ここのスレ人多すぎやろみんなやっぱ寂しいんかなIDなし
メインズ なぜお客様のお相手をしないんだ、ジョージ?
スキニー (鋭く)こいつは全く頭に来るよ。
メインズ と申しますと?
スキニー 油染みたワイシャツで胸が悪くなったぜ。
メインズ 何てなりで店に来るんだね、ガルガ? うちは無料給食所じゃないんだよ! こんなことは二度とさせません、皆さん。
スキニー こいつは何か言ったぜ。袖に口を当ててもぞもぞ悪口を言ったんだ。神様にいただいた声で正々堂々と話したらどうだ!
ガルガ 私を新しいワイシャツが着れるようにしてください、メインズさん。週給五ドルじゃホモ商売のなりも出来ませんよ。
毛虫 ここはメインズの貸本屋か?
メインズ 私がメインズですが。
毛虫 酷く薄暗い店だなあ。
メインズ 本ですか、それとも雑誌か切手のご入用で?
毛虫 じゃあ、これが本ってもんか? 汚い商売だな! 何の役に立つんだ? 嘘八百が並んでるんだろう。「空は黒く、雲は東に流れる」だと。どうして南じゃいけないんだ? よくもまあこんなものを片っ端から読む奴がいるもんだね。
メインズ その本をお包みしましょうか?
スキニー なぜゆっくり見せてあげないんだ? この方は本の虫というくらいの本好きにように見えるが?
ガルガ こいつらはぐるなんだ。
ガルガ 奇妙だぞ。俺以外の人間はみんなツーカーだ。ジェーン!
ヒヒ 答えてやりな!
ジェーン そんな目をしてみないで、ジョージ! 私にはもうこの道しかなかったの。
あんた、カクテルなんか買える? いいえ、カクテルのせいじゃないわ! 毎朝鏡で自分を見るせいよ、ジョージ。
もう二年になるわね。あんたはいつだって仕事に出かけると一月戻って来ない。
仕事にうんざりして何か飲みたくなると、やっと私の順番、私の所にやって来る。もう我慢できないわ!
寝られない毎夜毎夜、ジョージ! 私が悪いんじゃないわ、私のせいじゃない。そんなに睨まれる理由はないわ!
ヒヒ 頭がいいなあ。ほらもう一杯どうだ、飲めばもっと頭がよくなるぜ!
シュリンク 私にとって二百ドルなんて金ははした金だ。あんたに差し上げるというのも恥ずかしいくらいだ。
ガルガ あんたのお友達を追い出してくださるくらいのことはしていただけるでしょうね。
シュリンク お望みならね。私のお願いは、この地球の生存条件というものをよくお考えになって、意見を売ってくださいということ。
メインズ 君は馬鹿だよ、臆病者だ、もたもたした人足だ。考えても見ろ……
スキニー 罪もない、苦しみで腰の曲がったご両親のことを!
毛虫 妹さんのことを!
ヒヒ 恋人のこともな! この可愛らしい娘さんのことだよ!
ガルガ 嫌だ! 嫌だ! 嫌だ!
シュリンク タヒチのこともね!
ガルガ 拒否する。
シュリンク (その後から叫ぶ)私はシュリンクです! 材木商のシュリンク! マルベリー通り六番地!
スキニー 奴さん飛び出して行ったぜ。この紙屑はいくらだ?
毛虫 本気で金を払ってやる気か?
メインズ 本全部で十ドルになります。
スキニー そら二十ドルだ。
シュリンク 飲んできたんですか?
ガルガ 飲んで来たらあんたの目論見に外れるというんでしたらどうぞ、仰ってください。
シュリンク うちには米の焼酎しかない。でもお好みのものを注文しますよ。カクテルはいかがですか?
ガルガ 僕は何もかもまとめていっぺんに片付ける男です。二、三週間ひたすらに酒を飲み続け女を抱き煙草を吸うことに専念するっていう習慣があるんです。
シュリンク 百科事典をめくるのもそういう時……
ガルガ ……何もかもすっかりご存知だ。
シュリンク あなたの習慣を聞いた時、これこそ立派な戦士だ、と思いましたよ。
ガルガ シャツが来るのは遅いなあ。
シュリンク 失礼しました! (立ち上がって鐘を叩く)
マリー (登場)ほらシャツよ、ジョージ、それに上着。
ガルガ ここで待っていろよ、後で一緒に帰ろう。(背景の後に入って着替える)
マリー お別れさせていただきます、シュリンクさん。洗濯物はまだ全部は済んでいません。こちらに住み込みさせていただいて本当にありがとうございました!
あなたのどんなお望みでも、予想のつかぬ要求でも私は喜んで応じます。あなたの関心事は私の関心事、あなたの力即私の力です。
私の感情なんてものはそっくりあなたにお任せしますよ、悪意に満ちた感情でも従いますよ。
ガルガ あなたの申し出を受け入れましょう。そのうち笑い事では済まさなくなりますよ。
証券になっている財産はみんな渡してください、あんた、私有財産をね、そっくり懐に入れたいからね。
シュリンク 僅かですが額が少ないなんてけちをつけないで下さい。
(シュリンクとガルガ退場)
(救世軍の若い男登場。彼の後にギターを持った二人の娘と太鼓を持った年老いた罪人が立っている)
男 私をお呼びでしたか?
毛虫 ハレルヤ! 救世軍!
ガルガ 俺はあんたがやっている仕事なんてなんとも思っていない。でももし建物が必要なら、この建物をそっくり自分のものにできるんだよ。
男 主があなたにお恵みをお授けになるでしょう。
ガルガ 多分な。(シュリンクに)あなたはこの建物や証券類を親から相続したんですか?
シュリンク 違いますよ。
ガルガ 四十年間の汗の結晶ですか?
ジョン あの電車なんていうものに乗っていれば、連中はそのうち……
マンキー 胃癌になりますね。
ジョン あんたに分かるもんか。合衆国の小麦は夏でも冬でも育つんだぞ。
マエ ねえ、ジョージ、あんたは誰かといざこざを起こしたのかい?
ガルガ 誰か家に来たのか?
マエ 来ないよ。
ガルガ 僕は旅に出なければならなくなった。
マエ どこへだい?
ガルガ どこかへさ、母さんはすぐにびっくりするんだから。
マエ 行かないでおくれ!
ガルガ 駄目なんだ。一人の男がもう一人の男を侮辱する。侮辱された男にとっては不愉快だ。ところが相手は条件を出して、君を侮辱する代償に材木業をそっくり君にあげるっていうんだ。
そりゃ侮辱される男にとってはもっと不愉快なことだろう、こんな場合にはその男は旅に出るより他ないじゃないか。
ところがその男はそれも満更でもない気分になってきて、旅に出る気もなくしてしまうかもしれない。でもともかく、その男は自由でなくてはならないのさ。
マエ お前は自由じゃないのかい?
こういう他の大勢の善良な人たちと、大勢のいい家族を持ったいい食事を食う連中の数は、あんまり多すぎる。まさに大群と言えるくらいだが、そいつらのスープに唾を引っ掛けてやろうなんて奴は一人もいない。
奴らにストレートのキックを入れて、もっといい彼岸の世界に送り込んでやる奴も誰もいない。こいつらに、ノアの大洪水が襲い掛かることもないんだぜ。「夜は嵐吹き、海は高まる」なんてこともないんだよ。
マエ ああ、ジョージ!
ガルガ 「ああ、ジョージ!」なんて俺に言わないでくれよ。我慢できない。そんなのは聞きたくないよ。
マエ もう聞きたくないだって? でも私はどうするの? どうやって生きていくの、壁はこんなに汚いし、ストーブはもうこの冬もちそうもないのに。
お代は払いますよ、下の表札に私が知っている男の名前を見かけました。
マンキー あんたがシュリンクさんかい? ここの娘を預かっているのかい?
シュリンク 誰のことですか?
ジョン マリア・ガルガだよ、あんた、わしの娘のマリア・ガルガさ。
シュリンク 知りませんね。あなたの娘さんなんて知りませんよ。
ジョン でもたった今ここに来ていた方が……
マンキー どうもあなたに頼まれて来たようですよ!
ジョン あなたが入っていらっしゃると、こそこそと逃げ出した男ですよ。
シュリンク あの人なんか知りませんよ。
ジョン だって息子はあんたと……
シュリンク この憐れな男相手に冗談を仰ってはいけません。今は私はとるに足りぬ男です。私は財産をすっかり無くしてしまったのです。どうしてこうなったか自分でも筋道がよく分からないことがあるもんですよ。
マエ あたしたちの故郷は草原だったからね。
シュリンク 知っています。
ジョン お前、隅っこで何をごそごそやっているんだ?
マエ 自分のベッドを階段の下に運ぶんだよ。
ジョン 荷物はどこにあるのかい?
シュリンク 私は無一物です。私が階段に寝ますよ、奥さん、私は入り込んだりはしません。私の手には触れないですみますよ、分かっています、私の肌は黄色いですからね。
マエ (冷ややかに)私の手なら出しますよ。
シュリンク 私は握手していただくに値しません。私が今申し上げた意味でね。あなたは肌の色のことを仰ったんじゃないんですか、失礼しました。
我々が苛めるものと言ったら、猫くらいしかいなかった。その猫も泳ぎを習わせようとしたら溺れ死んでしまってね。俺たちを悩ますネズミを取ってくれる猫だったのに。こういう仲間はみんなこの病気にかかってしまってね。
マリー 揚子江で働いていたのはいつ頃?
シュリンク 俺たちは朝早く葦の葉陰で横になっている時、この病気が進んでいくのを感じたのだ。
毛虫 (登場)若造は風をくらって逃げましたぜ、シカゴ中に奴の影も形もありません。
シュリンク 少し眠った方がいい。(外に出る)また消息なしか? (シュリンク、退場する)
(開け放した戸から、目覚めたシカゴの騒音が聞こえる。ミルク売りの叫び声や、肉運搬車のごろごろと通りを通る音)
俺はもう横浜出身のシュリンクさんとは何のかかわりもないぞ!
ヒヒ そうよ、たとえば材木商のシュリンクがそうだぜ。奴は昔はハートのかけらもない男だった。
ところがある日突然情熱の虜になったせいで材木屋はパーになっちまった。今は港で石炭運びをやっている、昔はこの地区を牛耳っていた男だぜ。
毛虫 俺たちは、今あいつを、弱りきった純血種の犬のように、ここで養ってやっているのさ。でもやつが、また姿を現したあの馬の骨と手を切らなければ、こっちの忍耐にも限度があるぜ。
ガルガ (軽く)お前はいつから家へ帰ってないんだ?
(マリー、黙る)
ガルガ お前がここに出入りしているって話は聞いているぜ。
マリー そう。家族の世話は誰がやっているのかしら?
毛虫 俺もあんたに人生経験からいっておくぜ、人間って奴は、どんな非常な奴だって絵空事の夢にころりと参ってしまうものさ、それに現実の人生ってやつほど空々しいものはないんだぜ!
(マリー・ガルガが戻ろうとしてシュリンクにぶつかる)
シュリンク ここにおいででしたか、ミス・ガルガ?
シュリンク 妹さんにしたことを言っているのかね。君が庇っていたものを、私は拷問台にかけたりはしなかったよ。
ガルガ 俺の使えるのはこの二本の手だけだ。俺にとって人間的だったものを、あんたは一山の肉のように、片っ端から飲み込んでしまった。
あんたに俺の生きる糧をすっかり塞がれたおかげで、初めて俺は、これが俺の兵糧だったのかと気付いたわけだ。
あんたは俺の家族まで手段にした。俺の手持ちの兵糧を食い潰していった。俺は日ごとに痩せていった。
ついに俺は形而上的なものになってしまった! その今になって、自分の飲み込んだものを、この俺の面に吐き出す気なのか?
シュリンク 飲みたくない気分です、お許しいただければ。
ガルガ 僕がすすめているのに、あんたは拒むんだ。
シュリンク 拒みはしない、ただ私には脳髄しかないものだから。
ガルガ (しばらく間をおいて)失礼したな、じゃあ半分ずつ飲もうじゃありませんか。あなたも脳髄を減らせばいい。飲んでしまえば愛するようになりますよ。
シュリンク (まるで儀式のように飲む)飲んでしまえば愛するようになるだろう。
ガルガ (寝室から呼ぶ)一杯飲まないか、マー? 嫌か? 何故座らないんだ?
ヒヒ 黙れ! 奴らの喋るのを、今まで我慢して聞いていた。もういい加減に黙ってもらいたい。
ガルガ (マリーに)こいつは黒い穴だ。今、四十年が過ぎた。俺は嫌とは言わない。台地が裂ける、下水が高まってくる。でもその欲望は弱すぎるのだ。
四百年間、俺は海に訪れる朝を夢見てきた。目には汐風を感じた。何という柔らかい風だったのだろう! (彼は飲む)
シュリンク お願いです、マリー・ガルガ、よろしかったら私と一緒になりましょう。あなたを私の妻のように扱い、あなたにかしずきます。
もしあなたを一度でも傷つけたら、人目につかぬように首を吊りますよ。
ガルガ こいつは嘘は吐かない。絶対に嘘は吐かないぜ、お前、こいつと暮らせば、今奴の約束したものだけ果てに入れられるぜ、掛け値なしに。(バーに行く)
マリー あなたに聞きたいわ、パット、私があなたを愛していなくても、あなたは愛してくれるの?
マンキー そうとも、それに君が俺を愛さないなんて、この天と地のどこを探しても書いてないぜ、君。
ガルガ 君かい、ジェーン。君、カクテルをすっかり平らげちまったのか? 君はどうも君とは似ても似つかない姿になっていくな。何もかもすっかり売り渡したのか?
ジェーン この男を片付けてよ、ヒヒ。こいつの顔が嫌なのよ、うるさいったらありゃしない。私がもうミルクと蜂蜜の中で暮らしている女じゃなくなったからって、からかわれるいわれはないわ、パブ。
マリー 私はとても臆病になったわ、純潔と一緒に勇気まで失ってしまったのね。
シュリンク 汚れはまた洗い流せますよ。
マリー (シュリンクと戻って来る)そんなことは神様にも人間にも背いた行為です。あなたと一緒にはなりたくないわ。
ガルガ (彼女の手首をつかんで)素晴らしい手だ。ここは全く素敵な居心地だよ。壁紙が剥がれていたって平気だ。
新調の服を着て、ステーキを食う。ここの石炭だっていい味だ。僕は指先くらいの厚さの漆喰を全身にかぶっていたんだから。
ピアノがあるな。愛する妹のマリー・ガルガの、写真の周りに花環を飾ってくれよ、
二十年前に大平原で生まれた彼女の写真の、ガラスの下に色褪せない押し花を入れておくんだ。
ここは座り心地も寝心地も実にいいじゃないか、黒い風もここまでは吹いてこないさ。
「人生ってのはあなたの考えているようなものじゃないのよ」って。
シュリンク おめでとう、ガルガ、君は復讐の念にとりつかれているようだね。
ガルガ あんたは微笑んでいるけど、酷く恐いんだろう。それはそうさ、そう慌てて食わなくてもいいじゃないか! 時間はたっぷりあるんだぜ、マリーはどこだ? あの娘はちゃんと世話してもらっているだろうね。
きっと満足しきっているだろう。悪いけど今の所、あんたにおすすめできる椅子が空いていないんだ。ちょうど一つ椅子が足りない。これさえあれば家具は新調で完全なんだけどね。
まあこのピアノを見てくださいよ! 全く居心地がいい。僕はこの一家団欒の雰囲気の中で幾晩も送りたい。僕も新しい人生を始めることになったのでね、明日はまたC・メインズの貸本屋に行きますよ。
マエ ああ、ジョージ、そんなにお喋りをしないでおくれ。
ガルガ いいかい、その酷い四年間というのが、それでも一番ましな月日だったんだよ、それももうこれで終わりだ。
もう何も言わないでくれよ。両親であるあんたたちと、女房のジェーンに言っておく。俺は刑務所に行く決心をしたよ。
ご家族があなたを失わないように努力するつもりですよ。
マエ 監獄なんかに行っちゃ駄目だよ、ジョージ!
シュリンク 四十年の歳月は汚らしいものだったと分かった。そして今こそ大いなる自由ってやつが訪れるのさ。
ガルガ そういうわけだ、雪が降りそうだった、だが寒すぎて降らなかったぜ。家族の奴らはまだ残飯を食い、ひもじい腹を抱えながら生き続ける。それをよそに僕は、僕は敵を打ち倒すのだ。
ジョン わしには弱点ばかりしか見えないぞ、弱点だらけだ。生まれてこの方お前を知っているが、お前はまるで駄目だ。さあとっとと出て行け、俺たちを捨ててな。なぜ家具を運び出しに来ないんだ?