安価 彡(゜)(゜)ワイは転生を決める神や。IDなし
プシィーラー 紳士ならびに淑女の皆さん、ずばりと言わせていただければ、彼のような人物がつつましい生活に甘んじているのは私にはショックであります。
ご存知のように、われらの巨匠が、私の役所で平の雇員をやっておられるのを発見したのは私であります。
このような人を日雇いで働かせるのは、我が町にとってまことに不名誉なことであると思わざるを得ません。
メッヒさん、お祝いします。あなたのサロンは、この天才の、そうですとも天才ですよ、
この天才の世界的名声を育んだゆかりの地と呼ばれるようになりますよ。乾杯、バール君!
(バールは拒むような仕草をする。彼は食べ続ける)
おいで、エミーリエ。皆さん、さあ、どうぞ、こちらへ。
(みんな腹を立てて席を立つ)
叫び声 あんた、前代未聞ですよ、こんな失礼な……
プシィーラー メッヒさん、私はショックです……
ピラー 君の詩には、たちの悪い所があるね。
バール (ヨハネスに)あいつは何て名前だ?
ヨハネス ピラー。
バール ピラー、役に立ちたかったら古い新聞でも送って下さい。
ピラー 君は吹けば飛ぶような奴だ。文学は君にはなも引っ掛けやしないよ。
(一同退場)
給仕 (入ってきて)あなた様の外套でございます。
君がひとたび彼女と寝ちまえば、多分彼女もただの肉の塊にすぎなくなるさ。顔なんかなくなっちまうぜ。
そして奴らの体は崩壊し力萎えて死の手に落ち、恐ろしい絶叫を上げながら、新しい宇宙でも生むように、小さな実を産み落とす。
苦しみのうちにその実を吐き出すのだ、そして一度は快感に浸りながら乳を含ませる。
(弦を掻き鳴らして)歯がなくちゃ駄目だ、立派な歯さえあれば、愛なんて、オレンジにがぶりとかぶりついてたっぷり汁を吸い取るのと同じようなものさ。
ヨハネス あなたの歯はけだものの歯みたいですね。どす黒く黄身がかって、大きくて、気味が悪い。
(エミーリエ、急いで入って来る)
だがベッドは真っ白で、空と大地の間には愛があるんだ。(飲む)どうして君たちはそう臆病なんだ?
空はあんなに開けっぴろげだぜ、君たちはちっぽけな影さ! 空は肉体でいっぱいだ。愛しすぎて蒼褪めてしまった肉体でな。
エミーリエ あなた、また飲みすぎたのね? それでやたらに喋るのね。この酷くて素晴らしいお喋りで人を汚い豚小屋に縛り付けてしまうんだから。
バール 空ってやつは(飲む)黄色になる時だってあるぜ。猛禽類も沢山いるぜ! みんなも酔っ払ったらどうだ。
(テーブルの下をのぞいて)誰だ、俺のむこうずねを突付く奴は? お前か、ルイーゼ?
ああ、そうか、お前だな、エミーリエ! なあに、どうってことないさ。さあ、飲め!
エミーリエ (腰を浮かせて)分からないわ、今日はどうしたの。どうやら私がここへ来たのが、いけなかったようね。
バール 今頃気付いたのか? ならいくらここにいても構わないんだぜ。
馬車ひき2 こういう頭をしてなきゃ駄目だよ!
バール なあお前!
ヨハネス あなたのお母さんのこと、芸術のことを考えてください! 強くなってください! (エーカルトに)恥ずかしくないのか! あんたは悪魔ですよ!
お上品な女だぞ、先に鼻をかんでおけ、アンドレ! あんたも人でなしだな、バールさん!
バール お前、そんなに冷たい女か? 俺を愛しているんだろ? 相手はうじうじしている。
エンミイ! キスしてやりな! みんなの前で俺に恥をかかせる気なら縁を切るぞ。一、二。
ヨハンナ あなたったら、どこまで下品なの!
バール (ベッドの上で)ノアの洪水で純白に清められれば、バールの思いは天に羽ばたくぜ。まるで、黒い流れの上を飛んで行く鳩のように。
ヨハンナ コルセットはどこへいったのかしら? こんな格好じゃあたし!
バール (彼女にコルセットを差し出して)ほら! こんな格好じゃ何が出来ないんだ、ええ!
ヨハンナ 帰るのよ。(コルセットを落とすがそれを身につける)
バール (口笛を吹いて)骨がばらばらになった感じだ。キスしてくれよ!
ヨハンナ (部屋の真中のテーブル脇で)何か言ってよ! (バール、黙っている)まだ私を愛している? ねえ、言って! (バール、口笛を吹く)それを言えないの?
バール (天井を見つめたまま)俺はもう食傷しちまっているよ。
ヨハンナ じゃあ、夕べはどうだったの? ついさっきは?
バール ヨハネスはさぞや大騒ぎして喚くだろうな。エミーリエって女は、穴のあいた帆前船のように、ぐるぐると堂々巡りをしている。
俺はここで飢え死にするかもしれないぜ。だって君たちはみんな、人のためには指一本動かそうとしないんだからな。
やりたがるのは一つことだけだ。
バール 白い体に酔いしれているのさ。
下宿のおかみ 白い体だって! あんたは本当に詩人だよ! でなきゃ全くの役立たずさ!
この子達もこんなに若いのにね! あんたたちはどうやら姉妹らしいね?
そんなに悲しそうに大声で泣くところを見ると、きっと可哀想な孤児なんだろうね。
私が尻を打ってやろうか? あんたたちのその白い体を?
(バール、笑う)
ちゃんと手をお手々つないで、家のお母さんのところへお帰り。こんなことは二度とするんじゃないよ。
(彼女らをドアの方に押しやる)さあ、今度はあんただ、出て行ってもらいますよ!
白鳥の飼育場ならどこか他所へ行って作りなさい! (二人を押し出して、去る)
バール (立ち上がって伸びをする)鬼婆だが、あれで結構気はいいのさ! どうせ今日は酷くやる気がないんだ。
(原稿用紙をテーブルの方に投げ、その前に座る)新生活を始めるか。
(原稿用紙に大きな飾り文字を書く)一つ内面的な人間になってみるとするか。俺の内面はまるで空っぽだな。
おまけにけだものみたいに腹が減ってきた。本当に骨と皮だけだよ。鬼婆め!
(後にもたれかかり、力いっぱい手足を伸ばす)夏を創作してやろう。赤い真紅な貪婪な夏を。
(再び口ずさむ。暗くなる。やがて手回しオルガンの音が聞こえてくる)
(夕暮れ。バールは机のそばに座っている)
(階下から手回しオルガンの『トリスタン』が聞こえてくる)
(ヨハネス、やつれ切った青い顔でドアから入って来る。机の上の原稿用紙をかき回す。
酒瓶を取り上げる。おずおずとドアの所に行ってそこで待つ。階段の所で騒がしい物音。口笛)
バール (部屋にゾフィー・バルガーを引きずり込む)大人しくするんだ。いい子だ! これが俺の部屋だ。(彼女を座らせる)そこで何してる?
ヨハネス 僕がしたかったのはただ……
バール そうか? お前はしたかったのかい? そんな所にもそっと突っ立って、流れて行ってしまったヨハンナの墓石だとでもいうのかい?
別の世界から降ってきたヨハネスの死体なのかい? え? 放り出してやるぞ! すぐ出て行け!
(ヨハネスの周りを歩き回る)恥知らずもいいとこだ。壁に向かって叩き付けてやるぞ。どうせ春なんだ、行った、行った!
バール (冷ややかに)気分でも悪いのかい?
ゾフィー 分からない、何だかとてもくらくらするの。(壁にもたれかかる)
ゾフィー いや……いやよ……ね、分かって、私がまだ誰からもそんなこと……
バール 触れられたことがないのか? 来いよ! (彼女を奥のベッドに連れて行き、二人で腰を下ろす)
いいかい、この木の部屋では女たちの体が積み重なって滝のように流れていったものだ。
しかし今は俺が、顔が欲しいんだ。夜中に外へ出よう、木や草の間で横になろう。君は女だ。
俺は不潔になってしまった。君が俺を好きになってくれなきゃいけない。
ゾフィー そうなの? ……あなたが好き。
バール (彼女の胸に頭をのせて)上には空が広がり、そして俺たちは二人きりだ。
ゾフィー でもあなた、黙って横にならなくちゃいけないわ。
バール 子供みたいに!
ゾフィー (体を起こして)家にはお母さんがいるの、帰らなくちゃ。
バール いくつだ?
ゾフィー 十七。
バール それなら酷い目には慣れてるさ。
ゾフィー もし地面が私を飲み込んでしまっても? ある晩、私が穴倉に引きずり込まれて、もう決して出てこなくても?
バール (飲む)俺みたいにな。
浮浪者 あんたはイエスと死んだ犬の話を知っているか? みんなは言っていた。
「こりゃ悪臭ぷんぷんとした腐った犬だ! 警察を呼んで来い! とても我慢できない!」とね。
しかしイエスは言ったぜ、この犬の歯は白くて美しい、とな。
バール ひょっとしたら俺はカトリックに宗旨変えするぜ。
浮浪者 イエスはカトリックにはならなかったぜ。(彼から瓶を取り上げる)
バール 約束しただけは酒をくれ、ミュルク、でなきゃもう歌わないぜ。
ミュルク そんなに飲んじゃ駄目だ。そんなに飲んでたら、そのうちまるで歌えなくなってしまうぞ。
バール 酒を飲めなければ歌う意味はないや。
ミュルク あんたの番組は、ザヴェトカのソプラノと並んで、この『真夜中の雲』の看板なんだ。私はあんたを、自分の手で掘り出した。
あんたみたいなこんなデブの肉の塊の中にこれほど繊細な魂の宿ったことなんてこれまでにあったかね。
あんたが成功したのはその肉の塊のおかげであんたの歌のせいじゃない。あんたにそう飲まれたらわしは破産だよ。
バール ちゃんと契約で貰えることになっている酒まで飲ませてもらえないんで、毎晩そのために喧嘩口論なんて俺はもううんざりだ。おれはずらかるぜ。
ミュルク 俺は警察にコネがあるんだ。また一晩くらいはくらいこませてやるぞ。あんた、這い回るような体たらくじゃないか。
あんたの情夫は外の風にあててやんな! (客席の中で拍手の音)ほら、あんたの番組だよ。
バール もうつくづくいやになった。
(客席の中で喝采の声、非難の声が起こる。バールは歌い続けるが歌はますます露骨になるので騒ぎがだんだん大きくなっていく。ついに客席は凄まじい混乱に陥る)
ピアニスト (感情を全く示さずに)驚いたな、あいつはやってのけたぜ。救急車を呼ばなければならん騒ぎさ。
今ミュルクの野郎が喋っているけど、客は奴を八つ裂きにしてしまうだろう。あの男は客に露骨な描写をしたんだ。
(バール、カーテンから出てくる。ギターを後に引きずっている)
ミュルク (彼の背後で)あんたはけだものだ。いためつけてやるぞ。自分の番組だけ歌ってればいいんだ! 契約通りに! さもないと警察に言いつけてやるぞ。(ホールに戻る)
(バール、自分の首を締めるような真似をして上手にある便所のドアの所へ行く)
もう人目につくようなことはしないで! 私は、あなたに、少なからず奉仕をしてあげたつもりですよ、ねえ!
バール 行こうぜ、エーカルト! お前にお楽しみも見せられなくなったぜ、兄弟!
(エーカルトと共にゆっくりと去る)
神父 さようなら! ご亭主、私があの人たちの酒代を払いますよ!
亭主 (テーブルの向こうで)焼酎十一杯分でさあ、神父さん。
バール 放っておいてくれ、俺は何も知らねえ。
木こり4 また手前の考えにふけっていたわけか、え?
木こり2 こいつには全く信用がおけねえ。覚えているだろう、こいつ、俺たちの靴を、
一晩中濡れる所へぶら下げていたおかげで、俺たちは森へ行けなくなっちまったんだぜ。
それもみんなこいつが例によって怠けていたせいだ。
木こり5 奴は、金のために仕事はしないとよ。
バール それにひきかえ、テディはよく働いたな。気前もよかった。人付き合いもよかった。
そのあいつの残したものは一つだけ、「昔テディって奴がいたっけな」という言葉だけさ。
木こり2 あいつ、今頃、どこにいやがるんだろうな?
バール (死人を指差して)ここにいるさ。
木こり3 俺はいつも思うんだ。憐れな魂ってのは風なんだってね。ことに早春の晩のさ。でも秋の風だってそうだと思う。
バール それから夏の風、太陽、穀物、畑の上を渡る風。
バール その案なら賛成するぜ、焼酎なら真っ当だ。その焼酎はどうする?
木こり4 テディの焼酎よ。
木こり5 テディの? それなら話は分かる---配給の分か? テディの奴はけちけち飲んでいたからな。間抜けにしてはいいとこに気がついたぜ。
木こり4 すごく冴えてるだろう。どうだ! お前ら血の巡りの悪い頭に分けてやりたいぜ。
テディの弔いはテディの焼酎でやろうぜ! 安上がりでしかもこの場に相応しい!
もう誰かテディに弔辞を述べてやったか? それこそやってやらなきゃいけねえことだ。
バール 俺がやった。
数人の木こり いつ?
バール さっきよ。お前たちが、馬鹿げたことを喋りだす前さ。弔辞の始まりはこうだった。
「テディは安らかに眠っている」……お前たちは何でも済んでしまってから始めて気がつくんだな。
木こり5 薄ら馬鹿が何をぬかす---焼酎を取って来よう。
バール 恥ずかしくないのか!
俺たちが憐れなテディの面倒を見てやっていた時、お前はどこにいたんだ、ええ、旦那?
テディが、まだ完全に死んではいなかった時のことよ、旦那? その時、お前はどこにいやがった?
この豚野郎! 死体をあさりやがったな! テディの孤児の保護者だって、ふん?
バール 何も証拠はないぜ、諸君!
だけど筋骨逞しいお前が、なぜまたのらくらしているんだ?
エーカルト 俺の頭の中には、何かこう空みたいなものが広がっている。恐ろしく高い空。
その空のもとで様々な思いが、雲のように鮮やかに、風に流れていく。
どっちへ流れて行くかも決まっていない。だけどそれはみんな俺の中にあるんだ。
バール それは、精神錯乱だぞ。お前はアル中だ。分かっただろう、その報いが来たんだよ。
エーカルト 錯乱に襲われたなら自分の面を見て分かるはずだ。
それもお前を清らかな男にしておきたかったからだ。俺にはその必要がある。
誓って言うが、俺は侵していても快楽なんか感じなかったんだ。
エーカルト (ゾフィーに)この野獣よりもたちの悪い奴を、あんたはまだ愛しているのか?
ゾフィー どうしようもないのよ、エーカルト。私、この人の死体をまだ愛しているの、私を殴る拳骨さえ好きなの。どうしようもないわ、エーカルト。
バール 俺が豚箱に入っていた時、お前らがなにをやっていたか、知る気はないぜ。
ゾフィー 私たちは一緒に白い牢屋の前に並んで、あなたのいる辺りを見上げていたわ。
バール 一緒だったんだな。
ゾフィー いけなかったならぶって。
エーカルト (怒鳴る)お前、この女を俺に押し付けなかったというのか?
バール あの頃はまだ、お前を奪われてもよかったんだ。
エーカルト 俺はお前のような象みたいに厚い皮は持っていないぞ!
バール だからこそ、俺はお前が好きなのさ。
エーカルト それなら少なくともこの女がそばにいる間は、汚らわしい口を閉じていろ!
>>3 は、はい