価が急落すれば、29日以降の円相場にも影響を及ぼしそうだ。2024/08/28 08:49:1550.名無しさんVICdQ債券は下落、緩和度合い調整が基本との氷見野副総裁発言で売り優勢https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-27/SIW9G4T0G1KW00?srnd=cojp-v2 28日の債券相場は下落。日本銀行の氷見野良三副総裁が経済・物価見通し実現の確度が高まれば、緩和度合いを調整することが基本と述べたことを受けて、売りが優勢となっている。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、副総裁の発言は「不安定な市場に配慮しつつも、段階的な利上げを行っていく姿勢は変わらないというのがメッセージだ」と指摘。午後の会見のトーンに注目する一方、「植田和男総裁と基本スタンスは変わらないのではないか」とみる。 見通し実現の確度高まれば、緩和度合い調整が基本-氷見野日銀副総裁 大塚氏は、米国が利下げに向かっている一方で日本が追加利上げに向う構図のため、「債券相場としてはなかなか動きづらい状況だ」とも述べた。相場は来月初の米雇用統計などで「米国のファンダメンタルズが本当に大丈夫なのかというところを確認する作業を待っている」と言う。2024/08/28 14:24:4951.名無しさんuEaR4日銀・氷見野副総裁、利上げ「物価想定通りなら」 特定の水準は意識せず2024/08/29 日本経済新聞 朝刊 日銀の氷見野良三副総裁は28日の記者会見で「経済・物価の見通しが実現する確度が高まれば、金融緩和の度合いを調整する基本姿勢は変わらない」と強調した。23日に植田和男総裁が国会で答弁した内容を踏襲した。 日銀が甲府市で開いた金融経済懇談会で講演し、その後に記者会見した。 日銀は7月に短期金利を0.25%に引き上げると決めた。この水準について氷見野副総裁は「かなり緩和的だ」と指摘した。今後は景気を熱しも冷ましもしない中立金利まで利上げを進めることが想定される。 中立金利の水準について「私自身は特定の水準やレンジを意識して考えていることはない」と述べるにとどめた。「決め打ちで予断を持つことなく、実際の経済・物価の反応を分析しながら道筋を探っていくしかない」と慎重に表現した。 会見の前に行った講演では「中立金利の推計から自動的に政策金利の終着点が出てきて、そこから逆算して政策運営を進めればよいという見方もあるようだが、そういうふうには思わない」と主張した。 中立金利の範囲を推計し、絞り込むのが難しいためだ。「幅を持った推計になり、手法によって結果が違う。機械的に考えず、道筋を描く必要がある」と語った。 日本は30年間、短期金利がほぼゼロだったことにも触れ、「その間のデータをもとに今後の経済の反応度合いを判断することには注意が必要だ」と論じた。 「経済・物価は見通しに沿った展開となることがメインシナリオだ」とも分析した。賃上げが手取りに反映されていることなどから「消費は腰折れしないという見方でいいのではないか」と唱えた。 日銀関係者は氷見野副総裁の今回の発言について「中立金利まで政策金利を引き上げていく方針は変わりないが、水準自体が不透明なため確認しつつ上げていくということを強調した」と解説する。 氷見野副総裁は乱高下した金融市場についても言及した。日銀が7月に利上げを決めたことで日米の金利差が縮小するとの見方から円安の是正が進んだ。米国で景気が減速する懸念が広がり、8月に入ってから日経平均株価が大幅に下落した。 会見では「金融資本市場は引き続き不安定な状況にある。経済・物価の見通しやリスクに及ぼす影響を見極めたい」と話した。 市場が不安定なら利上げしないのかとの問いには直接の回答を避けた。「当面はその動向を極めて高い緊張感をもって注視していく。経済・物価見通し実現の確度が高まれば緩和の度合いを調整していく」と説明した。 QUICKが8月5~7日に外国為替市場の関係者に実施した調査で、次の日銀の利上げの時期を尋ねたところ、12月が30%、10月が20%、来年以降が46%にのぼった。市場は年内の利上げを意識し始めている。 一方、どの水準まで利上げするかという質問に対しては1.0%との回答が28%、0.5%と0.25%がいずれも26%、0.75%が15%だった。市場の見方はさまざまで、利上げの終着点が見えにくい状況が続きそうだ。2024/08/29 06:04:5052.名無しさんuEaR4長期金利、0.9%に上昇 米債安で売り2024/08/29 09:33 日経速報ニュース 29日午前の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが前日を0.010%上回る0.900%に上昇(価格は下落)した。28日の米国債相場が下落し、国内債にも売りが出ている。7月の米個人消費支出(PCE)物価指数の発表を控えた持ち高調整の動きなどから米長期金利は上昇した。2024/08/29 09:52:4853.名無しさんPf5Yiアングル:海外マネーが揺さぶる株式市場、日銀の利上げ戦略に影と専門家[東京 30日 ロイター] - 日銀は想定通り、利上げ戦略を堅持できるのかーーエコノミストの間では、海外投機筋の影響が大きい日本の株式市場の動向次第では利上げ判断の足かせになりかねないとの指摘が出ている。海外勢は一方向に傾きやすい投資行動に出ることが多く、安定しつつあるように見える市場も、きっかけ次第で再び株価急落のリスクがあるという。<利上げ戦略の継続を鮮明化>日銀自体は利上げ戦略の継続を鮮明にしている。植田和男総裁は23日に国会で行われた閉会中審査で、市場動向が経済・物価見通しやリスクに及ぼす影響を見極めた上で「経済・物価見通しがおおむね実現していく姿になっていけば、金融緩和度合いを調整していくという基本的な姿勢には変わりがない」と強調し、氷見野良三副総裁も28日の講演で同調した。7日、内田真一副総裁は「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と講演で明言 もっと見る 、市場にハト派的と受け止められたが、日銀内では、内田副総裁の講演は金融市場が不安定な状況下で行われたもので、市場に安心感を与えるのが何より重要だったとの指摘が出ている。日銀が利上げ局面に踏み出した以上、経済・物価見通しの実現度合いが政策を左右するというのは何も変わっていないとの声も出ている。円高に振れたことで輸入物価上昇を通じた物価の上振れリスクは後退したものの、株価が急速に戻していることから経済・物価見通しへの影響は今のところ軽微にとどまるとの見方も、日銀では聞かれる。<日銀の楽観論とは距離>一方、日銀の楽観論とは距離を置く市場関係者は多くいる。5日から6日にかけて歴史的な乱高下を演じた日経平均株価が何らかのきっかけで再び急落するリスクはまだあるとの指摘だ。5日の日本株の下げ幅を増幅したのは商品投資顧問業(CTA)と呼ばれる海外のヘッジファンドだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツ・ストラテジストによれば、CTAの8割が順張り戦略を取っており、「ボラティリティが上昇する下げ相場では、機械的な売りを優先するため下げ相場をあおる傾向がある」という。信用買い残は暴落前の段階で4兆8720億円。4兆円台まで膨らんで推移が続くのは2007年以来で、CTAの売りがこうした需給面での潜在的な売りを巻き込む形となった。また高田氏によれば、昨年来、先物だけでなく現物市場でもトレンドフォローの戦略を運用する海外マネーが流入しているという。「企業の本質的価値よりも株価自体をテクニカルに重視するファンドのため、株価が上がれば買い、下がれば売るの繰り返しとなり、ボラティリティの高さと合わさり必要以上の値幅を形成したフローが少なくなかった」と話す。高田氏は、今回の急落の引き金が日銀の金融政策や米国の経済指標だったように、何らかのニュースで再び株価が急落する可能性はあるとみている。「CTAなどもまだ半分近くしか株先ロングの処分を行っておらず、不測のショックに対しては追加売りが要求される可能性が残る」と指摘する。氷見野副総裁は28日の会見で「内外の金融資本市場の動向が、(経済・物価の見通しが実現する)確度に影響を与えていくということも、もちろんある」と述べた。SBI新生銀行の森翔太郎シニアエコノミストは「金融市場の動向を全く考慮せずに金融政策運営を行うことは基本的にはないだろう」と指摘する。森氏は日銀の追加利上げについて、来年1月がメインシナリオ、早ければ12月と想定。一方、「程度にもよるが、金融市場の不安定化が経済・物価の下振れリスクを高め得ると判断した場合は利上げの時期やペースを再考する可能性もある」とみている。2024/08/31 13:50:2854.名無しさんX74Dj利下げ前夜、FRBの苦悩 市場は円急騰に身構え2024/09/01 04:00 日経速報ニュース 8月下旬に開催されたカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」。ニューヨーク連銀のエコノミストを務めた米ブラウン大学のガウティ・エガートソン教授が発表した論文が注目を集めた。米国の失業率に対する求人率の割合が直近は「1.2」と、失業率の急上昇を招く閾値とされる「1」に近づいていると警鐘を鳴らす内容だった。 冷える雇用を警戒「強力なメッセージ」 「強い労働市場を支えるためにできることは何でもやる」。23日、講演したパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は近く利下げに踏み切る考えを示唆したうえで、労働市場について「以前の過熱状態からかなり冷え込んでいる」と指摘。特に直近の6カ月で失業率が上昇していることを挙げ、さらなる冷え込みは望んでいない考えも示した。 欧州危機の最中にあった2012年、当時の欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が発した「できることはなんでもやる」を彷彿させる発言に市場では驚きが広がった。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「失業率の急激な悪化などに備えたもので、中銀高官の発言としては非常に強力なメッセージだった」と指摘する。 株式市場はすかさず反応した。ダウ工業株30種平均は26日、4万1240ドルと1カ月半ぶりに最高値を更新。不動産や中小型株など利下げの恩恵が大きい分野にマネーが向かっている。 「政策を調整すべき時が来た。方向性は明確だ」。パウエル氏はインフレの水準がFRBの目標に近づいており、目標を達成する軌道に乗ったと自信を見せた。 ただ、米国経済が景気後退に陥ることなく軟着陸(ソフトランディング)できるかは、まだ予断を許さない。カギとなるのはやはり雇用だ。大和証券の山本賢治チーフエコノミストは「株高と強い労働市場が個人消費を支える循環が今後は逆回転する可能性がある」と警戒感を示す。 市場参加者が警戒するのが利下げ幅とペースだ。米金利先物市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の倍となる0.5%の利下げに踏み切る可能性が一定程度織り込まれている。6日に発表される雇用統計への注目度は一層増している。 パウエル氏は今後の利下げ幅やペースについては「今後発表されるデータや変化の見通し、リスクのバランスによって決まる」として明言しなかった。市場の想定よりも大幅な利下げとなればFRBによる景気認識の悪さを印象づけることになり、かえって市場の波乱要因となる可能性もある。これまで大きな混乱を招くことなくインフレと戦ってきたパウエル氏だが、政策転換の最終局面に来てかじ取りは一段と難しさを増している。2024/09/01 06:12:0255.名無しさんX74Dj 米金利先物の値動きから将来の政策金利予想を映す「フェドウオッチ」では、9月のFOMCで通常の倍の幅となる0.5%の利下げが決まる確率が23日に36%に上昇した。講演前の22日は24%にとどまっていた。 12月までの3回の会合で計1%以上の利下げが起こる確率も、22日の64%から23日には76%まで上昇した。1会合あたり0.5%の利下げ幅に相当する計1.5%の利下げ確率も6%とリスクシナリオとして十分意識されている格好だ。みずほ証券の上家秀裕シニア債券ストラテジストは「米景気の急速な後退を見通す参加者も増えてきた」と語る。 8月雇用統計、失業率「4.4%」が分水嶺 9月会合での利下げ幅は、今後の金融緩和ペースを占う一つの試金石となる。市場が最も注目しているのが、6日に発表される8月の米雇用統計だ。 「焦点は失業率。4.4%を超えるかどうかが判断のカギとなる」。みずほ証券の上家氏はこう指摘する。 7月の米雇用統計で失業率は4.3%を付けていた。直近3カ月間の平均失業率が過去1年間の最低値を0.5ポイント上回れば景気後退が始まった可能性が高いとの経験則を指す「サーム・ルール」の発動も話題を集めた。 パウエル議長は足元の労働市場について「これ以上冷え込むことは望まない」と語っていた。4.4%を明確に上回れば市場の利下げ織り込みがさらに加速する可能性があるという。 非農業部門の就業者数も注目点の一つ。7月データでは、11万4000人増と市場予想(17万?19万人)を大きく下回った。野村証券の小清水直和シニア金利ストラテジストは「7月は南部を襲ったハリケーンが就業者数を減らした側面もあった。そうした変動要因がない8月も15万人を下回れば、0.5%の利下げが現実味を増す」と指摘する。 米労働省は8月21日、この1年間の就業者数の増加が公表していたより28%少なかった可能性があると発表した。労働市場の冷え込みを意識する市場参加者が多い分、弱いデータへの反応は想像以上に大きくなる可能性もある。 9月11日には8月の米消費者物価指数(CPI)、17日には8月の米小売売上高などこれまで注目を集めてきた主要指標の発表も控えるが、「市場のインフレ警戒はすでに薄れている。多少強いデータが出てきたとしても、利下げ予想を後退させるほどの力は持たないだろう」(野村証券の小清水氏)との見方が優勢だ。 急速な利下げが実現すれば、金融市場はどう動くか。7月の米雇用統計で労働市場の冷え込みがあらわになった8月上旬、市場は株価の急落、債券相場の上昇、円相場の急騰などに見舞われた。今回も8月の米雇用統計などによって各資産の値動きが急変動するリスクを念頭に置いておく必要がある。 野村証券の小清水氏は、米長期金利の指標となる10年物国債利回りについて「年内に3.5%程度まで低下する場面もあるのではないか」と見通す。 「メインシナリオは9月会合が0.25%の利下げにとどまり、利下げ期待で会合までに売られたドルが1ドル=145円程度まで買い戻される展開。ただ、経済指標が弱ければ1ドル=141?142円程度まで円高・ドル安が進む可能性がある」。ステート・ストリート銀行東京支店の貝田和重・金融市場部長は目先の円相場についてこう語る。 年内1ドル=130円突破も米経済の減速を示す経済指標が相次ぐ一方、市場予想を上回った7月の米非製造業(サービス業)景況感指数など米経済は依然としてまだら模様の側面もある。貝田氏は「経済指標の悪化トレンドがより鮮明になれば、年末にかけて1ドル=130円台を上回って円高が進むリスクがないとも言えない」と語る。 米株式市場では利下げ観測が投資家心理を支え、ダウ工業株30種平均が最高値を更新。金も、国際指標のニューヨーク先物(中心限月)が最高値圏を推移する。金利低下による利払いコスト軽減効果が大きい不動産上場投資信託(REIT)への資金流入も目立つ。さらなる利下げ織り込みはこうした資産の追い風にもなりうる。 もっとも、「米の雇用や消費は平時に比べるとなお堅調。市場の利下げ織り込みは行き過ぎている面がある」(SMBC日興証券の野地慎チーフ為替・外債ストラテジスト)との見方は根強い。 先行きについても、「10?12月、25年1?3月にはインフレ再燃の懸念が高まり利下げトレンドが一旦収束する場面もあるだろう」(野村証券の小清水氏)との指摘も聞かれる。急速に進む利下げ織り込みとその巻き戻し、各局面における市場の値動きを警戒しておく必要がありそうだ。2024/09/01 06:14:2156.名無しさんGz3Ag日銀の追加利上げ「24年12月」最多 QUICK債券調査2024/09/03 02:00 日経速報ニュース QUICKが2日発表した8月の債券月次調査によると、日銀が追加利上げに踏み切るのは「2024年12月」との予想が最も多かった。8月下旬に日銀の植田和男総裁が利上げ路線を続ける姿勢を示したことで、年内にも金利の引き上げに動くとの観測が高まっている。 調査は8月27?29日に証券会社や生損保、銀行など181人の債券市場関係者を対象に実施し、124人から回答を得た。 日銀は7月の会合で政策金利を0.25%に引き上げた。次に利上げをする時期についての設問では「24年12月」が48%と最も多く、「25年1月」(32%)が続いた。日銀の植田総裁は8月23日に衆参両院の閉会中審査で、想定している経済・物価見通しが実現すれば利上げを続ける考えを改めて明らかにした。 「日本の景気は堅調さを見せている。この間に日銀は利上げをするべきだろう」(投信投資顧問)との声が聞かれた。 今後6カ月程度で最も注目する債券価格の変動要因では「海外金利」が14%と前回の調査から12ポイント増加し、9カ月ぶりの高水準となった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「8月上旬に米雇用統計の悪化による米金利の低下が国内金利にも影響したため、海外金利の動向に関心が集まった」と分析する。 9月下旬に予定されている自民党総裁選の結果が及ぼす債券市場への影響は「ほとんどない」(52%)とする見方が最も多かった。一方で「誰が総裁に選ばれると思うか」という設問には「小泉進次郎元環境相」(45%)との回答が最多だった。・日銀、追加利上げへ複雑な判断 年内視野のシナリオ維持・日銀総裁「金融緩和の度合い調整、基本姿勢変わらず」2024/09/03 06:28:0657.名無しさんzLsGs実質賃金は2カ月連続増、基本給32年ぶり伸び-日銀正常化に追い風目賃金3.6%増、実質0.4%増と市場予想に反してプラス共通事業所ベースでは名目4.8%増、所定内給与が過去最高 物価変動を反映させた7月の実質賃金は2カ月連続で前年を上回った。好調な春闘が反映されて基本給が1992年11月以来の高い伸びとなったほか、賞与も大幅に増加し、名目賃金を押し上げた。金融政策の正常化を進める日本銀行にとって好材料となり得る。 厚生労働省が5日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金は前年比0.4%増と市場予想(0.6%減)に反して増加した。6月には27カ月ぶりにプラスに転じていた。名目賃金に相当する現金給与総額は3.6%増となった。基本給に当たる所定内給与は2.7%増と前月から伸びが加速。賞与など特別給与は6.2%増だった。 エコノミストが賃金の基調を把握する上で注目するサンプル替えの影響を受けない共通事業所ベースでは、名目賃金は4.8%増。所定内給与は2.9%増と同ベースでの公表が開始された2016年以降で最高となった。 日銀は賃金と物価の好循環が強まり、消費者物価の基調的上昇率は2%目標に向け徐々に高まると予想している。植田和男総裁は3日、経済・物価見通しが実現していけば、政策金利を引き上げていく考えを改めて表明。賃金の伸びが物価上昇率を上回る状況が維持されたことで、追加利上げの時期を探る日銀に追い風となりそうだ。 SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、実質賃金の増加について「夏季賞与と賃上げ分を遡及して支給した分があり、特別給与が上振れている」ことが主因と説明。日銀政策への影響に関しては、「これをもってすぐ利上げということではないが、ベアが強くてそれが順調に反映されているのが確認されたという意味では、正常化に向かう方向を妨げない」との見方を示した。2024/09/05 10:32:0958.名無しさんotIJS日銀・高田委員、追加利上げ示唆 判断「時間をかけて」2024/09/06 日本経済新聞 朝刊 日銀の高田創審議委員は5日、金沢市で開いた金融経済懇談会で「物価が見通しに沿って推移するもとで、前向きな企業行動の持続性が確認されれば、その都度、もう一段のギアシフトを進める」と語り、今後の追加利上げを示唆した。利上げの判断について「毎回毎回、十分に時間をかけて状況をみながら対応する」との考えも示した。 高田氏は金融経済懇談会で講演し、記者会見した。「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それに応じて(金融緩和の度合いを)段階的に調整していく」という基本姿勢を強調した。 高田氏は「金融・資本市場の動向が前提にはある」とも述べ、株式相場の動きなどを注視する構えをみせた。「8月初旬ほどではないが、ボラティリティー(変動率)が高まりやすい動きが生じている」との認識を示した。 前向きな企業行動の事例としては「ひとつの重要な要素として賃上げが考えられる」と述べた。ただ「単にこの数字をということで判断できるものではない」と加え、幅広いデータを丹念にみていく姿勢を強調した。 物価の上振れリスク要因としては「(企業による)値上げ」を挙げた。10月の価格改定に注目する。 日銀は物価が見通し通りに推移すれば、景気を熱しも冷ましもしない中立金利の水準まで政策金利を引き上げる方針を示している。高田氏は中立金利について「ピンポイントではない」とし、「相当慎重に、もしくは幅をもって考えていかないといけない概念で、なかなか実務的にこれということにはなりづらい」と話した。 9月には日銀の審議委員による発信が相次ぐ。11日に中川順子氏、12日に田村直樹氏が金融経済懇談会を予定しており、その内容が注目される。2024/09/06 06:06:1259.名無しさんZ4ImcFX、再利上げ予想と距離、「日銀、既に終了」見方3割 円相場に波乱の芽(ポジション)2024/09/11 日本経済新聞 朝刊 外国為替証拠金取引(FX)投資家の間で、日銀の追加利上げに関する織り込みがあまり進まない状態が続いている。仮に日銀が利上げを進めていった場合、意外感からFX投資家が売っておいた円を慌てて買い戻し、円高に拍車をかけることもあり得る。 FX投資家の間では、7月30~31日の日銀金融政策決定会合の前から追加利上げの可能性に懐疑的な空気が出ていた。例えば7月中下旬に実施された外為どっとコムの顧客向け調査で、7月に利上げ決定があるとした人は1割に満たなかった。 利上げをあまり想定していなかった様子は、7月中旬以降進んだ円高に対してFXでは逆張りのドル買いがかなり増えた点からも見て取れる。 FX業者4社(GMOクリック証券、外為どっとコム、セントラル短資FX、マネーパートナーズ)合計の週次データでは、7月後半にドル円ポジションに占めるドル買い比率が一時65%を超えた。7月前半に5割を下回っていた水準からの急上昇は、早期日銀利上げがないことを想定した動きと解釈できる。 結果的に日銀は7月末に利上げを決定。その後、予想より弱い米雇用統計を受けて米大幅利下げ観測が広がったこともあり、円高がさらに進んだ。FXの損失確定の円買い戻しが、円高に拍車をかけたとされる。 ただFX投資家は依然ドル買い越し状態を維持。直近(9月4日時点)の4社集計値でドル買い比率が再び6割台に上がった。背景には依然日銀の利上げをあまり織り込んでいない事実がある。 例えば日銀が最終的にどこまで利上げするかを聞いた外為どっとコムの顧客向け調査(8月下旬実施)。現状の0・25%、つまり再利上げはもうないとの見方が約3割あり、0・5%までを合わせると6割弱に達した。 一方、債券市場関係者対象の8月QUICK月次調査〈債券〉では、2025年末の日銀政策金利は0・72%というのが予想の平均値。6月の同調査で、向こう5年の日銀政策金利のピークを聞いた結果は単純平均で1・07%だった。 FX投資家の間で日銀利上げの織り込みがあまり進まない理由は何か。 「生活者としての景況観を持つ個人投資家は、景気がそれほど強くない点を機関投資家より実感しているため、金利上昇予想を持ちにくいかもしれない」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏)。逆張りを好むFX投資家は、円高のもとでのドル買いを正当化する金融政策予想を持ちやすいとの推測も成り立つ。 問題は、FX投資家の予想に反して日銀の利上げが進み、円相場がさらに上昇した場合だ。慌てて損失確定の円買いを入れるかもしれない。一定の含み損を抱えると自動的に反対売買するFXの機能(ロスカット)の発動もあり得る。円相場上昇に拍車がかかる。 日銀は当面株価などが安定を取り戻すか注視するが、経済・物価情勢が「想定通り」推移するなら再利上げを検討しそうだ。FX投資家には「想定外」となり円相場が混乱しないか。要注意だ。2024/09/11 06:41:2160.名無しさんZ4Imc日銀の中川委員「見通し実現なら緩和度合い調整」秋田県金融懇で挨拶2024/09/11 10:58 日経速報ニュース 日銀の中川順子審議委員は11日、秋田県金融経済懇談会で挨拶した。経済・物価見通しが実現していくようなら、2%の物価安定目標の「持続的・安定的な実現の観点から、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを示した。調整を検討するにあたり、金融市場の変化が見通しに及ぼす影響を「これまでと同様に、丁寧に評価を行い、判断をしていく必要がある」とした。 8月上旬の市場の変動については「米国の雇用統計において失業率の上昇などがみられたことがきっかけ」とし「米国の景気減速懸念から世界的に急速なドル安と株価の下落が生じた」との見解を示した。そのうえで、国内企業の収益は高水準で「この間、わが国経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)に大きな変化はない」との考えを述べた。 国内の賃金動向について「上昇率は、物価上昇も反映するかたちで基調的に高まっていく」との見方を示した。経済・物価見通しを巡っては輸入物価が再び上昇に転じることによる企業の価格転嫁の積極化や、労働需給の逼迫による賃金の上振れで「賃金や物価が『物価安定の目標』を超えて上昇するリスクには注意が必要」だとした。注目するリスクとして「海外経済の下振れ」や「実質所得のマイナスが長期化したことが今後の消費者マインドの改善の重しとなる可能性」などにも言及した。2024/09/11 11:14:0661.名無しさんZ4Imc円上昇、一時1ドル141円台半ば 日銀追加利上げ観測で2024/09/11 10:55 日経速報ニュース 11日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時、1ドル=141円台半ばまで上昇した。円が急騰した8月5日に付けた直近高値(141円68銭)を上回り、およそ8カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。日銀の中川順子審議委員が11日の講演で追加利上げに前向きな姿勢を示し日米金利差の縮小観測から円買い・ドル売りが進んだ。 中川氏は11日、秋田市で開催された金融経済懇談会で、経済・物価が見通しに沿って推移すれば「金融緩和の度合いを調整していくことになる」などと話した。5日には高田創審議委員が金沢市での金融経済懇談会で講演し「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それに応じて(金融緩和の度合いを)段階的に調整していく」との基本姿勢を強調していた。【関連記事】・日銀・中川委員、実質金利「極めて低い水準にある」・日銀・高田委員、追加利上げを示唆 判断「時間かけて」・日銀利上げ、既に終了の見方3割 FX投資家に誤算の芽2024/09/11 11:22:2262.名無しさんOofUB原油安、ウクライナ侵攻前水準に 貿易赤字・円安に歯止め2024/09/11 18:11 日経速報ニュース 原油の欧州指標が2022年2月に始まったウクライナ戦争前の水準に戻った。世界的な景気減速で供給過剰になるとの見方から下落基調になっている。貿易赤字の拡大と1ドル=150円を超える円安進行を生んだ悪循環にも、歯止めがかかる可能性がある。日本経済全体にとってプラスとなる。ガソリン価格を抑える政府の補助金政策の「出口」もようやくみえてくる。 欧州指標の北海ブレント原油先物は10日、一時前日比4%安い1バレル68.68ドルまで下落し、21年12月以来の安値をつけた。米指標のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は同日、一時前日比5%安の1バレル65.27ドルまで下げ、こちらもウクライナ戦争前水準への回帰が近づいている。 背景には世界的な景気減速と供給過剰懸念がある。10日に中国税関総署が発表した8月の原油輸入量は、前年同月比で7%減となった。石油輸出国機構(OPEC)は同日に公表した月報で、24年の石油需要見通しを従来に比べて引き下げた。米国と中国の需要が想定より鈍化する見通しだ。 ウクライナ戦争以降、資源輸入大国の日本は円安と原油高の悪循環に苦しんできた。原油価格が上がると、原油購入の代金を支払うためのドルの需要が増す。輸入企業が外為市場で円を売ってドルを買う動きにつながる。円安進行で原油購入の代金がさらに増えて円売りが膨らむスパイラルに陥った。 エネルギー価格が急騰した22?23年にかけて、輸入総額全体に占める原油や液化天然ガス(LNG)など化石燃料の輸入額割合は30%前後で推移し、17?21年の平均(21%)を大きく上回った。22年度の貿易赤字は過去最大に膨らんだ。外国為替市場では22年10月に一時、1ドル=151円90銭台をつけた。 23年版の通商白書によると22年の貿易赤字の増加分のうち、化石燃料など輸入品の価格高騰が7割を占めたという。エネルギー価格が落ち着いてきたことで、貿易赤字は縮小傾向にある。ソニーフィナンシャルグループの尾河真樹チーフアナリストは「原油価格の低下で貿易収支が改善すれば、為替相場の円安圧力が弱まる可能性がある」と話す。 日本総合研究所の後藤俊平研究員は24年度内のWTI価格が今後60ドルで推移した場合、80ドルで推移した場合に比べて、同年度の実質国内総生産(GDP)が0.7%上振れすると試算する。企業収益の改善が見込まれる。大和総研の田村統久エコノミストは「実質賃金が上がり、個人消費の回復を後押しする可能性がある」と話す。 政府は2022年1月以降、新型コロナウイルス禍からの経済回復を支えるため、補助金を支給してレギュラーガソリンの小売価格を抑えてきた。延長を繰り返した結果、これまで充てられてきた予算額は約7兆円に上る。対症療法的な支出の長期化は脱炭素に逆行するだけでなく、市場の価格形成をゆがめてきた。 政府は現在、補助金がなければ190円前後になるガソリン価格を175円程度に抑えている。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストの試算ではアジア指標であるドバイ原油が1バレル60ドル(現在は70ドル前後)、円相場が1ドル=140円の場合、ガソリンの小売価格は1リットル170円になる。この水準まで下がれば、補助金政策を続ける意味は薄れる。 政府は年末までガソリン支援を続ける方針を示している。原油価格が現在の水準で安定的に推移するようになれば「段階的な支援縮小など出口戦略は描きやすくなる」(経済産業省幹部)とみている。・原油価格、変動の裏にカナダ産 輸送能力拡大で存在感・原油1年4カ月ぶり安値 かすむ日銀の追加利上げ経路・原油70ドル割れ、年初来安値 米中の景気懸念反映2024/09/12 03:40:4763.名無しさんbdBdt日銀・田村委員「段階的に利上げ」 1%程度をめどに2024/09/13 日本経済新聞 朝刊 日銀の田村直樹審議委員は12日の金融経済懇談会後の記者会見で、今後経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば「段階的に金利を引き上げ、経済・物価の反応を確認し適切な短期金利の水準を探っていく必要がある」との見解を示した。 利上げぺースは「ゆっくりとしたペースになる可能性が高い」とも述べた。 田村氏は12日午前の講演で、景気を過熱せず、冷やしもしない中立金利の水準は「最低でも1%程度だろう」との見方を示した。2026年度までの見通し期間の後半に「少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げていく」ことが必要と語った。 記者会見で年内に追加利上げすべきと考えるかを問われた田村氏は「今後の経済や物価、金融情勢次第であり予断は持っていない」として明言しなかった。2024/09/13 06:07:4264.名無しさんbdBdt株、「円高で売り」が一段と鮮明に 海外勢は史上最高値後の売越額5兆円2024/09/13 12:52 日経速報ニュース 海外投資家による日本株への売り圧力が強まっている。日経平均株価が7月11日に史上最高値(4万2224円)を付けた翌週にあたる7月第3週(16?19日)以降、海外勢の売越額は現物と先物の合計で5兆1000億円に達した。その主因として円高・ドル安の進行を挙げる声は多い。欧米中銀が利下げを模索しているのに対し、日銀は利上げを継続する方針とあって、円高と株安が同時進行しやすい状況は当面続きそうだ。 13日午前の日経平均は反落し、前日比326円(0.89%)安の3万6507円で終えた。欧州中央銀行(ECB)は12日、2会合ぶりとなる0.25%の利下げを発表した。米連邦準備理事会(FRB)が17?18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、利下げはほぼ確実視されている。外国為替市場で一時1ドル=140円台後半まで円高が進んだのと歩調をあわせてトヨタ自動車やキヤノンといった輸出関連株に売りが膨らみ日経平均も一段安となった。 東京証券取引所によると海外勢は9月第1週(2?6日)に現物株を8235億円売り越した。1週間の売越額としては今年最大だ。2日の取引時間中に日経平均は一時、3万9000円台に乗せるなど8月急落後の戻りを試していた局面にあたる。個別株の買いと空売りを組み合わせる「ロング・ショート(LS)」戦略の運用担当者は「このタイミングでロングバイアス(買い持ち高を増やす)を強めたLS戦略の投資家は多かった」と話す。 23年4月以降の日経平均の価格帯別に集計した累積売買高では、上方向では3万8000?3万9000円、下方向では3万2000?3万3000円が膨らんでいる。ショート(売り)は貸株料がかかるため、普段からLS戦略は買い持ちの比重が高い。3万9000円を上回れば売り圧力が和らぐとの見方から先高観を強め、さらに買い持ちを増やしたファンドもあったもようだ。だが、その後の日経平均は米株安や円高につられて3日から11日までの7日続落で3000円あまり下げた。 米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が算出するLS戦略の運用成績を示す「株式ロング・ショート指数」は9月第1週にマイナス1.2%。週間では今年2番目の悪い記録で、LS戦略のパフォーマンスが急激に悪化したことがうかがえる。ヘッジファンドの運用スタイルで多いとされるLS戦略の成績悪化は、今後も尾を引く可能性がある。 海外勢は円高への警戒感を強めている。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは今月に欧州を訪問した。現地投資家とのミーティングでは日銀のタカ派姿勢と米経済の減速懸念で大半の投資家は今後、さらなる円高進行を警戒する声が聞かれたという。日銀の利上げ継続の思惑はしばらく続きそうななか、日米の金融政策の方向性の違いなどに起因するボラティリティー(変動率)の高まりから、日本株は当面、レンジ相場とみる投資家が多かったと指摘した。 みずほ証券は9月第1週に機関投資家向けの日本株セミナーを開催した。同証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「想定以上に円高を懸念している海外勢が多かった」と話す。日銀の利上げ継続とFRBの年内数回の利下げは市場に織り込まれているとして、菊地氏は年内の円相場について1ドル=140?150円で推移するとの見解を示したところ、130円台を見込む海外勢がそれなりにいたという。「円買い・株価指数先物売り」によって、短期的には日本株の一段安を見込む向きもあったようだ。 市場では「8月の急落後に割安感が強まった日本株には、長期志向の海外勢が買いを入れた」(外資系証券のストラテジスト)との声も聞かれる。ただ、7月第3週以降に5兆円あまり売り越したというデータをみる限り、海外勢が再び日本株への強気姿勢を強めているような気配は乏しい。 9月相場は後半に警戒――。米国株のSQ(特別清算指数)算出に当たる第3金曜日以降、日米株は過去3年連続で9月は月末にかけ、大幅な下落に見舞われている。決算発表の1カ月前から自社株買いを自粛する米企業が多いことも一因のようだ。今年も9月後半に大幅な調整が入るとすれば、円高加速も重なり海外勢の慎重姿勢は一段と強まりかねない。もちろん、9月末にかけての下押し局面が買い場とみてエントリーしてくる投資家もいるだろう。投資家の運用の巧拙が明暗を大きく分けそうな局面に差し掛かっている。2024/09/13 13:59:1865.名無しさんyUdHEhttps://jp.reuters.com/markets/japan/funds/KK3T6BFPCRMHNBZFULK3WDF6JQ-2024-09-19/バーゼル3見直し案の承認時期は未定=米FRB議長2024/09/20 02:00:1666.名無しさんyUdHE日銀が金融政策維持、消費判断引き上げ-利上げの影響や市場を見極め全員一致で決定、エコノミスト調査では全員が政策据え置きを予想景気の現状と先行きの判断、基調的物価に関する見方は変わらず 日本銀行は20日の金融政策決定会合で、政策金利の無担保コール翌日物金利を0.25%程度で維持することを全員一致で決めた。7月の追加利上げの経済・物価への影響や、8月に不安定化した金融市場動向の見極めが必要との判断が背景にある。 景気は「一部に弱めの動きも見られるが、緩やかに回復している」とし、先行きも「潜在成長率を上回る成長を続ける」との認識を維持。個人消費は「緩やかな増加基調」とし、従来の「底堅く推移」から判断を引き上げた。消費者物価の基調的上昇率は、経済・物価情勢の展望(展望リポート)で示した2024-26年度の見通し期間後半に「物価安定の目標とおおむね整合的な水準で推移する」との見方も据え置いた。 ブルームバーグが6-11日にエコノミスト53人を対象に実施した調査では、全員が金融政策の現状維持を見込んでいた。前回の7月会合での利上げ決定後に、米国経済への後退懸念も重なって金融市場は大きく不安定化したが、今会合の声明文からは日銀の経済・物価の見方や政策運営姿勢に大きな変化は見られていない。 会合結果を受けて外国為替市場では円が対ドルで一時1ドル=141円台まで上昇した。 リスク要因については、7月の展望リポートに続き、金融・為替市場の動向や、その日本経済・物価への影響を十分注視する必要があると指摘。「過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」と記した。 大和証券の末広徹チーフエコノミストは、「為替の影響度を注視しているのは重要なポイント」と指摘。来年にかけて円高が進めば物価の下振れリスクとなり、来年には利上げ停止もあり得るとの見方を示した。その上で、年内に一度、さらに来年の早い時期にもう一度利上げをし「着地点は0.75%程度になるとイメージしている」と語った。 総務省が20日発表した8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比2.8%上昇と、4カ月連続でプラス幅が拡大した。エネルギー価格の高止まりに加え、食料や家庭用耐久財の上昇が全体を押し上げた。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは2.0%上昇と、2カ月ぶりに2%台を回復した。 8月初めの市場急変を受けて内田真一副総裁は同月7日に、市場が不安定な状況で利上げはしない考えを表明した。その後、植田和男総裁ら他の政策委員は、高い緊張感を持って市場を注視するとしつつ、経済・物価が日銀の見通しに沿って推移すれば利上げを進める姿勢に変わりはないとの見解を示していた。2024/09/20 13:23:5867.名無しさん7Q6Sc日銀、金利据え置き 総裁、追加利上げ判断「時間的に余裕」2024/09/21 日本経済新聞 朝刊 日銀は20日開いた金融政策決定会合で、金融政策を現状維持し政策金利を0.25%に据え置いた。会合後の記者会見で植田和男総裁は、今後の追加利上げの判断に「時間的な余裕はある」と述べ、米経済や国内の経済・物価情勢を見極めていく姿勢を示した。(関連記事総合2面、会見要旨総合4面に) 7月末の会合で利上げを決めた後、為替相場が円高方向に動いた。植田総裁は2024年の年初からの円安進行に伴った物価の上振れリスクは「相応に低下した」と指摘した。 金融市場の動きは「引き続き不安定な状況にある」との見解を示し「極めて高い緊張感をもって注視する」と強調した。 会見開始直後に外国為替市場で1ドル=141円台後半を付けた円相場は、早期利上げの可能性は低いとの観測から、一時144円台に下落した。 植田総裁が追加利上げの判断に時間をかける姿勢を見せたのは、海外経済の先行きに「不透明感がある」との背景がある。金融資本市場の不安定な動きにもこうした見方が反映されているとの認識だ。 米連邦準備理事会(FRB)は18日、通常の倍となる0.5%の幅で4年半ぶりの利下げを決めた。植田総裁は、米国経済がソフトランディング(軟着陸)するとの見通しについて「メインシナリオと見ている点に変わりはないが、リスクは少し高まっている」と語った。米国は個人消費が好調な一方、労働市場が弱含んでいることを理由に挙げた。 今後の米経済やFRBの金融政策は「全体像がまだ見えていない。注意してみていきたい」と話した。 植田総裁は海外の不確実性をリスク要因として注視しつつ、これまで示してきた利上げ方針は維持した。経済・物価の見通しが実現していけば「政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを改めて示した。 現状の政策金利である0.25%は、インフレを考慮した実質金利でみて「極めて低い水準にある」とし、複数回の利上げが可能なことを示唆した。 日銀は追加利上げの判断で、一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率の動きを重視する。堅調な個人消費などを受け、現状で基調物価の判断を「若干なりとも上げてもいいような材料」があると言及した。 ただ米国経済の動きが先行きについて「若干の不透明性を高め、(国内の好調と)相打ちのような形になっている」との状況認識を示した。 植田総裁は「見通しの確度が高まったからすぐ利上げとはならない」と述べ、決められた利上げのペースやスケジュールがあるわけではないと語った。「ある程度まとまった情報が得られたと判断できたところで、次のステップに移るとならざるを得ない」と述べ、データ次第との姿勢も重ねて強調した。2024/09/21 08:23:1968.名無しさん7Q6ScFRBより弱気? 植田日銀、奇妙な「米景気診断」の内実-編集委員 大塚節雄2024/09/21 09:02 日経速報ニュース 「米国であれば、ソフトランディング(軟着陸)的なシナリオに近い姿が実現していくのか。もう少し厳しめな調整になっていくのか。これを丁寧に見極めていきたい」 不思議な記者会見だった。日銀の植田和男総裁は政策金利を据え置いた20日の金融政策決定会合のあと、米景気のリスクを繰り返し強調し追加の利上げ時期を吟味するうえでの焦点だと言明した。日本の利上げの命運を米景気、もしくは米連邦準備理事会(FRB)に委ねたかのようだ。 そのわずか36時間前、0.5%の大幅な利下げを決めたFRBのパウエル議長は「後手に回らぬ決意」とともに、米景気の軟着陸説を勇ましく唱えた。会見でのトーンを比べる限り、植田氏のほうが米経済に悲観的なのは明らかだ。この奇妙な日米の「ズレ」には何があるのか。植田氏の発言を点検しよう。 「(利上げを決めた7月会合後の)データをみても、われわれの見通し通りに足元、動いてきていると日本経済をみている。これは若干なりとも基調的物価上昇率に対する判断を上げてもいいような材料だ」 今回、個人消費の判断を「底堅く推移」から「緩やかな増加基調」に引き上げたように、日銀は国内経済の底堅さには自信を深めている。利上げの是非を判断する決め手は「基調的な物価上昇率が目標の2%へと上向きつつあるか」「経済・物価見通しが実現する確度が高まっているか」の2点だ。7月末の利上げ決定の一端を担った「オントラック(想定通り)」という発言は主に後者を指すが、エコノミストらから「消費が停滞したままではないか」との反発も招いた。 今回は懸案の消費判断を引き上げ、オントラックの継続を認めたうえで「基調的な物価上昇率に対する判断を上げてもいい」と踏み込んだ。賃金上昇の広がりやサービス価格に波及する兆しも踏まえると、利上げを決めてもおかしくはなかったことになる。だが、上記の発言の直後にはこんな説明が続く。 「他方で海外経済、とくに米国経済の動きが先行きに関して若干、不透明性を高めている。それがなにか相打ちのようなかたちに足元なっていると認識している」 単純に解釈すると、米景気のリスクが足を引っ張り、連続利上げの判断を妨げたことになる。 ここで注目すべきなのが、広くニュースの見出しにも使われた「時間的余裕」発言だ。サプライズを伴った7月末の利上げが、経済・物価のオントラックぶりに加え、それまでの急激な円安が輸入物価の押し上げを通じ、物価の上振れリスクを高めているのに対応したのと強く関係している。 「最近の為替動向も踏まえると、年初以降の為替円安に伴う輸入物価の上昇を受けた物価上振れリスクは、相応に減少しているとみている。したがって政策判断にあたって、先ほど来申し上げてきた点を確認していく時間的な余裕はある」 「先ほど来申し上げてきた点の確認」というのは、次の通りだ。 「政策判断にあたっては内外の金融資本市場の動きそのものだけでなく、その変動の背後にある米国をはじめ海外経済の状況などについて丁寧に確認していくことが重要だ」2024/09/21 12:57:5369.名無しさん7Q6Sc 要は米経済のリスクをよく確認する必要があり、7月末の利上げもあって円安が収束したため、その点を吟味する余裕ができたということだ。 7月末の利上げは円の反転上昇に加えて株価の急落も招いた。日銀が不運だったのは、米景気指標の急激な下振れと重なったことだ。今回の米景気リスクへの警戒は、このときの市場の混乱と深く結びついている。 「米国をはじめ海外経済の先行きを巡る不透明感が昨今の金融資本市場の動きの背後にあると考えている」 市場混乱のさなかの8月7日。内田真一副総裁は講演で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と火消しに回った。逆に言うと「市場が安定しさえすれば、利上げに動ける」という意図があるのは言うまでもない。 むしろ問題は「市場の安定」を何をもって判定するのかの難しさにある。今回の会見で重要なのは、植田日銀が「市場が安定したのかどうか」の判断を、市場の動きの背後にある「米経済の不透明感」の話に置き換え、「軟着陸の成功」を利上げの条件に据えたことだ。 植田氏は「軟着陸をメインシナリオとみている点は変わりない」と語ったうえで労働市場の減速を念頭に「8月初め以降の米経済に関するデータは少し弱いものが続いているのでリスクは少し高まっている」と警戒した。「FRBが減速傾向を食い止めるためにどれくらいの利下げをしていくのか、全体像がまだみえていない」とも語った。 もし米景気の軟着陸を強く信じているのであれば、やがて「市場安定」の判定問題は雲散霧消し、自然に利上げの環境が整うとみているのだろう。逆に、下振れリスクを本気で心配しているのなら、これ以上の利上げを進められないという事態もうすうす覚悟し始めていることになる。 当のFRBはどうか。パウエル氏は今回、0.5%の大幅利下げによって米労働市場、ひいては米景気の下振れリスクに先手を打ったとアピールした。2回目以降の利下げはゆっくりと進める政策金利シナリオも示しつつ、「景気後退の可能性が高まっていることを示すものは何もない」「米経済は良い状態にあり、きょうの決定はそれを維持するためのもの」などと軟着陸をアピールした。 一方で米連邦公開市場委員会(FOMC)内では失業率が悪化方向にぶれるリスクを気にするメンバーが急増しており、パウエル氏の強気発言とは裏腹に、軟着陸シナリオの失敗を懸念している内実も見え隠れする。 日銀内で感触を探ると、米経済について明確に、あるいは意識的にFRBの認識よりも弱気にみているわけではなさそうだ。 一方的な円安が収まった以上、利上げを急ぐ必要はない。日銀にこの思いが強いのは確かだ。ただし「為替を直接の操作対象にしない」とする建前上、円安が収まったから利上げを見送る、との説明では厳しい。経済や物価がオントラックなら利上げに至りうるという説明との整合性を考えると、国内景気の動きを理由にした現状維持も成り立たない。 代わりに「米経済の軟着陸か否か」を前面に押し出せば、見送りの理由にしやすい。「市場が安定したかどうか」の判定の尺度も明確にできる。パウエルFRBの情勢判断や政策手腕を信じるなら、そう遠くないうちに利上げの機は訪れるはずだ――。日銀執行部の心中は、こんなところかもしれない。 外国為替市場は今回の植田氏の説明ぶりを追加利上げに慎重な「ハト派」と受け止め、20日の円相場は一時1ドル=144円台半ばまで円安・ドル高が進んだ。だが植田氏が「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」と語った通り、日銀は利上げ路線自体を断念したわけではない。 では次の利上げはいつか。米経済の不透明性とそれに伴う市場の変動リスクを考えると、11月の米大統領選前である10月末の次回会合は考えにくい。一方、もし米景気の軟着陸が濃厚となれば、12月会合の利上げの線はまだ消えていないだろう。 「多くの企業が10月を中心にサービス価格の改定時期に当たるので、そこで好調な賃金動向がどれくらい反映されるかには強い関心をもっている」 国内の賃金と物価動向に絡み、最も重要だった植田氏の発言だ。この点が判明するのが11月以降。12月利上げはこの発言とも符合する。米経済とFRBに身を委ねつつも年内の利上げの線が完全になくなったわけではないことには注意が必要だろう。【関連記事】・来春賃上げ「期待できる」 日銀の植田総裁会見要旨・日銀総裁、利上げ判断「時間的に余裕」 金利は据え置き・[社説]日銀は正常化の歩みを周到に・次の利上げはいつか、日銀に難局2024/09/21 12:59:3770.名無しさん7Q6Sc焦点:米利下げ局面入り、07年と異なる経済情勢 日銀は米国動向を注視[東京 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が0.5%の利下げに踏み切ったが、日銀が利上げ局面にあるなかで米国が利下げした2007年とは内外の環境が大きく異なる。日銀内では、今回の米利下げは景気を下支えするもので、追加利上げに向けた日銀の動きを崩すものではないとの見方が出ている。一方、米経済減速懸念などを背景に円高が一段と進む場合は賃上げに影響する可能性もあり、その動向を確認する必要があるとの指摘もある。<07年と「大きく異なる」環境>植田和男総裁は20日の金融政策決定会合後の会見で、政策を現状維持とした理由について、経済・物価見通しはオントラックだが、米経済見通しが不透明性を高めていると説明。政策判断に当たって、市場不安定化の背景にある米国経済の状況を丁寧に見ていく「時間的な余裕はある」と話した もっと見る 。その米国経済について、植田総裁は現時点でソフトランディングがメインシナリオだと発言。今回同様、日本と米国の金融政策スタンスが逆となった2007年当時とは、内外経済の状況が大きく異なる。そんな声も日銀では出ている。日銀は06年3月に量的緩和を解除、その後ゼロ金利も脱し、07年2月に政策金利を0.5%に引き上げた。こうした中、07年8月にパリバショックで世界の金融市場が動揺、FRBは翌9月に政策金利を5.25%から4.75%に下げた。その後、米景気は後退局面に入り、リーマンショック後の08年12月にFRBはゼロ金利政策を導入。日銀も07年2月以降、据え置いてきた政策金利を08年10月に引き下げたが、その後、長く円高が続くこととなった。現在の日本は、政策金利こそ0.25%で07年2月時点より低いものの、コアCPIの前年比は2%台後半で推移。30年ぶりの賃上げ率が実現するもとで、賃金と物価がともに上がる好循環が回り始めている。米国経済もサブプライムローン問題が深刻化した当時のようなバランスシートの偏りもなく、金融機関の健全度も維持されている。こうした違いの中で、日銀内では今回の利下げが米景気を下支えするとの見方が出ている。米経済のソフトランディングシナリオを前提とすれば、追加利上げに大きな支障をもたらすことはない。2024/09/21 15:46:2971.名無しさん7Q6Sc第一生命経済研究所の前田和馬・主任エコノミストは、7月米雇用統計が失業率の3カ月移動平均を用いて足元の景気後退を判断する「サーム・ルール」に触れたことについて、「1950年以降、過去11回の景気後退期では全てサーム・ルールが発動しており、その精度は非常に高い」とする一方、雇用は増え続け、減少に転じたわけではないと指摘。米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された米経済のソフトランディングシナリオには「妥当性がある」と話している。日銀では、米大統領選の結果にかかわらず、新大統領の就任で財政出動が見込まれるとして、来年の米国のインフレ圧力になりそうだとの見方も出ている。FRBの利下げ幅が小幅にとどまれば、為替円高の動きは限定的となり、日銀の利上げに追い風となる可能性もある。<米経済減速の深まり、円高など注視>日銀内には、米経済やFRBの金融政策を巡って、当面は市場の不安定な状況が続く可能性があるとの声もある。植田総裁も米経済のソフトランディングについて、リスクは少し高まっていると指摘、米経済減速懸念などを背景に円高がどこまで進むかも、今後の日銀の政策を占うカギとなる。FOMC後に公表された金利見通しによれば、年内にさらに0.5%、25年にもう1%の利下げが見込まれている。25年には四半期に1回の利下げという計算になる。グローバルマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は「テイラールールを計算すると、25年の利下げ幅は0.6%で、1%は下げ過ぎ」と指摘するが、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは19日付リポートで「現在、米国・日本市場で織り込まれていない将来の金融政策が今後織り込まれていくとすると、1年後のドル/円レートは1ドル=132.5円程度となっている可能性がある」との分析を示す。6月日銀短観での企業の想定レートは1ドル144.77円。足元の水準であれば影響は軽微とみられるが、円高が一段と進めば日本の企業収益に下押し圧力がかかりかねない。米景気先行き懸念からFRBの大幅利下げ観測が高まり、さらに円高に振れれば、来年の賃上げに影響が及ぶ事態も想定される。植田総裁は20日の会見で、米国はじめ海外経済の先行きをめぐる不透明感が金融市場の背後にあると話し、丁寧に分析し、経済・物価見通しへの影響を確認していく考えを示した。日銀内では、米経済の下振れ警戒が根強い場合には、日本企業の来年の賃上げに向けた動向をしっかり見極めた上で次の利上げに進むべきだとの声が出ている。2024/09/21 15:48:2372.名無しさん6JpgX東京メトロ上場へ、時価総額は今年最大 収益多角化と優待評価が鍵に2024/09/24 08:00 日経速報ニュース 東京証券取引所は20日、東京地下鉄(東京メトロ、9023*J)の新規上場を承認した。10月23日に東証プライム市場へ上場する。首都圏で地下鉄を運営する鉄道会社とあって知名度は高い。想定発行価格(1100円)と上場時の発行済み株式数(5億8100万株)から計算した時価総額は6391億円と今年最大規模になる見通しだ。 売り出し株数は2億9050万株で、売り出しの内訳は国内2億3240万株、海外5810万株。株主である政府(財務大臣)が1億5517万1585株東京都が1億3532万8415株をそれぞれ売り出す。国は復興財源確保法に基づき、東京メトロ株の売却収入を復興債の償還費用に充て、都はインフラ整備に充当する方針だ。主幹事は野村証券で仮条件は10月7日、公開価格は10月15日にそれぞれ決定する。 半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(HD、旧東芝メモリ)が1.5兆円規模で10月にも上場するとの観測がある。キオクシアHDの上場承認は発表されていないため、東京メトロは上場時点で2024年の新規株式公開(IPO)のなかでは最大規模の案件になる見通し。私鉄大手の時価総額との比較では1兆円を超える東急(9005)や阪急阪神ホールディングス(9042)は下回るものの、京成電鉄(9009、7611億円)や近鉄グループホールディングス(9041、6669億円)とちかい規模となる。 /home/member/news/202409/ucljpg_b0d839cfe878bd0929aeb8572a2b55e7.jpg?format=raw 東京メトロの25年3月期(今期)の連結純利益は前期比13%増の523億円を見込む。今期予想ベースのPER(株価収益率)は12.2倍程度。鉄道が主力のJR東海(9022、8倍)や大手私鉄の一角である東武鉄道(9001、11倍)よりは高いが、小田急電鉄(9007、15倍)や東急(18倍)を下回る。 東京メトロは、営業収益に占める旅客運輸収入の割合が約83%(24年3月期)と高い。人口密集地の首都圏での事業が中心なだけに、売上高営業利益率は19.6%(24年3月期)と高く、私鉄で収益力の高さに定評がある東急(9.1%)や阪急阪神(10.6%)も大きく上回る。 鉄道以外に収益源を多角化する余地は大きい。東京メトロは小田急などと共同で新宿駅西口の再開発に着手しており、29年度をめどに新宿駅の上に高層ビルを建設する。3月には国内外の現地ツアー予約サイト運営のベルトラ(グロース、7048)と資本業務提携を結び、東京の観光施設をフリーパスで回れる乗車券付きの新商品の開発などを進めている。機関投資家に需要を聞き取るブックビルディングを通じて、こうした動きが公開価格にどう反映されるかがまずは注目される。 個人投資家の長期保有を促すための株主優待制度への関心も高い。毎年3月末と9月末を基準日として保有株数に応じて全線片道切符を発行する。例えば「200株以上400株未満」の株主は全線片道切符を3枚受け取れる。このほか年1回、3月末時点で「200株以上」を保有する株主には地下鉄博物館(東京・江戸川)の無料招待券5枚や、「そば処めとろ庵」のかき揚げトッピング無料券やゴルフ練習場の入場無料券などがもらえる。優待は上場後の株価の下支え要因となるだけに、個人の動向にも気を配りたい。2024/09/24 08:39:0973.名無しさん7NGEK債券寄り付き 長期金利、0.795%に低下 8月5日以来の低さ 米金利低下で2024/09/25 09:08 日経速報ニュース 25日朝方の国内債券市場で長期金利が低下(価格は上昇)している。指標となる新発10年物国債の利回りは前日を0.020%下回る0.795%をつけた。金融・資本市場が混乱した8月5日以来およそ1カ月半ぶりの低さ。24日発表の米経済指標の下振れを受けて米長期金利が低下し、国内債にも買いが入った。日銀の追加利上げ時期が後ずれしたとの見方も相場の支えとなった。 24日発表の9月の米消費者信頼感指数は98.7と、前回改定値(105.6)から低下したうえ、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(104.0)も下回った。米景気の減速懸念や米利下げ観測から米国債には買いが入り、米長期金利は3.73%に低下した。 日銀の植田和男総裁は24日に大阪市内で開いた講演で「基調的な物価上昇率が見通しに沿って高まっていくならば、政策金利を引き上げ、緩和の度合いを調整していくことが適当」と改めて強調した。一方、為替の円安修正により物価の上振れリスクが減少し、政策判断に「時間的な余裕はある」との見方を20日に続いて示した。日銀が追加利上げを急がないとの見通しが改めて広がったことも相場の押し上げ要因となった。 先物相場は続伸して始まった。中心限月の12月物は前日比8銭高の145円19銭で寄り付いた。短期金融市場では大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物が上昇し、中心限月である12月物は前日比0.0100高い99.7075をつけた。2024/09/25 09:45:4474.名無しさん7NGEK薄れる日米国債金利の連動性 「日本は日本」、日銀政策に一喜一憂2024/09/25 13:51 日経速報ニュース 日米の長期金利の連動性が薄れてきている。20日の日銀の金融政策決定会合以降、米長期金利が上昇(債券価格が下落)する局面でも日本の長期金利は低下(価格は上昇)基調を保ったままだ。日本と米国との間で政策の方向性の違いが鮮明になっており、これまで米国債に左右されがちだった国内債市場に「日本は日本」との空気が生じている。 24日以降の国内債相場は中期債を中心に利回りが大きく低下した。政策金利の影響を受けやすい2年物国債利回りは前日を0.010%下回る0.330%まで下がり、前週末20日の0.390%から大きく水準を切り下げている。25日は長期金利の指標となる新発10年債利回りが一時0.795%と、金融・資本市場の混乱が起きた8月5日以来、およそ1カ月半ぶりの低水準をつけた。 金利低下の主因は日銀による早期利上げ観測の後退だ。植田和男総裁が政策判断にあたり「時間的余裕がある」との見解を20日と24日にそれぞれ示したからだ。この間、米債利回りの強弱感は明確ではなく、国内債がもっぱら日銀に焦点をあてて動いていることがわかる。 グローバルな資本移動が進む現在は、日米の国債金利は連動しやすいとされる。世界規模で運用する投資家は期間を区切って資産配分の比率を決めている。例えばもし米債の価格が上昇すれば、日本国債の比率があまり下がらないように機械的に買いを入れるケースが出てくる。 だが、どの国も独自の国内要因を抱えている。とりわけ、日本では金融政策の正常化という新たな段階に入り、引き締めからの撤収局面を迎えた米国との対照性が浮き彫りになっている。海外の投資家も日本固有の材料への感応度を高めざるを得なくなり、相場が「米債離れ」をする日が増えているわけだ。 三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介氏も「短期的に」と前置きしたうえで、日米国債利回りのデカップリング(非連動)が続く可能性を指摘する。では国内要因が主導する今後の相場展開はどうなるのか。 日銀の植田和男総裁は24日に大阪市内で開いた講演で「基調的な物価上昇率が見通しに沿って高まっていくならば、政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことが適当」と従来の立場を改めて示した。ただ、足元の為替の円安修正に伴い物価の上振れリスクが相応に減少し、政策判断にあたって「時間的な余裕はある」とも説明した。 三菱モルガンの鶴田氏は「基本的に日銀は利上げ方針を掲げており、先々の金利上昇は意識されやすい。半面、指をくわえてみている投資家は少ない。金利が上昇した局面で債券買いを入れる動きも出てくる」と話す。 国内外の債券を中心に運用するSOMPOアセットマネジメントの前田洋司氏は「(金融・資本市場が一時混乱した)8月以降、国内金利の低下を見込んだ投資戦略をとっている。10月もデュレーション(元利金の平均回収期間)の長期化を中心に考えている」という。 さらに前田氏は「日本の期待インフレ率の低下や為替の円高による景況感の押し下げの可能性、日銀の利上げ観測後退などを踏まえて国内長期金利は0.6%まで下がってもおかしくない」と強気だ。また中期債のうち5年債についても、8月月初の0.6%台から足元で0.4%台へと水準を切り下げるなかで「買う余地はある」という。 27日には自民党総裁選の投開票が控え、その後は衆院解散・総選挙が取り沙汰されている。次期首相になる新総裁の経済政策を見極めたいとして、「国内債には売り手が少ない状態になる」(三菱モルガンの鶴田氏)との声も聞かれる。 日銀の政策正常化のプロセスを織り込むのにはまだ時間がかかるだろう。米国は米国で今後の利下げの余地や景気回復の見通しを織り込む段階になるが、日銀への注目度が簡単には下がりそうにないとすれば、日米国債利回りのデカップリングは来年まで継続するのかもしれない。2024/09/25 13:59:2075.名無しさんNQokYフィンテック規制、総点検へ 金融庁 法制定14年、時代に合わず 利用者保護の不備補う2024/09/26 日本経済新聞 朝刊 金融庁は銀行の代わりに送金・決済・与信サービスを提供するフィンテック事業者に対する規制を総点検する。資金決済法制定から14年を経て、利用者保護に支障が生じる恐れも出ており、時代に合わなくなってきた。 金融審議会の作業部会が25日、資金決済法改正に向けた議論を始めた。2025年の通常国会への改正案提出をめざす。規制の結果、ステーブルコインなど利用が進まないサービスがあり、規制緩和も焦点になりそうだ。 資金決済法は銀行が独占してきた送金・決済・与信業務を開放し、それを担う新しい事業者とそのサービスを規制する法律。施行した2010年当初は、プリペイドカードや電子マネーといった前払い式の支払い手段への規制が柱だったが、暗号資産(仮想通貨)やバーコード決済など新たな決済手段が登場するたびに改正を重ねてきた。 今回議論の中心になるのが、新たな金融サービスやフィンテック事業者への規制のあり方だ。 国境を越えた送金や決済も増え、「クロスボーダー収納代行」と呼ばれるサービスを規制対象にするかが論点の一つだ。 現行法はコンビニでの公共料金の支払いなど国内で完結した収納代行を想定している。国境をまたぐこのサービスは原則適用外とされており、支払い遅延のリスクが生じたり、国内取引に比べ送金経路も複雑だったりする。個人の利用が増えている可能性もある。 金融庁は利用者を保護するため、「資金移動業」の登録範囲を広げたり新たな規制を設けたりすることを検討する。サービス提供者に規制の網をかければ、未払いなどのトラブルに対応しやすくなる。 BPSP(ビジネス・ペイメンツ・ソリューション・プロバイダー)と呼ばれる立て替えサービスも論点だ。サービス事業者が利用者に代わって一定期間、支払いを代行する行為が実質的には「貸金業者」との指摘が出ている。 運転資金の圧縮や銀行振込コストの削減を進めたい企業のニーズを受け広がっている。現行の資金決済法は利用者が事前に代金を支払う前払いを前提とし、立て替えを想定してこなかった。 貸金業法に基づく登録を求めれば、重い規制を課すことになるが、業者はサービスを維持できなくなる恐れがある。25日の作業部会では、委員から「過剰与信の入り口になり得る。防止が必要だ」などの意見が出た。 取引増加が続く暗号資産を巡っても追加のルールを検討する。国内外で暗号資産交換業者からの不正流出が絶えず、破綻に追い込まれる業者も少なくない。2022年には世界2位の暗号資産取引所だった米FTXが破綻し、国内資産の保護が焦点になった。 金融庁は資金決済法の行政処分の規定に「国内資産保有命令」の追加を検討する。FTXの場合、日本法人が金融商品取引法の登録を受けており、同命令を出すことができたものの、資金決済法の登録だけであれば、難しかった。法の落とし穴とも言えた。 金融規制は利用者の利便性を損ねたり、金融機関の使い勝手が悪くなったりする時もある。例えば、法定通貨の価値に連動するステーブルコインは2023年に発行できる制度を創設したが、利用は低調だ。発行額に見合った金額を現預金で用意しなければならない規制で、発行コストをまかなうことができないことが原因だ。 金融庁は現預金に加えて短期国債を認める方向で規制緩和を検討する。英国や米国ニューヨーク州などはすでに国債など安全資産での運用を認めている。このほか利便性を損ねている規制も総点検し、必要な規制緩和も同時に検討する方向だ。2024/09/26 06:09:3476.名無しさんNQokY日銀要旨、複数の委員「『物価安定目標』実現の確度はさらに高まった」2024/09/26 09:59 日経速報ニュース 日銀は26日、7月30?31日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。複数の委員は、2%の「物価安定目標」について「実現していく確度は、さらに高まった」と指摘した。ある委員は、春季労使交渉の結果が賃金に反映されるなど「経済情勢に加えて、物価動向もオントラック(想定通り)と評価できる」と述べた。また、1人の委員は企業による賃金や価格の設定行動が積極化する中で「4月に続き、10月についても相応の『期初の値上げ』がみられる可能性が高い」との見方を示した。 7月会合では政策金利を0.25%に引き上げることを決めた。何人かの委員は経済・物価情勢に応じて「きわめて低い金利水準を、現段階から少しずつ調整していくことが適切だ」との見方を示した。多くの委員は小幅な利上げを実施しても「実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な金融環境は維持される」として「引き続き経済活動をサポートする」との認識を共有した。 複数の委員は消費者物価指数(CPI)について前年比で2%を超える上昇が続いており、物価の上振れリスクが「政策判断において、より重要な判断要素になる」との見方を示した。2024/09/26 10:13:5077.名無しさんNQokY円下落、一時145円台 米大幅利下げ観測が後退2024/09/26 12:51 日経速報ニュース 26日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時1ドル=145円台に下落した。4日以来およそ3週間ぶりの円安・ドル高水準。25日に発表された米経済指標が市場予想を上回った。米国経済が底堅いとの見方から米連邦準備理事会(FRB)の大幅追加利下げ観測が後退。日米金利差縮小への意識が和らぎ円売り・ドル買いが広がった。 米商務省が25日発表した8月の新築住宅の販売件数は前月から4.7%減ったものの、市場予想(5.3%減)ほど悪化しなかった。米景気懸念が後退し、米金利が上昇。日米金利差の拡大が意識された。 月末かつ四半期末で、国内の輸入企業など実需による円売り・ドル買いの動きも出ているとの見方がある。2024/09/26 12:53:0578.名無しさんNQokYあす自民総裁選、金融市場が描くシナリオ 金利低下・円安の巻き戻しなるか2024/09/26 14:11 日経速報ニュース 岸田文雄首相の任期満了に伴う自民党総裁選が27日、投開票日を迎える。選ばれた新総裁は近く召集予定の臨時国会での指名選挙を経て次期首相に就く見通しで、金融市場の関心も高い。報道各社の世論調査では乱立する候補のうち3人まで絞られつつあり、市場参加者は各候補ごとに相場がどう動くかのシナリオを描いて臨んでいる。 自民党総裁選は27日13時から議員や党員の開票が始まる。過去最多の9人が立候補するなか、各社の調査によれば石破茂元幹事長と高市早苗経済安全保障相、小泉進次郎元環境相の3人が新総裁に有力視されている。 金融市場で総裁選に関心が向かうのは次期首相が日銀の金融政策運営に影響を及ぼすとみられているためだ。代表的なのが高市氏で、23日公開のインターネット番組では「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言し、日銀の利上げをけん制した。 「高市新首相」を前倒しで織り込むように、25日の国内債券市場では長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時0.795%と8月5日以来およそ1カ月半ぶりの水準に低下。26日の東京外国為替市場で円相場は約3週ぶりに1ドル=145円の節目を割り込むなど金利低下・円安が進んでいる。 高市氏が勝利すると日本国債相場はどうなるのか。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「中期ゾーンが買われ、新発2年債利回りは0.3%割れもあり得る」とみる。一方、市場では日銀の追加利上げが後ろにずれ込むと織り込まれつつあり、SMBC日興証券の奥村任シニア金利ストラテジストは中期ゾーンよりも「(保有し続けることで得られる)キャリー収益を確保する需要でより長い年限の債券を買う動きが広がりやすい」と読む。 外為市場では一段の円安・ドル高が進むとの見方が優勢だ。けん制色を強める高市氏が勝利すれば、日銀は次の利上げすらも難しくなりかねない。さらに高市氏が掲げる「戦略的な財政出動」が財政拡張の思惑を招きやすく、伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは「長い目でみても円が弱くなるリスクを意識せざるを得ない」と話す。 石破氏や小泉氏が勝利すると、足元で広がる金利低下・円安という「高市トレード」はいったん巻き戻される公算は大きいが、この候補2人でも巻き戻しには濃淡が出そうだ。 石破氏は25日の記者会見で、岸田首相が進めてきた「成長と分配の好循環」について「さらに力強く、確実なものにしていく」と述べたと伝わった。注目された金融所得課税の強化について問われると「いまの貯蓄から投資へという流れは一層加速させていく」とややトーンダウンしている。 安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」から距離を置き、日銀の利上げも歓迎するとみられていたが、市場からは石破氏が勝利しても「岸田内閣とあまり変わらないかもしれない」(みずほ証の上野氏)との声が漏れ始めている。 むしろ影響が大きそうなのは小泉氏が勝利した場合だ。小泉氏は金融政策について日銀の独立性を尊重するとの立場を表明している。伊藤忠の武田氏は、フリーハンドになった日銀が利上げを進めやすくなるとみて「金利上昇や円高が進むスピードが(3人のなかで)最も速まる可能性があるのは小泉氏ではないか」と予想する。 新総裁選びが最後までもつれ込めば「たとえ高市氏が総裁選に敗れたとしても、組閣で重要なポストに就く展開もあり得る」(みずほ証の上野氏)。新総裁の選出だけでなく、10月以降に明らかになる新内閣の人事案が思わぬ影響を与える可能性は残る。いくつものシナリオを意識しつつ、金融市場は総裁選の行方を固唾をのんで見守っている。2024/09/26 14:40:2479.名無しさんN0AjL日銀、金利を段階的に引き上げるべき インフレデータ正当化なら=IMFBy ロイター編集2024年10月4日午前 2:19 GMT+94時間前更新[ワシントン 3日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は3日、日銀は引き続きデータに基づき、インフレ見通しに沿って政策金利を段階的に引き上げていくべきという見解を示した。さらに、日銀がこれまでに金融政策の正常化に向けた重要な措置を講じたとし、2%の物価目標達成に向けた軌道に乗っていると述べた。日本経済は拡大を続けているという認識も示した。2024/10/04 06:43:0280.名無しさんN0AjL債券寄り付き 長期金利、0.87%に上昇 1カ月ぶり高さ2024/10/04 09:11 日経速報ニュース 4日朝方の国内債券市場で、長期金利が上昇(債券価格が下落)している。きょうから新発債となった10年物376回債の利回りは前日を0.010%上回る0.870%に上昇した。新発債としては9月12日以来、約1カ月ぶりの高水準をつけた。3日発表の9月の米サプライマネジメント協会(ISM)非製造業景況感指数が改善して同日の米長期金利が上昇し、4日の国内債にも売りが及んでいる。 先物中心限月である12月物は前日比17銭安の144円77銭で始まった。バイデン米大統領は3日、イスラエルによるイラン石油施設への攻撃を米国が支援するか「議論している」と述べた。中東情勢の緊迫化は、リスク回避の債券買いにつながる一方、原油高を通じてインフレ圧力を高めるため米国債が売られた面もある。 短期金融市場では大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物は取引が成立していない。2024/10/04 09:32:4781.名無しさんOfhxmNY債券、長期債続落 10年債利回り4.02% 2カ月ぶり高水準 大幅利下げ観測の後退で売り継続2024/10/08 06:14 日経速報ニュース 【NQNニューヨーク=矢内純一】7日のニューヨーク債券市場で長期債相場は4日続落した。長期金利の指標となる表面利率3.875%の10年物国債利回りは前週末比0.05%高い(価格は安い)4.02%で終えた。一時4.03%と8月上旬以来およそ2カ月ぶりの高水準を付けた。米連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げ観測が後退しており、債券に売りが続いた。 前週末発表の9月の米雇用統計は市場予想を上回る内容で、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で9月と同じ0.5%の利下げを決めるとの観測が後退。7日の取引でも大幅な利下げを見込んだ取引の巻き戻しが続いた。米短期金利先物の値動きからFRBの金融政策を予想する「フェドウオッチ」では11月に政策金利を据え置く確率が前週末4日の2%台から10%台半ばに上昇した。 市場では、米経済が軟着陸(ソフトランディング)に向かうとの観測は根強い。ゴールドマン・サックスは6日付のリポートで米国経済が1年以内に景気後退に陥る確率を20%から15%に引き下げた。 一方、米経済の底堅さがインフレ沈静化のペースを鈍らせるとの見方もある。中東情勢が緊迫するなか、7日の米原油先物相場は前週末に比べ、一時4%上昇した。週内には9月の米消費者物価指数(CPI)と米卸売物価指数(PPI)の発表がある。FRBの金融政策の先行きを見通す上で重要な物価統計を見極めたいとの雰囲気があった。 金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りは前週末比0.07%高い3.99%で終えた。一時4.02%と8月下旬以来の高水準を付けた。7日早朝の取引では、10年債の利回りが2年債の利回りを回る「逆イールド」が発生する場面があった。2024/10/08 06:17:0382.名無しさんOfhxm長期金利、0.930%に上昇 2カ月ぶり高さ2024/10/08 09:21 日経速報ニュース 8日午前の国内債券市場で長期金利の指標である新発10年物国債利回りが前日を0.010%上回る0.930%に上昇(価格は下落)した。8月6日以来、約2カ月ぶりの高水準となった。底堅い米労働市場から米国経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が高まっている。米連邦準備理事会(FRB)は大幅な利下げを続けないとの見方が広がり、7日の米長期金利が4%台と約2カ月ぶりの高さに上昇した。国内債にも売りが及んでいる。2024/10/08 09:24:2783.名無しさんOfhxm債券11時 長期金利が上昇 一時0.93%、2カ月ぶり高さ2024/10/08 11:14 日経速報ニュース 8日午前の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが前日を0.005%上回る0.925%に上昇(価格は下落)した。一時は0.930%と8月6日以来およそ2カ月ぶりの高水準をつけた。7日の米長期金利が4%台に上昇し、国内債にも売りが波及した。 底堅い米労働環境を映す経済統計を受け、米国経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が高まっている。米連邦準備理事会(FRB)は大幅な利下げを続けないとの見方が広がり、7日の米長期金利は約2カ月ぶりの高さとなる4.02%へと上昇した。 売り一巡後は底堅く推移した。国内金利は足元で急ピッチで上昇していたとあって、持ち高調整を目的とした買いも入った。 財務省は8日、30年物国債(新発84回、表面利率2.100%、発行予定額9000億円程度)の入札を実施する。他の年限と比べた割安感や新発債への一定の需要を背景に、「大きく崩れることはないのではないか」(国内証券の債券調査担当者)との見方があった。 新発30年物国債の利回りは前日を0.025%上回る2.135%と8月8日以来の高水準をつけた。入札を前に持ち高調整の売りが出た。新発20年債利回り前日比0.020%高い1.720%で取引されている。中期債では、新発2年債利回りが一時0.410%と8月2日以来の高さをつけた後、買いが優勢となり0.4%ちょうどへと低下に転じている。 債券先物相場は反発し、中心限月の12月物は前日比2銭高の144円23銭で午前の取引を終えた。朝方は売りが先行して144円11銭まで下げたものの、押し目買いや買い戻しが入り次第に買いが優勢となった。 短期金融市場では、無担保コール翌日物金利(TONA)が横ばい圏で推移し、加重平均金利は前日の日銀公表値(0.227%)とおおむね同水準のもようだ。2024/10/08 11:22:4084.名無しさんTgPhf長期金利、0.945%に上昇 2カ月ぶり高水準2024/10/10 09:29 日経速報ニュース2024/10/10 11:30:0185.名無しさんy37eg債券12時50分 長期金利、0.960%に上昇 2カ月半ぶり高さ2024/10/15 13:19 日経速報ニュース 15日午後の国内債券市場で、長期金利が上昇幅を広げている。指標となる新発10年物国債の利回りは午後に前週末比0.015%高い(価格は安い)0.960%と、8月2日以来およそ2カ月半ぶりの高水準をつけた。米金利の先高観が根強く、国内債にも売りが続いている。円安進行が日銀の早期利上げを後押しするとの思惑も長期金利の上昇を促している。 財務省が15日実施した残存期間「5年超15.5年以下」の利付国債を対象にした流動性供給入札では、応札額を落札額で割った応札倍率が2.52倍だった。応札倍率は前回から低下したものの、落札された利回りなどを踏まえると「無難な結果」(国内証券の債券ストラテジスト)だと受け止められ、債券相場の影響は限られている。 超長期債にも売りがやや優勢だ。新発30年物国債の利回りは前週末比0.005%高い2.165%で推移している。債券先物相場は軟調で、中心限月である12月物は前週末比12銭安の143円87銭で午後の取引を始めた。 短期金融市場では、現金担保付き債券貸借(レポ)金利が低下した。日本証券業協会がまとめた東京レポ・レートで、翌営業日に始まる翌日物(トムネ)金利は前週末比0.005%低い0.240%だった。2024/10/15 13:59:3386.名無しさんJsR4Z日銀の安達委員、金融正常化「段階的な利上げが適当」2024/10/16 10:57 日経速報ニュース 日銀の安達誠司審議委員は16日、香川県の金融経済懇談会で挨拶した。金融政策運営を巡り、消費者物価指数(CPI)を構成する品目別の前年比の上昇率がデフレ期特有の形状でなくなり、CPI水準もデフレ期以前のピークを超えているため、「金融政策が正常化プロセスに入る条件は既に満たしている」と語った。 基調的な物価上昇率が2%近傍に達するまでゼロ金利を維持し、目標実現後に急ピッチで利上げをすると「景気を悪化させ、再度、デフレーションを意識させるようなデフレレジームへの転換となってしまうリスクも無視できない」と指摘した。これを回避するために実体経済にショックを与えない範囲で「段階的に政策金利を引き上げていった方が、よりスムーズな金融政策の正常化が可能になると思われる」として、「段階的な利上げというプロセスを経ることが適当である」との認識を示した。2024/10/16 11:00:3387.名無しさんoHA7R財務官「緊張感持ち注視」 円安・ドル高進行受け2024/10/18 10:12 日経速報ニュース 財務省の三村淳財務官は18日、記者団の取材に応じ、足元の円安・ドル高進行について「投機的な動きも含めて市場の動向を高い緊張感を持って注視していきたい」と述べた。同日午前の東京外国為替市場の円相場は1ドル=150円台前半で取引が始まり、節目とされる150円を突破したことで政府・日銀による為替介入への市場の警戒感が高まりそうだ。 三村氏は「やや一方向に、あるいは急速な動きもみられると認識している」とも語った。 150円台は約2カ月半ぶりの円安水準。政府・日銀は今年、急速に円安が進んだ4月から7月にかけて複数回の介入に踏み切った。〔共同〕【関連記事】・1カ月で10円の円安、気になり始めた日本当局の介入・円下落、一時1ドル150円台 景気堅調で米利下げ観測後退2024/10/18 13:37:1488.名無しさんoHA7R織り込み進む日銀利上げ、「来年3月までに」の確率8割2024/10/18 13:32 日経速報ニュース 日銀が来年3月までの今年度中に追加利上げに動くとの織り込みが進んでいる。米景気の軟着陸(ソフトランディング)期待が高まり、それと同時に円相場に下落圧力がかかっているためだ。翌日物金利スワップ(OIS)市場の参加者が織り込む確率は、2025年3月の金融政策決定会合まで追加利上げに踏み切る確率は8割を超えた。 /home/member/news/202410/ucljpg_fdb73c936d2207720125331aef3773bd.jpg?format=raw 日銀の政策金利である無担保コール翌日物金利(TONA)を変動金利とし、固定金利と交換するOISのなかでも、金利の交換期間を日銀会合間とする「金融政策決定会合間取引」のレートは、市場参加者の利上げ織り込みを映し出す指標のひとつだ。 来年3月からその次までの会合間を交換期間とする取引の金利は18日、一時0.43375%となった。このレートと現在のTONA(0.227%)との差を求め、想定される利上げ幅である0.25%の何割に当たるかが、市場が織り込む利上げ確率となる。月初は4割程度にとどまっていた来年3月会合までに利上げに動く確率は18日時点で83%まで上昇してきた。 来年1月会合までに利上げする確率も上昇している。その確率は18日時点で67%に達した。1月、3月の確率はいずれも右肩上がりで、金融市場では年度内の追加利上げの可能性が徐々に織り込まれている。 日銀の植田和男総裁は9月20日の記者会見で「すぐに利上げだとはならない」ことの理由に、米国経済の「不透明性」を挙げた。これに対し9月の米雇用統計では失業率が低下し、17日発表の9月の米小売売上高は市場予想を上回った。米景気の軟着陸が実現するなら、日銀は追加利上げを悩まず判断できるというわけだ。 さらに円相場は1ドル=150円台前半と、約2カ月半ぶりの安値をつけた。財務省の三村淳財務官は18日に「やや一方的に、あるいは急速な動きもみられると認識している」と語り、金融当局者からは円安進行をけん制する声も出始めている。米経済の楽観的な見通しを手掛かりに円の先安観がさらに強まる可能性もある。これも日銀の追加利上げ観測を高める要因だ。 岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「日銀が懸念を示していた米景気の底堅さが確認されるようだと、日銀の追加利上げの思惑は強まりやすい」とみる。来年の賃上げ機運に不透明感が残る12月は動きにくいとしても、米景気の腰折れがない限り、春季労使交渉(春闘)の結果が見通せる年度内には少なくとも1回の追加利上げがあり得るとの見方が定着しそうだ。2024/10/18 13:38:0989.名無しさん7ACBK与党苦戦の総選挙、日銀政策の正常化に逆風か2024/10/23 13:14 日経速報ニュース 27日に迫る総選挙を巡り、与党の苦戦が伝わっている。石破茂首相が「勝敗ライン」とする与党で過半数を維持できなかった場合について金融市場の参加者は身構え始めている。市場には、与党過半数割れは日銀の金融政策の正常化に逆風との見方が広がりつつある。 ■与党過半数割れなら政策読みづらく 市場参加者のメインシナリオはなお「与党で過半数維持」ながら、情勢は不透明感を増している。今週に入り、共同通信社や朝日新聞が与党の過半数確保を「微妙」と報じた。NHKが18日から3日間で実施した世論調査では、石破内閣を「支持する」と答えた人は41%と、1週間前の調査における44%から低下した。 与党で過半数割れとなれば、他党を巻き込んだ連立政権の拡大を目指すか、個別政策ごとに協力を取り付ける部分連合を目指すことになりそうだ。いずれにしても政策の先行きは読みづらくなる。 みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「不確定な要因が増えて市場の不安定な状況が長引く可能性がある。日銀の金融政策の正常化には逆風になる」と指摘する。 米景気の後退懸念が強まって株価や為替相場が大きく動いた今年8月、日銀の内田真一副総裁は「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べた。当時は国内政治の動きはまだ静かだったが、総選挙後に日本株などが動揺すれば再び「利上げが遠のく」との見方が広がる可能性がある。 マクロ経済政策は金融と財政での協調が基本線であり、上野氏は「財政対策による個人消費などの景気への影響を見極めないまま、日銀が独走するのは望ましいものでもない」とも話す。 国内長期金利は日銀の利上げ観測が高まりにくいことが押し下げ要因、財政拡張の警戒が押し上げ要因となりそうで、身動きがとりづらい事態となることも考えられる。利回り曲線(イールドカーブ)は長い期間の債券ほど上昇しやすい「スティープ化」が進む可能性がある。 ■為替は円安・ドル高の可能性 円の対ドル相場への影響はどうか。自民党が単独で過半数を維持しない限り、円安・ドル高が見込まれている。バークレイズ証券は22日付のリポートで、与党の過半数割れで連立拡大の場合「高市早苗前経済安全保障相の勝利を織り込みにいった自民党総裁選前の相場展開に近いかたち」で円安・ドル高が進む可能性を指摘する。 9月の総裁選前は、日銀の利上げを強くけん制した高市氏の勝利を見込んで、株高と円安・ドル高が進んだ。 与党で過半数を維持しても円安圧力がかかる可能性がある。SMBC日興証券の宮前耕也日本担当シニアエコノミストは「非主流派に配慮する必要があり、高市氏に近い政策をとらざるを得なくなる」とみる。円安の進行次第では、物価の上振れリスクからむしろ日銀が正常化を早めに進める必要が出てくる展開も考えられる。財政政策との不協和音が生じ、市場の不安定さが強まる可能性は十分ありうる。 ■立民、国民、維新の姿勢は 可能性は低そうだが、政権交代が実現したらどうなるか。例えば立憲民主党は政策集2024のなかで「日銀の物価安定目標を『2%』から『0%超』に変更するとともに、政府・日銀の共同目標として『実質賃金の上昇』を掲げる」としている。 物価目標の引き下げは日銀の利上げ余地を広げ、株安・円高が進む公算が大きい。いずれにせよ、想定外の結果は市場のボラティリティー(変動率)拡大を招くのは必至だ。日銀が正常化を進めるタイミングを見極めるのはさらに困難になることが予想される。 国民民主党は財政拡張を主張しており、日本維新の会は金融政策の正常化に慎重だ。キャスチングボートを握る可能性もある、これらの政党の経済政策の姿勢も注意点だろう。2024/10/23 13:36:0390.名無しさんcLBXOインフレ目標の持続的達成には「まだ時間必要」=日銀総裁[ワシントン 23日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は23日、基調的なインフレ率は緩やかに上昇しているとした上で、インフレ目標を持続的に達成するには「まだ時間がかかる」と述べた。訪問先のワシントンでパネルに出席した。植田総裁は、不確実性が大きい時は政策変更を慎重に段階的に進めたいとしながらも、金利が非常に長期間にわたって低水準にとどまるという期待を抱かせると投機的なポジションが大量に蓄積される可能性があるとの問題点を指摘。円キャリートレードの過剰な積み上がりを抑制するため、金融政策の基本戦略を明確にすることが非常に重要だと述べた。他国の金融政策の変更が日本経済やインフレに重大な影響を及ぼすことがあるため、欧米の状況を注意深く見守っているとし、中でもここ数カ月は米国経済に何が起こるのかを懸念してきたと明らかにした。さらに、夜も眠れないほど悩んでいることは何かと問われ、「今後、政策の正常化の規模はどの程度が適切か、合計利上げ幅を時間軸でどのように配分するのが最善かを考えている」と答えた。2024/10/24 06:09:2391.名無しさんcLBXO日銀総裁「金融正常化は始まったばかり」 利上げ継続示唆2024/10/24 05:55 日経速報ニュース 【ワシントン=大島有美子】日銀の植田和男総裁は23日、米ワシントンで「我々の金融正常化への取り組みはまだ始まったばかりだ」と述べた。不確実性が増す世界経済の動向については「過去2?3カ月、米国経済の先行きを懸念し続けてきた」と語り、雇用指標など米国経済の先行きを注視する姿勢を示した。 日本の物価と金融政策の立ち位置をテーマに、国際通貨基金(IMF)アジア・太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏と対談した。金融政策の先行きについて具体的な言及は避けたが、今後も利上げを継続する方針を示唆した。 日銀は7月の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に引き上げると決めた。市場では「サプライズ」との受け止めもあり、8月上旬には相場が乱高下した。日銀の市場との対話について改善すべき点があったかについて問われると「7月は政策委員による公の場での発信がない期間があった」と振り返った。6月の発信内容と同じ内容だったとしても、7月にも話す場があれば「よりよかっただろう」と述べた。 日銀は経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば、景気を過熱も冷ましもしない中立金利へ政策金利を引き上げる方針だ。植田総裁は現状の金融環境について、インフレを考慮した実質金利の低さから「かなり緩和的」との認識を示した。 日銀は3月に異次元緩和を解除した。7月の決定会合では利上げだけでなく、国債買い入れの減額の具体策も決めた。 これまでの正常化の取り組みについて、2023年7月と10月にまずイールドカーブ・コントロール(YCC)を徐々に柔軟化させ、その後にマイナス金利など他の政策を解除したことは「成功だった」と振り返った。基調的なインフレ率が緩やかなペースで上がっていたため、時間をかけて正常化に着手できたことが「幸運だった」とも語った。【関連記事】・日銀、25年「金利0.5%の壁」突破か 再びベア3%なら・米景気の軟着陸、節約消費が支え 年末商戦へ不安も2024/10/24 06:14:4292.名無しさんcLBXO日銀総裁「金融正常化は始まったばかり」 利上げ継続示唆2024/10/24 05:55 日経速報ニュース 【ワシントン=大島有美子】日銀の植田和男総裁は23日、米ワシントンで「我々の金融正常化への取り組みはまだ始まったばかりだ」と述べた。不確実性が増す世界経済の動向については「過去2?3カ月、米国経済の先行きを懸念し続けてきた」と語り、雇用指標など米国経済の先行きを注視する姿勢を示した。 日本の物価と金融政策の立ち位置をテーマに、国際通貨基金(IMF)アジア・太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏と対談した。金融政策の先行きについて具体的な言及は避けたが、今後も利上げを継続する方針を示唆した。 日銀は7月の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に引き上げると決めた。市場では「サプライズ」との受け止めもあり、8月上旬には相場が乱高下した。日銀の市場との対話について改善すべき点があったかについて問われると「7月は政策委員による公の場での発信がない期間があった」と振り返った。6月の発信内容と同じ内容だったとしても、7月にも話す場があれば「よりよかっただろう」と述べた。 日銀は経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば、景気を過熱も冷ましもしない中立金利へ政策金利を引き上げる方針だ。植田総裁は現状の金融環境について、インフレを考慮した実質金利の低さから「かなり緩和的」との認識を示した。 日銀は3月に異次元緩和を解除した。7月の決定会合では利上げだけでなく、国債買い入れの減額の具体策も決めた。 これまでの正常化の取り組みについて、2023年7月と10月にまずイールドカーブ・コントロール(YCC)を徐々に柔軟化させ、その後にマイナス金利など他の政策を解除したことは「成功だった」と振り返った。基調的なインフレ率が緩やかなペースで上がっていたため、時間をかけて正常化に着手できたことが「幸運だった」とも語った。【関連記事】・日銀、25年「金利0.5%の壁」突破か 再びベア3%なら・米景気の軟着陸、節約消費が支え 年末商戦へ不安も2024/10/24 06:15:2993.名無しさんcLBXO加藤財務相、円安進行「緊張感をさらに高めて注視」2024/10/24 12:25 日経速報ニュース 【ワシントン=大島有美子】加藤勝信財務相は米東部時間23日夜(日本時間24日午前)、記者団に対し、外国為替市場で円安・ドル高が進行し円相場が一時1ドル=153円台をつけたことについて「足元では一方的な、また急速な動きがみられている」との認識を示した。為替市場の動向を「緊張感をさらに高めて、注視する」と述べた。 米ワシントンで23日に開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の初日の会合に出席した後に会見した。23日の円相場は日米金利差が広がるとの思惑から、前日比で約2円、円安方向にふれる場面があった。為替介入については「具体的には言及しない」とした。 G20の会合で為替についての議論があったかを問われ、加藤財務相は「きょう議論の場はなかった」と明らかにし、日本からも話題を出していないと述べた。24日の会合でも「そうした議論にはならないのではないか」と指摘した。 加藤財務相は、東京証券取引所職員が証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で強制調査を受けていることについても見解を述べた。 金融庁に出向中の30代の男性裁判官がインサイダー容疑をめぐって監視委から強制調査を受けていたことが分かったことも踏まえ「金融市場の信頼を確保すべき立場にもかかわらず、あってはならないことで、大変遺憾なことだと思っている」と述べた。再発防止策の徹底などを通じ「日本の金融市場の信用確保に尽力していきたい」とも強調した。 加藤氏が財務相に就任してから初の外遊となる。G20では米連邦準備理事会(FRB)をはじめ主要国の中央銀行が利下げ局面に入るなか、高インフレを抑え、世界経済がソフトランディング(軟着陸)に向かえるかなどを話し合う。 G7の枠組みでも会合を開催する。日本経済新聞が報じたG7の最終合意案は、総額500億ドル(約7兆5千億円)の融資を確約するほか、ロシア資産はウクライナとの戦争が終結した後も凍結し続ける方針を明確にする。加藤財務相は日本が担当する額について「金額を含めた詳細について現在調整しているところ。具体的に申し上げる状況にはない」と述べた。【関連記事】・国際開発金融機関の改革議論 G20財務相会議が開幕・G20財務相会議開幕へ 世界経済の軟着陸焦点に2024/10/24 12:50:1494.名無しさんh44ty東京消費者物価は政策要因で伸び縮小、日銀利上げ姿勢変わらずとの声 全国の物価の先行指標となる10月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2カ月連続で伸びが縮小した。政府の物価高対策の影響が主因で、日本銀行が目標とする2%を5カ月ぶりに下回ったものの、市場では日銀の利上げ姿勢に影響はないとの見方が出ている。 総務省の25日の発表によると、コアCPIは前年同月比1.8%上昇。市場予想(1.7%上昇)は上回った。前年に電気・ガス料金の補助金が半減され、エネルギー価格が押し上げられた反動などが表れた。一方、米類の価格上昇を主因に生鮮食品を除く食料は3.8%上昇と7カ月ぶりの高い伸びとなった。 生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは1.8%上昇と、前月の1.6%上昇から伸びが拡大。市場予想は1.6%上昇だった。 日銀は経済・物価が見通しに沿って推移すれば利上げを続けていく姿勢を堅持している。30、31日の金融政策決定会合では、米中を中心とした海外経済の不透明感の強まりや不安定な金融市場を背景に、金融政策を維持すると見込まれている。もっとも、足元では再び円安が進行する中、今回のCPIも踏まえれば、引き続き早期の利上げ観測は継続することになりそうだ。 第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストは、今回は全体としてエネルギーのベース効果の部分で鈍化しているとし、「金融政策に対してニュートラルなイメージ」と指摘。その上で、利上げは為替次第であり、円安方向の流れが強まれば政府の要請が高まって、前倒しになる可能性はあるとの見方を示した。2024/10/26 02:12:4095.名無しさん59dVI日銀 きょう2日目の金融政策決定会合 政策金利を据え置くか2024年10月31日 5時11分https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241031/k10014624461000.html日銀は31日、2日目となる金融政策決定会合を開き、当面の政策を決定、公表します。日銀は利上げを検討する上でアメリカ経済の動向を重視するとしていますが、当面は慎重に見極めるべきだという意見が多く、今回は政策金利を据え置くとみられます。日銀は31日、金融政策決定会合の2日目の議論を行い、当面の金融政策を決定、公表します。日銀が利上げを検討する上で最近重視しているアメリカ経済をめぐっては、経済指標が市場の予想を上回るケースが多くなっています。ただ、植田総裁は先週、訪問先のワシントンで「先行きに対して楽観論が少し広がりつつある気がしている」と述べたほか、日銀内でも大統領選挙を控えアメリカの経済は当面、慎重に見極めるべきだという意見が多くなっています。さらに植田総裁は会見などで「時間的な余裕はある」と繰り返し述べていて、日銀は今回政策金利を据え置くとみられます。一方、市場関係者の間では今月行われた衆議院選挙で政治情勢が不透明になっているとして、今後日銀は利上げを進めにくくなるのではないかという観測も出ています。会合のあと行われる会見で、植田総裁がアメリカ経済の分析に加えて、この先の利上げに向けてどのような見通しを示すのかが焦点です。2024/10/31 05:51:0896.名無しさん59dVI日銀据え置き 株、投資尺度面で上昇余地乏しい・山和の志田氏2024/10/31 12:12 日経速報ニュース 志田憲太郎・山和証券調査部部長 日銀は31日まで開いた金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った。市場の想定通りで、円相場も小動きとなっており、株式市場への影響は限定的だろう。27日の衆院選の投開票後に進んだ株の買い戻しの動きは一服した。31日午後の東京株式市場で日経平均株価は3万9000円を下値メドに小安い水準での一進一退となりそうだ。 東証プライム銘柄の予想利益ベースのPER(株価収益率)は、30日時点で15.6倍に上昇しており、バリュエーション(投資尺度)面からみた日本株の上昇余地は現状乏しい。今後日経平均が4万円を超えて上昇するためには、主要企業の業績の上方修正で1株当たり利益(EPS)が増加することが必要だ。政治面では、国民民主党が掲げるガソリン税の一部減税や「年収の壁」の引き上げなどの政策実現度が高まってくるようであれば、経済活性化を織り込む形でPERの水準の切り上がりにも期待ができる。 11月の米国の大統領選の結果次第では、株価が一時的に大きく振れる公算が大きい。ただ、円相場が1ドル=140?155円程度の範囲で推移するのであれば、日本株への影響は長引かないと考える。2024/10/31 12:40:1097.名無しさん59dVI日銀が政策金利を維持、海外経済・市場動向の影響見極めと明記https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-31/SK1OQ6T0AFB400?srnd=cojp-v2【日本市況】円上げ拡大、来年度物価上振れリスクと日銀-株式は下落https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-31/SM37CHT1UM0W00?srnd=cojp-v22024/10/31 13:46:4298.名無しさん59dVI見通し実現していけば、金利引き上げ緩和度合い調整=日銀展望リポートBy 和田崇彦, 杉山健太郎, 山崎牧子2024年10月31日午後 1:04 GMT+91時間前更新[東京 31日 ロイター] - 日銀は31日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で現在の実質金利が「極めて低い水準にある」との認識を示し、今回示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを示した。同リポートでは、2025年度の消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の前年度比上昇率の見通しを1.9%とし、前回の2.1%から引き下げた。24年度は2.5%、26年度は1.9%で変更しなかった。物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想。見通し期間後半には物価安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見方を示した。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIの24年度の上昇率見通しは2.0%とし、前回の1.9%から引き上げた。25年度は1.9%、26年度は2.1%でともに据え置いた。農林中金総合研究所の南武志理事研究員は、25年度の物価見通しが1.9%に下方修正され2%に届かないということで「おのずと利上げの余地が小さくなったのではないか」と指摘。そのうえで「日銀は2%を超えているうちに利上げしたいのではないか。12月に1回目の利上げのチャンスを狙い、2回目が来年の4─6月期と予想しているが、この2回目が微妙な状況になりつつある」との見方を示した。 <金融政策運営、海外経済の展開や金融市場の動向「十分注視」>日銀は2%の「物価安定の目標」のもと、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。米国をはじめとする海外経済の今後の展開や金融市場の動向を十分注視し、経済・物価の見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると指摘した。見通しに対するリスク要因として、海外の経済・物価や資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを挙げ、不確実性は「引き続き高い」と指摘した。このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化し、過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっているとも指摘した。リスクバランスは、経済の見通しについて「おおむね上下にバランスしている」、物価の見通しについては「25年度は上振れリスクの方が大きい」とした。wぱy2024/10/31 14:32:0599.名無しさん59dVI外為14時 円相場、152円台後半に上げ拡大 日銀総裁会見前に買い続く2024/10/31 14:18 日経速報ニュース 31日午後の東京外国為替市場で、円相場が上げ幅を拡大している。14時時点では1ドル=152円90?92銭と前日17時時点と比べて42銭の円高・ドル安だった。14時前には一時152円83銭近辺まで上昇した。15時半に予定される日銀の植田和男総裁の記者会見を前に「月末というのもあって、リスクを減らすため円売り・ドル買いの持ち高を縮小する動きが続いているようだ」(国内信託銀行)という。 日銀は31日まで開いた金融政策決定会合で政策金利を維持すると決めた。あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は前回7月分とおおむね変わらず、経済・物価の見通し実現を条件に「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と説明。利上げ路線を維持したと受け止められたのも円相場の支えとなった。2024/10/31 14:39:28
2024/07/30 18:00 日経速報ニュース
日銀は31日の金融政策決定会合で国債買い入れ減額の詳細を決める。現状は月6兆円程度買い入れているが、市場では今後1?2年
程度で月3兆円まで半減する案が有力視されている。事実上の量的引き締めとなり、国債市場の中心的な担い手が日銀から民間に移っ
ていく契機となる。
日銀は前回6月の決定会合で国債買い入れを減らす方針を決め、今回の7月会合で今後1?2年程度の具体的な減額計画を詰めるとして
いた。
日銀は7月上旬、減額幅の決定の参考にするために債券市場参加者から意見を聞いた。公表されたこの会合の議事要旨には月2兆?4
兆円までの減額が望ましいとの声が多く掲載された。減額のペースを巡っては「当初大きく減額」を求める意見や、「段階的な減額が望まし
い」とする声など市場の意見は割れた。
23?25日に聞き取ったQUICK月次調査(債券)によると、市場参加者の予想は中央値で1年後の買い入れ額が4兆円、2年後は3兆円と
なった。日銀内でも「サプライズにはしたくない」(関係者)との意識があり、金融機関の決算期も考慮して2025年度末をめどに3兆円程度に
減らすなどの案が浮上する。
異次元緩和で国債を大量に買い入れてきた結果、日銀が保有している国債は600兆円近くに膨らみ、長期金利の押し下げ効果も1%程度
に上るとされている。3月まで実施していた長短金利操作(イールドカーブ・コントロール)で金利水準も人為的に抑え込んできた。
日銀の植田和男総裁は6月の記者会見で「市場で長期金利がより自由に形成されるように(減額する)」と述べていた。日銀の国債買い
入れの減額が進めば金利には上昇圧力となり、さらに金利が動くようになれば市場取引が活性化する効果が見込める。金融機関はビジネ
スをしやすくなり、国内外の投資家が日本国債の売買や保有を増やす可能性もある。
日銀が保有を減らす分の引き受け手は銀行や保険、海外投資家などが想定されている。資金循環統計によると、日銀が異次元緩和に着手
する前の12年末時点で、銀行など預金取扱金融機関は全体の4割近くを占める最大の国債保有者だったが、足元の保有割合は1割程度に
とどまっている。
ただ、かつて主要な担い手だった銀行はバーゼル規制によって、自己資本に占める金利リスク量の割合を一定以下に抑えることが求められ
ている。生命保険各社も国債を買い増す余力は大きくないとの見方がある。日銀は買い入れを減らす過程で混乱が起きないかを、入念に検証
していくとみられる。
【関連記事】
・日銀、30日から決定会合 追加利上げの有無焦点
・国債の「海外販促役」 野村やJPモルガンなど指定 財務省
・神田財務官、31日に退任 介入指揮「令和のミスター円」
2024/07/31 02:51 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=川上純平】日本国債の先物相場が日本時間31日未明の取引で下落している。中心限月の9月物は前日比44銭安い
142円93銭を付ける場面があった。日本経済新聞電子版などが同日、日銀が31日まで開く金融政策決定会合で追加利上げを検討すると
報じたのをきっかけに売りが広がった。
日経によると、現在は0?0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力という。日銀は、賃金上昇を背景に物価と景気が上向いている
とみているようだ。
31日未明の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落している。9月物は一時、前日の清算値と比べ600円安い3万7890円を付け
た。日銀の利上げが景気を冷やすと懸念された。30日の米株式市場で半導体などハイテク株に売りが出ているのも日経平均先物の重荷
となっている。
[東京 31日 ロイター] - NHKや時事通信など国内メディアは、日銀が31日に開く2日目の金融政策決定会合で追加利上げを検討し、
短期金利を0.25%程度に引き上げる案を議論すると報じた。NHKは、9人の政策委員の多くが物価は見通しに沿って上昇していると
いう見方を示しているものとみられると伝えた。
日銀が追加利上げを決めれば、3月にマイナス金利政策を解除し、政策金利を0─0.1%程度に引き上げて以来。
時事通信は、物価高で個人消費が鈍る一方、賃上げや政府の定額減税などの効果で景気の腰折れは回避できると日銀は判断している
と報じた。急速な円安で輸入インフレが再燃する恐れもあり、利上げが妥当との見方が広がっているという。
日本経済新聞は、会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権を行使せず容認する構えと伝えている。
一方、NHKと時事は、実質賃金はマイナスが続いていることから委員の間で追加利上げに慎重な声もあり、会合で最終判断すると報じて
いる。
2024/07/31 02:00 日経速報ニュース
日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討する。現在は0?0.1%の政策金利を0.25%に引き上げる案が有力だ。3月にマイナス
金利政策を解除したが、賃金上昇などで物価と景気はなお上向き基調にあると判断した。国債買い入れを減額する量的引き締めの具体策も
決め、日本経済は「金利ある世界」へさらに一歩踏み込む。
日銀はマイナス金利の解除後も、短期金利を0%近辺と極めて低めに誘導してきた。政策金利を0.25%に引き上げれば、リーマン・ショック直
後の2008年12月(0.3%前後)以来、15年7カ月ぶりの水準に戻る。会合に参加する財務省と内閣府も議決延期請求権は行使せず、容認す
る構えだ。
日銀が3月に続いて追加利上げに動くのは、インフレ率が目標とする2%を上回ってなお上昇基調にあるからだ。6月の消費者物価指数(CP
I、生鮮食品除く)は前年同月比2.6%上昇し、27カ月連続で2%を上回った。政策委員の一部は早期の追加利上げが必要と主張しており、31日
の会合で最終判断する。
会合では、保有国債を圧縮する量的引き締めも正式決定する。3月のマイナス金利解除後も国債を月額6兆円程度買い入れてきたが、市場
は1年半後の25年度末をめどに購入量を同3兆円程度に半減する案を有力視している。
日銀は13年以降に大規模な量的緩和に踏み込み、24年3月末時点で国債発行残高の53%を保有して長期金利を事実上コントロールして
きた。大規模緩和の解除後も買い入れペースを維持してきたが、金利引き上げとともに保有国債を圧縮する量的引き締めに転換する。
日銀が強い影響力を及ぼしてきた債券市場は、民間取引主体の「金利が動く世界」へと段階的に回帰する。
植田和男総裁は6月の決定会合後の記者会見で、日銀の予測通りに物価上昇が続けば「政策金利を引き上げ、金融緩和度合いを調整して
いくことになる」と指摘していた。3月のマイナス金利解除後も、日本経済は賃上げなどによる物価押し上げ圧力を保っている。
物価上昇率が2%程度で推移し続ければ、日銀は中期的にさらなる追加利上げも検討していく考えだ。
バブル経済の崩壊後、日銀は1999年にゼロ金利政策に踏み込み、極めて長く超低金利政策を続けてきた。長期緩和の副作用として円安が
発生。2024年4月末には対ドルで一時1ドル=160円台と1990年4月以来の円安水準をつけた。歴史的な円安水準も日銀の金融正常化を後
押しする材料となっている。
家計にとって金利の引き上げは追い風と逆風の両面がある。マイナス金利解除後、メガバンクや地銀は17年ぶりに普通預金の金利を引き
上げた。住宅ローン金利が上がればマイナスの影響が出るが家計全体でみれば預金が借入金を上回り、日銀関係者は「(追加利上げは)
家計全体では差し引きでプラスになる」とみる。
一方で、金利の上昇は巨額の債務を抱える政府部門にとって財政再建の圧力を強めるものになる。
2024/07/31 07:14 日経速報ニュース
31日の東京株式市場で日経平均株価は反落か。日銀が31日まで開く金融政策決定会合で追加利上げを検討すると伝わった。外国為替市
場で急速に円高・ドル安が進行しており、自動車など輸出関連を中心に売りが先行しそうだ。日経平均は前日の終値(3万8525円)から600円
ほど安い3万7900円程度が下値メドとなる。
31日付の日本経済新聞朝刊は「日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討する。現在は0?0.1%の政策金利を0.25%に引き上
げる案が有力だ」などと報じた。市場では消費の弱さなどを理由に7月会合では長期国債の買い入れ減額だけを決定し、追加利上げは見送る
との見方が大勢だった。
報道を受け、30日のニューヨーク外国為替市場では円相場が一時1ドル=152円台後半まで上昇した。追加利上げが決まれば低金利環境の
状態が薄れ、株価の割高感が許容されにくくなるとの見方は日本株全体にとって逆風となる。半面、金利上昇の恩恵を受けやすい銀行や保険
など金融株などには買いが入りやすい。きょう昼ごろには日銀の会合結果が公表される見通しだ。
30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比203ドル(0.50%)高の4万0743ドルで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が9月
にも利下げを始め、米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が支えだった。一方、ハイテク株には持ち高調整の売りが優勢で、
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は1.28%安と6月上旬以来の安値で終えた。エヌビディアが大幅安となり、主要な半導体関連
銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3.88%安で終えた。東京市場でも値がさの半導体関連株に売りが出て、日経平均を
下押しするだろう。
日本時間31日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落した。9月物は前日の清算値より490円安い3万8000円で取引を終え
た。米マイクロソフトが30日の取引終了後に発表した2024年4?6月期決算で、成長の柱として注目のクラウド基盤「アジュール」などの増収
率が市場予想に届かず、時間外取引で株価が大幅に下落している。
個別ではTDKに注目だ。30日発表した24年4?6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比4倍の596億円だった。ICT(
情報通信技術)市場向け製品の出荷が増えたほか、円安が寄与した。1株を5株にする株式分割も発表しており、好感する買いが先行する
だろう。
日立やアドバンテスト、商船三井などが24年4?6月期決算を発表する。デジタルマーケティングの自動化サービスなどを手掛けるFaber
Companyが東証スタンダード市場に新規上場する。米国では米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表とパウエル米連邦準備理事会
(FRB)議長の記者会見が予定されている。ボーイングとアーム・ホールディングスが24年4?6月期決算を発表する。
2024/07/31 08:04 日経速報ニュース
31日の東京株式市場で日経平均株価は反落か。日銀が31日まで開く金融政策決定会合で追加利上げを検討すると伝わった。外国為替
市場で急速に円高・ドル安が進行しており、自動車など輸出関連を中心に売りが先行しそうだ。日経平均は前日の終値(3万8525円)から
600円ほど安い3万7900円程度が下値メドとなる。
31日付の日本経済新聞朝刊は「日銀は31日の金融政策決定会合で追加利上げを検討する。現在は0?0.1%の政策金利を0.25%に引き
上げる案が有力だ」などと報じた。市場では消費の弱さなどを理由に7月会合では長期国債の買い入れ減額だけを決定し、追加利上げは見
送るとの見方が大勢だった。
報道を受け、30日のニューヨーク外国為替市場では円相場が一時1ドル=152円台後半まで上昇した。追加利上げが決まれば低金利環境
の状態が薄れ、株価の割高感が許容されにくくなるとの見方は日本株全体にとって逆風となる。半面、金利上昇の恩恵を受けやすい銀行や
保険など金融株には買いが入りやすい。きょう昼ごろには日銀の会合結果が公表される見通しだ。
30日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発し、前日比203ドル(0.50%)高の4万0743ドルで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が
9月にも利下げを始め、米経済がソフトランディング(軟着陸)に向かうとの期待が支えだった。一方、ハイテク株には持ち高調整の売りが優勢
で、ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は1.28%安と6月上旬以来の安値で終えた。エヌビディアが大幅安となり、主要な半導体
関連銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数(SOX)は3.88%安で終えた。東京市場でも値がさの半導体関連株に売りが出て、日経
平均を下押しするだろう。
日本時間31日早朝の大阪取引所の夜間取引で日経平均先物は下落した。9月物は前日の清算値より490円安い3万8000円で取引を
終えた。米マイクロソフトが30日の取引終了後に発表した2024年4?6月期決算で、成長の柱として注目のクラウド基盤「アジュール」など
の増収率が市場予想に届かず、時間外取引で株価が大幅に下落している。
個別ではTDKに注目だ。30日発表した24年4?6月期の連結決算(国際会計基準)は、純利益が前年同期比4倍の596億円だった。ICT
(情報通信技術)市場向け製品の出荷が増えたほか、円安が寄与した。1株を5株にする株式分割も発表しており、好感する買いが先行
するだろう。
日立やアドバンテスト、商船三井などが24年4?6月期決算を発表する。デジタルマーケティングの自動化サービスなどを手掛けるFaber
Companyが東証スタンダード市場に新規上場する。米国では米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表とパウエルFRB議長の記者
会見が予定されている。ボーイングとアーム・ホールディングスが24年4?6月期決算を発表する。
2024/07/31 14:24 日経速報ニュース
小玉祐一・明治安田総合研究所フェローチーフエコノミスト 日銀が31日まで開いた金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げると
決めたのは、景気や物価の見通しが「オントラック(想定通り)」だと判断したためだろう。10?12月期には0.5%まで利上げすることは大いに
あり得るとみている。6月の公表文で削除していたフォワードガイダンス(先行き指針)に該当する表記を、今回改めて正常化を進める形にした
点は印象深い。
景気と物価動向だけを素直に眺めるなら、もう少し利上げの判断を遅らせるべきだったとも考えられる。しかし、足元では外国為替市場で
進む円安が政治的な課題となっている。日銀は過去四半期にわたって、現実的には為替相場を横目に見ながら政策を運営してきた。1ドル
=160円を超えて円安が進む局面で利上げを決めると投機筋がさらなる円売りに動きかねない状況だったが、足元での利上げは円安圧力
を封じ込める好機だったといえる。
今回の利上げによって、住宅ローン金利の上昇などを通じて足元で「弱めの動き」としている住宅投資は腰折れしかねない懸念がある。
日銀も注意深く見ていくことになると思うが、景気全体に影響を及ぼすとは考えづらい。国債買い入れの減額は市場にあった意見のおおむね
中間を採ったとの印象で、計画を示したことで関心も相対的に低下していくだろう
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-07-31/SHGUKVT1UM0W00?srnd=cojp-v2
実質金利は深いマイナス、政策金利0.5%の壁も「特に意識せず」
10月追加利上げの可能性、景気下振れリスク高める恐れもーUBS
日本銀行が追加金利を引き上げた31日の金融政策決定会合後の記者会見で、植田和男総裁は今後数回の利上げにも前向きな姿勢を
にじませた。総裁発言をタカ派と受けとめた市場では、早くも年内追加利上げの見方が浮上している。
日銀が決定した政策金利の水準は0.25%程度。植田総裁は、2年以上にわたって目標の2%を超えているインフレを踏まえると、「実質金
利は非常に深いマイナスにある」と何度も強調した。低い実質金利を続けることで「急激な調整を強いられる」先行きリスクに早めに手を打った
対応との見解も示した。
日銀が政策金利0.25%に引き上げ、経済・物価想定通りなら利上げ継続
その上で、現在の政策金利は景気や物価に景気を過熱させず冷やしもしない中立金利に比べてかなり下の水準にあり、今回の利上げは
「そこの範囲での調整だ」と説明。中立金利自体に大幅な不確実性があるが、しばらくはその不確実な領域に入ることはないとの認識を示し
た。過去の利上げ局面において上限となった「0.5%の壁」も「特に意識していない」と語った。
こうした植田総裁の発言は、経済・物価に大きな下振れリスクが生じない限り、当面は粛々と利上げを進め、金融緩和度合いの調整していく
考えを示したものといえる。円安が物価に与える影響の強まりを含め、物価の上振れリスクを警戒し、タカ派的な発信を強めている可能性がある。
UBS証券の足立正道チーフエコノミストは総裁発言について「完全にタカ派的だ」とし、次は10月にも利上げがあり得るとみている。日銀が
早く金利を上げる意図を示したことで、今後は円高が進行するリスクを意識する必要があると指摘。「企業が値上げできる環境をつぶしてしまう
可能性がある。景気に関係なく金利を上げていこうとしており、ますます景気の下振れリスクを高めてしまう」と懸念を示した。
今回の利上げの景気への影響について総裁は、小幅であり、「強いブレーキが景気にかかるとは考えていない」と明言した。一方で、今後の
利上げについては「ここまでの利上げの影響についても確認しつつということに当然なる」と説明。力強さを欠く個人消費などが、日銀の見立て
通りに持ち直していくのか、まずは夏場の景気とデータが鍵を握る。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員も、次の利上げのタイミングは10月と予想している。植田総裁は予想よりも大きな規模と速さで
これまで正常化を進めてきたとしながらも、「問題は本当に物価と景気が日銀がみているように進んでいくかだ。例えばサービス価格などは
そこまでまだ強くはない」とみている。
日米金利差も左右
31日の海外市場では円が急伸。同日発表の米国の経済指標に反応し、1ドル=149円台と4カ月半ぶりの高値を付けた。米連邦公開市場
委員会(FOMC)が同じ日程で開く会合では、金融政策の維持が見込まれる一方、パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が数カ月以
内の利下げを示唆する可能性もある。日米金利差が引き続き市場の動向を左右することになりそうだ。
第一生命経済研究所の熊野英生首席エコノミストはリポートで、7月上旬に政府が為替介入に動いた「後詰め」として日銀は利上げをしたと
の見方を示す。3月のマイナス金利解除では政策修正が小さ過ぎたため、十分に内外金利差が縮小しなかったと指摘。その上で、「今後、
円安が進めば政府と協調して早ければ年内12月頃に利上げをもう一度行う可能性も残る」とみる。
財務省は同日、6月27日-7月29日の為替介入額が5兆5348億円だったと発表した。日米金利差を主因に円安の流れが止まらない中、
政府・日本銀行が4-5月に続いて介入を実施していたことが示された。
政府・日銀の為替介入、5兆5348億円-29日までの1カ月間
植田総裁は会見で、円安が物価を想定以上に押し上げる可能性に関して、「重要なリスクと認識して政策判断の一つの理由とした」と説明。
一方、為替が今回の利上げの最大の判断材料だったかという質問に対しては「必ずしも最大の要因ではなかった」と答えた。
2024/08/01 17:49 日経速報ニュース
きのう追加利上げを決めた日銀が次に動くのはいつか――。金融市場では「再利上げは12月」との織り込み度合いが6割程度となっている。
日銀は7月31日、経済データ次第で「引き続き政策金利を引き上げる」との姿勢を示した。市場では早くも次の利上げ時期をめぐる思惑が広が
っている。
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変動金利と固定金利を一定期間交換するスワップ市場のなかで、日銀の政策金利である無担保コール翌日物金利(TONA)を変動金利とす
るのが、翌日物金利スワップ(OIS)市場だ。金利を交換する期間を日銀会合の間とした「金融政策決定会合間取引」では、12月の日銀会合か
ら次の来年1月の会合の間のOIS金利12月限は1日13時45分時点で0.38125%となっている。
追加利上げ後である1日午前のTONAの加重平均金利は0.227%付近となっており、現時点のOIS金利12月限はTONAを0.15425%上回っ
ている。日銀がTONAの誘導目標を0.25%から0.5%へ引き上げると利上げ幅は0.25%で、OIS金利とTONAの差は想定される利上げ幅の
61.7%となる。この値が、市場が見込む12月利上げの確率となる。
政策金利を「0?0.1%」から「0.25%」へ引き上げた日銀の植田和男総裁は会合後の記者会見で「今回の展望リポートで示した経済、物価見
通しが実現していくとすれば、引き続き政策金利を引き上げる」との見方を示した。
2006年以降の前回の日銀の利上げ局面では、政策金利は0.5%までしか上昇しなかった。だが、植田総裁は0.5%について「壁とは意識して
いない」とも答えた。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎氏は「植田総裁の発言は次の利上げを意識させるものだった。利上げの道筋をクリアに
捉えている印象だ」と話す。そのうえで「市場は年内に0.5%の追加利上げをどうしても意識してしまう」という。
利上げ確率は、次の9月会合は6.2%にとどまり、11月会合は30.7%となっている。植田総裁は「前もって何カ月ごとに決めてパスを描いている
わけではない」としているが、みずほ証券の丹治倫敦氏は「前回利上げした3月から4カ月後である7月に追加利上げしたことから、『次は12月に
』という思惑が出やすい」と指摘する。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の六車治美氏は「これまでの会合と比べ7月ははっきりと日銀が政策正常化のスタンスを示している。吹っ
切れた印象だ」と語る。今後出てくる毎月勤労統計などから、日銀が物価目標である2%の安定達成への自信を深めれば3度目の利上げの観
測はさらに高まっていきそうだ。
明日の株式相場に向けて=日銀会合を境に変わり始めた相場の波紋
名実ともに8月相場入りとなった1日の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比975円安の3万8126円と急反落。前日は日銀
金融政策決定会合の結果がサプライズを伴う追加利上げだったにもかかわらず、後場に切り返し570円あまりの上昇をみせたことでヤレ
ヤレムードが漂った。しかしそれも束の間、きょうは円高進行と合わせた怒涛の売り攻勢で日経平均は一時1300円以上の下げに見舞わ
れた。これまでハト派色を際立たせていた植田日銀総裁のタカ派への宗旨替えは、タイムラグを置いて株式市場上空に暗雲を引き寄せて
いる。ただ、ドル・円の1ドル=150円割れと言っても、これは3月中旬以来であり年初からみれば、まだ大分円安である。3月中旬の日経
平均は3万9000円台後半から4万円近辺に位置していた。その意味では、直近の下げはやや過剰に反応しているともいえるのだが、問
題は日銀が利上げマインドに変わってしまったということである。
きょうは午後1時25分に発表されたトヨタ自動車<7203>の決算発表に市場関係者の視線が集中した。株価は朝方から軟調に推移して
いたが、決算発表直後は瞬間的に上に振れて2800円台に乗せる場面があったものの、間髪入れず売りが浴びせられて下値を探る展開
に変わり、一瞬にして2700円近辺の大台攻防へと舞台が回った。結局2700円台をギリギリ割り込み下落率は8.5%弱に達した。同社
にとって7月は受難の相場だったが、8月も出足から大陰線でスタートする形となってしまった。
同社がこの日発表した25年3月期第1四半期(24年4~6月)決算は、営業利益が前期比17%増の1兆3084億6200万円と2ケタ増
益を確保し過去最高を更新した。事前のコンセンサスには若干未達となったが、そこまで嫌気される決算内容ではなかったはずである。しか
し、期待されていた通期計画の上方修正を見送ったことから売りの砲火を浴びた。これは前日の米国株市場で引け後に決算発表を行った
アーム・ホールディングス<ARM>が、好調な内容だったにもかかわらず、通期業績予想を増額しなかったことが嫌気されて時間外で急落した
パターンとも似ている。
トヨタの場合、通期の想定為替レートをいくらに設定するかが注目ポイントともなっていた。同社に先立って7月25日に4~6月期決算を発
表した日産自動車<7201>のケースでは、営業利益が前年同期比99%減という衝撃の決算内容で、25年3月期通期の営業利益も6000
億円から5000億円(前期比12%減)に1000億円も減額した。この時に通期想定為替レートを1ドル=145円から155円に大きく円安方
向に修正したことが話題を呼んでいた。ドル・円相場の実勢は見ての通り既にそこから5円も円高に振れている。1000億円の減額では済ま
ないのではないかという懸念が広がる。
そして、トヨタも想定為替レートを日産同様に大幅に円安方向に修正するのではないか、という思惑が市場には漂っていた。しかしトヨタは
今回の決算発表で、通期想定為替レートを前回と同じ1ドル=145円で動かさなかった。そこは評価していい部分だが、株式市場はひとた
び潮流が発生するとどうあがいても流されてしまうことが多い。決算プレーも注目度の高い銘柄の場合、決算を跨ぐ前にあらかじめ方向性
が決められてしまっているような時がある。総合的な評価をせず、ウィークポイントに焦点を当てる。表現は悪いが難癖をつけて売り叩くよう
な相場で、これは全体相場の流れの悪さも示唆している。
トヨタについては国土交通省が前日に一連の認証不正問題を巡り、再発防止を求める是正命令を出している。偶然とはいえ、売られる方
向に流れが向いてしまっている。今後同社の辛口の想定為替レートを更に突き抜ける円高に見舞われる可能性もあり、値ごろ感にほだされ
ての押し目買いも現状はまだリスクがありそうだ。
あすのスケジュールでは、7月のマネタリーべースが朝方取引開始前に日銀から開示されるほか、午前中に3カ月物国庫短期証券の入札
が行われる。また、後場取引終了後に7月の財政資金対民間収支が発表される。なお、国内主要企業の決算発表では、JT<2914>、イビデ
ン<4062>、エーザイ<4523>、任天堂<7974>、三井住友フィナンシャルグループ<8316>などが予定されている。海外では7月の米雇用統計
に対するマーケットの注目度が高く、このほか6月の米製造業受注も発表される。また、この日はシェブロン<CVX>の決算が発表される。
トヨタ様がクソ株に変わり果てた
植田は国賊
2024/08/04 19:00 日経速報ニュース
日銀が追加利上げを決断し、同時に国債保有を圧縮する「量的引き締め」も開始した。日本経済は中央銀行による金利コントロールから、
市場原理による「金利が動く世界」に戻る。国も企業も家計も、これからは金利の規律と向き合うことになる。
「インフレ率が2%で推移するなら、政策金利も2%程度まで戻すのが自然だ」。7月末に追加利上げに踏み切った日銀。日本は1995年
以降、政策金利が1%を超えたことがないが、日銀関係者は利上げのゴールを2%程度と見込む。
超低金利が続くとみていた市場にはサプライズとなり、公表翌日の1日に円相場は1ドル=148円台まで買い戻された。一方で日経平均
株価は2日に史上2番目の下落幅を記録。市場は揺れながら「金利が動く世界」へ向かう。早期安定の試金石は、まさに中銀の統制を解く
債券市場にある。
日本国債の発行残高は1082兆円。日銀はその53%を保有する「池の中の鯨」だ。巨大な買い手がいなくなれば、金利は急騰リスクを抱
える。財務当局は「大量の預金を抱える国内銀行がその空白を埋める」と切望する。民間銀行などは日本国債の9%を現在保有するが、
約10年前は39%(317兆円)と最大のプレーヤーだった。
「国内銀行だけで200兆円は国債を買える。ただ、長期金利の最終水準がみえてこないと買いに行けない」。あるメガバンク首脳はそう
思案する。
確かに民間銀行に国債を買い入れる余力はある。ただ、金利が上昇し続ければ保有国債に含み損が発生する。ある大手銀行は長期金利
が1.2%になれば本格的な国債買いに動く腹づもりだが、現在は1%を切っており「動く地合いではない」。
最大の問題は国債取引の人の厚みもノウハウも薄れていることだ。ある大手銀は日本国債の取引担当がわずか2人。30年前は10人超
いたものの、金利が動かなくなってチームを縮小した。国債取引で中核的な役割を果たす「国債市場特別参加者(プライマリー・ディーラー)」
も、三菱東京UFJ銀行(現三菱UFJ銀行)が資格を返上したほか、欧州系のアール・ビー・エス証券(当時)なども撤収した。
1998年の資金運用部ショック、2003年のVaRショックと、かつて国債市場は金利急騰で大混乱したことがあった。当時と異なるのは、
国債のトレーダーも運用機関も層が薄くなり、金利急変動の耐性がないことだ。
長期金利は経済の好不調に合わせて上下動するのが自然な姿だ。日銀が国債の大量購入で長期金利を人為的に抑えつけると、世界の
マネーフローは為替相場でしか調整できなくなった。極端に開いた日米金利差で発生したのが歴史的な円安だった。「円売りが連鎖してキャ
ピタル・フライト(海外への資本逃避)になれば、1ドル=300円も冗談でなくなる」。ある自民党議員は海外投資家に真顔でそう脅された。
円売り連鎖という目先の苦境は遠のいた。とはいえ、秩序だった市場を取り戻さなければ、次なるリスクを抱え込む。
S&Pグローバル・レーティングなど主要格付け機関は、財政悪化にもかかわらず日本国債の格付け見通しを「安定的」と据え置いている。
その理由は、皮肉にも日銀による巨額の国債買い入れ策があったからだ。民間主体で国債相場を支えきれないなら、財政悪化はそのまま
国債格下げリスクとなる。邦銀の格下げにも直結し、日本企業のドル調達難という新たな危機となる。
中央銀行頼みのツケはすぐにはなくならない。市場のプレーヤーの厚みを取り戻す必要がある。
【関連記事】
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・日銀「為替と戦う」利上げの成算 FRBとの蜜月いつまで
2024/08/05 15:11 日経速報ニュース
国内債券市場で長期金利が急低下している。米国の景気後退懸念が浮上して米金利が大きく下がり、リスクオフ(回避)が加速している
ためだ。市場では米経済が急速に落ち込むシナリオに懐疑的な声が多いものの、仮に米連邦準備理事会(FRB)が大幅利下げを迫られる
ような状況となれば、日銀の追加利上げは遠のきかねないとのリスクシナリオが浮上している。
2日発表の7月の米雇用統計が予想外に低調な結果で、同日の米市場では株安・債券高が進行。その「ビッグウェーブ」が5日の東京市
場を襲った。日経平均株価の下げ幅が一時4700円を超えたほか、円相場は1ドル=141円台後半と約7カ月ぶりの高値をつけた。国内長期
金利は一時前週末比0.200%低い0.755%と、約4カ月ぶりの低水準を記録し、リスク回避はとどまる様子がない。
債券投資家の混乱ぶりを象徴するのが長期国債先物だ。大阪取引所は5日午前、長期国債先物で取引を一時停止する「サーキットブレー
カー」を発動。制限値幅を拡大したうえで取引を再開すると、前週末比2円34銭高い146円14銭まで上昇した。現物債市場でも値付け業者
(マーケットメーカー)の腰が引け気味だったため、「(買い手と売り手が提示する最良価格である)ビッド・アスクの差が大きく開き、現物債売
りのインパクトが増幅された」(国内証券のストラテジスト)という。
長期金利は現在の水準で定着するのか。ポイントは2点ある。1点目は米国の景気後退が本当に実現するかどうかだ。
米雇用統計では非農業部門の雇用者数が市場予想を下回ったが、前月比では11万4000人増と10万人台は維持する。野村証券の宍戸
知暁シニア金利ストラテジストは「週間の新規失業保険申請件数は20万件台と過去の景気後退時にみられた40万件を大幅に下回り、米
景気後退にはまだ距離がある」とみる。
2つ目は円高や株安で日銀が追加利上げを諦めるかどうかだ。ある国内証券のエコノミストは「米国の景気減速で日銀が描く経済・物価
見通しが下振れするなら、10月会合での追加利上げは相当難しくなる」と語る。半面、足元の株安が単なるバリュエーションの調整であれ
ば「日銀のシナリオに変化はなく、最終的に1%程度までは追加利上げが見通せる」(野村の宍戸氏)とも読める。
市場関係者によると、利上げ到達点の想定といえる2年先に始まる1年物の翌日物金利スワップ(OIS)金利は5日午前に0.6%近辺と
なったようだ。日銀が追加利上げを決めた直後の1日は0.7%台後半だった。前週後半には2回の追加利上げを織り込んでいたが、現在
は「少なくとも1回」に後退した。
5日の金利低下は「売り方の買い戻しを巻き込んだパニック的なもの」(国内証券のストラテジスト)との声が現時点では支配的だが、
相場の先行きは結局、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)次第だろう。5日の動きを「過剰評価」と一蹴しようとしている市場参加者
も実は疑心暗鬼になっている。
2024/08/07 11:14 日経速報ニュース
日銀の内田真一副総裁は7日、北海道函館市で開いた金融経済懇談会で講演し「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」
と述べた。「当面、現在の水準で金融緩和をしっかりと続けていく必要がある」とも語った。
日銀は7月の金融政策決定会合で、利上げを決めた。政策金利とする無担保コール翌日物レートの誘導水準を0?0.1%から0.25%に引き上げ
た。内田氏は「円安を受けて輸入物価が再び上昇に転じていることを踏まえた。消費者物価を上振れさせるリスク要因で、よりリスクに中立的
だ」と説明した。
もっとも「引き続き政策金利を引き上げるとの考え方は、経済・物価の見通しが実現していくとすればという条件が付いている。この点、ここ1週
間弱の株価・為替相場の大幅な変動が影響する」と指摘した。
「金融資本市場では米国の景気減速懸念を契機に世界的な急速なドル安と株価の下落が生じている。円ドル相場はこれまで円安方向で大き
なポジションが積み上がっていたことの巻き戻しがあり、変動幅が大きい。日本の株価は円安の修正もあって他国より下落幅が大きい」と分析し
た。
「株価の変動は企業の投資行動や資産効果などを通じた個人消費、ひいては経済・物価の見通しに影響するものであり、政策運営上重要な
要素だ」とも強調した。
株価の下落について「米国経済はソフトランディングする可能性が高いと考えているし、日本の株価上昇の背景には企業の収益力の強化があ
る。両国の経済のファンダメンタルズが大きく変わったとは思えない。米国の単月の指標に対する反応としては大きすぎる」と意見した。
そのうえで「最近の内外の金融資本市場の動きは極めて急激で、その動向や経済・物価に与える影響について高い緊張感をもって注視する」
と指摘した。
現行の0.25%という金利水準については「名目としても、特に実質ベースでみれば、極めて低い水準だ」と話した。欧米と異なり、もともと、一定
のペースで利上げをしないと利上げが遅れて物価上昇への政策対応が後手に回る「ビハインド・ザ・カーブ」に陥ってしまう状況ではないとの認
識も示した。
円安が修正されたことで「物価の上振れのリスクはそのぶんだけ小さくなった」とも話した。
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2024/08/07 14:15 日経速報ニュース
日銀の利上げに対する姿勢が変わりつつある。7日午前に北海道函館市で開いた金融経済懇談会で内田真一副総裁が「市場が不安定な
状況で、利上げをすることはない」と明言したためだ。日経平均株価が過去最大の幅で上げ下げするなど金融・資本市場の混乱に配慮した格
好だが、金融政策を市場に連動する形で運営することには危うさもはらむ。
内田副総裁が示した配慮の1つは株価だ。挨拶では株価が企業収益や経済見通しを反映して形成されるのを前提に、歴史的な高水準にあ
る企業収益に関し「単なる円安の恩恵といったものではなく、より本質的な収益力の強化によるもの」と評価。そのうえで「株価の変動は企業
の投資行動や資産効果などを通じた個人消費、ひいては経済・物価の見通しに影響するもので政策運営上重要な要素」だと説明した。
さらに外国為替市場で急ピッチに進む円高についても配慮をみせる。「円安が修正された結果、輸入物価を通じた物価上振れのリスクはその
分だけ小さくなった」と指摘した。足元での円ベースでの輸入物価の上昇が「ほぼこれまでの円安によるもの」だとしたうえで「この点で円安の
修正は、政策運営に影響する」と述べ、むしろ円高に伴う物価の下押し圧力も意識し始めている。
これらを踏まえ、内田副総裁は「市場の変動の結果として見通しやその上下のリスク、見通しの確度が変われば、当然金利のパス(経路)は
変わってくる」と総括した。さらに「欧米の利上げプロセスとは異なり、わが国の場合、一定のペースで利上げをしないと(政策対応が後手に回
る)『ビハインド・ザ・カーブ』に陥ってしまうような状況ではない」とも述べ、利上げを急がない考えを明確にした。
7月末の金融政策決定会合で政策金利を0.25%に引き上げた日銀は公表文で、今後の利上げの前提条件として「『経済・物価情勢の展望(
展望リポート)』で示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば」と説明していた。その考え自体は同じものの、内田副総裁は「ここ1週間
弱の株価・為替相場の大幅な変動が影響する」との立場だ。
植田和男総裁は7月の決定会合後の記者会見で、利上げについて「少しずつ調整をしておいた方が、先に行って慌てて調整するという事態
に追い込まれたときに、ものすごい急激な調整を強いられるというリスクを減らす」と説明していた。利上げを遅らせてもビハインド・ザ・カーブに
は陥らないと語った内田副総裁とは見解が異なる。
利上げ決定から間を置かずに日銀の根幹を担う副総裁が利上げに慎重な「ハト派」へと急転換したようで、野村総合研究所の木内登英エグ
ゼクティブ・エコノミストは7日付のリポートで「わずか1週間のうちに総裁と副総裁が全く逆の見解を述べたことは大いに問題ではないか」と指
摘。「日銀の説明はあまりにも振れが大きく、日銀に対する信認を損ねるものになるのではないか」とも警鐘を鳴らす。
内田副総裁が主張するように日銀が市場動向に連動する形で金融政策を運営することになれば、決定会合前から金融・資本市場が不安定
になり、自ら利上げの選択肢を省いてしまうことにもなりかねない。日米景気は大きく崩れないとの前提のもとに日銀は「タカ派」のままなのか
、もしくは「ハト派」に回帰したのか。しばらくは投資家の目線も揺れ動きそうだ。
2024/08/06 19:19 日経速報ニュース
「円キャリー取引」が主導してきた円安局面が幕を閉じつつある。対ドルの円相場は5日に一時1ドル=141円台まで上昇。年初からの
下落分をほぼ全戻しした。日米金融政策の転換で日米金利差が縮小方向に動く中、「円キャリー後」の経験則に照らすと1ドル=130円
台に上昇する可能性も見えてきた。
「これまで積み上げたポジション(持ち高)を手放すことを余儀なくされている、そんな相場だ」。1日の円上昇幅が4円を超えた5日夕、
三菱UFJ銀行の野村拓美エグゼクティブエキスパートはこう話した。
「スピード違反」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジスト)といえるほどの円急伸を受け、翌6日は一時
146円台まで円が売り戻された。だが、このまま再び円安・ドル高が加速していくとの見立ては少ない。
米商品先物取引委員会(CFTC)によると、7月30日時点でヘッジファンドなど非商業部門(投機筋)の円売り持ち高は7.3万枚。3週で
10.8万枚縮小した。同日時点で1ドル=152?153円台で推移していた円相場はその後一気に上昇したため「投機筋の円売り持ち高は
ほぼ解消した」(あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジスト)との見方が優勢だ。「円相場のテーマは日米金利差縮小に移っ
た。外債の売却を進めていきたい」(国内大手生命保険会社)といった声も聞かれる。
投機筋が円売り持ち高を増やした主因が、円キャリー取引だ。低金利の円を調達し、高金利のドルで運用して金利差収益を得ようとする
取引を指す。
円キャリーとは取引の呼び名で、「円キャリーファンド」など特定のプレーヤーがいるわけではない。民間のヘッジファンドや海外金融機関
など海外勢が中心に手掛ける。ある外国銀行関係者によると「政府系ファンドが手掛けることもある」という。円資金を貸し出すのも主に海外
の金融機関だ。円を借りてドルで預金するほか、さらに短期金融市場に回して運用収益の上乗せを目指すこともある。
今回の円キャリー取引活発化の局面は2022年に始まったとの指摘が多い。ロシアのウクライナ侵略が始まって世界的なサプライチェーン
(供給網)の混乱が生じ、米国をはじめ先進国のインフレ圧力が高まったことが背景にある。結果、米連邦準備理事会(FRB)はインフレ抑制
のための利上げを長く続けることになり、円売り・ドル買い圧力が高まることになった。1990年代後半や2007年ごろに続く第3次の円キャリー
ブームだ。
こうした経緯からすれば「ウクライナ侵略が始まった1ドル=114円台まで逆回転しても驚きはない」(外国銀行幹部)。円キャリーという円安
の支えがはずれたことで、円高方向の値幅が出やすくなるためだ。シティグループ証券の高島修通貨ストラテジストは「これまでの円安・ドル
高は米国のインフレや財政拡大など新型コロナウイルス禍の特殊な環境で起きていた。そこから移行する段階に入ってきた」と話し、徐々
に円高方向に転換するとみる。
ほぼ同水準にまで膨らんだ07年の安値は1ドル=124円台。売り持ちの縮小で107円台まで上昇した後、リーマン・ショックが起きた08年に
は87円台まで円高が進んだ。
1998年の「LTCMショック」前も活発なキャリー取引を背景に円相場は147円台まで下落していた。同ショックを受けて約3カ月で113円台ま
で上昇し、翌年には101円台を付けた。ともに数カ月?1年ほどで3割程度の円高・ドル安が進んだ形だ。今は金融危機が差し迫っている
わけではないものの、地政学リスクなど他の要因が重なることで円上昇が増幅する恐れはある。
今後の円相場の原動力は「金利差と需給要因。1ドル=160円台には戻らないとみて国内輸出企業の中には円を買う動きも出てきた
」(邦銀ディーラー)。円が急伸したことで円買い・ドル売りに遅れた主体は一定程度いるとの見方もあり、円の上昇圧力がじわりときいてくる
可能性もある。
みずほリサーチ&テクノロジーズによると、足元の日米10年金利差(一部、経常収支や直接投資など円需給要因含む)からみた円相場の
フェアバリューは142?143円。「日銀の追加利上げやFRBの利下げへの観測がさらに高まることがあれば、一段の円高進行はあり得る」(東深沢武史主任エコノミスト)との声も上がり始めた。130円台への上昇は目前だ。
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・円キャリー取引とは 金利差で収益、活発化なら円安に
・企業経営者、株急落を警戒 円高で「価格交渉に影響も」
・日経平均3217円高の3万4675円 上昇幅は過去最大
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-08/SHU5FHT1UM0W00?srnd=cojp-v2
緩やかなペースの利上げは緩和程度の調整、引き締め効果を持たない
正常化が自己目的になってはならず、政策運営は注意深く進める必要
日本銀行が7月30、31日に開いた金融政策決定会合では、政策委員から経済や物価の動向を見ながら、段階的に利上げを実施する必要
があるとの意見が出た。「主な意見」を8日に公表した。
それによると、2025年度後半の物価安定目標の実現を前提に、「中立金利は最低でも1%程度とみている」との見解が示された。その上で、
「急ピッチの利上げを避けるためには、経済・物価の反応を確認しつつ、適時かつ段階的に利上げしていく必要がある」との指摘があった。
利上げ後も「0.25%という名目金利は引き続き極めて緩和的な水準であり、経済をしっかりと支えていく姿勢に変わりはない」との認識も示さ
れた。このほか、「緩やかなペースの利上げは基調的な物価の上昇に応じて緩和の程度を調整するものであり、引き締め効果を持たない」との
見方もあった。
会合では、17年ぶりだった3月会合以来となる今年2回目の利上げを決定した。主な意見からは、経済・物価が日銀の見通しに沿って推移
していることに加え、物価の上振れリスクに対する警戒感が委員の間で強まっていたことがうかがえる。
一方で、「金融政策の正常化が自己目的になってはならず、今後の政策運営については、注意深く進めていく必要がある」との意見も出た。
現時点では経済の持続的成長を裏付けるデータが少ないため、「次回会合で重要な経済データを点検して変更を判断すべきだ」との主張も
あった。
植田和男総裁は会合後の記者会見で、経済・物価情勢が見通しに沿って推移すれば「引き続き金利を上げていく」とタカ派姿勢を示した。
直後に米経済の後退懸念も強まり、世界的に株価が急落するなど金融市場は一気に不安定化。これを受けて、内田真一副総裁は7日の
講演で「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と述べ、ハト派的な姿勢を明確にした。
追加利上げと同時に決めた国債買い入れの減額計画に関しては、市場に金利形成を委ねるため、「基本的には計画に沿って、国債買い
入れの減額を淡々と進めていくべきである」との見解が示された。また、減額計画の目的はあくまでも市場領域の回復であるとし、「金融引き
締めにあるのではない」との指摘も出た。
他の主な意見
足元の経済、極めて低い金利を幾分引き上げる程度に良い
前向きな企業行動の持続性確認なら、一段の緩和調整必要
現状は下振れ気味のデータ多く、より慎重に見極める必要
賃金と物価の好循環が働きだした、基調物価は2%へ着実な歩み
家計を中心に物価目標が従来より意識されていることを認識する必要
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市場不安定な状況で利上げしない、当面現行緩和を継続-内田日銀副総裁
日銀の政策正常化に早くも試練、市場急変動で追加利上げ観測が後退
植田日銀総裁が利上げに前傾姿勢、タカ派発信で年内追加観測も浮上
日銀が政策金利0.25%に引き上げ、経済・物価想定通りなら利上げ継続
(詳細を追加して更新しました)
2024/08/08 日本経済新聞 朝刊
7日の東京株式市場で、日経平均株価は日銀の内田真一副総裁による「ハト派」発言をきっかけに急騰した。前日比900円安から1100円
を超えて上げる場面があった。内田氏の発言はひとまず株式市場に買い安心感を与えたが、まだ視界が晴れたとは言いがたい。
国内運用会社のファンドマネジャーは7日午前、急ピッチで上昇する株価を見て一瞬、買い注文の手を止めた。「6日の3000円を超える上昇
が頭をよぎった」ためだ。予定通りアニコムホールディングスなどの内需株を買い付けたが、激しい値動きにハラハラしたという。
市場関係者をハラハラさせる展開となったのは、日銀の内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と語り、
買い安心感が広がったためだ。ピクテ・ジャパンの糸島孝俊ストラテジストは「日銀が早期に政策金利を0・5%に上げることはないと受け止め
られ、投資家に冷静になる時間を与えた」と話す。
8月の歴史的な株安を引き起こしたのは、日銀が7月末に利上げに踏み切ったのがきっかけだ。低金利の円を借りて米ドルなどの高金利
通貨に投資する「円キャリー取引」やそれと連動した日本株買いが巻き戻された。
野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは、ここまでの株安を日本版「テーパリング・ショック」と呼ぶ。米連邦準備理事会(F
RB)のバーナンキ議長(当時)が2013年5月に量的緩和縮小(テーパリング)に突然言及し、世界的な株安を招いた「バーナンキ・ショック」
になぞらえた。
日銀の金融政策に対する警戒感が下落の一因だっただけに、市場では内田氏の発言は「どこまで下がるか分からない疑心暗鬼を緩和する
清涼剤になった」(大和証券の林健太郎シニアストラテジスト)との声がある。
7日は株価が乱高下する中でも、日経平均を対象としたオプション価格から算出し、相場の急変動に対する警戒感を表す日経平均ボラティリ
ティー・インデックス(VI)は12%低下して終えた。下落不安に備えるプットオプションのように「内田プット」が利いたといえる。
ドル円相場と日経平均株価の連動性は8月以降強まっている。相関係数(10日移動平均)は8月5日以降はマイナス0・4~0・6程度で約5
カ月ぶりの低水準で推移する。円が下落すると日経平均が上がる傾向が強いことを示す。7日も円相場が円安に進むと株価が上昇した。
一方で7日に買われた個別銘柄をみると、業績への期待が高く、5日までに株価を大きく下げていた銘柄が中心だ。7日は生成AI(人工知
能)半導体への期待が大きいディスコが12%高、防衛関連として期待される三菱重工業が10%高となった。本来は円安が業績改善につな
がるはずの輸出関連株に対しては、投資家はまだ半身の姿勢でトヨタ自動車は1%安で終えた。
朝日ライフアセットマネジメントの武重佳宏資産運用統括部長は「輸出関連株は割安感はあるものの、円相場が1ドル=155~160円の時
と比べると、業績の上振れ期待は薄れている」と話す。
バーナンキ・ショックでは以前の水準に株価が戻るのに半年以上かかった。りそなアセットマネジメントの下出衛チーフ・ストラテジストは
「日銀が金融引き締めの方向であることは変わらない。日経平均が4万円台を回復するのは25年以降になるだろう」と指摘する。
2024/08/09 日本経済新聞 朝刊
日銀による金利正常化が投機筋の動きによって難しくなっている。7月末の利上げ決定後、為替相場で急激な円安修正が起き、株価は大幅
下落した。日銀は物価が見通し通りに推移すれば追加利上げするシナリオを描くが、過去の異次元緩和で積み上がった膨大な「円キャリー取
引」の巻き戻しで市場は乱高下しかねない。
日銀は8日、追加利上げを決めた7月30~31日の金融政策決定会合の「主な意見」を公表した。政策委員からは「適時かつ段階的に利上げ
していく必要がある」など今後も追加利上げを求める声が相次いだ。
7月会合後に市場が急変した。日銀が想定外だったのは低金利の円を市場で借り、各種資産で運用する「円キャリー取引」の急激な巻き戻し
だ。
これまでの円安局面でヘッジファンドなどは円売りを仕掛けていたとみられ、円相場は5日に1ドル=141円台をつけ、7月上旬の161円台か
ら20円ほど円高・ドル安が進んだ。
こうした急激な円安修正が大幅な株安を引き起こした。東京証券取引所の売買主体の6~7割は海外投資家で、その中でも円安・株高のシナ
リオにかけていた外国の投機筋が持ち高の調整を迫られ、大量の株売りにつながった。円キャリー取引で調達した投機マネーの一部は米ハイ
テク株などにも向かっていたとみられ、世界的な資産価格の押し下げ圧力にもなる。
日銀が大規模緩和を長期継続したことで、自ら円キャリー取引が膨張する環境を築いてきた。日銀によると、円キャリー取引の規模を反映する
とされる、外国銀行在日支店の「本支店勘定(資産)」は、異次元緩和を解除した24年3月時点で13兆5000億円となり、異次元緩和下で
約2倍に膨らんだ。日銀自身による金利正常化の取り組みを縛る恐れも出てきた。
― 前 場 ―
【月曜日】岩本 秀雄/仲田 奈々
【火曜日】櫻井 英明/安蒜 幸紀
【水曜日】鈴木 一之/西谷 祐紀子
【木曜日】中嶋 健吉/小川 真由美
【金曜日】松崎 泰弘/小川 真由美
― 後 場 ―
【月曜日】今野 浩明/小川 まどか
【火曜日】福永 博之/西谷 祐紀子
【水曜日】櫻井 英明/小川 真由美
【木曜日】鈴木 一之/安蒜 幸紀
【金曜日】和島 英樹/仲田 奈々
と
日本製が高くなるから
ドルの利下げが遅れる
年内は利下げ無い
2024/08/12 05:00 日経速報ニュース
8月5日、日経平均株価が史上最大の下げ幅を記録した。その暴落の一つのきっかけになったとして市場関係者が挙げるのが外国為替市場
を舞台にした「円キャリー取引」だ。積み上がった円キャリー取引の巻き戻しが急な円高を引き起こし、株安と共振したとの見立てが多い。振り
返れば、円キャリー取引は1998年と2007年にもピークを迎え、その後の市場動揺と連動してきた。膨張と崩壊を繰り返す「円キャリー取引」の
メカニズムを追えば、金融市場のゆがみの一断面が見えてくる。
円キャリー取引とは
低金利の円を借り、高金利のドルなどで運用することで金利差収益を得ようとする手法だ。国によって異なる金利の差に目をつけた裁定取引
(アービトラージ)の一種だ。
借りてきた円を高金利通貨に両替する過程で円売りを伴うため、円相場にとっては円安圧力となり、反対に取引が解消に向かう局面では
円高圧力となる。
日本では2024年3月まで8年間、日銀による大規模緩和の一環でマイナス金利が続いてきた半面、米国では23年7月まで急速に利上げが
進んだ。マイナス金利解除後も日本の金利の絶対水準は低い。1カ月物の日米金利差は足元でも5%以上開いており、これに目をつけた円
キャリー取引が活発になっていた。
円キャリー取引を手掛ける主体は様々だ。ヘッジファンドなどの投機筋のほか、政府系ファンドや金融機関、外国為替証拠金(FX)を手掛ける
個人投資家たちもいる。通常は円を交換したドルを預金や債券に振り向けるが、一部に株式を購入するケースがある。資金の貸し手は、円預金
を持つ外国銀行が中心だ。
キャリー取引の調達通貨となっているのは円だけではない。世界主要国の中で相対的に金利が低いスイスフランや人民元もキャリー取引の
調達通貨として注目されたことがある。ただ、ヘッジファンドなどプロにとっては、取引量が多く流動性が豊富で売買しやすいことが重要なため、
日本円が選ばれがちという事情がある。
弱点もある。相場の急変動だ。金利収入を得るためには時間の経過が必要で、その間に相場が大きく動けば金利差収益が消し飛んでしまう
リスクを抱えた取引ともいえる。
実は今回の円キャリー取引が盛り上がったのは、過去30年間で今回が3回目だ。第1次のピークは1998年。日本国内で金融不安が高まり
邦銀が市場で資金を手当てする際に上乗せ金利を求められる「ジャパンプレミアム」が発生。割安なコストで海外勢が資金を調達できるように
なり、旧米ソロモン・ブラザーズ出身の大物債券トレーダー、ジョン・メリウェザー氏が率いた米大手ヘッジファンドのロングターム・キャピタル・
マネジメント(LTCM)など多くのファンドや金融機関が、こぞって円キャリー取引を手掛けた。LTCMは調達資金で投資資金を元手の数十倍に
膨らませ、理論価格よりも実勢が割安だと判断したロシア国債などを大量に買い入れた。円相場の下落も続き、98年6月には日米両国による
協調介入を実施したが円売りに歯止めがかからず、8月に147円まで円安が進んだ。
第2次ブームはリーマン・ショック前の2007年前後だ。米国は06年まで17会合連続で利上げを敢行し、政策金利を2年で4%強引き上げてい
た。欧州でもインフレ対応で利上げが続いた一方、日本は金利が据え置かれた。円キャリー取引は拡大し、「欧州では円建ての住宅ローンを
貸し出す動きすらあった」(みずほ銀行の唐鎌大輔チーフマーケット・エコノミスト)。円を低利で調達し、自国内の相場に見合った水準の金利で
貸せば、利ざやを厚くできるというわけだ。
その後、第1次の98年はロシア危機によるLTCMの破綻、第2次の07年はサブプライム問題の表面化などによって投資家のポジション解消
が急激に進んだことで終幕。結果として円相場は大きく円高に振れることになった。
今回の第3次ブームを引き起こしたのは新型コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵略だ。サプライチェーン(供給網)の混乱が
生じたことで、食料やエネルギー価格が高騰、インフレ対策として米国が急激に政策金利を引き上げる一方、日本の金利はマイナス圏での
推移が続いた。
加えて、日本は輸入コストの上昇などで貿易収支が悪化。円売り需要が拡大した。金利差面に加え、需給面でも円高リスクが低いと捉えら
れたことで、一段と円キャリー取引が膨らむことになった。
足元の円キャリー取引の規模は数百兆円に達するとの見方もあるが、正確に示すデータはない。政府や日銀ですら、円キャリーの正確な
規模は把握できていないとの指摘が多い。
正確なデータが存在しない中、円キャリーの取引規模を類推できるデータの1つが、日銀が公表する外国銀行在日支店の本支店勘定
(資産)だ。海外勢は、円キャリー取引を組む場合に外銀から借り入れることが多いためだ。24年3月時点で13兆5000億円を超え、22年1月
から2倍超に増えた。
また、国際決済銀行(BIS)が四半期に1回公表する円建ての貸し出しデータなども手掛かりの1つだ。
8月5日には日経平均株価が4451円安の3万1458円まで下落し、過去最大の下げ幅を記録した。市場の一部では今回の株価急落の原因
を、円キャリー取引に求める声が出ている。過去の第1次、第2次のブームではLTCMなどの投機マネーが借り入れた円資金を高リスク資産
に投じるなど予想以上のリスクをとっており、今回も似たような取引が膨らんでいたのではないかという連想も働いている。
今回の円キャリー取引の急激な巻き戻しの引き金になったのは、日米金融政策の方向性の転換だ。
前週7月31日に日銀は金融政策決定会合で政策金利の引き上げを決定。植田和男総裁も会合後の記者会見で追加利上げに意欲的な姿勢
を示した。日米金利差が縮小すれば円高圧力は高まり、金利差収益も薄くなってしまう。
予想しなかった日銀の追加利上げを受け、円キャリー取引を手掛けるヘッジファンド勢はあわてて、円売り・ドル買いのポジションの巻き戻し
に動いた。取引解消を急いだ理由は、日米金利差の縮小だけではない。円売り・ドル買いで得られる金利差収益は、年間で1ドルあたり8円
程度(1日あたり2銭程度)。金利差のもうけを吹き飛ばす価格変動に耐えられず、円キャリー取引の解消を一気に加速させたのだ。
そこに、今回は個人投資家による外国為替証拠金(FX)取引の円売りポジションの巻き戻しが「円高の一要因になった」(外為どっとコム総合
研究所の神田卓也調査部長)。ファンドと個人FXの取引解消が同時進行し、7月上旬に37年半ぶりの円安水準となる1ドル=161円96銭まで
下落していた円相場は、5日に一時141円台後半まで上昇。1カ月足らずで20円程度円高が進んだ計算だ。
そんな急激な円高進行が、投資家の日本株売りに火をつけた。昨年春以来の日本株の上昇は、歴史的な円安による日本企業の業績押し
上げがもたらした面が大きかったからだ。円売りと日本株買いを組み合わせる「ジャパントレード」で高いリターンを上げてきた海外ヘッジファンド
も多く、こうしたファンド勢のジャパントレードの解消によって円高と日本株安がスパイラル的に進んだ。
加えて、米ドルを保有する投資家が、日本株買いに円の変動リスクを抑える「為替ヘッジ」取引を組み合わせる取引も広がっていた。為替
ヘッジは実質的には低金利の円を借りて高金利のドルを貸すことになるためだ。これらが急速な円高進行で一気に見直しを迫られた。
また今回の円キャリー取引では、交換したドルを米国株などに振り向ける動きがあったという。あおぞら銀行の諸我晃チーフ・マーケット・ストラテジストは「キャリー取引は一般的に金利差収益を重視するが、リスクを取れる投資家の一部に、株式に投資して二重で利益を取りにいくといったケースがあっただろう」と話す。
つまり、円キャリー取引の巻き戻しが引き起こした円高が、日本株を買っていた様々な投資家の前提を揺るがせたと言えそうだ。為替ヘッジという金利差を生かした取引手法の前提も崩れた。海外では、円キャリー取引の巻き戻しが米国株の売りにつながったとの見方もあるが、現時点でインパクトは読みづらい。
そもそも、8月2日に発表された7月の米雇用統計が市場予想に届かず、米国で景気後退懸念が急速に広がったことが、日本株の売り圧力になっていた面もある。
円キャリー、巻き戻しは終わったか
外為市場のプロの間でも見立ては割れている。ある外資系証券の為替担当者は「円キャリーの巻き戻しは3割程度ではないか」と話す一方
スイスの金融大手UBSはドル円のキャリー取引の巻き戻し規模を4割程度と分析。米JPモルガンもキャリートレードの75%が解消されたとする。
円キャリーの動向を間接的に示すとされる米商品先物取引委員会(CFTC)が発表する非商業部門(投機筋)の円売り越し幅は7月2日時点で
18万4223枚と、07年6月以来の規模に膨らんでいたが、6日時点では1万1354枚。1カ月で9割超減った。米ゴールドマン・サックスはこうした
データから「円キャリー取引は9割程度は巻き戻されたといえるが、先物以外のポジションが存在することを考えると、実際のところはもう少し
巻き戻しの余地があるのではないか」と指摘する。
円相場は9日夕時点、1ドル=147円20銭程度で推移する。日経平均株価も9日、193円高の3万5025円で取引を終えるなど、相場は落ち
着きを取り戻しつつあるように見える。三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは「株も為替も相場が急変したあとでしばらくは落ち着
きどころを探る展開だろう」と話す。
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・円キャリー取引、第3次ブームに幕 130円台視野
・円キャリー取引とは 金利差で収益、活発化なら円安に
2024/08/14 15:13 日経速報ニュース
外国為替市場で円相場がようやく安定しつつある。14日は岸田文雄首相の自民党総裁選への不出馬を巡って円買い・ドル売りが加速する
場面があったものの、相場が上値を試す動きは続かなかった。米連邦準備理事会(FRB)の利下げが確実視され、日銀は追加利上げの
タイミングを慎重に探る姿勢で市場の混乱も収まってきた。しばらくは歴史的な円安が再来せず、円の急騰も避けられる時間帯が続きそうだ。
14日の東京市場で円相場は1ドル=146円台を中心に推移した。自民党の次期総裁候補に、円安是正に向けて日銀に利上げを求めるよう
な発言をしていた河野太郎デジタル相や茂木敏充幹事長の名前が挙がるなか、岸田首相の不出馬表明で思惑的な円買い・ドル売りが入り
一時146円07銭近辺まで上昇。だが、ほどなく147円前後に値を戻し、この日の安値は147円18銭近辺で値幅は1円11銭となっている。
市場の共通認識(コンセンサス)ではなかった日銀による7月の利上げ決定や、経済指標の下振れで台頭した米国の景気後退(リセッション)
懸念で荒れていた円相場は落ち着きつつある。日銀の公表値をベースに東京市場での値動きをみると、日経平均株価が過去最大の下げ幅
を記録した5日から7日にかけて2?4円だった円相場の値幅は9日以降は1円前後に縮まってきている。
円相場が平静を取り戻してきているのは一時141円台に乗せた5日の急伸で、ヘッジファンドなど投機筋による円のショートカバー(売り持ち
解消)がおおむね終わったとみられているためだ。米商品先物取引委員会(CFTC)のデータでは米通貨先物市場で非商業部門(投機筋)に
よる対ドルでの円の売越幅は6日時点で1万1354枚まで減り、中立的な水準に近づいた。
JPモルガン・チェース銀行の棚瀬順哉チーフ為替ストラテジストは13日付リポートで「ポジション調整が一巡したのであれば、今後、円の
対ドル相場の主なドライバーは米国と日本の政策金利見通しに戻っていく可能性が高い」と指摘。市場が混乱するさなかに投機筋のポジション
の偏りが整理されたおかげで円相場は理由の判然としない変動が避けられるようになり、日米の金融政策が方向性を決めると読む。
FRBをみると、市場が予想する利下げ開始のタイミングは既に9月で決着し「焦点は政策金利の引き下げ幅に移った」(外為オンラインの
佐藤正和シニアアナリスト)。13日発表の7月の米卸売物価指数(PPI)の伸びは市場予想に届かずインフレ沈静化を示唆。リセッションには
至らずとも米景気は減速感が強く、佐藤氏は「底割れ回避のため、9月に通常よりも大きい0.50%の利下げを決める可能性は十分ある」とみる。
一方の日銀はどうか。政策金利はいまだ低いものの、追加利上げを決めた数日後に急ピッチな円高と日本株の急落に見舞われたのは事実
で、次の利上げに日銀は相当慎重にならざるを得ないとみる市場参加者は増えている。不透明感が増す自民党総裁選に関しても「誰が総裁
になったとしても日銀は大胆に動けない。少しずつ利上げしていく以外に選択肢はない」(大和証券の末広徹チーフエコノミスト)との声がある。
振り返ると日本の政局が円相場を方向付けたのは、最近では安倍晋三元首相が大胆な金融緩和を求めて自民党総裁選と総選挙を戦った
2012年くらいだ。株価の乱高下で与野党が23日に開く閉会中審査に日銀の植田和男総裁の出席を求める状況下では、利上げ観測が再
び盛り上がるのも難しい。円相場を左右するのは「円買い圧力よりドル売り圧力次第」(SMBC信託銀行の二宮圭子シニアFXマーケット
アナリスト)の面が大きく、米利下げ開始が明確ななかで円相場の急変動も回避できる可能性は高まっている。
2024/08/15 日本経済新聞 朝刊
生命保険会社が保有する国内債券の含み損が拡大している。主要12社・グループの国内債券の含み損は2024年6月末時点で10兆
250億円と、データが遡れる08年以降で最大となった。金利には先高観があり、含み損はさらに拡大するとの見方がある。
24年4~6月期決算を集計した。日本生命保険の6月末の国内債の含み損は2兆4412億円で、3月末から1兆4296億円拡大した。
第一生命保険は8991億円増の1兆3769億円、明治安田生命保険は7063億円増の8677億円だった。住友生命保険の含み損は
6047億円増加し1兆48億円だった。
生保各社は年限の長い保険商品を販売し、負債として長期の保険契約を抱える。契約の多くを円建てが占めるため、集めた保険料は
国内の公社債や株式で運用する。金利リスクを減らすために、償還期間の長い債券が主な運用資産となる。
国内金利は昨年夏ごろから上昇している。日銀がマイナス金利を解除した24年3月以降は金利上昇に拍車がかかり、生保各社が主要
な運用資産としている30年債の利回りは約13年ぶりの高水準だ。7月末には市場予想よりも早く日銀が追加利上げを決め、金利の先
高観は強い。
もっとも国内債は満期まで持ち切れば損失とならず、保険会社に認められた「責任準備金対応債券」として持っていれば、保有債券を
時価評価しなくても済む。生保各社は公社債の多くを同区分で保有している。各社は満期保有を前提としており、評価損が実現しなければ
直接的な収益への影響は限定的だ。
生保各社は25年度に導入される新規制を見据えて国債購入を進めてきた。新規制では財務の健全性を高めるために、負債にあたる
保険契約の年限と保有資産の償還期間の差を縮めるよう求められている。各社は20年度ごろから金利水準にかかわらず超長期債を
積み増し、年限差の縮小に取り組んできた。
足元では新規制対応が一巡したため、平準的に国債を買い入れる誘因は乏しい。金利に先高観があるなかで国債を購入しても将来の
含み損が拡大するリスクがあり、各社は様子見姿勢を維持している。金利水準を見極めつつ、保有資産の入れ替えを進めていくとみられる。
有価証券全体でみると20兆7000億円の含み益となっている。株高で国内株式は22兆2000億円の含み益となったほか、円安の影響
で外国資産の円建ての評価額が膨らみ外国証券の含み益が拡大した。
12社・グループの24年4~6月期の基礎利益は、前年同期比35%増の8443億円だった。円安に伴う外国証券の利息収入の増加で
運用関連の収益が伸びたほか、契約時に保険料をまとめて支払う一時払い保険の販売も継続して好調だった。
個別の保険商品では、契約時に保険料をまとめて支払う一時払い商品の解約件数が高止まりしている。金利上昇局面が到来し、高い
利回りを求めて乗り換える動きが増えているためだ。今後も金利上昇による解約が続くとみられ、解約リスクのコントロールも当面の課題
になる。
時事通信 経済部2024年08月19日20時28分配信
財務省は2025年度一般会計予算の概算要求で、借金である国債の元本返済と利払い費に充てる国債費として、過去最大の28兆9116
億円を計上する方針であることが19日、分かった。日銀の政策修正を受けた長期金利の上昇を反映させ、国債利払い費を算出する際に使う
想定金利を2.1%まで引き上げるため。利払い負担の増加で一段と財政が圧迫され、政策の幅が狭まることは避けられない。
来年度予算、特別枠4.2兆円 賃上げ促進、物価高対策を重視―概算要求
想定金利は、過去の経験を踏まえて足元の金利水準に1.1%ほどの急騰リスク分を加味して算定する。当初予算段階で23年度までは7年
連続で過去最低の1.1%だったが、24年度は1.9%とし、17年ぶりに引き上げた。同年度の概算要求時の想定金利は1.5%だった。長期
金利の上昇圧力が強まっているため、25年度は想定金利をさらに引き上げる。
2024/08/20 02:00 日経速報ニュース
日本株の急落が世界を揺るがした。日経平均株価が最高値圏から一転、5日に1987年の「ブラックマンデー」を超える下げを記録した背景
には、日本の株式市場が抱える弱さがある。
5日月曜日の早朝、野村証券の大手町本社。中島豊副社長はトレーディングフロアにいる役職員や個人富裕層部門の幹部に指示を出した。
「今日は極端な動きになるから気をつけるように。これは金融危機ではない。冷静にいこう」
日銀利上げと弱い米雇用、重なった想定外
市場担当として数々のショックを経験してきた中島氏。前週から胸騒ぎを感じていた。7月末に日銀が利上げに積極的な姿勢をみせた。8月
2日発表の米雇用統計は弱く、景気懸念を生んだ。想定外が重なり、同日の米国市場は荒れた。週明けの東京時間でも投資家の売りが膨ら
むことは容易に想像できた。
それでも5日の急落劇はベテラントレーダーたちの想像を超えた。三菱UFJフィナンシャル・グループ株は取引開始直後から前週末比20%安と
なり、兆円単位の企業価値が一瞬で吹き飛んだ。全上場銘柄の2割相当の約800社が制限値幅の下限(ストップ安水準)まで下げる異常事態。
保有株を「売れなくなる恐怖」がさらなる売りを誘発する悪循環に陥った。
ファンド勢は借り入れで運用規模を拡大しリターンを高める。一方で含み損が拡大したり、相場変動率が高まったりすると強制的に保有株の
圧縮を迫られる。いわゆる「投げ売り」だ。JPモルガン証券は日経平均急落の最大要因は投げ売りだったと分析する。
ファンド勢の間では低金利の円を借りて様々な資産を買う動きがあった。円売り・日本株買いは人気取引の一つ。前提は日銀が金融正常化
を慎重に進めることだった。
日米金利差の縮小が緩やかであれば円安傾向は続き、輸出企業の利益を押し上げる。「円安が続くなら日本株買いといった雰囲気があった」。
ゴールドマン・サックス証券の日本株営業責任者、ジョン・ジョイス氏はこう証言する。
市場には緩和環境が長く続くという過信や慢心はあった。だからこそ日銀が円安の悪影響を理由に利上げに踏み切り、早期追加利上げも
辞さない姿勢を示したのはファンド勢の想定外だった。
「レバ投信」の先物売りも下げ助長
7月中旬に1ドル=161円台をつけた円相場は5日、一時1ドル=141円台まで円高が進んだ。直近1カ月の上昇率は12%に達した。米国野村
証券のストラテジスト、チャーリー・マケリゴット氏によると統計学の正規分布に従えば「マイナス5シグマ(標準偏差)」の発生確率。1万年に
1度しか起きないくらいの異常な動きだった。ファンド勢は強烈な円高・株安で機械的に持ち高を落とさざるを得なかった。
大量投げ売りの主体はもう1つある。レバレッジ型と呼ばれる高リスク投資信託だ。例えば上昇局面では先物を買い、相場の2倍の値上がり
を目指す。株高を前提に個人が購入し資産規模が膨らんだ。緩和依存の産物といえる。反作用で急落局面では大量の先物売りが発生し、
5日午後に推計約5千億円の売りを出した。日経平均下落幅は4451円を超え、史上最大の下げとなった。
日銀は87年のブラックマンデーで金融引き締めへの転換が遅れ、バブル発生と崩壊につながった。市場に配慮しすぎた金融政策は経済の
「ゆがみ」を大きくする。これが歴史の教訓だ。
著名エコノミストのモハメド・エラリアン氏は「日銀はもっと早く正常化を始めたほうがよかった」と指摘し、相場変動に直面しても、利上げを
進めるべきだと説く。日経平均は急落翌日の6日に最大の上昇幅(3217円)を記録したが、経済の正常化なしに持続的な株高は実現できない。
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2024/08/21 02:00 日経速報ニュース
米ボストン。日本株専門の運用会社カナメキャピタルのトビー・ローズ氏はメールボックスを開くたびに悲しい気持ちになる。
日経平均株価が史上最大の下落を演じた5日以降、出資を検討する投資家の問い合わせは日銀の利上げなどマクロ政策に関するものばか
り。個別企業への関心は低下したように感じる。
日本株投資歴20年のローズ氏は2018年に独立し、中小型株ファンドを立ち上げた。順調に資金を集めてきたが、相場急落で水を差された。
「日本企業が経営改革に取り組んでもカジノ市場だと思われると長期マネーは入りにくい」
世界の主要株価指数の変動率を並べると、日経平均は16日時点で年率41%と突出して高い。日本株の時価総額は970兆円と、米国や中国
に次ぐ世界3位だ。にもかかわらず、株価の値動きはトルコやメキシコなどの新興国よりも荒い。
日本株クラッシュを生み出した背景には収益機会を求めて瞬時に世界を行き来する「ホットマネー」の存在がある。1935年に当時のルーズベ
ルト米大統領が用い、現代ではヘッジファンドを指す場合が多い。
08年のリーマン危機後は金融機関の投資行動に規制がかかり、市場に流動性を供給するヘッジファンドの存在感がいっそう高まった。日本
株市場は売買代金で現物株の7割、株価指数先物の8割を海外投資家が握り、うち過半をヘッジファンドが占める。
5日の急落相場で猛威を振るったのは、景気や金融政策の方向性を先読みして取引するグローバルマクロ戦略のヘッジファンドだ。日米金
利差がすぐには縮小しないとみて「円売り・日本株買い」の取引を仕掛けてきたが、日銀の追加利上げで円安が反転すると一斉に取引を逆
回転させた。
5日午後に動き出したのが、数百に及ぶ専門の投資チームに資金を分散し、市場全体の動向とは関係なく安定したリターンを目指すマルチ
戦略ファンドだ。厳格なリスク管理で知られ、一定の損失に達すると取引を強制的に手じまう。「あそこのポジションが解消になったぞ」。ヘッジ
ファンドのトレーダーの間ではミレニアムやポイント72の名前をあげながら下落幅拡大の要因探しが始まった。
さらに、コンピュータープログラムに従い、相場の方向性に沿い持ち高を動かす「CTA」と呼ぶ順張りヘッジファンドが株安に拍車をかけた。
円高反転で株高シナリオが崩れ、取引解消を急いだ。
米フロリダ本拠のCTA、ダン・キャピタル・マネジメントは「上昇トレンドの弱まりを受け、日本株指数先物の保有額をピークの3分の1に縮小
した」(ジェームス・デイリー最高経営責任者)と話す。
米国市場ではホットマネーが資金を引き揚げると、株価が割安な水準に下がるのを待っていた長期投資家が現れ、株価を下支えする。そんな
「逆張り投資」の代表格が著名投資家ウォーレン・バフェット氏だ。
米運用ティー・ロウ・プライスのダニエル・ハーレイ日本株ポートフォリオ・スペシャリストは今回の下落局面で「売られすぎた日本株に追加投資
した」と明かす。だが、独自の判断基準に従い、リスクを取って相場の方向と逆に動く投資家は日本では少数派だ。
今の国内機関投資家の多数派は、株価指数構成銘柄をまるごと買う「受け身」の投資家だ。
日本株の最大の投資家である年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は9割以上をインデックスで運用する。日本株に投資する公募投資
信託のうち、約9割を指数連動のインデックス運用が占める。市場参加者が個別株を選別しない投資家ばかりだと、株価は一方向に動きがちだ。
異なる相場観を持つ多様な投資家が参加してこそ市場の価格発見機能は強まり、株価は安定性を増す。長期投資家を呼び込むためにも投資
先の日本企業が自らの価値を磨き、投資魅力を高め続けるしかない。
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・「ストップ安800社」恐怖増幅 緩和を過信、投げ売り殺到
・日経平均株価4451円安 相場急変動で「全員投げ売り」
・急回復の日本株、危機は去ったか 「全値戻し」の道険しく
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-20/SIAFEFT1UM0W00?srnd=cojp-v2
恒常的に超長期債を買わなければならない時期は終わった-北村氏
外債のポテンシャル高い、中長期投資の選択肢に入れる必要-北村氏
明治安田生命の北村乾一郎運用企画部長は、年内にも日本銀行の追加利上げが行われる可能性があり、内外金利差の縮小により円の
対ドル相場は1ドル=135円に向かうとみている。
北村氏は20日のインタビューで、利上げは2024年度内にあと1回、「12月にもあるような気がする」と述べた。また、7月末の利上げ後に
急速な円高が進み、「中央銀行が動き出すときに内外金利差による影響があることを改めて認識した」と言う。米国の金利が下がる一方、
日銀は緩やかながら利上げの方向にあり、内外金利差の一段の縮小から「円高の見通しに変わりはない」とも語った。
日本国債に対する投資姿勢は、25年度適用の規制対応で金利リスクを削減するため、「超長期債に前のめりだったことは事実だが、恒常
的に買い入れなければならない時期は終わった」と説明。今は「世界の債券投資先の一つ」でしかなく、外債との比較で「是々非々で投資
していく」との考えだ。
日銀が7月末の金融政策決定会合で国債買い入れの減額計画を公表したことにより、日銀の買い入れは今後徐々に減っていく方向に
ある。日銀に代わる国債の買い手として生命保険会社に対する期待も強いが、生保は外債などとの比較考量を重視する姿勢に転じており、
債券相場を押し上げるには力不足の可能性がある。
自民党総裁選挙について北村氏は、誰が新しい首相になっても「基本的に日銀の独立性が担保される」と予想。市場への影響力という
点では米国の大統領選の方が大きいとし、特にトランプ前大統領が返り咲いた場合、積極財政と強硬な移民政策により景気減速とインフレ
が共存するスタグフレーションに陥り、ドル安・円高が加速するリスクがあると読む。
米国の長期と超長期の金利が低下する中で為替の変動もあるため、デリバティブ(金融派生商品)を合わせながら考えれば、「オープン
外債を含めた外債のポテンシャルは高い」と指摘。外債投資のヘッジコストはなお高水準だが、トータルなリスクリターンを追求する観点か
ら「中長期投資として選択肢に入れなければならない」と話した。
2024/08/21 15:01 日経速報ニュース 1510文字
21日の東京株式市場で日経平均株価が反落し、前日からの下げ幅は一時400円を超えた。売りを招いたのは、為替市場での円高進行だ。
週後半には米連邦準備理事会(FRB)議長の講演も控え、円相場の先行き不透明感は強い。日銀の利上げ観測も重なり、日本株固有の懸
念材料となっており、「恐怖指数」は高止まりしている。
終値は前日比111円(0.3%)安の3万7951円。前日の米国株安は売りの一因だが、より大きかったのは不安定な円相場だ。
「しばらくは為替相場にお付き合いする展開になりそうだ」。野村証券の北岡智哉チーフ・エクイティ・ストラテジストは21日午前の日本株の下
落をみてこうこぼした。
午前の東京市場で対ドルの円相場は一時1ドル=144円台まで上昇し、自動車など主力の輸出株の売り材料になった。ホンダが一時3%安と
なったほか、トヨタ自動車やスズキ、コマツなどそれぞれ一時2%安まで落ち込んだ。円高進行が業績の重荷になると警戒されたためだ。
日本株の最高値を演出したのは歴史的な円安だが、米利下げ観測の強まりを受けて円相場は反転。足元では円買い・ドル売りが優勢に
なり、企業業績に対する見方も厳しくなっている。
野村証券がまとめる業種別の経常利益予想をみると、2024年度の「自動車」は直近8月15日時点で前年度比9.5%減だった。為替相場の円
安修正が進んだ7月後半からマイナス幅を広げており、24年に入ってからの最低水準で推移している。
新型コロナウイルス禍による供給制約で生じたペントアップ(先送り)需要が一巡するなどの見方から、自動車株は7月前半までの円安環境
下でも減益予想だった。北岡氏は「円高進行でさらに下押しされ、業績面からは自動車株を評価できない」と指摘する。
前日20日の東京市場は対ドルの円相場が円安に振れたことが、自動車メーカーを主力とする日本株の買い手掛かりになっていた。しかし
21日には状況が一転、為替相場に右往左往する展開が続く。
こうした状況が投資家心理に影を落とす。日経平均の予想変動率を示す「日経平均ボラティリティー・インデックス(VI)」は21日午前に上昇し、
10時台には一時30.16と警戒水準とされる20を上回る。
予想変動率は投資家の不安心理が高まると上昇しやすいことから、「恐怖指数」の異名を持つ。市場が「今後1年間に日経平均が68%の
確率で上下30.16%の範囲で動く」と見込んでいることを示す。20日は27.61で、急落した5日の70.69から下げているものの高止まりしている。
三菱UFJアセットマネジメントの石金淳チーフファンドマネジャーは日経平均VIが高止まりする一方、米国の「恐怖指数」が落ち着いている
ことに着目する。米S&P500種株価指数のオプション価格を基に算出する「VIX指数」は20日が15.88だった。目安とされる20を明確に下回っ
ている。
為替水準によって企業収益がぶれやすい日本株にとって、「このところの為替の急変動は日本株固有の不安材料だ」(石金氏)。石金氏
は「米国株より不安定になりやすく、日経平均VIが落ち着くには時間がかかる」とみる。
円相場の居所が不透明なままでは、投資判断の根拠となる企業収益が見通しにくい。この日の日経平均VIの上昇は投資家が抱える「わ
だかまり」を映している。
今週は年次経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」が控えている。FRBのパウエル議長は23日に講演予定だ。米国経済の現状認識
や利下げの進め方についての発言は、金利・為替を含むマーケットの大きな変動要因になる。円相場をにらんだ神経質な展開が続きそうだ。
(桝田大暉)
【関連記事】
・日経平均反落 終値は111円安の3万7951円
・ドル、利下げ観測で1月以来安値 新興国通貨買いに波及
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2024/08/22 02:00 日経速報ニュース
「追い証(信用取引の追加証拠金)が発生すれば致命傷になりかねない」。日本株が急落した8月5日午後、東京都の50代男性は三菱
重工業など10銘柄近くを一斉に投げ売りした。銀行や商社の株価急落をみて恐怖を覚えたからだ。「損失を取り戻すのにどれほどかかる
のか」と漏らす。
ネット証券大手の松井証券のコールセンターはこの日、個人からの問い合わせ件数が通常の3倍に達した。「『追い証』を巡る相談が急増
した。新NISA(少額投資非課税制度)の対応で増員していたが、それでも電話が取り切れなかった」(同社)という。
日経平均株価は2月、1989年末の史上最高値を34年ぶりに更新した。日本企業が変革を進め、海外投資家からの評価を高めた。今年
から始まった新NISAもあり、個人マネーが日本株に戻り始めた。日増しに参加者が増えるなか、未曽有の急落に見舞われた。
過去の相場急落時、個人は決まって売りを急いだ。たとえば、2008年9月のリーマン・ショック。東京証券取引所によると、急落日を含む
週間の売買額は、手元資金で売買する「現金」取引と、資金や株を借りて投資する「信用」がともに売り越しだった。信用取引で保有する
株の評価額が大きく悪化すると、追加で証拠金を入れる必要がある。今回は信用取引は3581億円を売り越す一方、現金取引では3027
億円を買い越した。相場の急変に動じない個人の新たな投資行動が垣間見える。
「優良株に投資するめったにないチャンス」。神奈川県の個人投資家、小野和彦さんは5日、圧倒的な国際競争力があるとみるダイキン
工業株の購入に動いた。過去数年のPBR(株価純資産倍率)などから割安と確信できたためだ。
若い世代が買い向かう様子は、ネット証券の売買状況に明確に表れている。楽天証券では急落を受けてNISAの成長投資枠での買いが
急増。5日の買い付け額は1?7月平均の約2倍に膨らんだ。
個人の投資行動は着実に変わっている。総務省の「家計調査」をもとに株や投資信託などを購入した金額をみると、1980年代後半は有
価証券の処分額に対して購入額は1?2倍にとどまっていたが、2024年1?6月は購入額が処分額の6倍に達した。
投信の平均保有期間も長期化している。QUICK資産運用研究所によると、今年3月末時点で2.7年と10年前に比べて半年ほど延びた。
日本の個人には株や投信が値上がりするとすぐに売却する短期売買の傾向が強かったが、腰を据えて値上がりを待つ長期投資が広がり
始めた。
昨年から投資を始めた茨城県の20代男性は「奨学金の返済が終わり貯蓄が増えてきたが、銀行は利率が低く、老後資金のために投資
に回そうと思った」と語る。
個人が投資に目を向けるのは、将来への不安が大きい。金融庁が19年に示した老後の生活に2000万円が必要との試算は、大きな物議
を醸した。物価高の長期化で円の価値は低下。多くの人が投資について真剣に考え始めた。
個人に機関投資家のような運用期間の縛りはない。今回も6日以降の株価の急反発を下支えした。リスクをとれる個人の参加が増え、市場
に厚みが出れば、日本株市場の安定感を高めることにもつながる。
・「ストップ安800社」恐怖増幅 緩和を過信、投げ売り殺到
・新興国超える日本株変動率「41%」 海外短期マネー席巻
・荒れ相場、新NISAで積み立て継続 長期で利益生む
2024/08/22 13:07 日経速報ニュース
今月初めの動揺から落ち着きつつある金融・資本市場にあって、国内長期金利の上昇が日本株の回復に後れをとっている。市場の混乱
にくさびを打ったのは日銀の内田真一副総裁の「不安定な状況で利上げをすることはない」との7日の発言だ。あすの国会閉会中審査に
出席する見通しの日銀の植田和男総裁が何を語るかも、今後のマーケットを占ううえでいつも以上に重要だろう。
/home/member/news/202408/ucljpg_b60c182cf730c5340a3020366bec24fe.jpg?format=raw
日経平均株価は22日の午前終値が3万8190円だった。5日に3万1458円まで落ち込んだ日経平均は急落前である7月31日の3万9101
円からの下げ幅の9割近くを埋めている。一方、5日に0.75%まで急低下(債券価格は上昇)した長期金利は22日午前時点で0.875%と
7月末時点の1.045%にまだ距離がある。
6日までの急落と急反発はほぼ連動した日経平均と国内長期金利に差が出てきたのは7日の内田副総裁の講演以降だ。「金融・資本市
場が不安定なら利上げしない」という内田氏の発言は「市場が安定すれば利上げに向かう」とも受け取れる。株価が急落分を取り戻してくれ
ば、再び日銀の利上げを織り込んで長期金利も7月末時点の水準へ近づいてもおかしくないだろう。
大和証券の末広徹チーフエコノミストは「株価の反発により利上げ観測は戻ってきている」としたうえで「だが、為替は円高・ドル安のままで
来年後半に国内インフレ率が2%割れとなれば、来年前半まであと2回程度の利上げ後は動きづらくなる。こうした見方が長期金利の上昇
を抑えている」とみる。一方で株価の堅調さは為替より米経済のソフトランディング(軟着陸)期待が支えになっているという。
あすの閉会中審査における植田総裁の発言を巡っては、末広氏は「『金融・資本市場は落ち着きつつあり、そうなれば追加利上げの環境
が整ってくる』といったような発言なら、現時点のマーケットの想定の範囲内だろう」と話す。
2024/08/22 13:45 日経速報ニュース
日本の投資家による外国債券の投資が活発化しつつある。堅調さを保った米景気も減速は避けられず、米連邦準備理事会(FRB)の利下げ
開始に確信を持っているためだ。外債投資のメインである米国債では金利上昇(債券価格の下落)で売りを迫られていた状況が変わり、減らし
ていた残高を復元する動きが広がりそうだ。
財務省が22日発表した週間の対外・対内証券売買契約によると、国内投資家は11?17日の週に海外の中長期債を3週連続で買い越した。
買越額は1兆8540億円と5月12?18日の週以来およそ3カ月ぶりの大きさだ。4日以降の2週間では計3兆3937億円となり、7月の売越額
(1兆4857億円)以上に買い戻した計算になる。
外債投資が活発となるきっかけは米金利の低下だ。7月末に4%前後だった米長期金利は足元では3.8%前後に水準を切り下げている。
5日には3.66%と約1年2カ月ぶりの低水準をつける場面もあった。米景気後退(リセッション)懸念が和らぎ、金融・資本市場が落ち着きを取り
戻すなかでも米金利は戻りが鈍く、じりじりと低下傾向にある。
FRBが21日公表した7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨では、参加者の大多数が9月の利下げが適切だと説明。さらに過半
には満たないものの、幾人かの参加者は7月の利下げを支持していたことが明らかになった。時間とともに米利下げ転換の確信が深まるなか、
国内投資家は「今後の金利低下を見込んで外債を買った可能性がある」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジスト)。
日本投資家にとって為替相場の変動リスクをヘッジ(回避)して外債を購入するのはハードルが高い。FRBの利下げがまだ始まっていない
段階では、日米の短期金利差を映すヘッジコストがかさむためだ。3カ月物でみると昨年秋ごろに6%台だった「ドル・円」のヘッジコストは足元
では5%台前半まで下がってきたが、4%弱で推移する2年や10年物の米国債利回りを上回ったままだ。
ヘッジコストが高いと円で投資資金を調達している日本の金融機関が、ヘッジ外債を購入しても得られる利回りはコストを賄えない。そのため、
外債投資の主体はドルで資金を調達しやすい大手銀行が中心で、債券利回りの低下に伴う「キャピタルゲイン(値上がり益)を狙って買ったの
ではないか」(国内運用会社のファンドマネジャー)とみられている。
FRBの政策金利水準は現在5.25?5.50%と高い。9月に通常の倍にあたる0.50%の利下げがかなわなかったとしても利下げ局面に入れば
「米金利が低下する余地も大きい」(国内運用会社)。米利下げ転換が既定路線となりつつあるなか、急ピッチな利上げで損失覚悟の売りを
迫られた国内勢が外債投資に復帰する素地は整ってきている。
2024/08/23 日本経済新聞 朝刊
日銀の植田和男総裁が23日、衆参両院で開かれる閉会中審査に出席する。日銀は7月末の金融政策決定会合で政策金利を0.25%へ
と引き上げたが、その後株式相場や為替相場が乱高下した。閉会中審査では国会議員が市場の反応への見方や、追加利上げの家計や企
業への影響などを尋ねる見通しで、植田総裁の答弁に注目が集まる。
閉会中審査とは国会が閉会している間、必要に応じて重要な案件を審査するために開くものだ。金融市場の波乱を受けて与野党が開催を
決めた。鈴木俊一財務・金融相も出席する。
国立国会図書館のデータベースによると、日銀総裁が閉会中審査に出席するのは、2015年11月に黒田東彦前総裁が参院の予算委員会
に出席して以来、約9年ぶりだ。異次元緩和の開始から2年以上過ぎたタイミングで、2%物価目標の達成が遅れる理由を問われた。白川方
明元総裁は4回、福井俊彦元総裁も3回出席している。
これまで植田総裁の発言のたびに市場は大きく動いてきた。7月末の決定会合後の記者会見で、政策金利の水準で「0.5%は壁として
意識していない」と述べ、利上げ継続を示唆した。7月利上げを織り込んでいた市場参加者は少なく「サプライズ色の強い利上げだった」(市場
関係者)。
7月中旬に1ドル=161円台をつけた円相場は8月5日、一時1ドル=141円台まで円高が進んだ。7月の米国の雇用統計が予想外に悪化
して米国株が急落したことも連動し、日経平均株価は5日に過去最大の下げ(4451円安)を記録した。
マイナス金利を解除した3月会合後の記者会見では追加利上げを示唆する一方、「緩和的な金融環境は続く」と述べた。市場は日米金利差
を意識し、3月27日には一時、1ドル=151円90銭台と約34年ぶりの円安水準まで円が売られた。
4月会合後の会見では「円安による基調的な物価上昇率への影響は無視できる範囲だったか」と問われた植田総裁が「はい」と答える一幕
があった。円安を容認していると受け止められ、会見の最中にもかかわらず円安が進行した。
岸田文雄首相は5月7日に植田総裁と官邸で面会。政治方面では行き過ぎた円安への懸念が強まった。植田総裁はその後の発信で円安
による物価の上振れリスクに言及するなど軌道修正した経緯がある。
7月会合後の記者会見で植田総裁は、金融正常化に前向きな発言に終始した。「過度な円安を阻止する面があったことは否めない」(日銀
関係者)。足元の円相場は1ドル=145円前後で推移し、株価は3万8000円台を回復した。
「相場の変動は避けたいが、市場に合わせて言うことを都度変えるのは好ましくない」。日銀関係者は閉会中審査を前にこう語る。別の関係
者は「7月会合で説明した追加利上げへの考え方は変わっていない。物価や経済のデータ次第だときちんと説明する必要がある」と話す。
日銀の内田真一副総裁は8月7日、今後の追加利上げについて物価や金融情勢を踏まえ「慎重に考えるべき要素が生じている」と述べた。
内田氏の発言は不安定な市場の沈静化を優先したものとみられる。
その一方で内田氏の講演資料には、7月末会合後に公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」の物価見通しがそのまま引用された。
「利上げしないと言っているわけではない」(日銀関係者)。閉会中審査では内田副総裁と、植田総裁の発言内容との整合性にも焦点が当たり
そうだ。
日本時間23日夜には経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が講演を予定する。植田総裁
は23年には出席したが、今回は2人の副総裁含め出席を予定していない。
関係者によると、植田総裁は閉会中審査への出席が決まる前から今年のジャクソンホールは出ない見通しとなっていた。「プログラム上、
今回は参加の必要がないと判断した」(日銀関係者)ようだ。
ジャクソンホールは学識経験者も多く集い、過去には主要国の金融政策運営が同会議と連動して動くような場面もあった。近年では黒田前
総裁が21年、出席しなかった。
2024/08/23 10:30 日経速報ニュース
23日午前の東京外国為替市場で円相場は下げ渋っている。10時時点は1ドル=146円08?10銭と前日17時時点と比べて82銭の円安・
ドル高だった。10時すぎには一時145円69銭近辺まで下げ幅を縮めた。日銀の植田和男総裁が23日午前に衆議院財務金融委員会で経
済・物価見通しの実現の確度が高まれば「緩和度合いを調整する」と述べ、金融政策の正常化が意識されて円買い・ドル売りが増えた。
日銀の植田総裁は、8月上旬に混乱した金融・資本市場について「引き続き不安定」としたうえで「極めて高い緊張感を持って注視する」
などと述べた。市場では「(金融引き締めに積極的な)タカ派度合いは弱めているものの、7月の金融政策決定会合後に示した政策正常化
に向けた姿勢は維持している」(国内銀行のストラテジスト)との見方があった。
10時前の中値決済に向けては、「ドル需要が強かった」(国内銀行の為替担当者)との声が聞かれた。国内輸入企業による円売り・ドル
買い観測は円相場の重荷となった。
円は対ユーロでも下げ幅を縮めている。10時時点では1ユーロ=162円43?46銭と、同66銭の円安・ユーロ高だったが、その後ユーロに
対しても円買いが増えた。ユーロは対ドルで軟調に推移し、10時時点では1ユーロ=1.1119ドル近辺と同0.0017ドルのユーロ安・ドル高だ
った。
2024/08/23 10:16 日経速報ニュース
日銀の植田和男総裁は23日、衆院財務金融委員会に出席した。経済や物価の見通しが「私どもが持っている姿通りに実現していく確度が
高まっていくということが確認できたとすると、今後金融緩和の度合いを調整していく」とし、「基本的な姿勢に変わりはない」と述べた。
金融資本市場の動向や7月に決定した利上げが経済や物価の見通し、リスクなどに及ぼす影響を見極めていくとの姿勢を示した。
2024/08/23 12:26 日経速報ニュース
23日の衆院財務金融委員会の閉会中審査に出席した日銀の植田和男総裁は、金融・資本市場について「極めて高い緊張感を持ちつつ
注視する」と述べた。今月初めに大きく混乱した市場は落ち着きつつあるが、植田氏は市場の安定を優先する姿勢を示した。一方で、利上
げを決めた7月の金融政策決定会合後の記者会見で継続利上げへの意欲を示唆した植田氏は、追加利上げの可能性を否定することもな
かった。
■市場動向「極めて高い緊張感を持ち注視していく」
植田氏は23日、国内外の金融資本市場について「引き続き不安定な状況にある」としたうえで「当面はその動向を極めて高い緊張感を
持ちつつ注視していく」と述べた。
月初の株式相場や為替相場の急激な変動後、初めての公の場での植田氏の発言となり、市場の関心は高かった。ソニーフィナンシャル
グループの菅野雅明チーフエコノミストは「日銀は市場とのコミュニケーションでギクシャクした面があったため、マーケットに対して安心感を
与える対話が求められていた」と話す。
みずほ証券の丹治倫敦チーフ債券ストラテジストは「7月末の会見などから発言内容や政策判断の軸は変わっていないが、タカ派色は
抑制的だった印象だ」と語る。
長期金利の指標となる新発10年債利回りは23日午前、前日を0.025%上回る0.895%で始まったが、衆院委員会の開催中に0.890%へ
上昇(価格下落)幅を縮めた。「マーケットを何も刺激せず無風で乗り切ろうとの印象を受けた」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚
崇広シニア債券ストラテジスト)との声もあった。
■「見通し実現の確度が高まれば緩和度合いを調整」
植田氏は「経済・物価見通し実現の確度が高まれば緩和度合いを調整する」とも指摘した。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジスト
は「額面通りに受け取らない方が良い。年内利上げがなくなったというわけではない」という。
外国為替市場における円相場の反応は、債券相場より大きくなった。朝方は1ドル=146円台前半と前日夕から1円あまり下落していた
円相場は、植田総裁の発言が伝わると今後の利上げの可能性が意識されて一時145円30銭近辺まで下げ渋った。
外為市場では「タカ派度合いは弱めたが、7月の会見で植田氏が示した政策正常化への姿勢は維持している」(国内銀行のストラテジスト)
との受け止めがあった。
それでも一時的に増えた円買い・ドル売りは一服し、昼ごろの円相場は145円台半では上値の重さが目立つ。ステート・ストリート銀行東京
支店長の若林徳広氏は「145円台前半になると国内の市場参加者から円売り・ドル買いが出やすい印象」と話す。
日本時間23日夜には米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が米カンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム(ジャクソンホール
会議)で講演する。今後の円相場を占う材料として「本丸はパウエル氏発言」との声も聞かれる。
植田氏の発言は早期利上げを織り込むことにはならず、身構えていた債券市場や外為市場の参加者にとっては肩すかしとなった面もある。
安全運転に徹したとの見方は多い。
2024/08/24 00:39 日経速報ニュース
【ニューヨーク=竹内弘文】23日の米株式市場でダウ工業株30種平均は一時前日比500ドル弱上昇し、取引時間中の値ではあるが、
7月17日に付けた史上最高値(4万1198ドル、終値ベース)を上回った。米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が23日の講演で9月
利下げ開始をほぼ明言したことで、リスク資産の株を買う動きが広がった。
利下げ観測の高まりを背景に、主要通貨に対して米ドル安が進んだ。対円では1ドル=一時144円台半ばと、講演前に比べて2円程度
円高・ドル安が進行した。対ユーロでは1ユーロ=1.119ドル近辺と2023年7月以来のドル安・ユーロ高水準を付ける場面があった。
日米や米欧の金利差縮小観測がドル安につながった。米国債利回りは各年限で低下(債券価格は上昇)した。金融政策の影響を受け
やすい2年債利回りは3.92%程度まで低下した。
2024/08/24 日本経済新聞 朝刊
日銀の植田和男総裁は23日、衆院財務金融委員会と参院財政金融委員会の閉会中審査に出席した。今後の金融政策について「経済・
物価の見通しがおおむね実現していく姿になれば、金融緩和の度合いをだんだん調整していくという基本的な姿勢に変わりはない」と説明
した。(関連記事総合3面に)
植田総裁は見通し実現の方向に経済が進めば「もう少し金利の調整をすることができる局面が来る」と述べ、今後の追加利上げに含みを
持たせた。
閉会中審査は日銀が7月末に利上げを決定した後、国内外で市場の乱高下が起きたことを受け、開かれた。植田総裁は「米国の景気減
速懸念が急速に広がったのを機に、世界的なドル安や株価下落が進んだことが大きかった」との見解を示した。一方で、直近の株価回復に
ついては、日本企業の決算発表を受け「企業収益力が評価された面もある」といった認識を示した。
8月5日に日経平均株価が暴落した直後だった7日には内田真一副総裁が「慎重に考えるべき要素が生じている」などと語った。植田総
裁は23日、「市場の大きな変動時には極めて高い緊張感を持って注視する。そのなかでの(内田氏の)発言は適切だった」と述べた。
[東京 23日] - 7月末の日銀金融政策決定会合をきっかけにドル円が急落。これが株価の暴落を招いた、という理由から、衆院財務金融
委員会と参院財政金融委員会は、閉会中審査を8月23日に開催し、参考人として日銀の植田総裁の出席が要請されたという。
同決定会合では、声明や植田総裁の記者会見で、あくまで「経済・物価が日銀の見通し通りに推移すれば」の条件付きではあるものの、今
後も比較的淡々と利上げを継続するような姿勢が示されたことは、確かに予想以上にタカ派的な印象で、一部の市場関係者にはサプライズ
だったかもしれない。
<ドル円の下落トレンド、きっかけは米CPI>
しかし、今回のドル円の下落トレンドは、7月11日公表の6月の米消費者物価指数(CPI)の結果が市場予想を下回ったことがきっかけだった
と筆者はみている。
シカゴ通貨先物市場IMMにおける投機筋による円の持ち高(ポジション)を見ると、ネット売り越し(円ショートポジション)は、7月2日時点に
18万4000枚と、過去最大規模に膨らんでいたが、翌週の16日時点では15万枚まで急速に縮小。投機筋のポジション調整は既にこの時点
で始まりつつあった。
その後月末にかけて日銀金融政策決定会合や、米連邦公開市場委員会(FOMC)などのイベントが続く中で、7月30日には7万3000枚ま
で円ショートポジションは縮小した。同FOMC後の記者会見では、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が、「9月の利下げ開始もあ
りうる」と明言し、市場参加者にとってはこれもややハト派方向のサプライズとなった。
ダメ押しは8月2日に発表された7月の雇用統計だ。失業率が4.3%と、市場予想(4.1%)を大きく上回ったことで、唐突に「サーム・ルール
にヒットしたから米景気は後退に陥るのではないか?」と「米景気後退説」が広がり、米株価も急落。サーム・ルールとは、直近3カ月の失業
率の平均値から過去12カ月で最も低かった失業率を引いた数値が0.5を上回ると、景気後退の確率が高いという経験則である。
これにより、VIX指数が一時65まで急伸するなど、市場全体がリスクオフに傾くなかで、8月13日時点では、投機筋の円ポジションは、いよ
いよ2万3000枚の「買い越し(円ロング)」に転じた。結局、ドル円相場は米CPIの発表があった7月11日の高値161円台から8月1日の
安値141円台まで、約20円も下落した。
日米の短期金利差を狙った円キャリー取引により、過去最大級に積みあがった円ショートポジションはこれでようやく解消され、投機筋主導の
過度な円安はいったんリセットされたと言えよう。
問題は、7月の米雇用統計は確かに弱かったが、市場が突如景気後退を織り込むほど米労働市場が弱いかどうかだ。州別のデータから見る
と、ハリケーンと自動車工場閉鎖の影響が大きく、一時的な悪化の可能性はある。また、米コンファレンスボードが公表している「家計による
雇用環境判断DI(「仕事が潤沢」-「職探しが困難」)」を見ると、直近7月のデータはプラスの18.1と、緩やかに減速はしているものの「仕事
が潤沢」に大きく傾いていることが分かる。
もちろん、労働市場については様々な指標を複合的に確認する必要があるものの、失業率上昇の要因は、単に労働市場の需要が減少して
いるだけでなく、移民などの要因で労働力の供給が増えていることが影響している可能性もある。市場では年末までに約1.0%もの利下げ
が織り込まれているが、ソニーフィナンシャルグループは、米国経済についてソフトランディングを予想しており、年内は0.25%ずつ3回の
利下げにとどまるとみている。
<ポジションの一方向の傾り、相場変動を増幅>
重要なポイントは、7月末から8月上旬にかけての急激な円高と株価の暴落は、あくまで「投機筋のポジション調整」に過ぎなかったという点だ。
政府にしてみれば、今年から始まった新NISAの普及により、「貯蓄から投資へ」の流れが加速するなかで、相場急変の洗礼による恐怖感から
この流れが止まってしまうことをおそらく懸念しているのかもしれない。しかし、今回の急速な円高・株安について、もしその責任を日銀に求める
とすれば、ややポイントがずれているように感じる。
相場の「トレンド」というものは、一方向に永遠に続くことはなく、行き過ぎた相場は必ず調整を迎える。ただ、通常であれば、中期や短期で
ポジション調整による下落を繰り返しながら長期の上昇トレンドが続いていく。しかし、今回はあまり調整らしい調整が起きないまま、過去最大
まで円ショートポジションが積みあがってしまったことで、巻き戻されるときのマグニチュードが大きくなった。これには、コロナ以降のグローバル
なカネ余りや金融環境の緩みが続いていることで、リスクテイクが促進され、ポジションが一方向に傾く傾向が背景にあると筆者は考えている。
日米欧の中央銀行のバランスシートを見ると、金融市場がいかにカネ余りの状態かがよくわかる。米欧については22年から量的引き締め
(QT)を行っているため、足元資産残高は減少傾向にあるが、リーマン・ショック前の2008年1月を100としてみると、FRBは約8倍、欧州
中銀(ECB)は約5倍、日銀は約7倍の規模で、コロナショック直前の2020年1月から比較しても、FRBが約2倍、ECBは1.3倍、日銀が
1.4倍の規模である。
こうしたマネーがリスクテイクのターゲットにしたのが、日本と諸外国との短期金利差に目を付けた円キャリー取引だ。先述した「IMMポジ
ション」は、あくまでシカゴ通貨先物市場で取引している市場参加者が、米商品先物委員会(CFTC)に報告したものであって、金融市場全
体の投機筋の動きを示しているわけではない。加えて、為替は様々な要因で変動することから、このポジションだけをみて為替相場を語る
ことはできない。しかし、22年央頃から、このIMMの円ポジションとドル円の連動性が、非常に高くなっているのは、やはりカネ余りの影響
があるのではないか。今回の激しいポジション調整により、いったん連動性は崩れたが、今後も今回のようにポジションが一方向に傾いた
ときには要注意だ。
<日米実質金利差とドル円の相関は回復へ、年末142円予想>
一方、過去に連動性が高かった日米実質金利差とドル円の相関性は、円キャリー取引の活発化により今年春頃から大きく崩れていたが、
今回のポジション調整による急激な円高で、足元は日米実質金利差から推計されるドル円の適正水準にドル円相場が戻ったように見える。
まだ完全に連動性が回復したとは言い難いが、今後は円キャリー取引で重視される日米の短期金利差よりも、景気動向に左右される長期
金利のほうに注目が集まり、インフレ期待を差し引いた日米実質金利差が、再びドル円相場の参考になるのではないか。
今後再び円キャリー取引が活発化するかといえば、一回壊れた相場の修復には、しばらく時間がかかるだろうと筆者はみている。また、
日米の金融政策の方向性は明確であるものの、政策金利変更がどの程度のペースで実施されるかは依然不透明であり、米大統領選も
混戦模様であることを踏まえれば、ドル円のボラティリティーはしばらく高止まりするため、円キャリー取引には不向きな相場環境となるだろう。
筆者は引き続き日米実質金利差の予想をベースにドル円の見通しを組み立てているが、現状ドル円の年末予想値は142円前後としている。
2024/08/25 04:30 日経速報ニュース
日経平均、円高が重荷
今週は米国の主要株価指数が最高値を更新する可能性が高い。市場関係者は9月の米利下げを確実視している。ダウ工業株30種平均は
23日、7月に付けた最高値までわずか23ドルに迫った。一方、日経平均株価は円高傾向が重荷となり出遅れ感が強まりそうだ。
ジャクソンホール会議でのパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長講演後の株価反応は分かれた。米国株が上昇した一方、日経平均先物
は円高が進むと下落した。「年初から商いが集中した3万8000円台の価格帯では戻り売りが出やすい」(みずほ証券の中村克彦マーケット
ストラテジスト)側面もあり、日経平均は上値が重そうだ。
米エヌビディアが28日、2024年5?7月期決算を発表する。人工知能(AI)向け次世代製品「ブラックウェル」の生産遅延が懸念されており
「業績だけでなく遅延の影響度も注目点」(ピクテ・ジャパンの田中純平ストラテジスト)だ。
米長期金利、低下余地は限定的
米債券市場で、長期金利の指標となる10年物国債利回りの低下余地は限られそうだ。前週は米労働省が雇用統計について年次改定の
推定値を公表し、過去の雇用者数を大幅に下方修正した。早期利下げが意識され、米長期金利は一時3.7%台まで低下した。今週は目立っ
た材料を欠き、利下げ織り込みが一段と進む可能性は低い。
米国では9月の利下げが確実視され、通常の倍となる0.5%の利下げ幅を見込む声もある。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介
シニア債券ストラテジストは「9月6日の8月雇用統計までは利下げ観測を強める材料がない。行き過ぎた利下げ期待が調整される可能性
が高く、金利低下余地は乏しい」と話す。
国内債券市場でも材料が少なく、方向感を欠いた展開となりそうだ。9月の自民党総裁選を前に政局の不透明感を意識して様子見姿勢が
強まるとの見方もある。
円相場、上値を試す展開
外国為替市場で対ドルの円相場は上値を試す展開か。前週は米労働市場の減速が意識されたほか、米連邦準備理事会(FRB)のパウ
エル議長が近く利下げに転じる姿勢を示したことを受け、円買い・ドル売りが進む局面があった。今週は米物価指標に注目が集まる。日銀
の追加利上げ観測が円相場を支えるとの見方もある。
30日にFRBが重視する7月の米個人消費支出(PCE)物価指数が発表される。米国ではFRBによる9月の利下げ転換がすでに確実視され
ているが、インフレ鈍化を示す結果となれば大幅利下げの織り込みが進み、円買い・ドル売りの動きが強まる可能性がある。
日銀の金融政策動向は円相場の支えになりそうだ。三井住友銀行の宇野大介チーフストラテジストは「株価が戻りつつあることなども踏ま
え、年内の追加利上げ期待が高まりやすい。弱まっていた円買いの動きが復活しやすい」とみる。
原油相場は一進一退
原油相場は一進一退か。米利下げ期待と中東情勢の緊迫感の緩和が綱引きしており、WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)
先物は70ドル台での推移となりそうだ。
米国はガソリンの需要期である夏場のドライブシーズンが終盤にさしかかっている。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の野神
隆之首席エコノミストは「需要期の最後の盛り上がりが一時的に価格を押し上げる可能性がある」とみる。米ドルの下落もドル建てで取引
される原油価格の上昇圧力となる。
野村証券の高島雄貴エコノミストは「今週は目立った経済指標がなく、横ばい圏内」とみる一方、「中国の景気見通しの不透明感は続い
ており、相場の下押し圧力となる」と指摘する。
金は最高値の更新が続き、足元で持ち高調整の売りが広がりやすくなっているが、米利下げ観測の強まりが金利のつかない金の支え
となる。
2024/08/26 05:00 日経速報ニュース
【この記事のポイント】
・米主要株価の指数は最高値が視野
・ドル高一服、新興国にマネーが回帰
・ドル安・円高、日本株は試練の展開
金融市場で9月の米利下げを前提にした取引が活発になっている。利下げが米景気を下支えするとの見方から米主要株価指数は最高値
更新を視野に入れ、ドル高一服を追い風に新興国にもマネーが回帰し始めた。日本株はドル安・円高が業績の伸びしろを縮めるとの見方
から短期的には上値の重さが意識される試練の展開になりそうだ。
「政策を調整すべき時が来た」。23日午前8時(日本時間午後11時)、主要中央銀行の首脳や経済学者が集う経済シンポジウム「ジャク
ソンホール会議」での米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長の発言を受けて、世界の市場関係者は9月の米連邦公開市場委員会
(FOMC)での利下げを確信した。
【関連記事】FRB議長、9月利下げ「時が来た」 米金融政策が転換点
市場では米利下げトレードが早速活発になっている。23日は米長期金利の指標である10年債利回りが前日より0.06%低い3.79%まで
低下する場面があった。金利低下の恩恵を受けやすい金は国際指標のニューヨーク先物(中心限月)が20日、一時1トロイオンス2570.4
ドルと3営業日連続で最高値をつけた。金利低下による利払いコスト軽減効果が大きい不動産上場投資信託(REIT)への資金流入も目立つ。
米長期金利の低下傾向が外国為替市場でのドル安進行につながっている。円やユーロなど主要通貨に対するドルの総合的な強さを示
すドル指数は23日に一時100台と23年7月末以来の低水準をつけた。幅広い通貨に対してドル売りが進むなか、対ドルの円相場は23日に
一時1ドル=144円近辺と8月上旬以来の水準まで上昇した。
ドル安は新興国が抱えるドル建て債務の縮小につながるため、新興国の通貨買いの要因になる。米指数算出大手MSCIが算出するアジア
新興国の通貨指数はドル安の裏側で上昇。23日に1年半ぶりの水準に上昇した。対ドルでタイバーツは1年1カ月ぶり、マレーシアリンギは
1年半ぶり、フィリピンペソは4カ月ぶりの高値圏にある。
新興国では通貨安に歯止めがかかり金融市場が安定するとみた海外投資家のリスク選好姿勢が強まる。仏資産運用大手アムンディの
グループ最高投資責任者(CIO)、ヴァンサン・モルティエ氏はインドなど新興国市場の株式や債券への選好姿勢を明らかにした上で、「経済
は堅調な内需拡大が見込めるほか、米株対比の割安さが強く上昇余地が大きい」と話す。
米国の利下げは投資マネーの蛇口をゆるませる。米インベスコ・アセット・マネジメントが1974年以降の金融政策サイクルと世界の主要
資産の運用成績の関係をまとめたところ、米利下げ開始後の12カ月間では債券やコモディティー(商品)よりも株式のリターンが大きかった。
月17日につけた過去最高値(4万1198ドル)にあと23ドルに迫った。経済の軟着陸(ソフトランディング)への期待が高まったためだ。
ゴールドマン・サックスのヤン・ハツィウス氏らエコノミストは8月17日付のリポートで、直近の米週間失業保険申請件数と7月の小売
売上高を受け、今後1年以内に米国が景気後退に陥る確率を25%から20%に引き下げた。9月6日発表予定の8月の米雇用統計が
良好なら15%まで引き下げる見通しだ。
利下げが米株高につながるかはその理由による。過去の利下げ開始時点を基準に米S&P500種株価指数の24カ月先の騰落率を比べる
と、ITバブル崩壊と米ニューヨークでの同時多発テロによる影響が重なった01年時は37%安だった。
07年時は低所得者向け住宅融資「サブプライムローン」の焦げ付き問題が表面化し、翌08年のリーマン・ショックにつながって31%安と
なった。一方、景気後退を伴わない予防的な利下げだったと評される95年時は70%高、98年時は41%高だった。
相場を左右する今回の米景気はどうか。QUICK・ファクトセットによるとS&P500構成銘柄の今期予想EPS(1株当たり利益)の増益率見通し
は11%。「インフレに対する勝利宣言は時期尚早」(アムンディのモルティエ氏)との声は残るものの、市場では「企業業績は軟着陸の中で
の増益が予想され、米株相場は上昇基調が続く」(インベスコ・アセット・マネジメントの木下智夫グローバル・マーケット・ストラテジスト)との
期待が大きい。
一方、日本株には円高の伏兵が立ちはだかる。低金利の円で調達し高金利通貨で運用する円キャリー取引の膨張などを背景に一時
1ドル=161円台と歴史的な円安が進み、今はその修正局面にある。
岡三証券の松本史雄チーフストラテジストは「秋口にかけて円相場は130円台まで上昇する可能性もあり、10月ごろまでは日本株の
上値は重い」とみる。
目先の日本株は足踏みを予想する声が多いものの、中長期的な再浮上への期待は少なくない。BofA証券の圷正嗣チーフ日本株ストラ
テジストは「中間決算での業績の上方修正を受けてEPSは切り上がっていく」とみて、年末には日経平均4万円台の回復、年度末(25年
3月)には4万2000円台の最高値更新を予想する。
・南に向かう投資マネー 脱インフレ時代の勝ち組探す
・転換期の米欧中銀 市場との対話、軟着陸の成否も左右
・[社説]利下げ「予告」のFRBは軟着陸へ万全を
2024/08/28 07:48 日経速報ニュース
28日の東京外国為替市場で円相場は大きく上昇しそうだ。米連邦準備理事会(FRB)の利下げ開始を織り込む形で円やユーロなど主要
通貨に対するドル安が加速している。日銀の追加利上げへの思惑がくすぶるなかで、日米の金利差縮小を見込んだ円買い・ドル売りも入り
やすく、相場を押し上げるだろう。円相場は26日につけた高値(1ドル=143円45銭)を試す場面がありそうだ。
日本時間28日早朝の外国為替市場では円相場が143円70銭台で推移し、前日17時時点と比べて1円20銭程度の円高・ドル安となってい
る。米国では27日実施された2年物国債入札で投資家の旺盛な需要が確認でき、流通市場では政策金利の影響を受けやすい米2年債
利回りが低下(価格が上昇)。FRBの9月利下げ開始が確実視されるなか、円買い・ドル売りが優勢となった。
米利下げ観測を背景にドルが全面安の様相を呈しているのも円相場を押し上げる。ドルは対ユーロでは約1年1カ月ぶりの安値圏で推移し
対英ポンドでも2022年3月以来およそ2年半ぶりの安値に沈んでいる。27日にはドルの総合的な強さを示すドル指数が一時100.51と1年
1カ月ぶりの安値をつけており、28日の東京市場でも円買い・ドル売りを誘うだろう。
28日は日銀の氷見野良三副総裁が山梨県金融経済懇談会で挨拶し、記者会見する。8月上旬には金融・資本市場の混乱を受けて内田
真一副総裁が「市場が不安定な状況で利上げをすることはない」と明言していた。だが、日米で株価が戻りを試すなか、市場では日銀の
追加利上げが改めて意識されている。氷見野副総裁が市場の落ち着きを受けて利上げに前向きな姿勢を示せば、円買い・ドル売りが増え
やすい。
海外ではオーストラリア(豪)で7月の消費者物価指数(CPI)が発表される。市場予想を下回る結果となれば、早期の利下げ開始が意識
されて豪ドル売りが膨らむだろう。米国の株価動向にも注目だ。28日は米株式市場の取引終了後にエヌビディアが5?7月期決算を発表す
る。人工知能(AI)ブームの代表的な銘柄とあって決算発表を受けて株価が急落すれば、29日以降の円相場にも影響を及ぼしそうだ。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-27/SIW9G4T0G1KW00?srnd=cojp-v2
28日の債券相場は下落。日本銀行の氷見野良三副総裁が経済・物価見通し実現の確度が高まれば、緩和度合いを調整することが
基本と述べたことを受けて、売りが優勢となっている。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の大塚崇広シニア債券ストラテジストは、副総裁の発言は「不安定な市場に配慮しつつも、段階的
な利上げを行っていく姿勢は変わらないというのがメッセージだ」と指摘。午後の会見のトーンに注目する一方、「植田和男総裁と基本
スタンスは変わらないのではないか」とみる。
見通し実現の確度高まれば、緩和度合い調整が基本-氷見野日銀副総裁
大塚氏は、米国が利下げに向かっている一方で日本が追加利上げに向う構図のため、「債券相場としてはなかなか動きづらい状況だ」
とも述べた。相場は来月初の米雇用統計などで「米国のファンダメンタルズが本当に大丈夫なのかというところを確認する作業を待って
いる」と言う。
2024/08/29 日本経済新聞 朝刊
日銀の氷見野良三副総裁は28日の記者会見で「経済・物価の見通しが実現する確度が高まれば、金融緩和の度合いを調整する基本姿勢
は変わらない」と強調した。23日に植田和男総裁が国会で答弁した内容を踏襲した。
日銀が甲府市で開いた金融経済懇談会で講演し、その後に記者会見した。
日銀は7月に短期金利を0.25%に引き上げると決めた。この水準について氷見野副総裁は「かなり緩和的だ」と指摘した。今後は景気を熱
しも冷ましもしない中立金利まで利上げを進めることが想定される。
中立金利の水準について「私自身は特定の水準やレンジを意識して考えていることはない」と述べるにとどめた。「決め打ちで予断を持つこと
なく、実際の経済・物価の反応を分析しながら道筋を探っていくしかない」と慎重に表現した。
会見の前に行った講演では「中立金利の推計から自動的に政策金利の終着点が出てきて、そこから逆算して政策運営を進めればよいという
見方もあるようだが、そういうふうには思わない」と主張した。
中立金利の範囲を推計し、絞り込むのが難しいためだ。「幅を持った推計になり、手法によって結果が違う。機械的に考えず、道筋を描く必要
がある」と語った。
日本は30年間、短期金利がほぼゼロだったことにも触れ、「その間のデータをもとに今後の経済の反応度合いを判断することには注意が必要
だ」と論じた。
「経済・物価は見通しに沿った展開となることがメインシナリオだ」とも分析した。賃上げが手取りに反映されていることなどから「消費は腰折れ
しないという見方でいいのではないか」と唱えた。
日銀関係者は氷見野副総裁の今回の発言について「中立金利まで政策金利を引き上げていく方針は変わりないが、水準自体が不透明な
ため確認しつつ上げていくということを強調した」と解説する。
氷見野副総裁は乱高下した金融市場についても言及した。日銀が7月に利上げを決めたことで日米の金利差が縮小するとの見方から円安の
是正が進んだ。米国で景気が減速する懸念が広がり、8月に入ってから日経平均株価が大幅に下落した。
会見では「金融資本市場は引き続き不安定な状況にある。経済・物価の見通しやリスクに及ぼす影響を見極めたい」と話した。
市場が不安定なら利上げしないのかとの問いには直接の回答を避けた。「当面はその動向を極めて高い緊張感をもって注視していく。経済・
物価見通し実現の確度が高まれば緩和の度合いを調整していく」と説明した。
QUICKが8月5~7日に外国為替市場の関係者に実施した調査で、次の日銀の利上げの時期を尋ねたところ、12月が30%、10月が20%、
来年以降が46%にのぼった。市場は年内の利上げを意識し始めている。
一方、どの水準まで利上げするかという質問に対しては1.0%との回答が28%、0.5%と0.25%がいずれも26%、0.75%が15%だっ
た。市場の見方はさまざまで、利上げの終着点が見えにくい状況が続きそうだ。
2024/08/29 09:33 日経速報ニュース
29日午前の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが前日を0.010%上回る0.900%に上昇(価格は下落)した。
28日の米国債相場が下落し、国内債にも売りが出ている。7月の米個人消費支出(PCE)物価指数の発表を控えた持ち高調整の動きな
どから米長期金利は上昇した。
[東京 30日 ロイター] - 日銀は想定通り、利上げ戦略を堅持できるのかーーエコノミストの間では、海外投機筋の影響が大きい日本の
株式市場の動向次第では利上げ判断の足かせになりかねないとの指摘が出ている。海外勢は一方向に傾きやすい投資行動に出ること
が多く、安定しつつあるように見える市場も、きっかけ次第で再び株価急落のリスクがあるという。
<利上げ戦略の継続を鮮明化>
日銀自体は利上げ戦略の継続を鮮明にしている。植田和男総裁は23日に国会で行われた閉会中審査で、市場動向が経済・物価見通しや
リスクに及ぼす影響を見極めた上で「経済・物価見通しがおおむね実現していく姿になっていけば、金融緩和度合いを調整していくという基
本的な姿勢には変わりがない」と強調し、氷見野良三副総裁も28日の講演で同調した。
7日、内田真一副総裁は「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と講演で明言 もっと見る 、市場にハト派的と受け止
められたが、日銀内では、内田副総裁の講演は金融市場が不安定な状況下で行われたもので、市場に安心感を与えるのが何より重要だ
ったとの指摘が出ている。
日銀が利上げ局面に踏み出した以上、経済・物価見通しの実現度合いが政策を左右するというのは何も変わっていないとの声も出ている。
円高に振れたことで輸入物価上昇を通じた物価の上振れリスクは後退したものの、株価が急速に戻していることから経済・物価見通しへの
影響は今のところ軽微にとどまるとの見方も、日銀では聞かれる。
<日銀の楽観論とは距離>
一方、日銀の楽観論とは距離を置く市場関係者は多くいる。
5日から6日にかけて歴史的な乱高下を演じた日経平均株価が何らかのきっかけで再び急落するリスクはまだあるとの指摘だ。
5日の日本株の下げ幅を増幅したのは商品投資顧問業(CTA)と呼ばれる海外のヘッジファンドだ。JPモルガン証券の高田将成クオンツ
・ストラテジストによれば、CTAの8割が順張り戦略を取っており、「ボラティリティが上昇する下げ相場では、機械的な売りを優先するため
下げ相場をあおる傾向がある」という。
信用買い残は暴落前の段階で4兆8720億円。4兆円台まで膨らんで推移が続くのは2007年以来で、CTAの売りがこうした需給面での
潜在的な売りを巻き込む形となった。
また高田氏によれば、昨年来、先物だけでなく現物市場でもトレンドフォローの戦略を運用する海外マネーが流入しているという。「企業の
本質的価値よりも株価自体をテクニカルに重視するファンドのため、株価が上がれば買い、下がれば売るの繰り返しとなり、ボラティリティ
の高さと合わさり必要以上の値幅を形成したフローが少なくなかった」と話す。
高田氏は、今回の急落の引き金が日銀の金融政策や米国の経済指標だったように、何らかのニュースで再び株価が急落する可能性は
あるとみている。「CTAなどもまだ半分近くしか株先ロングの処分を行っておらず、不測のショックに対しては追加売りが要求される可能性
が残る」と指摘する。
氷見野副総裁は28日の会見で「内外の金融資本市場の動向が、(経済・物価の見通しが実現する)確度に影響を与えていくということも、
もちろんある」と述べた。
SBI新生銀行の森翔太郎シニアエコノミストは「金融市場の動向を全く考慮せずに金融政策運営を行うことは基本的にはないだろう」と指
摘する。
森氏は日銀の追加利上げについて、来年1月がメインシナリオ、早ければ12月と想定。一方、「程度にもよるが、金融市場の不安定化が
経済・物価の下振れリスクを高め得ると判断した場合は利上げの時期やペースを再考する可能性もある」とみている。
2024/09/01 04:00 日経速報ニュース
8月下旬に開催されたカンザスシティー連銀主催の経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」。ニューヨーク連銀のエコノミストを務めた
米ブラウン大学のガウティ・エガートソン教授が発表した論文が注目を集めた。米国の失業率に対する求人率の割合が直近は「1.2」と、
失業率の急上昇を招く閾値とされる「1」に近づいていると警鐘を鳴らす内容だった。
冷える雇用を警戒「強力なメッセージ」
「強い労働市場を支えるためにできることは何でもやる」。23日、講演したパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長は近く利下げに踏み
切る考えを示唆したうえで、労働市場について「以前の過熱状態からかなり冷え込んでいる」と指摘。特に直近の6カ月で失業率が上昇し
ていることを挙げ、さらなる冷え込みは望んでいない考えも示した。
欧州危機の最中にあった2012年、当時の欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が発した「できることはなんでもやる」を彷彿させる発言に
市場では驚きが広がった。SBI証券の道家映二チーフ債券ストラテジストは「失業率の急激な悪化などに備えたもので、中銀高官の発言と
しては非常に強力なメッセージだった」と指摘する。
株式市場はすかさず反応した。ダウ工業株30種平均は26日、4万1240ドルと1カ月半ぶりに最高値を更新。不動産や中小型株など利下
げの恩恵が大きい分野にマネーが向かっている。
「政策を調整すべき時が来た。方向性は明確だ」。パウエル氏はインフレの水準がFRBの目標に近づいており、目標を達成する軌道に
乗ったと自信を見せた。
ただ、米国経済が景気後退に陥ることなく軟着陸(ソフトランディング)できるかは、まだ予断を許さない。カギとなるのはやはり雇用だ。
大和証券の山本賢治チーフエコノミストは「株高と強い労働市場が個人消費を支える循環が今後は逆回転する可能性がある」と警戒感
を示す。
市場参加者が警戒するのが利下げ幅とペースだ。米金利先物市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で通常の倍となる0.5
%の利下げに踏み切る可能性が一定程度織り込まれている。6日に発表される雇用統計への注目度は一層増している。
パウエル氏は今後の利下げ幅やペースについては「今後発表されるデータや変化の見通し、リスクのバランスによって決まる」として
明言しなかった。市場の想定よりも大幅な利下げとなればFRBによる景気認識の悪さを印象づけることになり、かえって市場の波乱要因
となる可能性もある。これまで大きな混乱を招くことなくインフレと戦ってきたパウエル氏だが、政策転換の最終局面に来てかじ取りは一段
と難しさを増している。
確率が23日に36%に上昇した。講演前の22日は24%にとどまっていた。
12月までの3回の会合で計1%以上の利下げが起こる確率も、22日の64%から23日には76%まで上昇した。1会合あたり0.5%の利下げ幅
に相当する計1.5%の利下げ確率も6%とリスクシナリオとして十分意識されている格好だ。みずほ証券の上家秀裕シニア債券ストラテジスト
は「米景気の急速な後退を見通す参加者も増えてきた」と語る。
8月雇用統計、失業率「4.4%」が分水嶺
9月会合での利下げ幅は、今後の金融緩和ペースを占う一つの試金石となる。市場が最も注目しているのが、6日に発表される8月の米
雇用統計だ。
「焦点は失業率。4.4%を超えるかどうかが判断のカギとなる」。みずほ証券の上家氏はこう指摘する。
7月の米雇用統計で失業率は4.3%を付けていた。直近3カ月間の平均失業率が過去1年間の最低値を0.5ポイント上回れば景気後退が
始まった可能性が高いとの経験則を指す「サーム・ルール」の発動も話題を集めた。
パウエル議長は足元の労働市場について「これ以上冷え込むことは望まない」と語っていた。4.4%を明確に上回れば市場の利下げ織り
込みがさらに加速する可能性があるという。
非農業部門の就業者数も注目点の一つ。7月データでは、11万4000人増と市場予想(17万?19万人)を大きく下回った。野村証券の
小清水直和シニア金利ストラテジストは「7月は南部を襲ったハリケーンが就業者数を減らした側面もあった。そうした変動要因がない8月も
15万人を下回れば、0.5%の利下げが現実味を増す」と指摘する。
米労働省は8月21日、この1年間の就業者数の増加が公表していたより28%少なかった可能性があると発表した。労働市場の冷え込みを
意識する市場参加者が多い分、弱いデータへの反応は想像以上に大きくなる可能性もある。
9月11日には8月の米消費者物価指数(CPI)、17日には8月の米小売売上高などこれまで注目を集めてきた主要指標の発表も控えるが
、「市場のインフレ警戒はすでに薄れている。多少強いデータが出てきたとしても、利下げ予想を後退させるほどの力は持たないだろう」(
野村証券の小清水氏)との見方が優勢だ。
急速な利下げが実現すれば、金融市場はどう動くか。7月の米雇用統計で労働市場の冷え込みがあらわになった8月上旬、市場は株価
の急落、債券相場の上昇、円相場の急騰などに見舞われた。今回も8月の米雇用統計などによって各資産の値動きが急変動するリスクを
念頭に置いておく必要がある。
野村証券の小清水氏は、米長期金利の指標となる10年物国債利回りについて「年内に3.5%程度まで低下する場面もあるのではないか」と
見通す。
「メインシナリオは9月会合が0.25%の利下げにとどまり、利下げ期待で会合までに売られたドルが1ドル=145円程度まで買い戻される展開。
ただ、経済指標が弱ければ1ドル=141?142円程度まで円高・ドル安が進む可能性がある」。ステート・ストリート銀行東京支店の貝田和重・
金融市場部長は目先の円相場についてこう語る。
年内1ドル=130円突破も
米経済の減速を示す経済指標が相次ぐ一方、市場予想を上回った7月の米非製造業(サービス業)景況感指数など米経済は依然として
まだら模様の側面もある。貝田氏は「経済指標の悪化トレンドがより鮮明になれば、年末にかけて1ドル=130円台を上回って円高が進む
リスクがないとも言えない」と語る。
米株式市場では利下げ観測が投資家心理を支え、ダウ工業株30種平均が最高値を更新。金も、国際指標のニューヨーク先物(中心限月)
が最高値圏を推移する。金利低下による利払いコスト軽減効果が大きい不動産上場投資信託(REIT)への資金流入も目立つ。さらなる利下
げ織り込みはこうした資産の追い風にもなりうる。
もっとも、「米の雇用や消費は平時に比べるとなお堅調。市場の利下げ織り込みは行き過ぎている面がある」(SMBC日興証券の野地慎チ
ーフ為替・外債ストラテジスト)との見方は根強い。
先行きについても、「10?12月、25年1?3月にはインフレ再燃の懸念が高まり利下げトレンドが一旦収束する場面もあるだろう」(野村証券
の小清水氏)との指摘も聞かれる。急速に進む利下げ織り込みとその巻き戻し、各局面における市場の値動きを警戒しておく必要がありそうだ。
2024/09/03 02:00 日経速報ニュース
QUICKが2日発表した8月の債券月次調査によると、日銀が追加利上げに踏み切るのは「2024年12月」との予想が最も多かった。8月下旬に
日銀の植田和男総裁が利上げ路線を続ける姿勢を示したことで、年内にも金利の引き上げに動くとの観測が高まっている。
調査は8月27?29日に証券会社や生損保、銀行など181人の債券市場関係者を対象に実施し、124人から回答を得た。
日銀は7月の会合で政策金利を0.25%に引き上げた。次に利上げをする時期についての設問では「24年12月」が48%と最も多く、「25年1月」
(32%)が続いた。日銀の植田総裁は8月23日に衆参両院の閉会中審査で、想定している経済・物価見通しが実現すれば利上げを続ける考え
を改めて明らかにした。
「日本の景気は堅調さを見せている。この間に日銀は利上げをするべきだろう」(投信投資顧問)との声が聞かれた。
今後6カ月程度で最も注目する債券価格の変動要因では「海外金利」が14%と前回の調査から12ポイント増加し、9カ月ぶりの高水準となった。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介シニア債券ストラテジストは「8月上旬に米雇用統計の悪化による米金利の低下が国内金利に
も影響したため、海外金利の動向に関心が集まった」と分析する。
9月下旬に予定されている自民党総裁選の結果が及ぼす債券市場への影響は「ほとんどない」(52%)とする見方が最も多かった。一方で
「誰が総裁に選ばれると思うか」という設問には「小泉進次郎元環境相」(45%)との回答が最多だった。
・日銀、追加利上げへ複雑な判断 年内視野のシナリオ維持
・日銀総裁「金融緩和の度合い調整、基本姿勢変わらず」
目賃金3.6%増、実質0.4%増と市場予想に反してプラス
共通事業所ベースでは名目4.8%増、所定内給与が過去最高
物価変動を反映させた7月の実質賃金は2カ月連続で前年を上回った。好調な春闘が反映されて基本給が1992年11月以来の高い伸びと
なったほか、賞与も大幅に増加し、名目賃金を押し上げた。金融政策の正常化を進める日本銀行にとって好材料となり得る。
厚生労働省が5日発表した毎月勤労統計調査(速報)によると、実質賃金は前年比0.4%増と市場予想(0.6%減)に反して増加した。6月
には27カ月ぶりにプラスに転じていた。名目賃金に相当する現金給与総額は3.6%増となった。基本給に当たる所定内給与は2.7%増と前月
から伸びが加速。賞与など特別給与は6.2%増だった。
エコノミストが賃金の基調を把握する上で注目するサンプル替えの影響を受けない共通事業所ベースでは、名目賃金は4.8%増。所定内
給与は2.9%増と同ベースでの公表が開始された2016年以降で最高となった。
日銀は賃金と物価の好循環が強まり、消費者物価の基調的上昇率は2%目標に向け徐々に高まると予想している。植田和男総裁は3日、
経済・物価見通しが実現していけば、政策金利を引き上げていく考えを改めて表明。賃金の伸びが物価上昇率を上回る状況が維持された
ことで、追加利上げの時期を探る日銀に追い風となりそうだ。
SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは、実質賃金の増加について「夏季賞与と賃上げ分を遡及して支給した分があり、特別
給与が上振れている」ことが主因と説明。日銀政策への影響に関しては、「これをもってすぐ利上げということではないが、ベアが強くて
それが順調に反映されているのが確認されたという意味では、正常化に向かう方向を妨げない」との見方を示した。
2024/09/06 日本経済新聞 朝刊
日銀の高田創審議委員は5日、金沢市で開いた金融経済懇談会で「物価が見通しに沿って推移するもとで、前向きな企業行動の持続性が
確認されれば、その都度、もう一段のギアシフトを進める」と語り、今後の追加利上げを示唆した。利上げの判断について「毎回毎回、十分に
時間をかけて状況をみながら対応する」との考えも示した。
高田氏は金融経済懇談会で講演し、記者会見した。「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それに応じて(金融緩和の度合いを)
段階的に調整していく」という基本姿勢を強調した。
高田氏は「金融・資本市場の動向が前提にはある」とも述べ、株式相場の動きなどを注視する構えをみせた。「8月初旬ほどではないが、
ボラティリティー(変動率)が高まりやすい動きが生じている」との認識を示した。
前向きな企業行動の事例としては「ひとつの重要な要素として賃上げが考えられる」と述べた。ただ「単にこの数字をということで判断できる
ものではない」と加え、幅広いデータを丹念にみていく姿勢を強調した。
物価の上振れリスク要因としては「(企業による)値上げ」を挙げた。10月の価格改定に注目する。
日銀は物価が見通し通りに推移すれば、景気を熱しも冷ましもしない中立金利の水準まで政策金利を引き上げる方針を示している。高田氏
は中立金利について「ピンポイントではない」とし、「相当慎重に、もしくは幅をもって考えていかないといけない概念で、なかなか実務的にこれ
ということにはなりづらい」と話した。
9月には日銀の審議委員による発信が相次ぐ。11日に中川順子氏、12日に田村直樹氏が金融経済懇談会を予定しており、その内容が
注目される。
2024/09/11 日本経済新聞 朝刊
外国為替証拠金取引(FX)投資家の間で、日銀の追加利上げに関する織り込みがあまり進まない状態が続いている。仮に日銀が利上げを
進めていった場合、意外感からFX投資家が売っておいた円を慌てて買い戻し、円高に拍車をかけることもあり得る。
FX投資家の間では、7月30~31日の日銀金融政策決定会合の前から追加利上げの可能性に懐疑的な空気が出ていた。例えば7月中下
旬に実施された外為どっとコムの顧客向け調査で、7月に利上げ決定があるとした人は1割に満たなかった。
利上げをあまり想定していなかった様子は、7月中旬以降進んだ円高に対してFXでは逆張りのドル買いがかなり増えた点からも見て取れる。
FX業者4社(GMOクリック証券、外為どっとコム、セントラル短資FX、マネーパートナーズ)合計の週次データでは、7月後半にドル円ポジシ
ョンに占めるドル買い比率が一時65%を超えた。7月前半に5割を下回っていた水準からの急上昇は、早期日銀利上げがないことを想定した
動きと解釈できる。
結果的に日銀は7月末に利上げを決定。その後、予想より弱い米雇用統計を受けて米大幅利下げ観測が広がったこともあり、円高がさらに
進んだ。FXの損失確定の円買い戻しが、円高に拍車をかけたとされる。
ただFX投資家は依然ドル買い越し状態を維持。直近(9月4日時点)の4社集計値でドル買い比率が再び6割台に上がった。背景には依然
日銀の利上げをあまり織り込んでいない事実がある。
例えば日銀が最終的にどこまで利上げするかを聞いた外為どっとコムの顧客向け調査(8月下旬実施)。現状の0・25%、つまり再利上げ
はもうないとの見方が約3割あり、0・5%までを合わせると6割弱に達した。
一方、債券市場関係者対象の8月QUICK月次調査〈債券〉では、2025年末の日銀政策金利は0・72%というのが予想の平均値。6月の
同調査で、向こう5年の日銀政策金利のピークを聞いた結果は単純平均で1・07%だった。
FX投資家の間で日銀利上げの織り込みがあまり進まない理由は何か。
「生活者としての景況観を持つ個人投資家は、景気がそれほど強くない点を機関投資家より実感しているため、金利上昇予想を持ちにくい
かもしれない」(外為どっとコム総合研究所の神田卓也氏)。逆張りを好むFX投資家は、円高のもとでのドル買いを正当化する金融政策予想
を持ちやすいとの推測も成り立つ。
問題は、FX投資家の予想に反して日銀の利上げが進み、円相場がさらに上昇した場合だ。慌てて損失確定の円買いを入れるかもしれない。
一定の含み損を抱えると自動的に反対売買するFXの機能(ロスカット)の発動もあり得る。円相場上昇に拍車がかかる。
日銀は当面株価などが安定を取り戻すか注視するが、経済・物価情勢が「想定通り」推移するなら再利上げを検討しそうだ。FX投資家には
「想定外」となり円相場が混乱しないか。要注意だ。
2024/09/11 10:58 日経速報ニュース
日銀の中川順子審議委員は11日、秋田県金融経済懇談会で挨拶した。経済・物価見通しが実現していくようなら、2%の物価安定目標の
「持続的・安定的な実現の観点から、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを示した。調整を検討するにあたり、金融市場の
変化が見通しに及ぼす影響を「これまでと同様に、丁寧に評価を行い、判断をしていく必要がある」とした。
8月上旬の市場の変動については「米国の雇用統計において失業率の上昇などがみられたことがきっかけ」とし「米国の景気減速懸念から
世界的に急速なドル安と株価の下落が生じた」との見解を示した。そのうえで、国内企業の収益は高水準で「この間、わが国経済のファンダ
メンタルズ(基礎的条件)に大きな変化はない」との考えを述べた。
国内の賃金動向について「上昇率は、物価上昇も反映するかたちで基調的に高まっていく」との見方を示した。経済・物価見通しを巡っては
輸入物価が再び上昇に転じることによる企業の価格転嫁の積極化や、労働需給の逼迫による賃金の上振れで「賃金や物価が『物価安定の
目標』を超えて上昇するリスクには注意が必要」だとした。注目するリスクとして「海外経済の下振れ」や「実質所得のマイナスが長期化した
ことが今後の消費者マインドの改善の重しとなる可能性」などにも言及した。
2024/09/11 10:55 日経速報ニュース
11日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時、1ドル=141円台半ばまで上昇した。円が急騰した8月5日に付けた直近高値(141円
68銭)を上回り、およそ8カ月ぶりの円高・ドル安水準を付けた。日銀の中川順子審議委員が11日の講演で追加利上げに前向きな姿勢を示し
日米金利差の縮小観測から円買い・ドル売りが進んだ。
中川氏は11日、秋田市で開催された金融経済懇談会で、経済・物価が見通しに沿って推移すれば「金融緩和の度合いを調整していくことに
なる」などと話した。5日には高田創審議委員が金沢市での金融経済懇談会で講演し「経済・物価の見通しがある程度実現していけば、それ
に応じて(金融緩和の度合いを)段階的に調整していく」との基本姿勢を強調していた。
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2024/09/11 18:11 日経速報ニュース
原油の欧州指標が2022年2月に始まったウクライナ戦争前の水準に戻った。世界的な景気減速で供給過剰になるとの見方から下落基調
になっている。貿易赤字の拡大と1ドル=150円を超える円安進行を生んだ悪循環にも、歯止めがかかる可能性がある。日本経済全体にと
ってプラスとなる。ガソリン価格を抑える政府の補助金政策の「出口」もようやくみえてくる。
欧州指標の北海ブレント原油先物は10日、一時前日比4%安い1バレル68.68ドルまで下落し、21年12月以来の安値をつけた。米指標の
WTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)先物は同日、一時前日比5%安の1バレル65.27ドルまで下げ、こちらもウクライナ戦争前水準
への回帰が近づいている。
背景には世界的な景気減速と供給過剰懸念がある。10日に中国税関総署が発表した8月の原油輸入量は、前年同月比で7%減となった。
石油輸出国機構(OPEC)は同日に公表した月報で、24年の石油需要見通しを従来に比べて引き下げた。米国と中国の需要が想定より鈍化
する見通しだ。
ウクライナ戦争以降、資源輸入大国の日本は円安と原油高の悪循環に苦しんできた。原油価格が上がると、原油購入の代金を支払うため
のドルの需要が増す。輸入企業が外為市場で円を売ってドルを買う動きにつながる。円安進行で原油購入の代金がさらに増えて円売りが
膨らむスパイラルに陥った。
エネルギー価格が急騰した22?23年にかけて、輸入総額全体に占める原油や液化天然ガス(LNG)など化石燃料の輸入額割合は30%
前後で推移し、17?21年の平均(21%)を大きく上回った。22年度の貿易赤字は過去最大に膨らんだ。外国為替市場では22年10月に一時、
1ドル=151円90銭台をつけた。
23年版の通商白書によると22年の貿易赤字の増加分のうち、化石燃料など輸入品の価格高騰が7割を占めたという。エネルギー価格が
落ち着いてきたことで、貿易赤字は縮小傾向にある。ソニーフィナンシャルグループの尾河真樹チーフアナリストは「原油価格の低下で貿易
収支が改善すれば、為替相場の円安圧力が弱まる可能性がある」と話す。
日本総合研究所の後藤俊平研究員は24年度内のWTI価格が今後60ドルで推移した場合、80ドルで推移した場合に比べて、同年度の
実質国内総生産(GDP)が0.7%上振れすると試算する。企業収益の改善が見込まれる。大和総研の田村統久エコノミストは「実質賃金が
上がり、個人消費の回復を後押しする可能性がある」と話す。
政府は2022年1月以降、新型コロナウイルス禍からの経済回復を支えるため、補助金を支給してレギュラーガソリンの小売価格を抑えて
きた。延長を繰り返した結果、これまで充てられてきた予算額は約7兆円に上る。対症療法的な支出の長期化は脱炭素に逆行するだけ
でなく、市場の価格形成をゆがめてきた。
政府は現在、補助金がなければ190円前後になるガソリン価格を175円程度に抑えている。ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノ
ミストの試算ではアジア指標であるドバイ原油が1バレル60ドル(現在は70ドル前後)、円相場が1ドル=140円の場合、ガソリンの小売
価格は1リットル170円になる。この水準まで下がれば、補助金政策を続ける意味は薄れる。
政府は年末までガソリン支援を続ける方針を示している。原油価格が現在の水準で安定的に推移するようになれば「段階的な支援縮小
など出口戦略は描きやすくなる」(経済産業省幹部)とみている。
・原油価格、変動の裏にカナダ産 輸送能力拡大で存在感
・原油1年4カ月ぶり安値 かすむ日銀の追加利上げ経路
・原油70ドル割れ、年初来安値 米中の景気懸念反映
2024/09/13 日本経済新聞 朝刊
日銀の田村直樹審議委員は12日の金融経済懇談会後の記者会見で、今後経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば「段階的に金利を引き
上げ、経済・物価の反応を確認し適切な短期金利の水準を探っていく必要がある」との見解を示した。
利上げぺースは「ゆっくりとしたペースになる可能性が高い」とも述べた。
田村氏は12日午前の講演で、景気を過熱せず、冷やしもしない中立金利の水準は「最低でも1%程度だろう」との見方を示した。2026年度ま
での見通し期間の後半に「少なくとも1%程度まで短期金利を引き上げていく」ことが必要と語った。
記者会見で年内に追加利上げすべきと考えるかを問われた田村氏は「今後の経済や物価、金融情勢次第であり予断は持っていない」として明
言しなかった。
2024/09/13 12:52 日経速報ニュース
海外投資家による日本株への売り圧力が強まっている。日経平均株価が7月11日に史上最高値(4万2224円)を付けた翌週にあたる7月
第3週(16?19日)以降、海外勢の売越額は現物と先物の合計で5兆1000億円に達した。その主因として円高・ドル安の進行を挙げる声は
多い。欧米中銀が利下げを模索しているのに対し、日銀は利上げを継続する方針とあって、円高と株安が同時進行しやすい状況は当面続
きそうだ。
13日午前の日経平均は反落し、前日比326円(0.89%)安の3万6507円で終えた。欧州中央銀行(ECB)は12日、2会合ぶりとなる0.25%
の利下げを発表した。米連邦準備理事会(FRB)が17?18日に開く米連邦公開市場委員会(FOMC)でも、利下げはほぼ確実視されている。
外国為替市場で一時1ドル=140円台後半まで円高が進んだのと歩調をあわせてトヨタ自動車やキヤノンといった輸出関連株に売りが膨らみ
日経平均も一段安となった。
東京証券取引所によると海外勢は9月第1週(2?6日)に現物株を8235億円売り越した。1週間の売越額としては今年最大だ。2日の取引
時間中に日経平均は一時、3万9000円台に乗せるなど8月急落後の戻りを試していた局面にあたる。個別株の買いと空売りを組み合わせ
る「ロング・ショート(LS)」戦略の運用担当者は「このタイミングでロングバイアス(買い持ち高を増やす)を強めたLS戦略の投資家は多かっ
た」と話す。
23年4月以降の日経平均の価格帯別に集計した累積売買高では、上方向では3万8000?3万9000円、下方向では3万2000?3万3000円
が膨らんでいる。ショート(売り)は貸株料がかかるため、普段からLS戦略は買い持ちの比重が高い。3万9000円を上回れば売り圧力が和ら
ぐとの見方から先高観を強め、さらに買い持ちを増やしたファンドもあったもようだ。だが、その後の日経平均は米株安や円高につられて3日
から11日までの7日続落で3000円あまり下げた。
米調査会社ヘッジファンド・リサーチ(HFR)が算出するLS戦略の運用成績を示す「株式ロング・ショート指数」は9月第1週にマイナス1.2%。
週間では今年2番目の悪い記録で、LS戦略のパフォーマンスが急激に悪化したことがうかがえる。ヘッジファンドの運用スタイルで多いとされ
るLS戦略の成績悪化は、今後も尾を引く可能性がある。
海外勢は円高への警戒感を強めている。モルガン・スタンレーMUFG証券の中沢翔ストラテジストは今月に欧州を訪問した。現地投資家と
のミーティングでは日銀のタカ派姿勢と米経済の減速懸念で大半の投資家は今後、さらなる円高進行を警戒する声が聞かれたという。日銀
の利上げ継続の思惑はしばらく続きそうななか、日米の金融政策の方向性の違いなどに起因するボラティリティー(変動率)の高まりから、
日本株は当面、レンジ相場とみる投資家が多かったと指摘した。
みずほ証券は9月第1週に機関投資家向けの日本株セミナーを開催した。同証券の菊地正俊チーフ株式ストラテジストは「想定以上に円高
を懸念している海外勢が多かった」と話す。日銀の利上げ継続とFRBの年内数回の利下げは市場に織り込まれているとして、菊地氏は年内
の円相場について1ドル=140?150円で推移するとの見解を示したところ、130円台を見込む海外勢がそれなりにいたという。「円買い・株価
指数先物売り」によって、短期的には日本株の一段安を見込む向きもあったようだ。
市場では「8月の急落後に割安感が強まった日本株には、長期志向の海外勢が買いを入れた」(外資系証券のストラテジスト)との声も聞か
れる。ただ、7月第3週以降に5兆円あまり売り越したというデータをみる限り、海外勢が再び日本株への強気姿勢を強めているような気配は
乏しい。
9月相場は後半に警戒――。米国株のSQ(特別清算指数)算出に当たる第3金曜日以降、日米株は過去3年連続で9月は月末にかけ、
大幅な下落に見舞われている。決算発表の1カ月前から自社株買いを自粛する米企業が多いことも一因のようだ。今年も9月後半に大幅な
調整が入るとすれば、円高加速も重なり海外勢の慎重姿勢は一段と強まりかねない。もちろん、9月末にかけての下押し局面が買い場と
みてエントリーしてくる投資家もいるだろう。投資家の運用の巧拙が明暗を大きく分けそうな局面に差し掛かっている。
バーゼル3見直し案の承認時期は未定=米FRB議長
全員一致で決定、エコノミスト調査では全員が政策据え置きを予想
景気の現状と先行きの判断、基調的物価に関する見方は変わらず
日本銀行は20日の金融政策決定会合で、政策金利の無担保コール翌日物金利を0.25%程度で維持することを全員一致で決めた。7月の
追加利上げの経済・物価への影響や、8月に不安定化した金融市場動向の見極めが必要との判断が背景にある。
景気は「一部に弱めの動きも見られるが、緩やかに回復している」とし、先行きも「潜在成長率を上回る成長を続ける」との認識を維持。個人
消費は「緩やかな増加基調」とし、従来の「底堅く推移」から判断を引き上げた。消費者物価の基調的上昇率は、経済・物価情勢の展望(展
望リポート)で示した2024-26年度の見通し期間後半に「物価安定の目標とおおむね整合的な水準で推移する」との見方も据え置いた。
ブルームバーグが6-11日にエコノミスト53人を対象に実施した調査では、全員が金融政策の現状維持を見込んでいた。前回の7月会合
での利上げ決定後に、米国経済への後退懸念も重なって金融市場は大きく不安定化したが、今会合の声明文からは日銀の経済・物価の
見方や政策運営姿勢に大きな変化は見られていない。
会合結果を受けて外国為替市場では円が対ドルで一時1ドル=141円台まで上昇した。
リスク要因については、7月の展望リポートに続き、金融・為替市場の動向や、その日本経済・物価への影響を十分注視する必要があると
指摘。「過去と比べると、為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっている面がある」と記した。
大和証券の末広徹チーフエコノミストは、「為替の影響度を注視しているのは重要なポイント」と指摘。来年にかけて円高が進めば物価の
下振れリスクとなり、来年には利上げ停止もあり得るとの見方を示した。その上で、年内に一度、さらに来年の早い時期にもう一度利上げをし
「着地点は0.75%程度になるとイメージしている」と語った。
総務省が20日発表した8月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比2.8%上昇と、4カ月連続でプラス幅が拡大した。
エネルギー価格の高止まりに加え、食料や家庭用耐久財の上昇が全体を押し上げた。生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは2.0%
上昇と、2カ月ぶりに2%台を回復した。
8月初めの市場急変を受けて内田真一副総裁は同月7日に、市場が不安定な状況で利上げはしない考えを表明した。その後、植田和男総裁ら他の政策委員は、高い緊張感を持って市場を注視するとしつつ、経済・物価が日銀の見通しに沿って推移すれば利上げを進める姿勢に変わりはないとの見解を示していた。
2024/09/21 日本経済新聞 朝刊
日銀は20日開いた金融政策決定会合で、金融政策を現状維持し政策金利を0.25%に据え置いた。会合後の記者会見で植田和男総裁
は、今後の追加利上げの判断に「時間的な余裕はある」と述べ、米経済や国内の経済・物価情勢を見極めていく姿勢を示した。(関連記事総
合2面、会見要旨総合4面に)
7月末の会合で利上げを決めた後、為替相場が円高方向に動いた。植田総裁は2024年の年初からの円安進行に伴った物価の上振れリ
スクは「相応に低下した」と指摘した。
金融市場の動きは「引き続き不安定な状況にある」との見解を示し「極めて高い緊張感をもって注視する」と強調した。
会見開始直後に外国為替市場で1ドル=141円台後半を付けた円相場は、早期利上げの可能性は低いとの観測から、一時144円台に
下落した。
植田総裁が追加利上げの判断に時間をかける姿勢を見せたのは、海外経済の先行きに「不透明感がある」との背景がある。金融資本市場
の不安定な動きにもこうした見方が反映されているとの認識だ。
米連邦準備理事会(FRB)は18日、通常の倍となる0.5%の幅で4年半ぶりの利下げを決めた。植田総裁は、米国経済がソフトランディング
(軟着陸)するとの見通しについて「メインシナリオと見ている点に変わりはないが、リスクは少し高まっている」と語った。米国は個人消費が
好調な一方、労働市場が弱含んでいることを理由に挙げた。
今後の米経済やFRBの金融政策は「全体像がまだ見えていない。注意してみていきたい」と話した。
植田総裁は海外の不確実性をリスク要因として注視しつつ、これまで示してきた利上げ方針は維持した。経済・物価の見通しが実現していけ
ば「政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」との考えを改めて示した。
現状の政策金利である0.25%は、インフレを考慮した実質金利でみて「極めて低い水準にある」とし、複数回の利上げが可能なことを示唆した。
日銀は追加利上げの判断で、一時的な要因を除いた基調的な物価上昇率の動きを重視する。堅調な個人消費などを受け、現状で基調物価
の判断を「若干なりとも上げてもいいような材料」があると言及した。
ただ米国経済の動きが先行きについて「若干の不透明性を高め、(国内の好調と)相打ちのような形になっている」との状況認識を示した。
植田総裁は「見通しの確度が高まったからすぐ利上げとはならない」と述べ、決められた利上げのペースやスケジュールがあるわけではないと
語った。「ある程度まとまった情報が得られたと判断できたところで、次のステップに移るとならざるを得ない」と述べ、データ次第との姿勢も重ねて強調した。
2024/09/21 09:02 日経速報ニュース
「米国であれば、ソフトランディング(軟着陸)的なシナリオに近い姿が実現していくのか。もう少し厳しめな調整になっていくのか。これを丁寧に
見極めていきたい」
不思議な記者会見だった。日銀の植田和男総裁は政策金利を据え置いた20日の金融政策決定会合のあと、米景気のリスクを繰り返し強調し
追加の利上げ時期を吟味するうえでの焦点だと言明した。日本の利上げの命運を米景気、もしくは米連邦準備理事会(FRB)に委ねたかのようだ。
そのわずか36時間前、0.5%の大幅な利下げを決めたFRBのパウエル議長は「後手に回らぬ決意」とともに、米景気の軟着陸説を勇ましく
唱えた。会見でのトーンを比べる限り、植田氏のほうが米経済に悲観的なのは明らかだ。この奇妙な日米の「ズレ」には何があるのか。植田氏
の発言を点検しよう。
「(利上げを決めた7月会合後の)データをみても、われわれの見通し通りに足元、動いてきていると日本経済をみている。これは若干なりとも
基調的物価上昇率に対する判断を上げてもいいような材料だ」
今回、個人消費の判断を「底堅く推移」から「緩やかな増加基調」に引き上げたように、日銀は国内経済の底堅さには自信を深めている。利上
げの是非を判断する決め手は「基調的な物価上昇率が目標の2%へと上向きつつあるか」「経済・物価見通しが実現する確度が高まっている
か」の2点だ。7月末の利上げ決定の一端を担った「オントラック(想定通り)」という発言は主に後者を指すが、エコノミストらから「消費が停滞し
たままではないか」との反発も招いた。
今回は懸案の消費判断を引き上げ、オントラックの継続を認めたうえで「基調的な物価上昇率に対する判断を上げてもいい」と踏み込んだ。
賃金上昇の広がりやサービス価格に波及する兆しも踏まえると、利上げを決めてもおかしくはなかったことになる。だが、上記の発言の直後に
はこんな説明が続く。
「他方で海外経済、とくに米国経済の動きが先行きに関して若干、不透明性を高めている。それがなにか相打ちのようなかたちに足元なって
いると認識している」
単純に解釈すると、米景気のリスクが足を引っ張り、連続利上げの判断を妨げたことになる。
ここで注目すべきなのが、広くニュースの見出しにも使われた「時間的余裕」発言だ。サプライズを伴った7月末の利上げが、経済・物価の
オントラックぶりに加え、それまでの急激な円安が輸入物価の押し上げを通じ、物価の上振れリスクを高めているのに対応したのと強く関係し
ている。
「最近の為替動向も踏まえると、年初以降の為替円安に伴う輸入物価の上昇を受けた物価上振れリスクは、相応に減少しているとみている。
したがって政策判断にあたって、先ほど来申し上げてきた点を確認していく時間的な余裕はある」
「先ほど来申し上げてきた点の確認」というのは、次の通りだ。
「政策判断にあたっては内外の金融資本市場の動きそのものだけでなく、その変動の背後にある米国をはじめ海外経済の状況などについて
丁寧に確認していくことが重要だ」
7月末の利上げは円の反転上昇に加えて株価の急落も招いた。日銀が不運だったのは、米景気指標の急激な下振れと重なったことだ。
今回の米景気リスクへの警戒は、このときの市場の混乱と深く結びついている。
「米国をはじめ海外経済の先行きを巡る不透明感が昨今の金融資本市場の動きの背後にあると考えている」
市場混乱のさなかの8月7日。内田真一副総裁は講演で「金融資本市場が不安定な状況で、利上げをすることはない」と火消しに回った。
逆に言うと「市場が安定しさえすれば、利上げに動ける」という意図があるのは言うまでもない。
むしろ問題は「市場の安定」を何をもって判定するのかの難しさにある。今回の会見で重要なのは、植田日銀が「市場が安定したのかどうか
」の判断を、市場の動きの背後にある「米経済の不透明感」の話に置き換え、「軟着陸の成功」を利上げの条件に据えたことだ。
植田氏は「軟着陸をメインシナリオとみている点は変わりない」と語ったうえで労働市場の減速を念頭に「8月初め以降の米経済に関するデータ
は少し弱いものが続いているのでリスクは少し高まっている」と警戒した。「FRBが減速傾向を食い止めるためにどれくらいの利下げをしていく
のか、全体像がまだみえていない」とも語った。
もし米景気の軟着陸を強く信じているのであれば、やがて「市場安定」の判定問題は雲散霧消し、自然に利上げの環境が整うとみているの
だろう。逆に、下振れリスクを本気で心配しているのなら、これ以上の利上げを進められないという事態もうすうす覚悟し始めていることになる。
当のFRBはどうか。パウエル氏は今回、0.5%の大幅利下げによって米労働市場、ひいては米景気の下振れリスクに先手を打ったとアピール
した。2回目以降の利下げはゆっくりと進める政策金利シナリオも示しつつ、「景気後退の可能性が高まっていることを示すものは何もない」
「米経済は良い状態にあり、きょうの決定はそれを維持するためのもの」などと軟着陸をアピールした。
一方で米連邦公開市場委員会(FOMC)内では失業率が悪化方向にぶれるリスクを気にするメンバーが急増しており、パウエル氏の強気
発言とは裏腹に、軟着陸シナリオの失敗を懸念している内実も見え隠れする。
日銀内で感触を探ると、米経済について明確に、あるいは意識的にFRBの認識よりも弱気にみているわけではなさそうだ。
一方的な円安が収まった以上、利上げを急ぐ必要はない。日銀にこの思いが強いのは確かだ。ただし「為替を直接の操作対象にしない」と
する建前上、円安が収まったから利上げを見送る、との説明では厳しい。経済や物価がオントラックなら利上げに至りうるという説明との整合
性を考えると、国内景気の動きを理由にした現状維持も成り立たない。
代わりに「米経済の軟着陸か否か」を前面に押し出せば、見送りの理由にしやすい。「市場が安定したかどうか」の判定の尺度も明確に
できる。パウエルFRBの情勢判断や政策手腕を信じるなら、そう遠くないうちに利上げの機は訪れるはずだ――。日銀執行部の心中は、
こんなところかもしれない。
外国為替市場は今回の植田氏の説明ぶりを追加利上げに慎重な「ハト派」と受け止め、20日の円相場は一時1ドル=144円台半ばまで
円安・ドル高が進んだ。だが植田氏が「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和
の度合いを調整していく」と語った通り、日銀は利上げ路線自体を断念したわけではない。
では次の利上げはいつか。米経済の不透明性とそれに伴う市場の変動リスクを考えると、11月の米大統領選前である10月末の次回会合は
考えにくい。一方、もし米景気の軟着陸が濃厚となれば、12月会合の利上げの線はまだ消えていないだろう。
「多くの企業が10月を中心にサービス価格の改定時期に当たるので、そこで好調な賃金動向がどれくらい反映されるかには強い関心をもっ
ている」
国内の賃金と物価動向に絡み、最も重要だった植田氏の発言だ。この点が判明するのが11月以降。12月利上げはこの発言とも符合する。
米経済とFRBに身を委ねつつも年内の利上げの線が完全になくなったわけではないことには注意が必要だろう。
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[東京 20日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が0.5%の利下げに踏み切ったが、日銀が利上げ局面にあるなかで米国が利下げ
した2007年とは内外の環境が大きく異なる。日銀内では、今回の米利下げは景気を下支えするもので、追加利上げに向けた日銀の動き
を崩すものではないとの見方が出ている。一方、米経済減速懸念などを背景に円高が一段と進む場合は賃上げに影響する可能性もあり、
その動向を確認する必要があるとの指摘もある。
<07年と「大きく異なる」環境>
植田和男総裁は20日の金融政策決定会合後の会見で、政策を現状維持とした理由について、経済・物価見通しはオントラックだが、米経済
見通しが不透明性を高めていると説明。政策判断に当たって、市場不安定化の背景にある米国経済の状況を丁寧に見ていく「時間的な余裕
はある」と話した もっと見る 。
その米国経済について、植田総裁は現時点でソフトランディングがメインシナリオだと発言。今回同様、日本と米国の金融政策スタンスが逆と
なった2007年当時とは、内外経済の状況が大きく異なる。そんな声も日銀では出ている。
日銀は06年3月に量的緩和を解除、その後ゼロ金利も脱し、07年2月に政策金利を0.5%に引き上げた。こうした中、07年8月にパリバ
ショックで世界の金融市場が動揺、FRBは翌9月に政策金利を5.25%から4.75%に下げた。
その後、米景気は後退局面に入り、リーマンショック後の08年12月にFRBはゼロ金利政策を導入。日銀も07年2月以降、据え置いてきた
政策金利を08年10月に引き下げたが、その後、長く円高が続くこととなった。
現在の日本は、政策金利こそ0.25%で07年2月時点より低いものの、コアCPIの前年比は2%台後半で推移。30年ぶりの賃上げ率が
実現するもとで、賃金と物価がともに上がる好循環が回り始めている。米国経済もサブプライムローン問題が深刻化した当時のようなバランス
シートの偏りもなく、金融機関の健全度も維持されている。
こうした違いの中で、日銀内では今回の利下げが米景気を下支えするとの見方が出ている。米経済のソフトランディングシナリオを前提とす
れば、追加利上げに大きな支障をもたらすことはない。
「サーム・ルール」に触れたことについて、「1950年以降、過去11回の景気後退期では全てサーム・ルールが発動しており、その精度は
非常に高い」とする一方、雇用は増え続け、減少に転じたわけではないと指摘。米連邦公開市場委員会(FOMC)で示された米経済の
ソフトランディングシナリオには「妥当性がある」と話している。
日銀では、米大統領選の結果にかかわらず、新大統領の就任で財政出動が見込まれるとして、来年の米国のインフレ圧力になりそうだと
の見方も出ている。FRBの利下げ幅が小幅にとどまれば、為替円高の動きは限定的となり、日銀の利上げに追い風となる可能性もある。
<米経済減速の深まり、円高など注視>
日銀内には、米経済やFRBの金融政策を巡って、当面は市場の不安定な状況が続く可能性があるとの声もある。植田総裁も米経済の
ソフトランディングについて、リスクは少し高まっていると指摘、米経済減速懸念などを背景に円高がどこまで進むかも、今後の日銀の政策
を占うカギとなる。
FOMC後に公表された金利見通しによれば、年内にさらに0.5%、25年にもう1%の利下げが見込まれている。25年には四半期に1回の
利下げという計算になる。
グローバルマーケットエコノミストの鈴木敏之氏は「テイラールールを計算すると、25年の利下げ幅は0.6%で、1%は下げ過ぎ」と指摘
するが、SMBC日興証券の牧野潤一チーフエコノミストは19日付リポートで「現在、米国・日本市場で織り込まれていない将来の金融政策
が今後織り込まれていくとすると、1年後のドル/円レートは1ドル=132.5円程度となっている可能性がある」との分析を示す。
6月日銀短観での企業の想定レートは1ドル144.77円。足元の水準であれば影響は軽微とみられるが、円高が一段と進めば日本の
企業収益に下押し圧力がかかりかねない。米景気先行き懸念からFRBの大幅利下げ観測が高まり、さらに円高に振れれば、来年の賃上げ
に影響が及ぶ事態も想定される。
植田総裁は20日の会見で、米国はじめ海外経済の先行きをめぐる不透明感が金融市場の背後にあると話し、丁寧に分析し、経済・物価
見通しへの影響を確認していく考えを示した。日銀内では、米経済の下振れ警戒が根強い場合には、日本企業の来年の賃上げに向けた
動向をしっかり見極めた上で次の利上げに進むべきだとの声が出ている。
2024/09/24 08:00 日経速報ニュース
東京証券取引所は20日、東京地下鉄(東京メトロ、9023*J)の新規上場を承認した。10月23日に東証プライム市場へ上場する。首都圏で
地下鉄を運営する鉄道会社とあって知名度は高い。想定発行価格(1100円)と上場時の発行済み株式数(5億8100万株)から計算した時価
総額は6391億円と今年最大規模になる見通しだ。
売り出し株数は2億9050万株で、売り出しの内訳は国内2億3240万株、海外5810万株。株主である政府(財務大臣)が1億5517万1585株
東京都が1億3532万8415株をそれぞれ売り出す。国は復興財源確保法に基づき、東京メトロ株の売却収入を復興債の償還費用に充て、
都はインフラ整備に充当する方針だ。主幹事は野村証券で仮条件は10月7日、公開価格は10月15日にそれぞれ決定する。
半導体メモリー大手のキオクシアホールディングス(HD、旧東芝メモリ)が1.5兆円規模で10月にも上場するとの観測がある。キオクシアHD
の上場承認は発表されていないため、東京メトロは上場時点で2024年の新規株式公開(IPO)のなかでは最大規模の案件になる見通し。
私鉄大手の時価総額との比較では1兆円を超える東急(9005)や阪急阪神ホールディングス(9042)は下回るものの、京成電鉄(9009、7611億
円)や近鉄グループホールディングス(9041、6669億円)とちかい規模となる。
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東京メトロの25年3月期(今期)の連結純利益は前期比13%増の523億円を見込む。今期予想ベースのPER(株価収益率)は12.2倍程度。
鉄道が主力のJR東海(9022、8倍)や大手私鉄の一角である東武鉄道(9001、11倍)よりは高いが、小田急電鉄(9007、15倍)や東急(18倍)
を下回る。
東京メトロは、営業収益に占める旅客運輸収入の割合が約83%(24年3月期)と高い。人口密集地の首都圏での事業が中心なだけに、売上
高営業利益率は19.6%(24年3月期)と高く、私鉄で収益力の高さに定評がある東急(9.1%)や阪急阪神(10.6%)も大きく上回る。
鉄道以外に収益源を多角化する余地は大きい。東京メトロは小田急などと共同で新宿駅西口の再開発に着手しており、29年度をめどに新宿
駅の上に高層ビルを建設する。3月には国内外の現地ツアー予約サイト運営のベルトラ(グロース、7048)と資本業務提携を結び、東京の観光
施設をフリーパスで回れる乗車券付きの新商品の開発などを進めている。機関投資家に需要を聞き取るブックビルディングを通じて、こうした
動きが公開価格にどう反映されるかがまずは注目される。
個人投資家の長期保有を促すための株主優待制度への関心も高い。毎年3月末と9月末を基準日として保有株数に応じて全線片道切符を
発行する。例えば「200株以上400株未満」の株主は全線片道切符を3枚受け取れる。このほか年1回、3月末時点で「200株以上」を保有する
株主には地下鉄博物館(東京・江戸川)の無料招待券5枚や、「そば処めとろ庵」のかき揚げトッピング無料券やゴルフ練習場の入場無料券
などがもらえる。優待は上場後の株価の下支え要因となるだけに、個人の動向にも気を配りたい。
2024/09/25 09:08 日経速報ニュース
25日朝方の国内債券市場で長期金利が低下(価格は上昇)している。指標となる新発10年物国債の利回りは前日を0.020%下回る0.795%
をつけた。金融・資本市場が混乱した8月5日以来およそ1カ月半ぶりの低さ。24日発表の米経済指標の下振れを受けて米長期金利が低下し、
国内債にも買いが入った。日銀の追加利上げ時期が後ずれしたとの見方も相場の支えとなった。
24日発表の9月の米消費者信頼感指数は98.7と、前回改定値(105.6)から低下したうえ、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(104.0)
も下回った。米景気の減速懸念や米利下げ観測から米国債には買いが入り、米長期金利は3.73%に低下した。
日銀の植田和男総裁は24日に大阪市内で開いた講演で「基調的な物価上昇率が見通しに沿って高まっていくならば、政策金利を引き上げ、
緩和の度合いを調整していくことが適当」と改めて強調した。一方、為替の円安修正により物価の上振れリスクが減少し、政策判断に「時間的
な余裕はある」との見方を20日に続いて示した。日銀が追加利上げを急がないとの見通しが改めて広がったことも相場の押し上げ要因となった。
先物相場は続伸して始まった。中心限月の12月物は前日比8銭高の145円19銭で寄り付いた。短期金融市場では大阪取引所で無担保コー
ル翌日物金利(TONA)先物が上昇し、中心限月である12月物は前日比0.0100高い99.7075をつけた。
2024/09/25 13:51 日経速報ニュース
日米の長期金利の連動性が薄れてきている。20日の日銀の金融政策決定会合以降、米長期金利が上昇(債券価格が下落)する局面でも
日本の長期金利は低下(価格は上昇)基調を保ったままだ。日本と米国との間で政策の方向性の違いが鮮明になっており、これまで米国債
に左右されがちだった国内債市場に「日本は日本」との空気が生じている。
24日以降の国内債相場は中期債を中心に利回りが大きく低下した。政策金利の影響を受けやすい2年物国債利回りは前日を0.010%下回
る0.330%まで下がり、前週末20日の0.390%から大きく水準を切り下げている。25日は長期金利の指標となる新発10年債利回りが一時0.795
%と、金融・資本市場の混乱が起きた8月5日以来、およそ1カ月半ぶりの低水準をつけた。
金利低下の主因は日銀による早期利上げ観測の後退だ。植田和男総裁が政策判断にあたり「時間的余裕がある」との見解を20日と24日に
それぞれ示したからだ。この間、米債利回りの強弱感は明確ではなく、国内債がもっぱら日銀に焦点をあてて動いていることがわかる。
グローバルな資本移動が進む現在は、日米の国債金利は連動しやすいとされる。世界規模で運用する投資家は期間を区切って資産配分の
比率を決めている。例えばもし米債の価格が上昇すれば、日本国債の比率があまり下がらないように機械的に買いを入れるケースが出てくる。
だが、どの国も独自の国内要因を抱えている。とりわけ、日本では金融政策の正常化という新たな段階に入り、引き締めからの撤収局面を
迎えた米国との対照性が浮き彫りになっている。海外の投資家も日本固有の材料への感応度を高めざるを得なくなり、相場が「米債離れ」を
する日が増えているわけだ。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の鶴田啓介氏も「短期的に」と前置きしたうえで、日米国債利回りのデカップリング(非連動)が続く可能性
を指摘する。では国内要因が主導する今後の相場展開はどうなるのか。
日銀の植田和男総裁は24日に大阪市内で開いた講演で「基調的な物価上昇率が見通しに沿って高まっていくならば、政策金利を引き上げ、
金融緩和の度合いを調整していくことが適当」と従来の立場を改めて示した。ただ、足元の為替の円安修正に伴い物価の上振れリスクが相応
に減少し、政策判断にあたって「時間的な余裕はある」とも説明した。
三菱モルガンの鶴田氏は「基本的に日銀は利上げ方針を掲げており、先々の金利上昇は意識されやすい。半面、指をくわえてみている投資
家は少ない。金利が上昇した局面で債券買いを入れる動きも出てくる」と話す。
国内外の債券を中心に運用するSOMPOアセットマネジメントの前田洋司氏は「(金融・資本市場が一時混乱した)8月以降、国内金利の低下
を見込んだ投資戦略をとっている。10月もデュレーション(元利金の平均回収期間)の長期化を中心に考えている」という。
さらに前田氏は「日本の期待インフレ率の低下や為替の円高による景況感の押し下げの可能性、日銀の利上げ観測後退などを踏まえて国内
長期金利は0.6%まで下がってもおかしくない」と強気だ。また中期債のうち5年債についても、8月月初の0.6%台から足元で0.4%台へと水準
を切り下げるなかで「買う余地はある」という。
27日には自民党総裁選の投開票が控え、その後は衆院解散・総選挙が取り沙汰されている。次期首相になる新総裁の経済政策を見極めた
いとして、「国内債には売り手が少ない状態になる」(三菱モルガンの鶴田氏)との声も聞かれる。
日銀の政策正常化のプロセスを織り込むのにはまだ時間がかかるだろう。米国は米国で今後の利下げの余地や景気回復の見通しを織り込
む段階になるが、日銀への注目度が簡単には下がりそうにないとすれば、日米国債利回りのデカップリングは来年まで継続するのかもしれない。
2024/09/26 日本経済新聞 朝刊
金融庁は銀行の代わりに送金・決済・与信サービスを提供するフィンテック事業者に対する規制を総点検する。資金決済法制定から14年を
経て、利用者保護に支障が生じる恐れも出ており、時代に合わなくなってきた。
金融審議会の作業部会が25日、資金決済法改正に向けた議論を始めた。2025年の通常国会への改正案提出をめざす。規制の結果、
ステーブルコインなど利用が進まないサービスがあり、規制緩和も焦点になりそうだ。
資金決済法は銀行が独占してきた送金・決済・与信業務を開放し、それを担う新しい事業者とそのサービスを規制する法律。施行した
2010年当初は、プリペイドカードや電子マネーといった前払い式の支払い手段への規制が柱だったが、暗号資産(仮想通貨)やバーコード
決済など新たな決済手段が登場するたびに改正を重ねてきた。
今回議論の中心になるのが、新たな金融サービスやフィンテック事業者への規制のあり方だ。
国境を越えた送金や決済も増え、「クロスボーダー収納代行」と呼ばれるサービスを規制対象にするかが論点の一つだ。
現行法はコンビニでの公共料金の支払いなど国内で完結した収納代行を想定している。国境をまたぐこのサービスは原則適用外とされて
おり、支払い遅延のリスクが生じたり、国内取引に比べ送金経路も複雑だったりする。個人の利用が増えている可能性もある。
金融庁は利用者を保護するため、「資金移動業」の登録範囲を広げたり新たな規制を設けたりすることを検討する。サービス提供者に規制
の網をかければ、未払いなどのトラブルに対応しやすくなる。
BPSP(ビジネス・ペイメンツ・ソリューション・プロバイダー)と呼ばれる立て替えサービスも論点だ。サービス事業者が利用者に代わって
一定期間、支払いを代行する行為が実質的には「貸金業者」との指摘が出ている。
運転資金の圧縮や銀行振込コストの削減を進めたい企業のニーズを受け広がっている。現行の資金決済法は利用者が事前に代金を支払う
前払いを前提とし、立て替えを想定してこなかった。
貸金業法に基づく登録を求めれば、重い規制を課すことになるが、業者はサービスを維持できなくなる恐れがある。25日の作業部会では、
委員から「過剰与信の入り口になり得る。防止が必要だ」などの意見が出た。
取引増加が続く暗号資産を巡っても追加のルールを検討する。国内外で暗号資産交換業者からの不正流出が絶えず、破綻に追い込まれる
業者も少なくない。2022年には世界2位の暗号資産取引所だった米FTXが破綻し、国内資産の保護が焦点になった。
金融庁は資金決済法の行政処分の規定に「国内資産保有命令」の追加を検討する。FTXの場合、日本法人が金融商品取引法の登録を
受けており、同命令を出すことができたものの、資金決済法の登録だけであれば、難しかった。法の落とし穴とも言えた。
金融規制は利用者の利便性を損ねたり、金融機関の使い勝手が悪くなったりする時もある。例えば、法定通貨の価値に連動するステーブル
コインは2023年に発行できる制度を創設したが、利用は低調だ。発行額に見合った金額を現預金で用意しなければならない規制で、発行
コストをまかなうことができないことが原因だ。
金融庁は現預金に加えて短期国債を認める方向で規制緩和を検討する。英国や米国ニューヨーク州などはすでに国債など安全資産での
運用を認めている。このほか利便性を損ねている規制も総点検し、必要な規制緩和も同時に検討する方向だ。
2024/09/26 09:59 日経速報ニュース
日銀は26日、7月30?31日に開いた金融政策決定会合の議事要旨を公表した。複数の委員は、2%の「物価安定目標」について「実現して
いく確度は、さらに高まった」と指摘した。ある委員は、春季労使交渉の結果が賃金に反映されるなど「経済情勢に加えて、物価動向もオント
ラック(想定通り)と評価できる」と述べた。また、1人の委員は企業による賃金や価格の設定行動が積極化する中で「4月に続き、10月につい
ても相応の『期初の値上げ』がみられる可能性が高い」との見方を示した。
7月会合では政策金利を0.25%に引き上げることを決めた。何人かの委員は経済・物価情勢に応じて「きわめて低い金利水準を、現段階から
少しずつ調整していくことが適切だ」との見方を示した。多くの委員は小幅な利上げを実施しても「実質金利は大幅なマイナスが続き、緩和的な
金融環境は維持される」として「引き続き経済活動をサポートする」との認識を共有した。
複数の委員は消費者物価指数(CPI)について前年比で2%を超える上昇が続いており、物価の上振れリスクが「政策判断において、より
重要な判断要素になる」との見方を示した。
2024/09/26 12:51 日経速報ニュース
26日の東京外国為替市場で対ドルの円相場は一時1ドル=145円台に下落した。4日以来およそ3週間ぶりの円安・ドル高水準。25日に
発表された米経済指標が市場予想を上回った。米国経済が底堅いとの見方から米連邦準備理事会(FRB)の大幅追加利下げ観測が後退。
日米金利差縮小への意識が和らぎ円売り・ドル買いが広がった。
米商務省が25日発表した8月の新築住宅の販売件数は前月から4.7%減ったものの、市場予想(5.3%減)ほど悪化しなかった。米景気懸
念が後退し、米金利が上昇。日米金利差の拡大が意識された。
月末かつ四半期末で、国内の輸入企業など実需による円売り・ドル買いの動きも出ているとの見方がある。
2024/09/26 14:11 日経速報ニュース
岸田文雄首相の任期満了に伴う自民党総裁選が27日、投開票日を迎える。選ばれた新総裁は近く召集予定の臨時国会での指名選挙を
経て次期首相に就く見通しで、金融市場の関心も高い。報道各社の世論調査では乱立する候補のうち3人まで絞られつつあり、市場参加者
は各候補ごとに相場がどう動くかのシナリオを描いて臨んでいる。
自民党総裁選は27日13時から議員や党員の開票が始まる。過去最多の9人が立候補するなか、各社の調査によれば石破茂元幹事長と
高市早苗経済安全保障相、小泉進次郎元環境相の3人が新総裁に有力視されている。
金融市場で総裁選に関心が向かうのは次期首相が日銀の金融政策運営に影響を及ぼすとみられているためだ。代表的なのが高市氏で、
23日公開のインターネット番組では「金利を今、上げるのはあほやと思う」と発言し、日銀の利上げをけん制した。
「高市新首相」を前倒しで織り込むように、25日の国内債券市場では長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが一時0.795%と8月
5日以来およそ1カ月半ぶりの水準に低下。26日の東京外国為替市場で円相場は約3週ぶりに1ドル=145円の節目を割り込むなど金利
低下・円安が進んでいる。
高市氏が勝利すると日本国債相場はどうなるのか。みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「中期ゾーンが買われ、新発2
年債利回りは0.3%割れもあり得る」とみる。一方、市場では日銀の追加利上げが後ろにずれ込むと織り込まれつつあり、SMBC日興証券
の奥村任シニア金利ストラテジストは中期ゾーンよりも「(保有し続けることで得られる)キャリー収益を確保する需要でより長い年限の債券を
買う動きが広がりやすい」と読む。
外為市場では一段の円安・ドル高が進むとの見方が優勢だ。けん制色を強める高市氏が勝利すれば、日銀は次の利上げすらも難しくなり
かねない。さらに高市氏が掲げる「戦略的な財政出動」が財政拡張の思惑を招きやすく、伊藤忠総研の武田淳チーフエコノミストは「長い目
でみても円が弱くなるリスクを意識せざるを得ない」と話す。
石破氏や小泉氏が勝利すると、足元で広がる金利低下・円安という「高市トレード」はいったん巻き戻される公算は大きいが、この候補2人
でも巻き戻しには濃淡が出そうだ。
石破氏は25日の記者会見で、岸田首相が進めてきた「成長と分配の好循環」について「さらに力強く、確実なものにしていく」と述べたと
伝わった。注目された金融所得課税の強化について問われると「いまの貯蓄から投資へという流れは一層加速させていく」とややトーン
ダウンしている。
安倍晋三元首相の経済政策「アベノミクス」から距離を置き、日銀の利上げも歓迎するとみられていたが、市場からは石破氏が勝利して
も「岸田内閣とあまり変わらないかもしれない」(みずほ証の上野氏)との声が漏れ始めている。
むしろ影響が大きそうなのは小泉氏が勝利した場合だ。小泉氏は金融政策について日銀の独立性を尊重するとの立場を表明している。
伊藤忠の武田氏は、フリーハンドになった日銀が利上げを進めやすくなるとみて「金利上昇や円高が進むスピードが(3人のなかで)最も
速まる可能性があるのは小泉氏ではないか」と予想する。
新総裁選びが最後までもつれ込めば「たとえ高市氏が総裁選に敗れたとしても、組閣で重要なポストに就く展開もあり得る」(みずほ証
の上野氏)。新総裁の選出だけでなく、10月以降に明らかになる新内閣の人事案が思わぬ影響を与える可能性は残る。いくつものシナ
リオを意識しつつ、金融市場は総裁選の行方を固唾をのんで見守っている。
By ロイター編集
2024年10月4日午前 2:19 GMT+94時間前更新
[ワシントン 3日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のコザック報道官は3日、日銀は引き続きデータに基づき、インフレ見通しに沿って
政策金利を段階的に引き上げていくべきという見解を示した。
さらに、日銀がこれまでに金融政策の正常化に向けた重要な措置を講じたとし、2%の物価目標達成に向けた軌道に乗っていると述べた。
日本経済は拡大を続けているという認識も示した。
2024/10/04 09:11 日経速報ニュース
4日朝方の国内債券市場で、長期金利が上昇(債券価格が下落)している。きょうから新発債となった10年物376回債の利回りは前日を
0.010%上回る0.870%に上昇した。新発債としては9月12日以来、約1カ月ぶりの高水準をつけた。3日発表の9月の米サプライマネジメント
協会(ISM)非製造業景況感指数が改善して同日の米長期金利が上昇し、4日の国内債にも売りが及んでいる。
先物中心限月である12月物は前日比17銭安の144円77銭で始まった。バイデン米大統領は3日、イスラエルによるイラン石油施設への
攻撃を米国が支援するか「議論している」と述べた。中東情勢の緊迫化は、リスク回避の債券買いにつながる一方、原油高を通じてインフレ
圧力を高めるため米国債が売られた面もある。
短期金融市場では大阪取引所で無担保コール翌日物金利(TONA)先物の中心限月である12月物は取引が成立していない。
2024/10/08 06:14 日経速報ニュース
【NQNニューヨーク=矢内純一】7日のニューヨーク債券市場で長期債相場は4日続落した。長期金利の指標となる表面利率3.875%の
10年物国債利回りは前週末比0.05%高い(価格は安い)4.02%で終えた。一時4.03%と8月上旬以来およそ2カ月ぶりの高水準を付けた。
米連邦準備理事会(FRB)による大幅利下げ観測が後退しており、債券に売りが続いた。
前週末発表の9月の米雇用統計は市場予想を上回る内容で、11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で9月と同じ0.5%の利下げを
決めるとの観測が後退。7日の取引でも大幅な利下げを見込んだ取引の巻き戻しが続いた。米短期金利先物の値動きからFRBの金融
政策を予想する「フェドウオッチ」では11月に政策金利を据え置く確率が前週末4日の2%台から10%台半ばに上昇した。
市場では、米経済が軟着陸(ソフトランディング)に向かうとの観測は根強い。ゴールドマン・サックスは6日付のリポートで米国経済が
1年以内に景気後退に陥る確率を20%から15%に引き下げた。
一方、米経済の底堅さがインフレ沈静化のペースを鈍らせるとの見方もある。中東情勢が緊迫するなか、7日の米原油先物相場は前週
末に比べ、一時4%上昇した。週内には9月の米消費者物価指数(CPI)と米卸売物価指数(PPI)の発表がある。FRBの金融政策の先
行きを見通す上で重要な物価統計を見極めたいとの雰囲気があった。
金融政策の影響を受けやすい2年債の利回りは前週末比0.07%高い3.99%で終えた。一時4.02%と8月下旬以来の高水準を付けた。
7日早朝の取引では、10年債の利回りが2年債の利回りを回る「逆イールド」が発生する場面があった。
2024/10/08 09:21 日経速報ニュース
8日午前の国内債券市場で長期金利の指標である新発10年物国債利回りが前日を0.010%上回る0.930%に上昇(価格は下落)した。
8月6日以来、約2カ月ぶりの高水準となった。底堅い米労働市場から米国経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が高まっている。
米連邦準備理事会(FRB)は大幅な利下げを続けないとの見方が広がり、7日の米長期金利が4%台と約2カ月ぶりの高さに上昇した。
国内債にも売りが及んでいる。
2024/10/08 11:14 日経速報ニュース
8日午前の国内債券市場で長期金利の指標となる新発10年物国債利回りが前日を0.005%上回る0.925%に上昇(価格は下落)した。
一時は0.930%と8月6日以来およそ2カ月ぶりの高水準をつけた。7日の米長期金利が4%台に上昇し、国内債にも売りが波及した。
底堅い米労働環境を映す経済統計を受け、米国経済のソフトランディング(軟着陸)への期待が高まっている。米連邦準備理事会(FRB)
は大幅な利下げを続けないとの見方が広がり、7日の米長期金利は約2カ月ぶりの高さとなる4.02%へと上昇した。
売り一巡後は底堅く推移した。国内金利は足元で急ピッチで上昇していたとあって、持ち高調整を目的とした買いも入った。
財務省は8日、30年物国債(新発84回、表面利率2.100%、発行予定額9000億円程度)の入札を実施する。他の年限と比べた割安感や
新発債への一定の需要を背景に、「大きく崩れることはないのではないか」(国内証券の債券調査担当者)との見方があった。
新発30年物国債の利回りは前日を0.025%上回る2.135%と8月8日以来の高水準をつけた。入札を前に持ち高調整の売りが出た。新発
20年債利回り前日比0.020%高い1.720%で取引されている。中期債では、新発2年債利回りが一時0.410%と8月2日以来の高さをつけた
後、買いが優勢となり0.4%ちょうどへと低下に転じている。
債券先物相場は反発し、中心限月の12月物は前日比2銭高の144円23銭で午前の取引を終えた。朝方は売りが先行して144円11銭まで
下げたものの、押し目買いや買い戻しが入り次第に買いが優勢となった。
短期金融市場では、無担保コール翌日物金利(TONA)が横ばい圏で推移し、加重平均金利は前日の日銀公表値(0.227%)とおおむね
同水準のもようだ。
2024/10/10 09:29 日経速報ニュース
2024/10/15 13:19 日経速報ニュース
15日午後の国内債券市場で、長期金利が上昇幅を広げている。指標となる新発10年物国債の利回りは午後に前週末比0.015%高い
(価格は安い)0.960%と、8月2日以来およそ2カ月半ぶりの高水準をつけた。米金利の先高観が根強く、国内債にも売りが続いている。
円安進行が日銀の早期利上げを後押しするとの思惑も長期金利の上昇を促している。
財務省が15日実施した残存期間「5年超15.5年以下」の利付国債を対象にした流動性供給入札では、応札額を落札額で割った応札
倍率が2.52倍だった。応札倍率は前回から低下したものの、落札された利回りなどを踏まえると「無難な結果」(国内証券の債券ストラ
テジスト)だと受け止められ、債券相場の影響は限られている。
超長期債にも売りがやや優勢だ。新発30年物国債の利回りは前週末比0.005%高い2.165%で推移している。債券先物相場は軟調で、
中心限月である12月物は前週末比12銭安の143円87銭で午後の取引を始めた。
短期金融市場では、現金担保付き債券貸借(レポ)金利が低下した。日本証券業協会がまとめた東京レポ・レートで、翌営業日に
始まる翌日物(トムネ)金利は前週末比0.005%低い0.240%だった。
2024/10/16 10:57 日経速報ニュース
日銀の安達誠司審議委員は16日、香川県の金融経済懇談会で挨拶した。金融政策運営を巡り、消費者物価指数(CPI)を構成する品目別
の前年比の上昇率がデフレ期特有の形状でなくなり、CPI水準もデフレ期以前のピークを超えているため、「金融政策が正常化プロセスに入る
条件は既に満たしている」と語った。
基調的な物価上昇率が2%近傍に達するまでゼロ金利を維持し、目標実現後に急ピッチで利上げをすると「景気を悪化させ、再度、デフレーシ
ョンを意識させるようなデフレレジームへの転換となってしまうリスクも無視できない」と指摘した。これを回避するために実体経済にショックを
与えない範囲で「段階的に政策金利を引き上げていった方が、よりスムーズな金融政策の正常化が可能になると思われる」として、「段階的
な利上げというプロセスを経ることが適当である」との認識を示した。
2024/10/18 10:12 日経速報ニュース
財務省の三村淳財務官は18日、記者団の取材に応じ、足元の円安・ドル高進行について「投機的な動きも含めて市場の動向を高い緊張感
を持って注視していきたい」と述べた。同日午前の東京外国為替市場の円相場は1ドル=150円台前半で取引が始まり、節目とされる150円を
突破したことで政府・日銀による為替介入への市場の警戒感が高まりそうだ。
三村氏は「やや一方向に、あるいは急速な動きもみられると認識している」とも語った。
150円台は約2カ月半ぶりの円安水準。政府・日銀は今年、急速に円安が進んだ4月から7月にかけて複数回の介入に踏み切った。〔共同〕
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2024/10/18 13:32 日経速報ニュース
日銀が来年3月までの今年度中に追加利上げに動くとの織り込みが進んでいる。米景気の軟着陸(ソフトランディング)期待が高まり、それ
と同時に円相場に下落圧力がかかっているためだ。翌日物金利スワップ(OIS)市場の参加者が織り込む確率は、2025年3月の金融政策
決定会合まで追加利上げに踏み切る確率は8割を超えた。
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日銀の政策金利である無担保コール翌日物金利(TONA)を変動金利とし、固定金利と交換するOISのなかでも、金利の交換期間を日銀
会合間とする「金融政策決定会合間取引」のレートは、市場参加者の利上げ織り込みを映し出す指標のひとつだ。
来年3月からその次までの会合間を交換期間とする取引の金利は18日、一時0.43375%となった。このレートと現在のTONA(0.227%)と
の差を求め、想定される利上げ幅である0.25%の何割に当たるかが、市場が織り込む利上げ確率となる。月初は4割程度にとどまっていた
来年3月会合までに利上げに動く確率は18日時点で83%まで上昇してきた。
来年1月会合までに利上げする確率も上昇している。その確率は18日時点で67%に達した。1月、3月の確率はいずれも右肩上がりで、
金融市場では年度内の追加利上げの可能性が徐々に織り込まれている。
日銀の植田和男総裁は9月20日の記者会見で「すぐに利上げだとはならない」ことの理由に、米国経済の「不透明性」を挙げた。これに
対し9月の米雇用統計では失業率が低下し、17日発表の9月の米小売売上高は市場予想を上回った。米景気の軟着陸が実現するなら、
日銀は追加利上げを悩まず判断できるというわけだ。
さらに円相場は1ドル=150円台前半と、約2カ月半ぶりの安値をつけた。財務省の三村淳財務官は18日に「やや一方的に、あるいは
急速な動きもみられると認識している」と語り、金融当局者からは円安進行をけん制する声も出始めている。米経済の楽観的な見通しを
手掛かりに円の先安観がさらに強まる可能性もある。これも日銀の追加利上げ観測を高める要因だ。
岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「日銀が懸念を示していた米景気の底堅さが確認されるようだと、日銀の追加利上
げの思惑は強まりやすい」とみる。来年の賃上げ機運に不透明感が残る12月は動きにくいとしても、米景気の腰折れがない限り、春季
労使交渉(春闘)の結果が見通せる年度内には少なくとも1回の追加利上げがあり得るとの見方が定着しそうだ。
2024/10/23 13:14 日経速報ニュース
27日に迫る総選挙を巡り、与党の苦戦が伝わっている。石破茂首相が「勝敗ライン」とする与党で過半数を維持できなかった場合について
金融市場の参加者は身構え始めている。市場には、与党過半数割れは日銀の金融政策の正常化に逆風との見方が広がりつつある。
■与党過半数割れなら政策読みづらく
市場参加者のメインシナリオはなお「与党で過半数維持」ながら、情勢は不透明感を増している。今週に入り、共同通信社や朝日新聞が
与党の過半数確保を「微妙」と報じた。NHKが18日から3日間で実施した世論調査では、石破内閣を「支持する」と答えた人は41%と、1週間
前の調査における44%から低下した。
与党で過半数割れとなれば、他党を巻き込んだ連立政権の拡大を目指すか、個別政策ごとに協力を取り付ける部分連合を目指すことになり
そうだ。いずれにしても政策の先行きは読みづらくなる。
みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「不確定な要因が増えて市場の不安定な状況が長引く可能性がある。日銀の金融
政策の正常化には逆風になる」と指摘する。
米景気の後退懸念が強まって株価や為替相場が大きく動いた今年8月、日銀の内田真一副総裁は「金融資本市場が不安定な状況で利上
げをすることはない」と述べた。当時は国内政治の動きはまだ静かだったが、総選挙後に日本株などが動揺すれば再び「利上げが遠のく」と
の見方が広がる可能性がある。
マクロ経済政策は金融と財政での協調が基本線であり、上野氏は「財政対策による個人消費などの景気への影響を見極めないまま、日銀
が独走するのは望ましいものでもない」とも話す。
国内長期金利は日銀の利上げ観測が高まりにくいことが押し下げ要因、財政拡張の警戒が押し上げ要因となりそうで、身動きがとりづらい
事態となることも考えられる。利回り曲線(イールドカーブ)は長い期間の債券ほど上昇しやすい「スティープ化」が進む可能性がある。
■為替は円安・ドル高の可能性
円の対ドル相場への影響はどうか。自民党が単独で過半数を維持しない限り、円安・ドル高が見込まれている。バークレイズ証券は22日付
のリポートで、与党の過半数割れで連立拡大の場合「高市早苗前経済安全保障相の勝利を織り込みにいった自民党総裁選前の相場展開に
近いかたち」で円安・ドル高が進む可能性を指摘する。
9月の総裁選前は、日銀の利上げを強くけん制した高市氏の勝利を見込んで、株高と円安・ドル高が進んだ。
与党で過半数を維持しても円安圧力がかかる可能性がある。SMBC日興証券の宮前耕也日本担当シニアエコノミストは「非主流派に配慮
する必要があり、高市氏に近い政策をとらざるを得なくなる」とみる。円安の進行次第では、物価の上振れリスクからむしろ日銀が正常化を
早めに進める必要が出てくる展開も考えられる。財政政策との不協和音が生じ、市場の不安定さが強まる可能性は十分ありうる。
■立民、国民、維新の姿勢は
可能性は低そうだが、政権交代が実現したらどうなるか。例えば立憲民主党は政策集2024のなかで「日銀の物価安定目標を『2%』か
ら『0%超』に変更するとともに、政府・日銀の共同目標として『実質賃金の上昇』を掲げる」としている。
物価目標の引き下げは日銀の利上げ余地を広げ、株安・円高が進む公算が大きい。いずれにせよ、想定外の結果は市場のボラティリティ
ー(変動率)拡大を招くのは必至だ。日銀が正常化を進めるタイミングを見極めるのはさらに困難になることが予想される。
国民民主党は財政拡張を主張しており、日本維新の会は金融政策の正常化に慎重だ。キャスチングボートを握る可能性もある、これらの
政党の経済政策の姿勢も注意点だろう。
[ワシントン 23日 ロイター] - 日銀の植田和男総裁は23日、基調的なインフレ率は緩やかに上昇しているとした上で、インフレ目標を
持続的に達成するには「まだ時間がかかる」と述べた。訪問先のワシントンでパネルに出席した。
植田総裁は、不確実性が大きい時は政策変更を慎重に段階的に進めたいとしながらも、金利が非常に長期間にわたって低水準にとどま
るという期待を抱かせると投機的なポジションが大量に蓄積される可能性があるとの問題点を指摘。円キャリートレードの過剰な積み上が
りを抑制するため、金融政策の基本戦略を明確にすることが非常に重要だと述べた。
他国の金融政策の変更が日本経済やインフレに重大な影響を及ぼすことがあるため、欧米の状況を注意深く見守っているとし、中でも
ここ数カ月は米国経済に何が起こるのかを懸念してきたと明らかにした。
さらに、夜も眠れないほど悩んでいることは何かと問われ、「今後、政策の正常化の規模はどの程度が適切か、合計利上げ幅を時間軸で
どのように配分するのが最善かを考えている」と答えた。
2024/10/24 05:55 日経速報ニュース
【ワシントン=大島有美子】日銀の植田和男総裁は23日、米ワシントンで「我々の金融正常化への取り組みはまだ始まったばかりだ」と述べた。
不確実性が増す世界経済の動向については「過去2?3カ月、米国経済の先行きを懸念し続けてきた」と語り、雇用指標など米国経済の先行きを
注視する姿勢を示した。
日本の物価と金融政策の立ち位置をテーマに、国際通貨基金(IMF)アジア・太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏と対談した。金融政策
の先行きについて具体的な言及は避けたが、今後も利上げを継続する方針を示唆した。
日銀は7月の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に引き上げると決めた。市場では「サプライズ」との受け止めもあり、8月上旬には相場
が乱高下した。日銀の市場との対話について改善すべき点があったかについて問われると「7月は政策委員による公の場での発信がない期間
があった」と振り返った。6月の発信内容と同じ内容だったとしても、7月にも話す場があれば「よりよかっただろう」と述べた。
日銀は経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば、景気を過熱も冷ましもしない中立金利へ政策金利を引き上げる方針だ。植田総裁は現状の
金融環境について、インフレを考慮した実質金利の低さから「かなり緩和的」との認識を示した。
日銀は3月に異次元緩和を解除した。7月の決定会合では利上げだけでなく、国債買い入れの減額の具体策も決めた。
これまでの正常化の取り組みについて、2023年7月と10月にまずイールドカーブ・コントロール(YCC)を徐々に柔軟化させ、その後にマイナス
金利など他の政策を解除したことは「成功だった」と振り返った。基調的なインフレ率が緩やかなペースで上がっていたため、時間をかけて正常化に着手できたことが「幸運だった」とも語った。
【関連記事】
・日銀、25年「金利0.5%の壁」突破か 再びベア3%なら
・米景気の軟着陸、節約消費が支え 年末商戦へ不安も
2024/10/24 05:55 日経速報ニュース
【ワシントン=大島有美子】日銀の植田和男総裁は23日、米ワシントンで「我々の金融正常化への取り組みはまだ始まったばかりだ」と述べた。
不確実性が増す世界経済の動向については「過去2?3カ月、米国経済の先行きを懸念し続けてきた」と語り、雇用指標など米国経済の先行きを
注視する姿勢を示した。
日本の物価と金融政策の立ち位置をテーマに、国際通貨基金(IMF)アジア・太平洋局長のクリシュナ・スリニバーサン氏と対談した。金融政策
の先行きについて具体的な言及は避けたが、今後も利上げを継続する方針を示唆した。
日銀は7月の金融政策決定会合で、政策金利を0.25%に引き上げると決めた。市場では「サプライズ」との受け止めもあり、8月上旬には相場
が乱高下した。日銀の市場との対話について改善すべき点があったかについて問われると「7月は政策委員による公の場での発信がない期間
があった」と振り返った。6月の発信内容と同じ内容だったとしても、7月にも話す場があれば「よりよかっただろう」と述べた。
日銀は経済・物価情勢が見通し通りに推移すれば、景気を過熱も冷ましもしない中立金利へ政策金利を引き上げる方針だ。植田総裁は現状の
金融環境について、インフレを考慮した実質金利の低さから「かなり緩和的」との認識を示した。
日銀は3月に異次元緩和を解除した。7月の決定会合では利上げだけでなく、国債買い入れの減額の具体策も決めた。
これまでの正常化の取り組みについて、2023年7月と10月にまずイールドカーブ・コントロール(YCC)を徐々に柔軟化させ、その後にマイナス
金利など他の政策を解除したことは「成功だった」と振り返った。基調的なインフレ率が緩やかなペースで上がっていたため、時間をかけて正常
化に着手できたことが「幸運だった」とも語った。
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・米景気の軟着陸、節約消費が支え 年末商戦へ不安も
2024/10/24 12:25 日経速報ニュース
【ワシントン=大島有美子】加藤勝信財務相は米東部時間23日夜(日本時間24日午前)、記者団に対し、外国為替市場で円安・ドル高が
進行し円相場が一時1ドル=153円台をつけたことについて「足元では一方的な、また急速な動きがみられている」との認識を示した。為替
市場の動向を「緊張感をさらに高めて、注視する」と述べた。
米ワシントンで23日に開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議の初日の会合に出席した後に会見した。23日の円相場は
日米金利差が広がるとの思惑から、前日比で約2円、円安方向にふれる場面があった。為替介入については「具体的には言及しない」とした。
G20の会合で為替についての議論があったかを問われ、加藤財務相は「きょう議論の場はなかった」と明らかにし、日本からも話題を出して
いないと述べた。24日の会合でも「そうした議論にはならないのではないか」と指摘した。
加藤財務相は、東京証券取引所職員が証券取引等監視委員会から金融商品取引法違反(インサイダー取引)容疑で強制調査を受けて
いることについても見解を述べた。
金融庁に出向中の30代の男性裁判官がインサイダー容疑をめぐって監視委から強制調査を受けていたことが分かったことも踏まえ「金融
市場の信頼を確保すべき立場にもかかわらず、あってはならないことで、大変遺憾なことだと思っている」と述べた。再発防止策の徹底など
を通じ「日本の金融市場の信用確保に尽力していきたい」とも強調した。
加藤氏が財務相に就任してから初の外遊となる。G20では米連邦準備理事会(FRB)をはじめ主要国の中央銀行が利下げ局面に入る
なか、高インフレを抑え、世界経済がソフトランディング(軟着陸)に向かえるかなどを話し合う。
G7の枠組みでも会合を開催する。日本経済新聞が報じたG7の最終合意案は、総額500億ドル(約7兆5千億円)の融資を確約するほか、
ロシア資産はウクライナとの戦争が終結した後も凍結し続ける方針を明確にする。加藤財務相は日本が担当する額について「金額を含めた
詳細について現在調整しているところ。具体的に申し上げる状況にはない」と述べた。
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・国際開発金融機関の改革議論 G20財務相会議が開幕
・G20財務相会議開幕へ 世界経済の軟着陸焦点に
全国の物価の先行指標となる10月の東京都区部の消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は2カ月連続で伸びが縮小した。
政府の物価高対策の影響が主因で、日本銀行が目標とする2%を5カ月ぶりに下回ったものの、市場では日銀の利上げ姿勢に影響
はないとの見方が出ている。
総務省の25日の発表によると、コアCPIは前年同月比1.8%上昇。市場予想(1.7%上昇)は上回った。前年に電気・ガス料金の
補助金が半減され、エネルギー価格が押し上げられた反動などが表れた。一方、米類の価格上昇を主因に生鮮食品を除く食料は
3.8%上昇と7カ月ぶりの高い伸びとなった。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIは1.8%上昇と、前月の1.6%上昇から伸びが拡大。市場予想は1.6%上昇だった。
日銀は経済・物価が見通しに沿って推移すれば利上げを続けていく姿勢を堅持している。30、31日の金融政策決定会合では、米中
を中心とした海外経済の不透明感の強まりや不安定な金融市場を背景に、金融政策を維持すると見込まれている。もっとも、足元では
再び円安が進行する中、今回のCPIも踏まえれば、引き続き早期の利上げ観測は継続することになりそうだ。
第一生命経済研究所の星野卓也主席エコノミストは、今回は全体としてエネルギーのベース効果の部分で鈍化しているとし、「金融
政策に対してニュートラルなイメージ」と指摘。その上で、利上げは為替次第であり、円安方向の流れが強まれば政府の要請が高まって、
前倒しになる可能性はあるとの見方を示した。
2024年10月31日 5時11分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20241031/k10014624461000.html
日銀は31日、2日目となる金融政策決定会合を開き、当面の政策を決定、公表します。日銀は利上げを検討する上でアメリカ経済の動向を
重視するとしていますが、当面は慎重に見極めるべきだという意見が多く、今回は政策金利を据え置くとみられます。
日銀は31日、金融政策決定会合の2日目の議論を行い、当面の金融政策を決定、公表します。
日銀が利上げを検討する上で最近重視しているアメリカ経済をめぐっては、経済指標が市場の予想を上回るケースが多くなっています。
ただ、植田総裁は先週、訪問先のワシントンで「先行きに対して楽観論が少し広がりつつある気がしている」と述べたほか、日銀内でも大統領
選挙を控えアメリカの経済は当面、慎重に見極めるべきだという意見が多くなっています。
さらに植田総裁は会見などで「時間的な余裕はある」と繰り返し述べていて、日銀は今回政策金利を据え置くとみられます。
一方、市場関係者の間では今月行われた衆議院選挙で政治情勢が不透明になっているとして、今後日銀は利上げを進めにくくなるのでは
ないかという観測も出ています。
会合のあと行われる会見で、植田総裁がアメリカ経済の分析に加えて、この先の利上げに向けてどのような見通しを示すのかが焦点です。
2024/10/31 12:12 日経速報ニュース
志田憲太郎・山和証券調査部部長 日銀は31日まで開いた金融政策決定会合で金融政策の現状維持を決め、追加利上げを見送った。
市場の想定通りで、円相場も小動きとなっており、株式市場への影響は限定的だろう。27日の衆院選の投開票後に進んだ株の買い戻しの
動きは一服した。31日午後の東京株式市場で日経平均株価は3万9000円を下値メドに小安い水準での一進一退となりそうだ。
東証プライム銘柄の予想利益ベースのPER(株価収益率)は、30日時点で15.6倍に上昇しており、バリュエーション(投資尺度)面から
みた日本株の上昇余地は現状乏しい。今後日経平均が4万円を超えて上昇するためには、主要企業の業績の上方修正で1株当たり利益
(EPS)が増加することが必要だ。政治面では、国民民主党が掲げるガソリン税の一部減税や「年収の壁」の引き上げなどの政策実現度が
高まってくるようであれば、経済活性化を織り込む形でPERの水準の切り上がりにも期待ができる。
11月の米国の大統領選の結果次第では、株価が一時的に大きく振れる公算が大きい。ただ、円相場が1ドル=140?155円程度の範囲
で推移するのであれば、日本株への影響は長引かないと考える。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-31/SK1OQ6T0AFB400?srnd=cojp-v2
【日本市況】円上げ拡大、来年度物価上振れリスクと日銀-株式は下落
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-10-31/SM37CHT1UM0W00?srnd=cojp-v2
By 和田崇彦, 杉山健太郎, 山崎牧子
2024年10月31日午後 1:04 GMT+91時間前更新
[東京 31日 ロイター] - 日銀は31日公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)で現在の実質金利が「極めて低い水準にある」との
認識を示し、今回示した経済・物価の見通しが実現していくとすれば、「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことに
なる」との考えを示した。
同リポートでは、2025年度の消費者物価指数(生鮮食品除く、コアCPI)の前年度比上昇率の見通しを1.9%とし、前回の2.1%から引き下
げた。24年度は2.5%、26年度は1.9%で変更しなかった。物価の基調的な上昇率は徐々に高まっていくと予想。見通し期間後半には物価
安定目標とおおむね整合的な水準で推移するとの見方を示した。
生鮮食品とエネルギーを除くコアコアCPIの24年度の上昇率見通しは2.0%とし、前回の1.9%から引き上げた。25年度は1.9%、26年度
は2.1%でともに据え置いた。
農林中金総合研究所の南武志理事研究員は、25年度の物価見通しが1.9%に下方修正され2%に届かないということで「おのずと利上げの
余地が小さくなったのではないか」と指摘。そのうえで「日銀は2%を超えているうちに利上げしたいのではないか。12月に1回目の利上げの
チャンスを狙い、2回目が来年の4─6月期と予想しているが、この2回目が微妙な状況になりつつある」との見方を示した。
<金融政策運営、海外経済の展開や金融市場の動向「十分注視」>
日銀は2%の「物価安定の目標」のもと、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していく。米国をはじめとする海外経済の今後の
展開や金融市場の動向を十分注視し、経済・物価の見通しが実現する確度に及ぼす影響を見極めていく必要があると指摘した。
見通しに対するリスク要因として、海外の経済・物価や資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを挙げ、不確実性は「引き続き高い」と
指摘した。このところ、企業の賃金・価格設定行動が積極化し、過去と比べると為替の変動が物価に影響を及ぼしやすくなっているとも指摘した。
リスクバランスは、経済の見通しについて「おおむね上下にバランスしている」、物価の見通しについては「25年度は上振れリスクの方が大き
い」とした。wぱy
2024/10/31 14:18 日経速報ニュース
31日午後の東京外国為替市場で、円相場が上げ幅を拡大している。14時時点では1ドル=152円90?92銭と前日17時時点と比べて42銭の
円高・ドル安だった。14時前には一時152円83銭近辺まで上昇した。15時半に予定される日銀の植田和男総裁の記者会見を前に「月末という
のもあって、リスクを減らすため円売り・ドル買いの持ち高を縮小する動きが続いているようだ」(国内信託銀行)という。
日銀は31日まで開いた金融政策決定会合で政策金利を維持すると決めた。あわせて公表した「経済・物価情勢の展望(展望リポート)」は前回
7月分とおおむね変わらず、経済・物価の見通し実現を条件に「引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していくことになる」と
説明。利上げ路線を維持したと受け止められたのも円相場の支えとなった。