1.ドラギ第3代ECB総裁「何でもやる(do whatever it takes)」 2012年7月26日、ドラギECB総裁は、ユーロ圏債務危機の際、ユーロ崩壊も警戒されていた中で、「欧州中央銀行(ECB)は、その責務の範囲内で、ユーロ存続のために、必要な『いかなる措置をも取る』用意がある。信じてくれ。それだけだ(Within our mandate, the ECB is willing to do whatever it takes to preserve the euro and, believe me, it will be enough)」と表明した。 すなわち、「伝統的金融政策」としての金利引き下げによる「金融緩和」から、「非伝統的金融政策」としての国債購入による「信用緩和」に踏み出す決意を表明したことで、ユーロ金融危機への警戒感は後退した。ドラギECB総裁は、「ソブリン債のリスクプレミアム(上乗せ利回り)が金融政策の伝達経路を邪魔している」と、市場での介入警告用語を使うことで、国債購入の本気度を示した。
2.パウエル第16代FRB議長「何でもやる(do whatever it takes)」 2018年8月24日、パウエルFRB議長はカンザスシティー連銀がワイオミング州ジャクソンホールで開いた年次シンポジウムで、「米連邦公開市場委員会(FOMC)は、インフレ期待が大きく上昇あるいは低下したり、金融危機が再び脅威になった場合は、『何でもやる』、と私は確信している(I am confident that the FOMC would resolutely ‘do whatever it takes’ should inflation expectations drift materially up or down or should crisis again threaten,)」と宣言した。 パウエルFRB議長は、FOMCが2つのリスク、1つは対応が速過ぎて景気拡大の期間を短縮させるリスク、もう1つは対応が遅過ぎて景気を過熱させるリスクを抱えており、「漸進的な利上げ」が2つのリスクへの適切な対応策である、と述べた。 リスクシナリオが実現して、資産価格バブルの崩壊に直面したとしても、その準備は出来ている、自信たっぷりにジャクソンホール会議でのデビュー戦を締めくくった。
3.メルツ第10代独首相「何でもやる(do whatever it takes)」 ドイツの次期首相就任が確実視されるメルツ氏は、債務ブレーキを撤廃して、財政拡張路線に乗り出し、欧州で最も強力な経済力を誇るドイツを、ロシアに対する橋頭保にすることを打ち出した。そして、ドイツを守るために『あらゆる手段』を講じる、と述べた。 メルツ氏は2月23日の選挙の前には、社会保障費の削減による「債務上限の維持」と国防費の確保を訴えていた。 しかし、当選した後、大規模な財政改革の一環として5000億ユーロの特別基金を設立すると発表し、防衛費として国内総生産(GDP)の1%以上を支出する場合には、憲法上の借り入れ制限(債務ブレーキ)の対象外とすることも提案した。
<国内>
○10:30 ◎ 内田眞一日銀副総裁、あいさつ
<海外>
○09:30 ☆ 10-12月期豪国内総生産(GDP、予想:前期比0.5%/前年比1.2%)
○10:45 ◎ 2月Caixin中国サービス部門購買担当者景気指数(PMI、予想:50.7)
○11:00 ☆ トランプ米大統領、米上下両院合同会議で施政方針演説
○16:30 ◎ 2月スイス消費者物価指数(CPI、予想:前月比0.5%)
○16:45 ◇ 1月仏鉱工業生産(予想:前月比0.3%)
○17:50 ◎ 2月仏サービス部門PMI改定値(予想:44.5)
○17:55 ◎ 2月独サービス部門PMI改定値(予想:52.2)
○18:00 ◎ 2月ユーロ圏サービス部門PMI改定値(予想:50.7)
○18:30 ◎ 2月英サービス部門PMI改定値(予想:51.1)
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.5%/前年比1.4%)
○19:00 ◇ 1-3月期南アフリカ経済研究所(BER)企業信頼感指数
○21:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○22:15 ☆ 2月ADP全米雇用報告(予想:14.0万人)
○22:30 ◇ 10-12月期カナダ労働生産性指数(予想:前期比0.7%)
○23:30 ◎ ベイリー英中銀(BOE)総裁、ピル英中銀金融政策委員会(MPC)委員兼チーフエコノミスト、グリーン英中銀MPC委員、講演
○23:45 ◎ 2月米サービス部門PMI改定値(予想:49.7)
○23:45 ◎ 2月米総?⑰MI改定値
○24:00 ☆ 2月米ISM非製造業指数(予想:52.6)
○24:00 ◎ 1月米製造業新規受注(予想:前月比1.6%)
○6日00:30 ◇ EIA週間在庫統計
○6日01:00 ◎ 1月ロシア失業率(予想:2.3%)
○6日04:00 ◎ 米地区連銀経済報告(ベージュブック)
○中国全国人民代表大会(全人代)開幕(北京)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は3日続落。2月米CPIが予想を下回ったことが好感されて買いが先行すると、一時280ドル超上昇した。
ただ、買いの勢いは長続きせず、すぐに失速した。鉄鋼・アルミニウム関連の輸入品に課す25%の追加関税を発動したトランプ米政権に対抗し、EUとカナダは対米報復関税を発表。世界的な貿易戦争が一段と激化するとの懸念から売りが広がった。指数は一時420ドル超下げる場面があった。
一方、ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は3日ぶりに反発。短期的に売られすぎとの見方から、足もとで下げが目立った銘柄中心に買いが入った。
・米国債券相場で長期ゾーンは続落。2月米CPIが予想を下回ると買いが先行したものの、すぐに失速した。米政権による関税政策がインフレ圧力を高めるとの懸念から売りが優勢となった。市場では「関税引き上げの影響はこれからで、安心する声は少ない」との指摘があった。
・原油先物相場は大幅に続伸。リスクセンチメントの改善を支えに時間外から買いが優勢に。この日発表された米エネルギー省(EIA)の週間在庫統計では、原油の積み増し幅が一部予想を下回った。一方でガソリンは大幅取り崩しとなり、需給緩和への懸念後退から67ドル後半まで上値を伸ばした。
・金先物相場は続伸。米長期金利の上昇を受けた下落も限られ、底堅いまま一時2948ドル台まで上昇。米国とカナダやEUは報復関税合戦の様相を呈し、世界経済の先行き不安が高まるなかで安全資産とされる金の需要が高まった。
一部通信社が報じたところによると、「カナダ政府は300億カナダドル相当の米製品に報復関税を課す準備をしている」ようだ。
カナダ政府は12日、米国産の鉄鋼とアルミニウムに関税を課すと発表。13日に25%の追加関税を発動する。
12日09:05 植田日銀総裁
「長期金利は市場に自由に形成されることが基本」
「(長期金利の上昇について)市場と我々(日銀)の見方に齟齬はない」
「基本的な物価上昇率は現時点でまだ2%を下回っている」
「海外の経済・物価動向を巡る不確実性を非常に心配している」
12日15:46
「長期金利が例外的に急上昇した場合、機動的なオペを臨時に実施する」
12日16:10 フォンデアライエン欧州委員長
「(米関税への)対抗措置は4月13日までに全面実施する」
12日17:49 シムカス・リトアニア中銀総裁
「将来的な金利決定についてコミットするのは非合理的」
12日17:52 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「インフレが常に2%の水準にあるとは保証できない」
「インフレ目標に収束するように政策を設定する必要がある」
「中央銀行の当局者は機敏さを示さなければならない」
12日22:30 ラトニック米商務長官
「4月2日に予定されている自動車関税について再度表明」
「カナダとの緊張を緩和する」
12日22:48 カナダ銀行(BOC、カナダ中央銀行)声明
「カナダ経済は、インフレ率が2%の目標に近づき、GDPが底堅く拡大し、2025年を堅調な状態で迎えた」
「しかし、貿易摩擦の激化と米国による関税の導入により、経済活動のペースが鈍化し、カナダのインフレ圧力が高まる可能性がある」
「政策環境が急速に変化しているため、経済見通しは引き続き通常よりも不確実性にさらされている」
「米国のインフレ率は目標をわずかに上回っている」
「ユーロ圏の経済成長は2024年後半に緩やかだった」
「カナダドルは米ドルに対してはほぼ変わらず、他の通貨に対しては弱くなっている」
「インフレ率は2%の目標に近い水準を維持」
「コアインフレ率は、住宅価格インフレが持続していることが主な理由で2%を上回っている」
「関税が価格に与える影響に対する懸念から、短期的なインフレ期待は上昇している」
「経済成長は予想よりも力強いが、絶えず変化する米国の関税脅威によって生じる不確実性が蔓延し、消費者の支出意欲や企業の雇用・投資計画を抑制している」
「こうした背景と、インフレ率が2%目標に近いことから、理事会は政策金利をさらに25ベーシスポイント引き下げることを決定した」
「金融政策では貿易戦争の影響を相殺することはできない」
「金融政策ができること、またしなければならないことは、価格上昇が継続的なインフレにつながらないようにすることである」
「理事会は、経済の弱体化によるインフレの下押し圧力とコストの上昇によるインフレの押し上げ圧力のタイミングと強さを慎重に評価する」
「理事会はインフレ期待を注意深く監視する」
「国民の物価安定を維持することに尽力する」
12日23:56 マックレム・カナダ銀行(中央銀行、BOC)総裁
「成長率の鈍化とインフレ率の上昇を同時に抑えることはできない」
「関税はカナダ経済を弱体化させる」
「関税への対応をできる限り支援する」
「第1四半期の内需は非常に弱いと予想」
「50bpの利下げは真剣に検討しなかった」
「景気後退は米国の貿易政策に大きく左右されるだろう」
13日01:19 トランプ米大統領
「EUの対抗関税に対抗する」
「関税には柔軟性があるが、いったん開始すれば柔軟性はほとんどなくなる」
「4月2日は非常に重要な日になるだろう」
※時間は日本時間
<国内>
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
<海外>
○09:01 ◇ 2月英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)住宅価格(予想:20)
○16:30 ◇ 2月スイス生産者輸入価格
○18:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○18:15 ◎ デギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、講演
○19:00 ◎ 1月ユーロ圏鉱工業生産(予想:前月比0.6%/前年比▲0.9%)
○19:00 ◎ ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁、講演
○21:00 ◇ 1月メキシコ鉱工業生産(季調済、予想:前月比0.1%)
○21:30 ◇ 1月カナダ住宅建設許可件数(予想:前月比▲5.0%)
○21:30 ◎ 2月米卸売物価指数(PPI、予想:前月比0.3%/前年比3.3%)
◎ 食品とエネルギーを除くコア指数(予想:前月比0.3%/前年比3.5%)
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数(予想:22.5万件/190.0万人)
○14日01:00 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○14日02:00 ◎ 米財務省、30年債入札
○14日02:30 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、ナーゲル独連銀総裁、講演
○トランプ米大統領と北大西洋条約機構(NATO)のルッテ事務総長が会談(ワシントン)
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、米CPIの下振れをきっかけに一時148.18円付近まで売られたものの、すぐに149.19円まで上がり日通し高値を付けた。ただ、一時280ドル超上昇したダウ平均が失速し、420ドル超下落するとドル円も売られ一時148.11円付近まで下押しした。ユーロドルは米CPI発表後1.0930ドルまで上昇したが、欧米の貿易摩擦を懸念し上値が重く1.0876ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間でドル円は、本邦から週次の対外対内証券売買契約等の状況が発表される以外はイベントがなく、引き続き方向感なく上下することが予想される。
今週11日に昨年10月以来の安値となる146.54円まで下落後、昨日は149.19円まで買い戻しが入った。今月3日にトランプ米大統領が日本を名指しし「通貨安の国に関税を課す」と発言した日の高値151.30円から、11日安値146.54円の半値148.92円をやや上回って戻した。ここから全戻しになるほど、ドルを買い円を売る要因も少ないことで、このレンジ内での上下を繰り返すことが予想される。ただ、流れ的にはドル円の上値は抑えられると思われる。
昨日、衆参の予算委員会に出席した植田日銀総裁だが、長期金利の上昇については、市場と日銀の見方に齟齬はないと応え、現行の長期金利の上昇については容認していると捉えられる認識を示した。来週18-19日に開かれる日銀金融政策決定会合について、市場では現状維持予想が大多数にはなっている。しかし、市場では金利引き上げがどの程度まで進むか、いわゆるターミナルレートがどこで収まるのかがいまだに明確になっていないことで、昨日は30年債利回りが2006年以来の水準まで上昇するなど、長期金利が上昇しやすい地合いにある。本邦金利が底堅い動きを示していることが、円高圧力として継続されそうだ。
トランプ政権の関税政策だが、為替市場はやや食傷気味にはなってきている。ただ、依然として株式市場や実態経済へ与える影響は計り知れないことで、引き続き相場をかき乱すことは変わらないだろう。昨日はカナダに続き欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会が対抗措置となる報復関税で対応することを発表。関税発動を4月1日に復活させ、同月13日には全面実施の予定。トランプ米大統領が兼ねてから述べている、相手国の水準まで関税をすべて引き上げる相互関税実施が4月2日に控えていることもあり、4月上旬の天王山まで関税に関しては予断が許さない。
カナダやEU以外でも、日本に対しても厳しい姿勢で臨むことは確実視されているが、日本は防衛面での米国依存もあり対抗措置が限られている。このため、切り札がない日本が、米国の製造業を守るためにドル高是正となる「第2プラザ合意」などを提案するリスクも頭に入れておかなければならないか。
大阪3月限ナイトセッション
日経225先物 37000 +210 (+0.57%)
TOPIX先物 2706.5 +13.5 (+0.50%)
シカゴ日経平均先物 37105 +315
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
12日の米国市場はNYダウが下落した一方で、 S&P500、ナスダックは上昇。2月の米消費者物価指数(CPI)が前月比0.2%上昇と、市場予想(0.3%上昇)を下回ったことで買いが先行し、NYダウの上げ幅は一時280ドルを超えた。しかし、トランプ米政権の関税政策や貿易摩擦への警戒から買いは続かずに失速。鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税を発動したトランプ政権に対抗し、欧州連合(EU)とカナダは報復措置を発表した。世界的な貿易戦争が一段と激化するとの懸念から、NYダウは400ドル超下げる場面もあった。
足もとで下げが目立っていたハイテク株の一角が値頃感から買われており、ナスダックは3日ぶりに反発。半導体SOX指数も3日ぶりに切り返し、上昇率は2%を超えた。NYダウ構成銘柄では、エヌビディア<NVDA>、ボーイング<BA>、セールスフォース<CRM>、アメリカン・エキスプレス<AXP>、スリーエム<MMM>、アマゾン・ドット・コム<AMGN>が買われた。半面、プロクター・アンド・ギャンブル<PG>、ウォルマート<WMT>、マクドナルド<MCD>、アムジェン<AMGN>が下落。
シカゴ日経平均先物(3月限)清算値は、大阪比315円高の3万7105円だった。日経225先物(3月限)のナイトセッションは、日中比60円高の3万6850円で始まり、ロング優勢のなか、米国市場の取引開始直後には3万7220円まで買われた。買い一巡後に3万6780円まで下押す場面もあったがプラスをキープ、中盤以降は再びロング優勢となり、3万7000円~3万7200円辺りで保ち合い、3万7000円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、買い先行で始まりそうだ。トランプ大統領はEUに対して報復する考えであり、貿易戦争の激化が世界経済に与える影響が警戒されて積極的なロングの動きは限られるだろう。ただし、米CPIを無難に通過したことで、ショートカバーを誘う可能性はある。
日経225先物はナイトセッションで3万7220円まで買われた後に3万6780円まで売られたが、その後は3万7000円処での底堅さが意識された。ボリンジャーバンドの-2σ(3万6390円)から上放れる形状となり、-1σ(3万7290円)に接近してきた。バンドは下向きで推移しており、-1σ突破からのトレンド転換は期待しにくいところだが、3万7000円固めからの押し目狙いのロング対応に向かわせそうだ。
また、弱い値動きが続いていたエヌビディアは6%を超える上昇となった。ブロードコム<AVGO>やアドバンスト・マイクロ・デバイセズ<AMD>など半導体株の上昇が目立っており、指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]や東京エレクトロン<8035.T>[東証P]への波及が意識されやすく、日経平均型優位の展開が期待されるだろう。
そのため、オプション権利行使価格の3万7000円を中心とした上下の権利行使価格3万6750円から3万7250円のレンジを想定する。-1σを捉えてくる局面ではショートカバーが強まる可能性もあり、3万7500円辺りを短期的なターゲットとしておきたい。
12日の米VIX指数は24.23(11日は26.92)に低下した。小幅に下落して始まり、26.91を高値に、一時23.89まで下げる場面もみられた。20.00を上回っているほか、依然として上向きのトレンドを継続しているが、ショート筋においてはカバーを進めておきたいところであろう。
昨日のNT倍率は先物中心限月で13.66倍に低下した。一時13.78倍に上昇する場面もみられたが、その後はアドバンテストなど半導体株の下げにより、相対的にTOPIX型優位となった。前日の上昇分を帳消しにしており、改めてNTショートに振れやすくなったようだ。本日は米半導体株の上昇を受けてリバランスが入りやすく、前日の低下分を埋めてくる可能性がありそうだ。
東京市場は堅調か。米国株はまちまち。ダウ平均が下落した一方、S&P500とナスダックが上昇した。ダウ平均は82ドル安の41350ドルで取引を終えた。2月の消費者物価指数(CPI)が市場予想を下回り、インフレに対する過度な警戒が後退。ハイテクグロース株に見直し買いが入った。一方、トランプ政権が鉄鋼・アルミ関連の輸入品に25%の追加関税を発動し、EUやカナダが対抗する姿勢を示したことから、ダウ平均はプラス圏とマイナス圏を行き来して下落で終えた。関税強化が先のインフレにつながるとの見方から米国の長期金利は上昇。ドル円は足元148円10銭近辺で推移している。CME225先物は円建て・ドル建てともに大証日中終値と比べて315円高の37105円で取引を終えた。
CPIが弱めで米グロース株に買いが入り、それでいて為替が円高(ドル安)に振れなかったことは日本株には悪くない流れ。エヌビディアは6%を超える上昇となっており、ナスダックやS&P500の上昇を好感した買いが入ると予想する。米3指数がそろって上昇したわけではないだけに値幅を伴った上昇は期待しづらいものの、売りが手控えられることで場中はしっかりとした動きが続くだろう。日経平均の予想レンジは36800円-37200円。
昨日のドル円は2月米CPI後に乱高下。荒い値動きとなった米債券市場に付き合わされることになりました。米CPIを控えて欧州時間はショートカバーが先行。一時148.87円まで値を上げたわけですが、2月米CPIが予想を下回る弱い数字となると、米10年債利回りが4.2453%まで低下。ドル円も一時148.18円まで売り込まれることになりましたが、米長期金利が一転して4.3297%まで急上昇となると149.19円まで買い上げられるといった米債券主導の値動きとなりました。
その後は買われていたダウ平均が480ドルを超える下落となるなか、トランプ関税に対して欧州委員会やカナダが対抗措置を取ることがわかると148.11円まで下落。引けにかけてはユーロドルの下落などにつれて148.42円まで買戻されてNY市場を終えています。本日のアジア市場では「少々お疲れモード」といったところですが、148.08‐38円の極めて狭いレンジ内での取引が続いています。
いずれにしても、市場は今夜の2月米PPI待ち。先月の1月米PPIでは、極めて強い数字となったにもかかわらず、PCEに反映されるPPIの構成要因である、金融とヘルスケアサービスの部門が「非常に弱い結果」だったことから、大手米金融機関が月末公表予定のPCEコアの予想を一斉に下方修正したことをきっかけにドル円が急落したという記憶が残っているわけで、昨日の米CPI後の乱高下同様に、今夜への警戒感が高まっているからこそ、東京での凪相場には納得がいくというものです。目先は一目転換線の位置する148.92円付近がポイントとして意識されています。
日経225先物は11時30分時点、前日比360円高の3万7150円(+0.97%)前後で推移。寄り付きは3万7120円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7105円)にサヤ寄せする形から、買いが先行して始まった。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買い気配から始まるなか、中盤にかけて3万7330円まで買われた。買い一巡後はロング解消の動きが優勢となり、3万7070円まで上げ幅を縮めたものの、3万7000円接近では底堅さがみられ、終盤にかけては3万7150円辺りでの推移を続けている。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの-1σ(3万7300円)水準まで上昇する場面もみられた。ナイトセッションで-2σを上回っての推移のなか、3万7000円固めから-1σ水準を捉えてくる展開は想定されていただろう。短期的な戻りとしては達成感もでてきそうであり、3万7000円~3万7300円辺りでのレンジ推移になりそうだ。再び-1σを捉えてくるようだとショートカバーを誘う可能性はありそうだが、まずは突破を見極めたいところである。
NT倍率は先物中心限月で13.79倍に上昇した。一時13.85倍まで上昇する場面もみられたが、アドバンテスト<6857.T>[東証P]が日経平均株価を1社で110円超押し上げており、日経平均型優位のなかでNTショートを巻き戻す動きが強まったようだ。
本日の欧州時間でユーロドルは、引き続きメイントピックはロシア・ウクライナの停戦交渉や欧州連合(EU)と米国間の関税報復合戦の行方を見守ることになるだろう。
11日にウクライナが「米国提案のロシアとの30日間の停戦を受け入れる用意がある」と応えたことで、ロシアとウクライナの停戦案はロシアサイドにボールが移っている。しかし、ロシアのペスコフ報道官は毎日のメディア電話会議で、この問題についてコメントを拒否するなど、ロシアがどのような動きをみせるかは不透明なままだ。
ロシアはこれまで、紛争を終わらせるための交渉には前向きであると主張してきたが、併合したウクライナ全土の支配を確保するといった目的を達成しなければならないと常に主張してきた。よって、可能性として高いのは、プーチン露大統領がウクライナ東部のドネツィク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの各地域全体を掌握することを条件に停戦に応じるとの回答をした場合。この場合は、ウクライナはじめ欧州がこの条件を認めることはできず、停戦案が消滅する。その場合のトランプ米大統領の対応が注目されるだろう。これまでのようにプーチン露大統領に迎合し、トランプ氏がウクライナは妥協するべきと応えると再びウクライナ情勢は振出しに戻るだろう。よって、欧州リスクが再燃しユーロの売りに動きやすい。
EUと米国の関税合戦だが、4月上旬までは様々な応酬が繰り返されると思われる。日程的にEUは追加措置を4月1日から2段階で実施する予定。その翌日2日には米国が相手国の水準まで関税をすべて引き上げる相互関税実施が予定されている。トランプ米大統領が始めたチキンゲームにEUが付き合わなくてはならず、妥協点を見出すことができるかが注目される。
欧州からの経済指標では1月ユーロ圏鉱工業生産が発表され、講演はデギンドス欧州中央銀行(ECB)副総裁、レーン・フィンランド中銀総裁、ブイチッチ・クロアチア中銀総裁、マクルーフ・アイルランド中銀総裁が予定されている。ただ、昨日はECB・仏・西・独・葡の各国中銀総裁が講演やパネルディスカッションに登壇したが、ユーロドルはほぼ無反応だったこともあり、市場の中心は政治相場ということは変わらないだろう。
・想定レンジ上限
ユーロドル11日高値1.0947ドルが目先のめどだが、その上は昨年10月7-9日の3営業日上抜けることができなかった1.1000ドル。
・想定レンジ下限
ユーロドル:近場では前日安値1.0876ドルを割り込んだ場合は11日安値1.0830ドル。
ドル円:1ドル=147.72円(前営業日NY終値比▲0.53円)
ユーロ円:1ユーロ=160.79円(▲0.61円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0885ドル(▲0.0003ドル)
日経平均株価:36790.03円(前営業日比▲29.06円)
東証株価指数(TOPIX):2698.36(△3.45)
債券先物6月物:137.75円(▲0.24円)
新発10年物国債利回り:1.540%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
3559億円の処分超 1兆5142億円の所得超
対内株式
2205億円の処分超 7083億円の処分超
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。しばらくは148円台前半でのもみ合いとなっていたが、植田日銀総裁が「今後実質賃金や消費について良い姿が見込まれる」などの見解を示すと、日銀の追加利上げ観測が意識され、本邦長期金利の上昇とともに円買いが進んだ。一時147.58円まで下押しした。
・ユーロ円も弱含み。161円台前半でのもみ合いから次第に売りが強まった。日銀総裁発言を受けた円買いの流れに沿って160.54円まで値を下げた。
・ユーロドルは小安い。1.08ドル台後半での狭いレンジ内推移となっていたが、ユーロ円などの下落につれて1.0870ドルまで弱含んだ。
・日経平均株価は反落。昨日の米国株式市場でハイテク株高が進んだことが手掛かりとなり、本日の東京市場でも半導体関連株を中心に買いが入った。指数は一時500円超高まで上昇する場面もあったが、買い一巡後は伸び悩む展開に。植田日銀総裁の発言で利上げ継続が意識されると、外国為替市場で円高が進んだことに歩調を合わせて売りに押され、指数も下げに転じた。
・債券先物相場は下落。昨日実施の20年債入札を波乱なく通過したことで買い先行となったが、植田日銀総裁の発言を受けて日銀の利上げ継続が意識されると売りに転じた。
ドル円:1ドル=147.72円(前営業日NY終値比▲0.53円)
ユーロ円:1ユーロ=160.79円(▲0.61円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0885ドル(▲0.0003ドル)
日経平均株価:36790.03円(前営業日比▲29.06円)
東証株価指数(TOPIX):2698.36(△3.45)
債券先物6月物:137.75円(▲0.24円)
新発10年物国債利回り:1.540%(△0.020%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
<発表値> <前回発表値>
対外対内証券売買契約等の状況(前週)
対外中長期債
3559億円の処分超 1兆5142億円の所得超
対内株式
2205億円の処分超 7083億円の処分超
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は弱含み。しばらくは148円台前半でのもみ合いとなっていたが、植田日銀総裁が「今後実質賃金や消費について良い姿が見込まれる」などの見解を示すと、日銀の追加利上げ観測が意識され、本邦長期金利の上昇とともに円買いが進んだ。一時147.58円まで下押しした。
・ユーロ円も弱含み。161円台前半でのもみ合いから次第に売りが強まった。日銀総裁発言を受けた円買いの流れに沿って160.54円まで値を下げた。
・ユーロドルは小安い。1.08ドル台後半での狭いレンジ内推移となっていたが、ユーロ円などの下落につれて1.0870ドルまで弱含んだ。
・日経平均株価は反落。昨日の米国株式市場でハイテク株高が進んだことが手掛かりとなり、本日の東京市場でも半導体関連株を中心に買いが入った。指数は一時500円超高まで上昇する場面もあったが、買い一巡後は伸び悩む展開に。植田日銀総裁の発言で利上げ継続が意識されると、外国為替市場で円高が進んだことに歩調を合わせて売りに押され、指数も下げに転じた。
・債券先物相場は下落。昨日実施の20年債入札を波乱なく通過したことで買い先行となったが、植田日銀総裁の発言を受けて日銀の利上げ継続が意識されると売りに転じた。
東海東京インテリジェンス・ラボでは、米国の長期金利が足元で低下基調を強めていることを受けてリポートしている。米国経済の先行き懸念の高まりが大きく影響していることに加えて、ベッセント財務長官が長期金利の上昇をけん制したことも、金利低下を後押ししたとみている。ただし、米労働市場は概ね底堅さを維持しており、インフレもFRBの物価目標2%にはいまだ到達していないと東海東京では指摘。よほどハードデータが悪化しない限りFRBの利下げに対する慎重姿勢は続くと予想しており、仮に米10年債利回りが節目の4%を下回っても、昨年9月につけた3.5%台まで一段と金利低下が進む可能性は低いと考えている。
SMBC日興証券では米国の2月消費者物価指数(CPI)に関して、十分な鈍化により、インフレ率が沈静化軌道にある旨を示す内容であったと捉えている。インフレ沈静化の一定の進展、労働市場の弱含みリスクの存在などを踏まえ、2025年にFedは政策金利を中立水準にさらに接近させることを望むとSMBC日興では予想。2025年に関しては25bp刻みで3回の利下げを想定しており、次回の利下げタイミングは6月17~18日の会合をメーンシナリオとしているが、5月6~7日の会合における追加利下げの可能性は排除されないとコメントしている。
1.ドラギ第3代ECB総裁「何でもやる(do whatever it takes)」
2012年7月26日、ドラギECB総裁は、ユーロ圏債務危機の際、ユーロ崩壊も警戒されていた中で、「欧州中央銀行(ECB)は、その責務の範囲内で、ユーロ存続のために、必要な『いかなる措置をも取る』用意がある。信じてくれ。それだけだ(Within our mandate, the ECB is willing to do whatever it takes to preserve the euro and, believe me, it will be enough)」と表明した。
すなわち、「伝統的金融政策」としての金利引き下げによる「金融緩和」から、「非伝統的金融政策」としての国債購入による「信用緩和」に踏み出す決意を表明したことで、ユーロ金融危機への警戒感は後退した。ドラギECB総裁は、「ソブリン債のリスクプレミアム(上乗せ利回り)が金融政策の伝達経路を邪魔している」と、市場での介入警告用語を使うことで、国債購入の本気度を示した。
2.パウエル第16代FRB議長「何でもやる(do whatever it takes)」
2018年8月24日、パウエルFRB議長はカンザスシティー連銀がワイオミング州ジャクソンホールで開いた年次シンポジウムで、「米連邦公開市場委員会(FOMC)は、インフレ期待が大きく上昇あるいは低下したり、金融危機が再び脅威になった場合は、『何でもやる』、と私は確信している(I am confident that the FOMC would resolutely ‘do whatever it takes’ should inflation expectations drift materially up or down or should crisis again threaten,)」と宣言した。
パウエルFRB議長は、FOMCが2つのリスク、1つは対応が速過ぎて景気拡大の期間を短縮させるリスク、もう1つは対応が遅過ぎて景気を過熱させるリスクを抱えており、「漸進的な利上げ」が2つのリスクへの適切な対応策である、と述べた。
リスクシナリオが実現して、資産価格バブルの崩壊に直面したとしても、その準備は出来ている、自信たっぷりにジャクソンホール会議でのデビュー戦を締めくくった。
3.メルツ第10代独首相「何でもやる(do whatever it takes)」
ドイツの次期首相就任が確実視されるメルツ氏は、債務ブレーキを撤廃して、財政拡張路線に乗り出し、欧州で最も強力な経済力を誇るドイツを、ロシアに対する橋頭保にすることを打ち出した。そして、ドイツを守るために『あらゆる手段』を講じる、と述べた。
メルツ氏は2月23日の選挙の前には、社会保障費の削減による「債務上限の維持」と国防費の確保を訴えていた。
しかし、当選した後、大規模な財政改革の一環として5000億ユーロの特別基金を設立すると発表し、防衛費として国内総生産(GDP)の1%以上を支出する場合には、憲法上の借り入れ制限(債務ブレーキ)の対象外とすることも提案した。
大阪3月限
日経225先物 36750 -40 (-0.10%)
TOPIX先物 2697.5 +4.5 (+0.16%)
大阪6月限
日経225先物 36510 -40 (-0.10%)
TOPIX先物 2670.5 +4.5 (+0.16%)
日経225先物(3月限)は前日比40円安の3万6750円で取引を終了。寄り付きは3万7120円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万7105円)にサヤ寄せする形から、買いが先行した。指数インパクトの大きい値がさハイテク株の一角が買い気配から始まるなか、前場中盤にかけて3万7330円まで買われた。買い一巡後はロングの解消が優勢となり、3万7070円まで上げ幅を縮めたものの、3万7000円接近では底堅さがみられ、前場終盤にかけては3万7150円辺りでの推移となった。
しかし、参院財政金融委員会に出席している日銀の植田和男総裁の発言が伝わると、利上げ観測が意識された。為替市場では1ドル=147円台半ばと、円高・ドル安が進んだ。これが重荷となる形でロング解消の動きが強まり、後場終盤にかけて下落に転じた。日経225先物(6月限)については、配当落ち分が考慮されているため、3万6510円で終えており、限月間スプレッドは-240円となった。
また、グローベックスの主要な米株先物がマイナス圏で推移していたことも、後場の弱い値動きにつながった。米連邦政府のつなぎ予算の失効が迫り、政府機関が一部閉鎖になるリスクが高まっていることが背景にあるとみられる。また、鉄鋼とアルミニウムに対する25%の関税を発動したトランプ米政権に対抗し、欧州連合(EU)とカナダは対米報復関税を発表。トランプ米大統領はEUに対して報復する考えであり、貿易戦争の激化による世界経済への影響が警戒されている。
日経225先物は、ボリンジャーバンドの-1σ水準まで上昇した後は下げに転じる形となったが、朝方の-1σ回復でいったんは達成感も意識されただろう。下向きで推移する-1σと-3σに沿った調整を続けるなかでは、積極的なロングは限られていた。ただ、3万7000円辺りでの底固めの動きが期待されたが、円高が重荷となる形で下落に転じた展開はやや想定外だろう。
日経225先物の6月限の-2σはナイトセッションで3万6800円、-2σは3万5760円辺りに位置している。3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)通過で需給面は軽くなることで、短期的には押し目狙いのロングが入りやすくなりそうだが、来週の日銀金融政策決定会合、米連邦公開市場委員会(FOMC)を控えて、スキャルピング中心のトレードになりそうだ。
NT倍率は先物3月限で13.62倍に低下した。6月限では13.67倍となる。朝方はアドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均株価を牽引する形で上昇して始まったが、後場に入り再びNTショートに向かわせる形となった。
手口面(3月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が8489枚、ソシエテジェネラル証券が5014枚、シティグループ証券が3433枚、ゴールドマン証券が1825枚、JPモルガン証券が1437枚、モルガンMUFG証券が1424枚、野村証券が1409枚、バークレイズ証券が1342枚、ビーオブエー証券が1266枚、みずほ証券が1200枚だった。
TOPIX先物は、野村証券が6085枚、ABNクリアリン証券が4127枚、ソシエテジェネラル証券が3798枚、BNPパリバ証券が3432枚、みずほ証券が3094枚、ゴールドマン証券が2234枚、JPモルガン証券が2198枚、ビーオブエー証券が1650枚、シティグループ証券が1587枚、バークレイズ証券が1277枚だった。
本日のNYタイムでは2月米卸売物価指数(PPI)や新規失業保険申請件数などの発表が予定されている。同指標結果に注目も、関税をめぐる不確実性でドル円は神経質な動きが続きそうだ。
昨日に発表された2月米消費者信頼感指数(CPI)は前月から予想以上に伸びが鈍化し、発表直後は素直にドル売りで反応するも、ドル売りは続かなかった。トランプ政権の二転三転する関税政策が引き続き市場の焦点になっており、金融市場全体で神経質な動きが続いている。トランプ関税をめぐり、ドルも売買が交錯。関税絡みでの米景気鈍化警戒感がドル売りを誘っている一方で、関税による先々のインフレ再燃懸念も根強いことがドル買いを後押している。
トランプ米政権は昨日に全ての国・地域からの鉄鋼・アルミニウム製品に対し25%の追加関税を発動した。これに対しカナダや欧州連合(EU)、中国などは対抗措置を講じると表明し、トランプ米大統領は米製品に対し報復関税を課せばさらなる関税で対応する考えを示した。関税の影響で米国の輸入品の価格上昇が物価高につながるとの見方が広がるとともに、貿易戦争の激化が警戒されている。
ドル円は昨日に149円前半まで上昇するも、本日は147円半ばまで戻され、150円が遠いことが示された。ドル円は神経質な動きが継続するも、日銀の早期利上げ観測を背景とした日米金利差縮小の見方が上値を圧迫し、下方向への動きが警戒される。
・想定レンジ上限
ドル円、日足一目均衡表・転換線148.92円が上値めど。
・想定レンジ下限
ドル円、11日安値146.54円が下値めど。
今晩も引き続き物価指標に注目。昨日は米2月消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びにとどまったことで先行きの利下げ期待が支援となり、ナスダック総合が1.22%高と3日ぶりに大幅反発した。S&P500も0.49%高と3日ぶりに反発した一方、ダウ平均は82.55ドル安(-0.20%)と小幅ながら3日続落となった。業種別ではIT、コミュニケーション、一般消費財など週初から大きく下落したハイテク・セクターが上昇率上位に並んだ一方、生活必需品、ヘルスケアなどディフェンシブ・セクターが下落率上位となった。週初来ではダウ平均が3.39%高、S&P500が2.96%安、ナスダック総合が3.01%安とそろって大幅安となり、トランプ関税による貿易摩擦懸念や景気悪化懸念が重しとなっている。
今晩の取引では貿易摩擦激化懸念が引き続き上値の圧迫要因となることが予想される中、足もとの物価動向や利下げ見通しを巡り、2月生産者物価指数(PPI)や新規失業保険申請件数などの経済指標に注目する展開か。昨日の2月消費者物価指数(CPI)が予想を下回る伸びにとどまったことで米連邦準備理事会(FRB)による利下げ期待が高まっており、今晩のPPIでもインフレ鈍化を示す結果となれば利下げ見通しの高まりが相場の支援となることが期待される。
今晩の米経済指標・イベントは2月PPI、新規失業保険申請件数のほか、米30年債入札など。企業決算は寄り前にダラー・ゼネラル、引け後にアルタ・ビューティーが発表予定。
日経平均株価は反落。一時は10日移動平均線(37171円 3/13)を上回る場面もあったが、上げ幅を縮小して5日移動平均線(36863円 同)下まで押し戻される展開となった。
RSI(9日)は前日の30.9%→43.2%(3/13)に上昇。前々日の長い下ヒゲのある陽線で底入れ期待も強いが、基本的には1/24高値(40279円)からの二段下げ目の動きは依然として続いている。
きょうも終値ベースで、昨年9月に形成したダブルボトムのネックラインである36900円付近のフシや、月足の一目均衡表の転換線(36791円)付近を意識した。目先は3/7の下落で形成したマドの上限(37580円)を埋め戻すような動きがみられるかが焦点となる。ただ、きょうのように自律反発局面では5日移動平均線や10日移動平均線が上値抵抗になりやすく、短期的には値固めのイメージとなる。
上値メドは、5日移動平均線や10日移動平均線、心理的節目の38000円、25日移動平均線(38178円 同)、200日移動平均線(38609円 同)、心理的節目の39000円などがある。下値メドは、心理的節目の36500円や36000円、9/17安値(35828円)、心理的節目の35500円、9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円などがある。
米財務省によると、30年債入札(ダッチ方式)の落札結果は最高落札利回りが4.623%、応札倍率(カバー)が2.37倍となった。
(13日終値:14日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.62円(13日15時時点比▲0.10円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.24円(▲0.55円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0854ドル(▲0.0031ドル)
FTSE100種総合株価指数:8542.56(前営業日比△1.59)
ドイツ株式指数(DAX):22567.14(▲109.27)
10年物英国債利回り:4.677%(▲0.045%)
10年物独国債利回り:2.855%(▲0.022%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月スイス生産者輸入価格
(前月比) 0.3% 0.1%
1月ユーロ圏鉱工業生産
(前月比) 0.8% ▲0.4%・改
(前年比) 0.0% ▲1.5%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。欧州勢が参入すると円売り・ドル買いが先行。NY市場に入り、2月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが伝わると円買い・ドル売りで反応する場面もあったが、反応は一時的だった。前日の2月米消費者物価指数(CPI)の下振れと同様に、「関税引き上げの影響はこれから」との見方から米長期金利が上昇。ドル円にも買い戻しが入り、22時過ぎには148.35円付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値148.38円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。米関税政策による世界景気への懸念や米政府機関の閉鎖回避を巡る不透明感からダウ平均が一時660ドル超下落するとリスク回避の円買いが活発化。ベッセント米財務長官が「最近の市場でドルが下落しているのは自然な調整」と述べ、「懸念していない」との考えを明らかにしたこともドルの重しとなった。アジア時間の安値147.58円を下抜けると一時147.42円まで値を下げた。米長期金利が低下に転じたこともドル売りを誘った。
・ユーロドルは下げ渋り。トランプ米大統領が欧州連合(EU)から輸入するワインなどの酒類に200%の関税を課す考えを表明したことや、「ロシアの交渉担当者は米国の一時停戦案を拒否」との報道をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行。22時30分前に一時1.0823ドルと日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、1.0878ドル付近まで持ち直した。ベッセント米財務長官の発言や米長期金利が低下に転じたことが相場を下支えした。
なお、プーチン露大統領は米国が提案したウクライナでの停戦案について「一時停戦には同意するが、長期的な平和につながるべき。停戦について多くの疑問がある」と話し、即時の停戦受け入れには難色を示した。
・ユーロ円はさえない。欧州序盤に一時161.27円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値161.52円が目先レジスタンスとして意識されると次第に弱含んだ。米政権の関税政策が欧州景気に及ぼす悪影響が懸念され、ユーロ売りが進んだ。
NY市場では米国株相場の下落を背景にリスク回避の円買いが優勢となり、2時30分前に一時160.06円と日通し安値を付けた。
・ロンドン株式相場は小幅ながら続伸。米関税政策による世界景気への懸念が根強く、英株にも売りが出た。半面、足もとで相場下落が続いたあとだけに、自律反発狙いの買いも入りやすく、相場は前日終値を挟んだもみ合いに終始した。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株に買いが入ったほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。半面、ロールス・ロイス・ホールディングスやアシュテッド・グループなど資本財サービス株が売られた。
・フランクフルト株式相場は反落。欧米の貿易摩擦が激化するとの懸念から売りが優勢となった。個別ではダイムラー・トラック・ホールディング(4.44%安)やフレゼニウス・メディカル・ケア(4.04%安)、ブレンターク(3.31%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。欧米の貿易摩擦激化への懸念から買いが入った。
(13日終値:14日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=147.62円(13日15時時点比▲0.10円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.24円(▲0.55円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0854ドル(▲0.0031ドル)
FTSE100種総合株価指数:8542.56(前営業日比△1.59)
ドイツ株式指数(DAX):22567.14(▲109.27)
10年物英国債利回り:4.677%(▲0.045%)
10年物独国債利回り:2.855%(▲0.022%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月スイス生産者輸入価格
(前月比) 0.3% 0.1%
1月ユーロ圏鉱工業生産
(前月比) 0.8% ▲0.4%・改
(前年比) 0.0% ▲1.5%・改
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。欧州勢が参入すると円売り・ドル買いが先行。NY市場に入り、2月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが伝わると円買い・ドル売りで反応する場面もあったが、反応は一時的だった。前日の2月米消費者物価指数(CPI)の下振れと同様に、「関税引き上げの影響はこれから」との見方から米長期金利が上昇。ドル円にも買い戻しが入り、22時過ぎには148.35円付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値148.38円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。米関税政策による世界景気への懸念や米政府機関の閉鎖回避を巡る不透明感からダウ平均が一時660ドル超下落するとリスク回避の円買いが活発化。ベッセント米財務長官が「最近の市場でドルが下落しているのは自然な調整」と述べ、「懸念していない」との考えを明らかにしたこともドルの重しとなった。アジア時間の安値147.58円を下抜けると一時147.42円まで値を下げた。米長期金利が低下に転じたこともドル売りを誘った。
・ユーロドルは下げ渋り。トランプ米大統領が欧州連合(EU)から輸入するワインなどの酒類に200%の関税を課す考えを表明したことや、「ロシアの交渉担当者は米国の一時停戦案を拒否」との報道をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行。22時30分前に一時1.0823ドルと日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、1.0878ドル付近まで持ち直した。ベッセント米財務長官の発言や米長期金利が低下に転じたことが相場を下支えした。
なお、プーチン露大統領は米国が提案したウクライナでの停戦案について「一時停戦には同意するが、長期的な平和につながるべき。停戦について多くの疑問がある」と話し、即時の停戦受け入れには難色を示した。
・ユーロ円はさえない。欧州序盤に一時161.27円付近まで値を上げたものの、アジア時間に付けた日通し高値161.52円が目先レジスタンスとして意識されると次第に弱含んだ。米政権の関税政策が欧州景気に及ぼす悪影響が懸念され、ユーロ売りが進んだ。
NY市場では米国株相場の下落を背景にリスク回避の円買いが優勢となり、2時30分前に一時160.06円と日通し安値を付けた。
・ロンドン株式相場は小幅ながら続伸。米関税政策による世界景気への懸念が根強く、英株にも売りが出た。半面、足もとで相場下落が続いたあとだけに、自律反発狙いの買いも入りやすく、相場は前日終値を挟んだもみ合いに終始した。アストラゼネカやグラクソスミスクラインなど医薬品株に買いが入ったほか、BPやシェルなどエネルギー株が値上がりした。半面、ロールス・ロイス・ホールディングスやアシュテッド・グループなど資本財サービス株が売られた。
・フランクフルト株式相場は反落。欧米の貿易摩擦が激化するとの懸念から売りが優勢となった。個別ではダイムラー・トラック・ホールディング(4.44%安)やフレゼニウス・メディカル・ケア(4.04%安)、ブレンターク(3.31%安)などの下げが目立った。
・欧州債券相場は上昇。欧米の貿易摩擦激化への懸念から買いが入った。
13日の日経平均は反落。終値は29円安の36790円。
東証プライムの騰落銘柄数は値上がり816/値下がり747。アドバンテストやディスコなど半導体株の一角が大幅上昇。きのう乱高下して大幅安で終えたトライアルがきょうは7%高と大きく上昇した。原油価格の上昇を手がかりにINPEX、出光興産、ENEOSなどに資金が向かった。弱めの米2月CPIを受けても米長期金利が上昇したことから、東京海上や第一生命など保険株が全般堅調。上方修正を発表したANYCOLORがストップ高となった。
一方、トヨタやホンダなど自動車株が軒並み安。日産自動車や三菱自動車の下げが大きかった。太陽誘電や村田製作所などハイテク株の一角が大幅安。GENDAは決算や1:2の分割が好感されず、7%を超える下落となった。ハウテレビジョンやKudanなど、前日業績関連のリリースで下げた銘柄が改めての売りに押された。
日経平均は前場は大幅高であったが、後場に入って下げに転じた。マイナス寄与度が大きかった銘柄はダイキン<6367.T>、ファーストリテイリング<9983.T>、コナミG<9766.T>、ファナック<6954.T>、京セラ<6971.T>などだが、後場に入って崩れているものが多く、指数主導で売られた印象。こういった動きが出てきてしまうと、今は日本株は買えないとの見方が強まってくる。
7日の終値は36887円、きょうの終値は36790円で、現時点では先週末比でマイナス。急失速したことで5日線(36863円、13日時点)も下回っており、流れは悪い。世界で一番影響力がある国のトップが何を言い出すか分からない状況にあるため、週をまたぐリスクは高まっている。先週金曜の7日は817円安と大幅安となった。あす14日はメジャーSQ日で、荒れる要素は多い。直近3月11日につけた安値が35987.13円。これを下回ることなく週を終えることができるかに注目したい。
(13日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.81円(前営業日比▲0.44円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.42円(▲0.98円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0852ドル(▲0.0036ドル)
ダウ工業株30種平均:40813.57ドル(▲537.36ドル)
ナスダック総合株価指数:17303.01(▲345.44)
10年物米国債利回り:4.27%(▲0.04%)
WTI原油先物4月限:1バレル=66.55ドル(▲1.13ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=2991.3ドル(△44.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月米卸売物価指数(PPI)
(前月比) 0.0% 0.6%・改
(前年比) 3.2% 3.7%・改
食品とエネルギーを除くコア指数
(前月比) ▲0.1% 0.5%・改
(前年比) 3.4% 3.8%・改
前週分の米新規失業保険申請件数
22.0万件 22.2万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反落。米労働省が発表した2月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが伝わると円買い・ドル売りで反応する場面もあったが、反応は一時的。前日の2月米消費者物価指数(CPI)の下振れと同様に、「関税引き上げの影響はこれから」との見方から米長期金利が上昇。ドル円にも買い戻しが入り、22時過ぎには148.35円付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値148.38円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。米関税政策による世界景気への懸念や米政府機関の閉鎖回避を巡る不透明感からダウ平均が一時680ドル超下落するとリスク回避の円買いが活発化。米長期金利が低下に転じたこともドル売りを促し、2時30分過ぎに一時147.42円と日通し安値を更新した。ベッセント米財務長官が「最近の市場でドルが下落しているのは自然な調整」と述べ、「懸念していない」との考えを明らかにしたこともドルの重しとなった。
・ユーロドルは続落。トランプ米大統領が欧州連合(EU)から輸入するワインなどの酒類に200%の関税を課す考えを表明したことや、「ロシアの交渉担当者は米国の一時停戦案を拒否」との報道をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行。22時30分前に一時1.0823ドルと日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、1.0878ドル付近まで持ち直した。ベッセント米財務長官の発言や米長期金利が低下に転じたことが相場を下支えした。もっとも、米関税政策への警戒感やウクライナ情勢の不透明感は根強く、戻りは限定的だった。
なお、プーチン露大統領は米国が提案したウクライナでの停戦案について「一時停戦には同意するが、長期的な平和につながるべき。停戦について多くの疑問がある」と話し、即時の停戦受け入れには難色を示した。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。米国の関税政策が欧州景気に及ぼす悪影響が懸念される中、全般ユーロ売りが先行。米国株相場の下落を背景にリスク回避の円買いが強まると、2時30分前に一時160.06円と日通し安値を付けた。
(13日終値)
ドル・円相場:1ドル=147.81円(前営業日比▲0.44円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=160.42円(▲0.98円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0852ドル(▲0.0036ドル)
ダウ工業株30種平均:40813.57ドル(▲537.36ドル)
ナスダック総合株価指数:17303.01(▲345.44)
10年物米国債利回り:4.27%(▲0.04%)
WTI原油先物4月限:1バレル=66.55ドル(▲1.13ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=2991.3ドル(△44.5ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月米卸売物価指数(PPI)
(前月比) 0.0% 0.6%・改
(前年比) 3.2% 3.7%・改
食品とエネルギーを除くコア指数
(前月比) ▲0.1% 0.5%・改
(前年比) 3.4% 3.8%・改
前週分の米新規失業保険申請件数
22.0万件 22.2万件・改
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は3日ぶりに反落。米労働省が発表した2月米卸売物価指数(PPI)が予想を下回ったことが伝わると円買い・ドル売りで反応する場面もあったが、反応は一時的。前日の2月米消費者物価指数(CPI)の下振れと同様に、「関税引き上げの影響はこれから」との見方から米長期金利が上昇。ドル円にも買い戻しが入り、22時過ぎには148.35円付近まで値を上げた。
ただ、アジア時間に付けた日通し高値148.38円が目先レジスタンスとして意識されると失速した。米関税政策による世界景気への懸念や米政府機関の閉鎖回避を巡る不透明感からダウ平均が一時680ドル超下落するとリスク回避の円買いが活発化。米長期金利が低下に転じたこともドル売りを促し、2時30分過ぎに一時147.42円と日通し安値を更新した。ベッセント米財務長官が「最近の市場でドルが下落しているのは自然な調整」と述べ、「懸念していない」との考えを明らかにしたこともドルの重しとなった。
・ユーロドルは続落。トランプ米大統領が欧州連合(EU)から輸入するワインなどの酒類に200%の関税を課す考えを表明したことや、「ロシアの交渉担当者は米国の一時停戦案を拒否」との報道をきっかけにユーロ売り・ドル買いが先行。22時30分前に一時1.0823ドルと日通し安値を付けた。
ただ、売り一巡後は買い戻しが優勢となり、1.0878ドル付近まで持ち直した。ベッセント米財務長官の発言や米長期金利が低下に転じたことが相場を下支えした。もっとも、米関税政策への警戒感やウクライナ情勢の不透明感は根強く、戻りは限定的だった。
なお、プーチン露大統領は米国が提案したウクライナでの停戦案について「一時停戦には同意するが、長期的な平和につながるべき。停戦について多くの疑問がある」と話し、即時の停戦受け入れには難色を示した。
・ユーロ円は3日ぶりに反落。米国の関税政策が欧州景気に及ぼす悪影響が懸念される中、全般ユーロ売りが先行。米国株相場の下落を背景にリスク回避の円買いが強まると、2時30分前に一時160.06円と日通し安値を付けた。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は4日続落し昨年9月10日以来約半年ぶりの安値となった。トランプ米政権の関税政策を背景に激化する通商摩擦が景気の悪化を招くとの懸念からリスク回避の売りが優勢となった。ウクライナ情勢の不透明感も投資家心理を圧迫し、ダウ平均は一時680ドル超下落した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅反落し、昨年9月10日以来約半年ぶりの安値で取引を終えた。
・米国債券相場で長期ゾーンは3日ぶりに反発。2月米PPIが予想を下回ると買いが先行したものの、すぐに失速した。市場では「米関税政策で物価上昇圧力が高まる可能性があり、材料視しにくい」との声が聞かれた。
ただ、NY午後に入ると米国株相場の下落に伴う買いが優勢となり上げに転じた。トランプ米政権の関税政策を背景に激化する通商摩擦が景気の悪化を招くとの懸念から、相対的に安全資産とされる米国債に買いが入った。
・原油先物相場は反落。時間外で上昇したものの、NY勢の本格参入後から上値の重い展開が続いた。米とEUが貿易戦争の様相を呈し始め、経済への悪影響を懸念した売りが強まった。国際エネルギー機関(IEA)の月報で示された「今年の国際石油市場では供給が需要を上回る」との見通しも、相場の重しとなった。
・金先物相場は大幅に3日続伸し、中心限月の清算値ベースで史上最高値を更新。EUが、ウィスキーを含む米国製品に来月から追加関税を課すと発表。これを受けてトランプ米大統領は、EUから輸入するワインなどの酒類に200%の関税を課す考えを示した。これにくわえて、ウクライナ停戦案に対する後ろ向きの考えがロシアから伝わった。貿易摩擦の激化と地政学リスクへの懸念から、安全資産とされる金に資金が向かった。一時3000ドルに迫る場面もあった。
13日11:35 加藤財務相
「現時点で日銀との共同声明を見直すことは考えてない」
「マクロの状況、需要でなく供給不足の局面に入りつつある」
「物価上昇は、海外発のコストプッシュ型と、人件費上昇による基調的上昇の2つある」
「現時点でデフレにもどる見込みがない状況には至っていない」
「海外市況が落ち着けばコストプッシュ型の物価上昇が沈静化、その点を見極めながら日銀・政府で対応が必要」
13日12:31 植田日銀総裁
「食品価格がインフレを押し上げている」
「マネタリーベース・バランスシート・日銀当座預金の規模、現状はやや大きすぎる」
「バランスシート縮小の望ましい着地点、海外の知見も参考にしながら時間をかけて議論したい」
「基調的な物価上昇率、現在は2%を下回っているが景気が緩やかに回復するもとで徐々に2%に向かって高まってゆく」
「人手不足の強まりで、賃金・物価が上がりにくい慣行に変化」
「こうした変化が続くことは2%物価目標の実現に重要」
13日16:51 カザークス・ラトビア中銀総裁
「インフレに関して全てが終わったとは言えない」
「金利は不確実性の中で会合ごとに決定される」
13日17:04 ナーゲル独連銀総裁
「(インフレ率は)年末には2%の目標に戻る見込み」
「物価安定は今年実現されるだろう」
13日23:17 ベッセント米財務長官
「(ドルについて)調整されるのは自然なこと」
「(ドルについて)他の通貨が好調になるのは自然」
「デトックスはリセッションの言い換えではない」
「多少のボラティリティーは懸念していない」
14日00:46 プーチン露大統領
「一部外国企業のロシア復帰を協議中」
「ウクライナ問題への関心を示したトランプ大統領に感謝」
「停戦は長期的平和につながる」
「我々はウクライナでの一時停戦には同意するが、長期的な平和につながるべき」
「停戦は紛争の根本原因を排除する必要」
「クルスク地域の状況は完全にロシアの支配下」
「ウクライナ軍はクルスクで完全に孤立」
「クルスクのウクライナ人には2つの選択肢がある。死ぬか捕らえられるかだ」
「停戦になったとしても、クルスクや他の場所で状況がどう展開するかは不明」
「停戦については多くの疑問がある。停戦を誰がコントロールするのか」
「停戦自体は正しいし、我々はそれを支持するが、議論すべき問題がある」
「おそらく私とトランプ氏は電話会談をしなければならないだろう」
「米国とロシアがエネルギー協力で合意すれば、欧州向けのガスパイプラインが提供される可能性」
「ロシアの安いガスはヨーロッパに利益をもたらすだろう」
14日01:15 欧州連合(EU)の執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン欧州委員長
「EUは関税に関して利益を守る」
「関税について米国と交渉する用意ある」
14日01:56 トランプ米大統領
「ロシアが正しいことをしてくれると願っている」
「ロシアからの停戦を望む」
「プーチン大統領と話し合う用意がある」
「4月2日の関税について考えを変えるつもりはない」
「米国はカナダの自動車、エネルギー、木材を必要としていない」
「多少の混乱はあるだろうが、それほど長くは続かないだろう」
※時間は日本時間
<国内>
○春闘、第1回回答集計結果(連合)
<海外>
○16:00 ◎ 2月独消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比0.4%/前年比2.3%)
○16:00 ◇ 2月独卸売物価指数(WPI)
○16:00 ☆ 1月英国内総生産(GDP、予想:前月比0.1%)
○16:00 ◎ 1月英鉱工業生産(予想:前月比▲0.1%/前年比▲0.7%)
○16:00 ◎ 1月英製造業生産高(予想:前月比横ばい)
○16:45 ◇ 2月仏消費者物価指数(CPI)改定値(予想:前月比横ばい/前年比0.8%)
○18:00 ◎ エスクリバ・スペイン中銀総裁、講演
○21:00 ◎ 1月ブラジル小売売上高(予想:前年同月比1.9%)
○21:30 ◇ 1月カナダ製造業出荷(予想:前月比2.0%)
○21:30 ◇ 1月カナダ卸売売上高(予想:前月比1.8%)
○22:15 ◎ チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事、講演
○23:00 ◎ 3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値、予想:63.1)
○マーク・カーニー氏、カナダ首相に就任
○インド(水掛け祭)、休場
※「予想」は特に記載のない限り市場予想平均を表す。▲はマイナス。
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
昨日の海外市場でドル円は、米PPIの下振れをきっかけにドル売りで反応する場面もあったが、「関税引き上げの影響はこれから」との見方から米長期金利が上昇し、148.35円付近まで値を上げた。ただ、ダウ平均が一時680ドル超下落するとリスク回避の円買いが活発化し、一時147.42円と日通し安値を更新した。ユーロドルは「ロシアの交渉担当者は米国の一時停戦案を拒否」との報道をきっかけに、一時1.0823ドルまで弱含んだ。
本日の東京時間でドル円は、主だった経済指標の発表などは予定されていないが、来週18-19日に開かれる日銀の金融政策決定会合に関しての観測報道が流れる可能性があることで、相場の急変には備えておきたい。また、市場のリスクとしてはドル安・円高リスクの方が優勢であるので上値の重さは変わらないか。
来週の日銀政策決定会合では、市場は現状維持予想が大多数で、注目は次回利上げがいつ行われるかになる。現時点では5月、6月ともに利上げ予想は少数派で、多くは7月の利上げ予想になっている。ただ、昨日の参院財政金融委員会に出席した植田日銀総裁が、「人手不足の強まりで、賃金・物価が上がりにくい慣行に変化」「今後実質賃金や消費について良い姿が見込まれる」などと発言したこともあり、本邦長期金利が上昇するなど早期の利上げ期待感もある。
上述のように昨日植田日銀総裁は「消費について良い姿が見込まれる」と述べたが、11日に発表された1月の家計調査で消費支出は前年比で予想の+3.6%を下回り僅か+0.8%になるなど、物価高で家計の消費は停滞したままになっている。植田日銀総裁の着任以来、経済指標の結果では政策方針を読み取ることが非常に難しくなっていることで、市場との対話は日銀関係者情報として報じられる、会合の前週やその週末での記事などが主になっている。よって、12日の春闘の集中回答の結果を好感したとの理由付けで、市場予想の7月よりも前倒しの利上げを示唆する記事が流れ、円高に動くリスクには警戒しておきたい。
また、欧米の政治的動向はリスク回避に動きやすいことも、円買い要因になる。ウクライナの停戦について、プーチン露大統領は昨日「原則的に同意するが、いかなる合意にも署名せず、さらなる交渉が必要」と平和を願うふりをしながら、ロシアの利権獲得が得られるまでは署名しないということを示唆した。プーチン露大統領は、ウクライナ東部のドネツク、ルハンシク、ヘルソン、ザポリージャの各地域全体を掌握することを条件に停戦に応じると兼ねてから述べている。この和平案はウクライナや他の欧州各国が承服できないことは明らか。その場合のトランプ米大統領の対応が注目されるだろう。これまでのようにプーチン露大統領に迎合し、トランプ氏がウクライナは妥協するべきと応えると再びウクライナ情勢は振出しに戻りそうだ。
また、トランプ関税については、日本についても徐々に厳しい発言が目立ってきている。日本は防衛面などでも米国依存体質があることで、交渉の切り札が少ない。昨日はベッセント米財務長官が「最近の市場でドルが下落しているのは自然な調整」と述べ、トランプ米大統領が3日に記者会見の場で「通貨安の国に関税を課す」と発言したことを追認したかたちだ。日本にとっては円安の修正が入ることは、渡りに船という面もあり、円高容認を交渉材料に使うようなことが起こるリスク(第2プラザ合意)にも備えておきたい。
大阪6月限ナイトセッション
日経225先物 36470 -40 (-0.10%)
TOPIX先物 2668.5 -2.0 (-0.07%)
シカゴ日経平均先物 36450 -60
(注:ナイトセッション、CMEは大阪の日中終値比)
13日の米国市場はNYダウ、 S&P500、ナスダックの主要な株価指数が下落。2月の米卸売物価指数(PPI)は前月比横ばい、変動の大きい食品とエネルギーを除いたコアPPIは前月比0.1%低下し、昨年7月以来のマイナスだった。インフレ再燃への過度な懸念を和らげる内容だった。
一方で、トランプ政権による関税発動に対し、欧州連合(EU)やカナダが対抗措置を発表。さらにトランプ米大統領は報復措置として欧州産のワインなどアルコール類に200%の関税を課すと自身のSNSに投稿するなど、関税の応酬による景気減速懸念から、主力株を中心に売り優勢の相場展開になった。また、米連邦政府のつなぎ予算の失効が迫っており、政府機関が一部閉鎖するリスクが警戒されたほか、ウクライナ情勢を巡る不透明感も重荷になったとみられる。
NYダウ構成銘柄では、セールスフォース<CRM>、ホーム・デポ<HD>、アップル<AAPL>、スリーエム<MMM>、アマゾン・ドット・コム<AMZN>が売られた。半面、ベライゾン・コミュニケーションズ<VZ>、トラベラーズ<TRV>、メルク<MRK>、シェブロン<CVX>が上昇。
シカゴ日経平均先物(6月限)清算値は、大阪比60円安の3万6450円だった。日経225先物(6月限)のナイトセッションは、日中比10円高の3万6520円で始まり、その後はロング優勢の流れのなか、3万6780円まで買われた。買い一巡後は3万6500円~3万6700円辺りでの保ち合いを継続。米国市場の取引開始後はショート優勢のなかで3万6300円まで下げ幅を広げる場面もあった。終盤にかけてショートカバーが入り、3万6470円でナイトセッションの取引を終えた。
シカゴ先物にサヤ寄せする形から、やや売り先行で始まることになりそうだ。貿易戦争激化による世界経済に与える影響への警戒から積極的なロングの動きは限られるだろう。前日にはボリンジャーバンドの-1σを捉える場面もみられたが、その後の失速によって下向きで推移する-1σと-3σでのレンジ内での推移が続きそうだ。6月限の-1σは3万6910円辺りに位置しており、同水準が抵抗になろう。一方で、直近で-2σからは上放れてきているため、同バンドが位置する3万5960円が支持線として意識されそうだ。
そのため、オプション権利行使価格の3万6000円から3万7000円のレンジを想定する。本日は3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)となるが、米国市場の下落の影響もあってSQに絡んだ商いは売り越しになりそうである。SQ値が支持線もしくは抵抗線となることでセンチメントに影響するため、SQ値の水準を意識しながらのスキャルピング中心のトレードになるだろう。調整トレンドが継続しているなか、-1σ接近では戻り待ち狙いのショートが入りやすい。
13日の米VIX指数は24.66(12日は24.23)に上昇した。小幅に上昇して始まり、26.13を高値に、23.46まで下げる場面もみられた。20.00を上回っているほか、依然として上向きのトレンドを継続しているが、貿易摩擦への警戒から主要な株価指数が下落するなかにおいては、比較的落ち着いた値動きだった。
昨日のNT倍率は3月限で13.62倍に低下した。6月限では13.67倍となる。朝方はアドバンテスト<6857.T>[東証P]など指数インパクトの大きい値がさハイテク株が日経平均株価を牽引する形で上昇して始まったが、後場に入り再びNTショートに向かわせる形となった。2023年9月下旬につけた13.55倍が射程に入るなか、NTショートが入りやすい。
東京市場は軟調か。米国株は下落。ダウ平均は537ドル安の40813ドルで取引を終えた。EUが米国からのウィスキーに50%の関税を課したことへの報復としてトランプ大統領がEUのアルコール類に200%の関税を課すと表明。貿易摩擦激化懸念から場中に下げ幅を広げる弱い動きとなった。2月の生産者物価指数(PPI)は市場予想を下回り、10年債利回りは低下したものの、相場の下支えにはならなかった。ドル円は足元147円90銭近辺で推移している。CME225先物は円建てが大証日中終値と比べて60円安の36450円、ドル建てが50円高の36560円で取引を終えた。
米国株安を受けて売りに押されると予想する。関税に関するネガティブなニュースが相次いでおり、週をまたぐリスクも高まっている。きのうの日経平均は一時500円超上昇したところから下落で終えた。米国株は3指数がそろって1%を超える下落となっており、ナスダックの下落率は2%近い。本日はメジャーSQ日で指数の動きは不安定となる可能性がある。買いを急ぐ理由に乏しい中、場中はリスク回避ムードの強い地合いが続くだろう。日経平均の予想レンジは36200円-36900円。
日経225先物は11時30分時点、前日比150円高の3万6660円(+0.41%)前後で推移。寄り付きは3万6510円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6450円)にサヤ寄せする動きにはならず、前日比変わらずから始まった。現物の寄り付きにかけてショートの動きが強まり、3万6270円まで売られる場面もみられた。ただし、その後は急速に切り返す流れとなってプラス圏を回復し、中盤にかけて3万6700円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は3万6500円~3万6700円辺りでの保ち合いを継続している。
日経225先物は、開始直後に下押す動きとなったが、3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)に絡んだ商いが影響したようだ。SQに絡んだ売買では日経平均型が600億円の売り越し、TOPIX型は170億円の買い越しと推計されている。SQ値概算は3万6483.79円だった。日経平均株価はSQ値を下回らなかったことで、ショートカバーが入りやすかったほか、指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]が強い値動きだったこともセンチメント改善につながったのだろう。
もっとも、下向きで推移するボリンジャーバンドの-1σと-2σでのレンジであるため、-1σ接近では戻り待ち狙いのショートが入りやすいとみておきたい。
NT倍率は先物中心限月で13.65倍と前日と同程度の水準で推移している。足もとで低下傾向を続けているが、一時13.70倍まで上昇する場面もみられており、NTショートを巻き戻す動きも意識されてきそうだ。
昨日の海外市場では、先月の数字が米金利急低下とドル急落を招くきっかけとなったという曰く付きの米PPIに注目が集まったわけですが、予想を下回る弱い数字に、米金利低下とともにドル円も一時147.82円まで下押ししたものの、米10年債利回りが一転上昇に転じると148.35円まで値を上げることになりました。今回の結果は、先月の1月米PPIの内容とは全くの逆で、ヘッドラインは弱かったものの、月末のPCEコア算出に関係するパラメーターはしっかりとしていたわけで、米長期金利が低下直後に上昇に転じることになりました。
ただ、その後はダウ平均が一時680ドルを超える下落となると再び米金利が低下。リスクオフ的な動きから戻り売りが強まると147.42円の安値まで値を下げました。ベッセント米財務長官が「最近のドル下落は自然な調整で懸念していない」との見解を示したことも戻り売りを後押ししました。ただ、引けにかけては147.83円まで買戻されてNY市場を終えています。
週末のアジア市場では、ダウ先物が堅調に始まったほか、安く寄付いた日経平均がプラス圏まで買戻されると次第に下値を切り上げる展開に。週末の実質ゴトー日でもあり、仲値に向けては本邦実需の買いが断続的に観測されると昨日高値の148.38円を上抜けて一時148.43円まで値を上げました。その後の下押しも148.16円までと限定的となっています。
いずれにしても、ドル円は二転三転しているトランプ関税や、米国株の大幅な調整売りといったリスクオフをこなしながら、下値を固めつつあるわけで、一目転換線の位置する148.36円が意識されている状況。終値ベースでの転換線上抜けといったチャート上でのサインを確認出来るのであれば、コストのかかるショートポジションを敢えてキープする意味合いも薄れてくるというものです。既に東京時間から始まっている、週末の調整色強い相場展開に注意したいところです。
本日のユーロドルは引き続き、ドイツ債務見直し案の行方やウクライナ情勢、トランプ関税の行方など、政治に注目する展開が予想される。
昨日、独債務見直し案について緑の党が拒否したことで、タイムリミットとされる独下院の会期末である18日を前に可決への不透明が漂う。足もとのユーロドル相場は、独財政拡張への期待感が上昇の要因であった。期限までまだ多少の猶予はあるとはいえ、ユーロドル相場の波乱要因となる可能性がある点に留意したい。
また、トランプ米政権の関税政策を巡る不透明感が強い中、欧米の関税合戦の行方もまた、ユーロの重荷になる可能性がある。昨日は欧州連合(EU)が「来月1日よりバーボン・ウイスキーなど米国から輸入する製品に関税を課す措置を講じる」と発表すると、トランプ米大統領は「EU加盟国のワインやフランスのシャンパンなどのアルコール製品に200%の関税を課す」と表明している。トランプ関税による悪影響(物価上昇や景気停滞)への懸念から米株が下落しており、勝者なき貿易戦争の様相を呈してきている。引き続き、関連報道には注意が必要だろう。
ウクライナ情勢については、ボールはロシア側にあることを踏まえると、ロシアの対応次第でリスクセンチメントに大きな影響が出ることが予想される。昨日、ロシアは米停戦案に対して「原則支持する」としたが「いかなる停戦も紛争の根本的な要因を排除した上で恒久的な平和につなげる必要がある」ともしており、停戦への道筋は依然として不透明なままだ。一部で可能性が取り沙汰されている米露電話会談が行われた場合は、停戦実現が見通せるかロシア側の対応を注視することになる。
経済イベントでは、独・仏で2月消費者物価指数(CPI)改定値や、英では1月月次国内総生産(GDP)や鉱工業生産などが発表予定。ただ、市場の関心が政治情勢に集まっていることを考えると、市場予想や前回地からよほどかい離しない限り材料視されにくいだろう。そのほか、エスクリバ・スペイン中銀総裁や、チポローネ欧州中央銀行(ECB)専務理事の発言機会が予定されている。
想定レンジ上限
・ユーロドル:11日高値1.0947ドル。
想定レンジ下限
・ユーロドル:6日安値1.0766ドル。
ドル円:1ドル=148.47円(前営業日NY終値比△0.66円)
ユーロ円:1ユーロ=161.10円(△0.68円)
ユーロドル:1ユーロ=1.0850ドル(▲0.0002ドル)
日経平均株価:37053.10円(前営業日比△263.07円)
東証株価指数(TOPIX):2715.85(△17.49)
債券先物6月物:138.14円(△0.39円)
新発10年物国債利回り:1.520%(▲0.025)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な国内経済指標)
特になし
(各市場の動き)
・ドル円は堅調。米上院民主党トップのシューマー院内総務が共和党の予算案に賛成票を投じる意向を示すと、時間外で米株価指数先物が上昇してドル円はつれ高となった。その後も実質ゴトー(5・10)日の仲値に向けてドル買いが優勢となったほか、安く始まった日経平均が上昇に転じた後も堅調に推移したことも合わさり、148.65円まで上値を広げた。
・ユーロ円も堅調。日経平均や中国株の上昇を受けてリスク選考の流れとなる中、全般的に円安が進行すると161.19円まで上昇した。
・ユーロドルは様子見。手掛かり材料に乏しい中、1.08ドル台半ばで方向感を模索する動きが続いた。
・日経平均株価は反発。前日の米株安を受けて安く始まった後は一転して買い優勢の展開に。その流れが後場に入っても続くと、3万7000円の大台を回復して引けた。
・債券先物相場は反発。前日の米債券市場で上昇した流れを引き継いで買いが先行するも、日経平均が堅調した推移ほか、財務省が実施した流動性入札が弱めの結果となると137円63銭まで売られた。ただ、トランプ米政権による関税戦争への懸念を背景に世界的な景気減速が懸念されると、日銀の早期利上げに慎重になるとの見方が浮上して債券が買い戻された。
みずほ証券では金市場についてリポートしている。NY金先物価格は2月24日に1トロイオンス=2963ドルと過去最高値をつけた。足元では米国と各国との貿易摩擦激化への懸念から、安全資産としての金が買われているとのこと。みずほでは、長期的には中央銀行による金需要が相場を支えると考えている。一方で、2008年の金融危機以降、金価格は52週線+20%~+30%水準で上昇一服となる傾向があると指摘。これらを踏まえて2025年内の金価格の予想を1トロイオンス=2800~3200ドルとしている。
「借り入れコスト引き下げでトランプ政権が重点を置いているのは、米連邦準備理事会(FRB)の政策金利ではなく、米10年債利回りだ」(ベッセント米財務長官)
1. 2025会計年度(24年10月-25年9月)財政赤字:1兆1466.02億ドル
米財務省は、2025会計年度(24年10月~25年9月)の2月の財政収支が、3070.17億ドルの赤字だったと発表した。2024年2月は2962.75億ドルの赤字だったことで、赤字幅は107.42億ドル(4%)増加した。歳入が増加したものの、公的債務の利払い費や給付金の支払いなどが増加したことが響いた。
歳出は6%増の6034.41億ドルで2月としては過去最大、歳入は9%増の2964.24億ドルと2月としては過去最大を記録した。
2025会計年度(24年10月-25年9月)累計の財政赤字は、前年同期比38%増(3180億ドル)の1兆1466.02億ドル去最大を記録した。
歳入は2%増(370億ドル)の1兆8926.57億ドル、歳出は13%増(3550億ドル)の3兆392.59億ドルで、いずれも過去最大となった。
発行されている国債の50%が今後3年で満期になるため、現状の米中長期債利回りの高止まりが続いた場合、利払い額が2兆ドルに達することが警戒されている。
【財政赤字と対GDP比】
・2020会計年度:3兆1319億ドル(対GDP比15.0%)※過去最大
・2021会計年度:2兆7721.79億ドル(対GDP比12.4%)※過去2番目
・2022会計年度:1兆3754.81億ドル
・2023会計年度:1兆6952.40億ドル(対GDP比6.2%)
・2024会計年度:1兆8328.16億ドル(対GDP比6.4%)
2.2025年2月末債務残高:36兆2186億ドル(※米国債:28兆ドル)
米国の2025年2月末時点での債務残高は36.2186兆ドルで、2024年第4四半期国内総生産(GDP)29.70兆ドルの約123%となっている。
トランプ米政権は、2月4日に中国からの輸入品に10%の追加関税を課したが、この関税引き上げは2月の関税収入に実質的な影響はなく、3月からデータに反映されるとのことである。2月の純関税収入は72.5億ドルで、1月の73.4億ドルから減少したが、前年同月の62.1億ドルからは増加した。
実業家イーロン・マスク氏率いる政府効率化省(DOGE)による連邦政府の人員削減や支出削減への取り組みによる目立った影響も、2月には表れなかった。
格付け会社ムーディーズは「どちらの候補が当選しても米国の財政状況は弱体化する可能性が高い」と指摘して、大統領選後に米国の信用格付けを引き下げることを示唆していた。
格付け会社フィッチは「トランプ次期米大統領の就任で共和党が政権と議会多数派を握る構図となっても、連邦債務上限を巡る議論が早期に解決する可能性は低い」との見方を示した。
第1次トランプ米政権の財政赤字は、約8兆ドル拡大していた。
超党派の米シンクタンク「責任ある連邦予算委員会」は、第2次トランプ米政権では、2026~35年度の10年間で財政赤字が7兆5千億ドル拡大するとのことである。25年末に期限を迎える減税策の恒久化が5兆3500億ドル、残業代への課税撤廃は2兆ドルの財政悪化が見込まれている。全ての輸入品に10%、中国に60%の関税を課す方針では、2兆7千億ドルの税収増となる。
大阪6月限
日経225先物 36860 +350 (+0.95%)
TOPIX先物 2691.5 +21.0 (+0.78%)
日経225先物(6月限)は前日比350円高の3万6860円で取引を終了。寄り付きは3万6510円と、シカゴ日経平均先物清算値(3万6450円)にサヤ寄せする動きにはならず、前日比変わらずから始まった。現物の寄り付きにかけてショートが強まり、3万6270円まで売られる場面もみられた。
だが、その後は急速に切り返す流れとなってプラス圏を回復し、前場中盤にかけて3万6700円まで上げ幅を広げた。買い一巡後は3万6550円~3万6700円辺りでの保ち合いを継続。ランチタイムでレンジを上抜け、後場中盤には3万6900円まで買われた。終盤にかけては3万6800円~3万6900円辺りでの推移が続いた。
日経225先物は、開始直後に下押す動きとなったが、3月限の先物・オプション特別清算指数算出(メジャーSQ)に絡んだ商いが影響したようだ。SQに絡んだ売買では日経平均型が600億円の売り越し、TOPIX型は170億円の買い越しと推計されている。SQ値は3万6483.79円であり、日経平均株価がこれを下回らなかったことで、ショートカバーが入りやすかった。
さらに、指数インパクトの大きいアドバンテスト<6857.T>[東証P]が強い値動きだったことも、センチメントの改善につながったのだろう。為替市場では円相場が1ドル=148円台半ばと円安に振れて推移していたほか、グローベックスの主要な米株先物がプラス圏で推移していたことも押し目狙いのロングに向かわせる形だった。
もっとも、下向きで推移するボリンジャーバンドの-1σと-2σによるレンジであるため、-1σ接近では戻り待ち狙いのショートに上値を抑えられる形だった。
なお、ナイトセッションでは3万6950円まで買われており、-1σ(3万6870円)を上回ってきた。節目の3万7000円接近で強弱感が対立する可能性はあるものの、-1σ突破となれば、その後のトレンド転換が意識されることでショートを仕掛けづらくさせ、ロングが入りやすくなりそうだ。来週は日米の金融会合が予定されていることでスキャルピング中心の展開となりそうだが、リバウンド機運が徐々に高まりそうだ。
NT倍率は先物中心限月で13.69倍に上昇した。足もとで低下傾向を続けているが、2023年9月下旬以来の安値水準に接近するなか、ボトム形成からのリバランスの動きも意識されてくる可能性があろう。
手口面(6月限:立会内)では、日経225先物はABNクリアリン証券が1万8547枚、ソシエテジェネラル証券が1万4216枚、サスケハナ・ホンコンが3676枚、JPモルガン証券が3255枚、バークレイズ証券が3136枚、SBI証券が2188枚、モルガンMUFG証券が2113枚、ゴールドマン証券が1939枚、楽天証券が1868枚、みずほ証券が1297枚だった。
TOPIX先物は、ABNクリアリン証券が2万1299枚、ソシエテジェネラル証券が1万8035枚、バークレイズ証券が7256枚、JPモルガン証券が6782枚、ゴールドマン証券が5639枚、モルガンMUFG証券が4204枚、サスケハナ・ホンコンが2028枚、ビーオブエー証券が1512枚、BNPパリバ証券が1507枚、野村証券が1226枚だった。
本日のNY為替市場のドル円は、米国債や株式市場の動向を注視しながら、3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)、そしてトランプ米大統領の突発的な発言に警戒する展開となる。
来週の18-19日に米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が開催されるが、どちらも現状の金融政策の維持が予想されている。
連合の第1回集計で25年春闘の平均賃上げ率は5.46%と発表され、賃上げ要求の6.09%を下回ったことで、日銀の据え置きの可能性が高まっている。
3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)の速報値は63.1と予想されている。注目ポイントは、トランプ関税による期待インフレ率となる。
【1月確報値(改定)】 【2月確報値】
・1年先期待インフレ率: 3.3% 4.3%
・5年先期待インフレ率: 3.2% 3.5%
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は3回、年末のFF金利誘導目標は3.50-75%となっている。
・6月FOMC:-0.25%=4.00-25%
・9月FOMC:-0.25%=3.75-4.00%
・12月FOMC:-0.25%=3.50-75%
トランプ米大統領の発言以外に警戒すべきヘッドラインとしては、ウクライナ情勢やドイツ連邦議会での債務上限を巡る協議、などが挙げられる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、149.19円(3/12高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、147.42円(3/13安値)
本日のNY為替市場のドル円は、米国債や株式市場の動向を注視しながら、3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)、そしてトランプ米大統領の突発的な発言に警戒する展開となる。
来週の18-19日に米連邦公開市場委員会(FOMC)と日銀金融政策決定会合が開催されるが、どちらも現状の金融政策の維持が予想されている。
連合の第1回集計で25年春闘の平均賃上げ率は5.46%と発表され、賃上げ要求の6.09%を下回ったことで、日銀の据え置きの可能性が高まっている。
3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ)の速報値は63.1と予想されている。注目ポイントは、トランプ関税による期待インフレ率となる。
【1月確報値(改定)】 【2月確報値】
・1年先期待インフレ率: 3.3% 4.3%
・5年先期待インフレ率: 3.2% 3.5%
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループがFF金利先物の動向に基づき算出する「フェドウオッチ」が示している今年の利下げ回数は3回、年末のFF金利誘導目標は3.50-75%となっている。
・6月FOMC:-0.25%=4.00-25%
・9月FOMC:-0.25%=3.75-4.00%
・12月FOMC:-0.25%=3.50-75%
トランプ米大統領の発言以外に警戒すべきヘッドラインとしては、ウクライナ情勢やドイツ連邦議会での債務上限を巡る協議、などが挙げられる。
・想定レンジ上限
ドル円の上値目処(めど)は、149.19円(3/12高値)
・想定レンジ下限
ドル円の下値目処(めど)は、147.42円(3/13安値)
今晩は反発か。昨日は米2月生産者物価指数(PPI)が予想を下回ったことで米10年債利回りの低下や利下げ期待が高まったものの、トランプ米大統領がEUから輸入されるアルコール類に200%の関税を課すと警告したことで貿易摩擦懸念が一段と強まり主要3指数がそろって大幅に下落した。ダウ平均は537.36ドル安(-1.30%)と4日続落し、S&P500とナスダック総合もそれぞれ1.39%安、1.96%安と大幅に反落した。S&P500は2月に付けた終値の過去最高値から10.13%安となり「調整相場」入りとなった。すでに「調整相場」入りしたナスダック総合は高値からの下落率を14.23%に拡大した。週初来ではダウ平均が4.65%安と2022年6月以来の大幅安ペースとなり、S&P500とナスダック総合もそれぞれ4.31%安、4.91%安と大幅2週続落ペースとなった。
今晩もトランプ関税問題やそれによる物価上昇、景気悪化、貿易摩擦激化懸念が引き続き相場の重しとなることが懸念されるものの、週初から主要3指数が大幅安となったことで週末を控えた持ち高調整の買いも期待できそうだ。経済指標では3月ミシガン大消費者信頼感指数速報値や併せて発表される1年先・5年先期待インフレ率速報値が注目される。2月のミシガン大消費者信頼感指数は64.7と2023月11月以来の水準に悪化したが、3月分も63.1へと更なる悪化が見込まれており、景気悪化懸念の一段の強まりに要警戒となる。
今晩の米経済指標・イベントは3月ミシガン大消費者信頼感指数速報値、同1年先・5年先期待インフレ率速報値など。主要な企業の決算発表はなし。
連合の第1回集計では、25年春闘の平均賃上げ率は5.46%だった。
日経平均株価は反発。前日終値から下方での寄り付きとなったが、早々に売りが一巡して戻りを試す展開となった。下向きが一巡した5日移動平均線(36896円 3/14)を上回り、10日移動平均線(37161円 同)付近まで伸びる陽線を形成した。
RSI(9日)は前日の43.2%→34.3%(3/14)に低下。今週の長い下ヒゲのある陽線で底入れ期待も強いが、基本的には1/24高値(40279円)からの二段下げ目の動きは依然として続いている。
一方、5日移動平均線を上回る引けとなり、上目線では次は10日移動平均線を勢いよく上回れるかどうか。短期的には3/7の下落で形成したマドの上限(37580円)を埋め戻すような動きがみられるかが焦点となる。
上値メドは、10日移動平均線、3/6安値(37580円)、心理的節目の38000円、25日移動平均線(38107円 同)、200日移動平均線(38600円 同)、心理的節目の39000円などがある。下値メドは、心理的節目の36500円や36000円、9/17安値(35828円)、心理的節目の35500円、9/9安値(35247円)、心理的節目の35000円などがある。
(14日終値:15日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.44円(14日15時時点比▲0.03円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.53円(△0.43円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0882ドル(△0.0032ドル)
FTSE100種総合株価指数:8632.33(前営業日比△89.77)
ドイツ株式指数(DAX):22986.82(△419.68)
10年物英国債利回り:4.666%(▲0.011%)
10年物独国債利回り:2.876%(△0.021%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月独消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.4% 0.4%
(前年同月比) 2.3% 2.3%
2月独卸売物価指数(WPI)
(前月比) 0.6% 0.9%
1月英国内総生産(GDP)
(前月比) ▲0.1% 0.4%
1月英鉱工業生産
(前月比) ▲0.9% 0.5%
(前年同月比) ▲1.5% ▲1.9%
1月英製造業生産指数
(前月比) ▲1.1% 0.7%
2月仏消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.0% 0.0%
(前年同月比) 0.8% 0.8%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。労働組合の全国中央組織「連合」が公表した2025年春闘の第1回回答集計によると、平均賃上げ率は5.46%と前年の5.28%を上回り、1991年の最終集計(5.66%)以来の高水準となった。ただ、賃上げ要求の6.09%を下回ったうえ、来週18-19日の日銀金融政策決定会合では現状維持が見込まれているため、円売り・ドル買いで反応した。16時30分前には一時149.02円と日通し高値を更新した。
ただ、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。米長期金利が上昇幅を縮めたことや3月米ミシガン大学消費者態度指数速報値が57.9と予想の63.1を下回ったことが相場の重し。1時30分過ぎには148.26円付近まで下押しした。
・ユーロドルは伸び悩み。独主要与野党と「緑の党」は財政拡大へ向けた案について合意したとの報道が伝わると、拡張的な財政政策が早期に実現するとの見方からユーロ買い・ドル売りが先行。欧州株相場の上昇に伴うユーロ買い・ドル売りも入り、20時前に一時1.0912ドルと日通し高値を更新した。
ただ、11日に付けた5カ月ぶりの高値1.0947ドルがレジスタンスとして意識されるとやや上値が重くなった。ユーロ円の失速につれた売りも出ると一時1.0866ドル付近まで下押しした。
なお、トランプ米大統領はこの日、「プーチン露大統領と13日に有意義で生産的な協議を行った」と明らかにし、ロシアとウクライナの紛争が終結する「可能性が非常に高い」と述べた。一方、プーチン露大統領は「クルスク州のウクライナ軍に関するトランプ大統領の要請を検討」「米国との関係について進展が見られる」「トランプ大統領はロシアとの関係修復に全力を尽くしている」などと語った。
・ユーロ円も伸び悩み。ドル円の上昇につれた買いが入ったあとは、ドイツで財政拡大策が実現に向かうことへの期待が高まりユーロ買いが進んだ。20時前には162.33円と日通し高値を更新した。ただ、12日の高値162.36円がレジスタンスとして意識されるとやや上値が重くなった。1時前には161.28円付近まで下押しした。
・ロンドン株式相場は3日続伸。日本株や中国株の上昇を受けて買いが先行。本日の米国株が大幅に反発したことも相場の支援材料となった。BAEシステムズやロールス・ロイス・ホールディングスなど資本財サービス株が買われたほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は大幅に反発。本日のアジア株相場が上昇した流れを引き継いで独株にも買いが波及した。財政拡大策が早期に実現するとの期待から買いが入った面もあった。個別ではラインメタル(6.29%高)やエアバス(4.21%高)、ハイデルベルク・マテリアルズ(3.75%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場で独国債は下落。ドイツで拡張的な財政政策が実現するとの見方が強まると、独国債に売りが出た。
(14日終値:15日3時時点)
ドル・円相場:1ドル=148.44円(14日15時時点比▲0.03円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.53円(△0.43円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0882ドル(△0.0032ドル)
FTSE100種総合株価指数:8632.33(前営業日比△89.77)
ドイツ株式指数(DAX):22986.82(△419.68)
10年物英国債利回り:4.666%(▲0.011%)
10年物独国債利回り:2.876%(△0.021%)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な欧州経済指標)
<発表値> <前回発表値>
2月独消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.4% 0.4%
(前年同月比) 2.3% 2.3%
2月独卸売物価指数(WPI)
(前月比) 0.6% 0.9%
1月英国内総生産(GDP)
(前月比) ▲0.1% 0.4%
1月英鉱工業生産
(前月比) ▲0.9% 0.5%
(前年同月比) ▲1.5% ▲1.9%
1月英製造業生産指数
(前月比) ▲1.1% 0.7%
2月仏消費者物価指数(CPI)改定値
(前月比) 0.0% 0.0%
(前年同月比) 0.8% 0.8%
※改は改定値を表す。▲はマイナス。
(各市場の動き)
・ドル円は頭が重かった。労働組合の全国中央組織「連合」が公表した2025年春闘の第1回回答集計によると、平均賃上げ率は5.46%と前年の5.28%を上回り、1991年の最終集計(5.66%)以来の高水準となった。ただ、賃上げ要求の6.09%を下回ったうえ、来週18-19日の日銀金融政策決定会合では現状維持が見込まれているため、円売り・ドル買いで反応した。16時30分前には一時149.02円と日通し高値を更新した。
ただ、買い一巡後は徐々に上値を切り下げた。米長期金利が上昇幅を縮めたことや3月米ミシガン大学消費者態度指数速報値が57.9と予想の63.1を下回ったことが相場の重し。1時30分過ぎには148.26円付近まで下押しした。
・ユーロドルは伸び悩み。独主要与野党と「緑の党」は財政拡大へ向けた案について合意したとの報道が伝わると、拡張的な財政政策が早期に実現するとの見方からユーロ買い・ドル売りが先行。欧州株相場の上昇に伴うユーロ買い・ドル売りも入り、20時前に一時1.0912ドルと日通し高値を更新した。
ただ、11日に付けた5カ月ぶりの高値1.0947ドルがレジスタンスとして意識されるとやや上値が重くなった。ユーロ円の失速につれた売りも出ると一時1.0866ドル付近まで下押しした。
なお、トランプ米大統領はこの日、「プーチン露大統領と13日に有意義で生産的な協議を行った」と明らかにし、ロシアとウクライナの紛争が終結する「可能性が非常に高い」と述べた。一方、プーチン露大統領は「クルスク州のウクライナ軍に関するトランプ大統領の要請を検討」「米国との関係について進展が見られる」「トランプ大統領はロシアとの関係修復に全力を尽くしている」などと語った。
・ユーロ円も伸び悩み。ドル円の上昇につれた買いが入ったあとは、ドイツで財政拡大策が実現に向かうことへの期待が高まりユーロ買いが進んだ。20時前には162.33円と日通し高値を更新した。ただ、12日の高値162.36円がレジスタンスとして意識されるとやや上値が重くなった。1時前には161.28円付近まで下押しした。
・ロンドン株式相場は3日続伸。日本株や中国株の上昇を受けて買いが先行。本日の米国株が大幅に反発したことも相場の支援材料となった。BAEシステムズやロールス・ロイス・ホールディングスなど資本財サービス株が買われたほか、リオ・ティントやアングロ・アメリカンなど素材株が値上がりした。
・フランクフルト株式相場は大幅に反発。本日のアジア株相場が上昇した流れを引き継いで独株にも買いが波及した。財政拡大策が早期に実現するとの期待から買いが入った面もあった。個別ではラインメタル(6.29%高)やエアバス(4.21%高)、ハイデルベルク・マテリアルズ(3.75%高)などの上昇が目立った。
・欧州債券相場で独国債は下落。ドイツで拡張的な財政政策が実現するとの見方が強まると、独国債に売りが出た。
(14日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.64円(前営業日比△0.83円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.69円(△1.27円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0879ドル(△0.0027ドル)
ダウ工業株30種平均:41488.19ドル(△674.62ドル)
ナスダック総合株価指数:17754.09(△451.08)
10年物米国債利回り:4.31%(△0.04%)
WTI原油先物4月限:1バレル=67.18ドル(△0.63ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3001.1ドル(△9.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
57.9 64.7
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。日本時間夕刻に一時149.02円まで上昇した影響が残った。
NY市場序盤は3月米ミシガン大学消費者態度指数速報値が予想を下回った一方、同時に発表された1年先・5年先の期待インフレ率が予想を上回ったため、売買が交錯。指標発表直後には148.89円付近まで上げたものの、1時30分過ぎには148.26円付近まで押し戻された。
ただ、NY午後に入るとじりじりと下値を切り上げる展開に。米政府機関の一部閉鎖が回避される可能性が高まったことなどが好感されて、ダウ平均が一時700ドル超上昇。米国株の大幅反発に伴う円売り・ドル買いが出て148.67円付近まで持ち直した。市場では「一目均衡表転換線が位置する148.36円が意識されている状況」との声も聞かれた。
・ユーロドルは3日ぶりに反発。欧州時間に「独主要与野党は、国防費支出の増加などを含めた財政パッケージを巡り『緑の党』と合意した」と伝わった。ドイツで拡張的な財政政策が早期に実現するとの見方が強まると、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり一時1.0912ドルと日通し高値を更新した。
ただ、11日に付けた5カ月ぶりの高値1.0947ドルがレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。ユーロ円の失速や米長期金利の上昇も相場の重しとなり、23時30分過ぎに一時1.0866ドル付近まで下押しした。
もっとも、NY午後に入ると1.0880ドルを挟んだ狭いレンジ取引に終始した。来週18-19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)やウクライナ停戦合意の行方などを見極めたいとの思惑から様子見ムードが広がった。
・ユーロ円は反発。ドイツで財政拡大策が実現に向かうことへの期待が高まる中、欧州時間には162.33円と日通し高値を付ける場面があった。ただ、NY市場では12日の高値162.36円がレジスタンスとして意識され、じり安の展開に。1時前には161.28円付近まで下押しした。
もっとも、引けにかけては米国株高やドル円の買い戻しにつれた動きとなり、161.80円付近まで持ち直した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに大幅反発。トランプ米政権の関税政策を背景に激化する通商摩擦が景気の悪化を招くとの懸念から、足もとで相場下落が続いたあとだけに、自律反発狙いの買いが入った。米政府機関の一部閉鎖が回避される可能性が高まったことも投資家心理の改善につながり、指数は一時700ドル超上昇した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅に反発。テスラやマイクロン・テクノロジーなどが上昇した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。米国株相場の大幅反発を受けて債券売りが広がった。米ミシガン大学が公表した3月米消費者調査で期待インフレ率が予想を上回ったことも売りを誘った。
・原油先物相場は反発。3月米ミシガン大学消費者態度指数・速報値が低調な結果となり、エネルギー需要の減少を懸念した売りで時間外の上昇分を吐き出す場面があった。もっとも、株式市場が大幅に反発し、リスク回避の巻き戻しが原油市場にも波及。週引けにかけて、67ドル前半で底堅く推移した。
・金先物相場は4日続伸し、中心限月の清算値ベースで史上初の3000ドル超えを記録。時間外から買い優勢となり、節目の3000ドルを超えると3017ドル付近まで上げ足を速めた。もともと地合いが強かったところに、為替のドル安進行がドル建て金を押し上げた。NY勢の本格参入後からは利益確定売りで伸び悩むも、貿易摩擦による景気減速への懸念が残るなか、安全資産とされる金への買い意欲は強いままだった。
(14日終値)
ドル・円相場:1ドル=148.64円(前営業日比△0.83円)
ユーロ・円相場:1ユーロ=161.69円(△1.27円)
ユーロ・ドル相場:1ユーロ=1.0879ドル(△0.0027ドル)
ダウ工業株30種平均:41488.19ドル(△674.62ドル)
ナスダック総合株価指数:17754.09(△451.08)
10年物米国債利回り:4.31%(△0.04%)
WTI原油先物4月限:1バレル=67.18ドル(△0.63ドル)
金先物4月限:1トロイオンス=3001.1ドル(△9.8ドル)
※△はプラス、▲はマイナスを表す。
(主な米経済指標)
<発表値> <前回発表値>
3月米消費者態度指数(ミシガン大調べ、速報値)
57.9 64.7
※改は改定値、▲はマイナスを表す。
(各市場の動き)
・ドル円は反発。日本時間夕刻に一時149.02円まで上昇した影響が残った。
NY市場序盤は3月米ミシガン大学消費者態度指数速報値が予想を下回った一方、同時に発表された1年先・5年先の期待インフレ率が予想を上回ったため、売買が交錯。指標発表直後には148.89円付近まで上げたものの、1時30分過ぎには148.26円付近まで押し戻された。
ただ、NY午後に入るとじりじりと下値を切り上げる展開に。米政府機関の一部閉鎖が回避される可能性が高まったことなどが好感されて、ダウ平均が一時700ドル超上昇。米国株の大幅反発に伴う円売り・ドル買いが出て148.67円付近まで持ち直した。市場では「一目均衡表転換線が位置する148.36円が意識されている状況」との声も聞かれた。
・ユーロドルは3日ぶりに反発。欧州時間に「独主要与野党は、国防費支出の増加などを含めた財政パッケージを巡り『緑の党』と合意した」と伝わった。ドイツで拡張的な財政政策が早期に実現するとの見方が強まると、ユーロ買い・ドル売りが優勢となり一時1.0912ドルと日通し高値を更新した。
ただ、11日に付けた5カ月ぶりの高値1.0947ドルがレジスタンスとして意識されると伸び悩んだ。ユーロ円の失速や米長期金利の上昇も相場の重しとなり、23時30分過ぎに一時1.0866ドル付近まで下押しした。
もっとも、NY午後に入ると1.0880ドルを挟んだ狭いレンジ取引に終始した。来週18-19日の米連邦公開市場委員会(FOMC)やウクライナ停戦合意の行方などを見極めたいとの思惑から様子見ムードが広がった。
・ユーロ円は反発。ドイツで財政拡大策が実現に向かうことへの期待が高まる中、欧州時間には162.33円と日通し高値を付ける場面があった。ただ、NY市場では12日の高値162.36円がレジスタンスとして意識され、じり安の展開に。1時前には161.28円付近まで下押しした。
もっとも、引けにかけては米国株高やドル円の買い戻しにつれた動きとなり、161.80円付近まで持ち直した。
・米国株式市場でダウ工業株30種平均は5日ぶりに大幅反発。トランプ米政権の関税政策を背景に激化する通商摩擦が景気の悪化を招くとの懸念から、足もとで相場下落が続いたあとだけに、自律反発狙いの買いが入った。米政府機関の一部閉鎖が回避される可能性が高まったことも投資家心理の改善につながり、指数は一時700ドル超上昇した。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も大幅に反発。テスラやマイクロン・テクノロジーなどが上昇した。
・米国債券相場で長期ゾーンは反落。米国株相場の大幅反発を受けて債券売りが広がった。米ミシガン大学が公表した3月米消費者調査で期待インフレ率が予想を上回ったことも売りを誘った。
・原油先物相場は反発。3月米ミシガン大学消費者態度指数・速報値が低調な結果となり、エネルギー需要の減少を懸念した売りで時間外の上昇分を吐き出す場面があった。もっとも、株式市場が大幅に反発し、リスク回避の巻き戻しが原油市場にも波及。週引けにかけて、67ドル前半で底堅く推移した。
・金先物相場は4日続伸し、中心限月の清算値ベースで史上初の3000ドル超えを記録。時間外から買い優勢となり、節目の3000ドルを超えると3017ドル付近まで上げ足を速めた。もともと地合いが強かったところに、為替のドル安進行がドル建て金を押し上げた。NY勢の本格参入後からは利益確定売りで伸び悩むも、貿易摩擦による景気減速への懸念が残るなか、安全資産とされる金への買い意欲は強いままだった。
14日08:00 ルブラン加財務相
「(米国と)対話を継続することで合意」
「北米の競争力を高めることについて話し合った」
「関税は国境の両側に有害である」
14日08:27 バンス米副大統領
「(景気後退の可能性を否定できるかと問われ)将来を予測することは決してできない」
「米経済のファンダメンタルズはかなり強い」
14日09:37 ラガルド欧州中央銀行(ECB)総裁
「貿易紛争は世界経済に悪影響を与える」
「トランプ米大統領の決定は懸念を引き起こしている」
14日16:29 ビルロワドガロー仏中銀総裁
「今年の欧州のインフレ率は2%程度まで低下する見込み」
14日20:16 ドイツのメルツ次期首相候補
「緑の党と財政パッケージで暫定合意した」
14日20:51 ラトニック米商務長官
「あらゆる国からの自動車への関税が公平」
14日21:51 ホルツマン・オーストリア中銀総裁
「関税引き上げと政府歳出増が新たなインフレ上昇リスクにつながるため、4月の金利据え置きを支持する」
「関税引き上げ、国防費増、ドイツの債務ブレーキ緩和がインフレ上昇を招いた場合、利上げが必要になる可能性もある」
14日23:04 エスクリバ・スペイン中銀総裁
「サービスインフレのさらなる緩和が必要」
「関税がインフレに及ぼす影響を評価するのは難しい」
「4月の決定は不明確、選択肢を残しておく必要がある」
「ベースラインシナリオに対するリスクは非常に大きい」
「関税は需要と信頼を損なう可能性」
15日01:41 プーチン露大統領
「クルスク州のウクライナ軍は武器を捨て、降伏する必要」
「クルスク州のウクライナ軍に関するトランプ大統領の要請を検討」
「米国との関係について進展が見られる。様子を見よう」
「トランプ大統領はロシアとの関係修復に全力を尽くしている」
15日03:57 カーニー・カナダ新首相
「今は我が国にとって重大な時期」
「政府はカナダ経済を改善し、より安全な国にする」
「フランスと英国を訪問する予定」
「いかなる形でも米国の一部になることはない」
「トランプ米大統領と進展ある。解決策は見つかるだろう」
※時間は日本時間
18日
○日銀金融政策決定会合(1日目)
○13:30 ◇ 1月第三次産業活動指数
19日
○08:50 ◎ 1月機械受注
○08:50 ◎ 2月貿易統計(通関ベース)
○未定 ☆ 日銀金融政策決定会合(終了後、決定内容発表)
○13:30 ◇ 1月鉱工業生産確報
○13:30 ◇ 1月設備稼働率
○15:30 ☆ 植田和男日銀総裁、定例記者会見
20日
○春分の日の祝日で休場
21日
○08:30 ☆ 2月全国消費者物価指数(CPI、生鮮食品を除く総合)
○08:30 ☆ 2月全国CPI(生鮮食料品・エネルギー除く)
○08:50 ◇ 対外対内証券売買契約等の状況(週次・報告機関ベース)
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
17日
○11:00 ◎ 2月中国鉱工業生産
○11:00 ◎ 2月中国小売売上高
○21:15 ◇ 2月カナダ住宅着工件数
○21:30 ◇ 1月対カナダ証券投資
○21:30 ◎ 3月米ニューヨーク連銀製造業景気指数
○21:30 ☆ 2月米小売売上高
○23:00 ◇ 1月米企業在庫
○23:00 ◎ 3月全米ホームビルダー協会(NAHB)住宅市場指数
○メキシコ(ベニート・フアレス生誕日)、休場
18日
○18:00 ◎ レーン・フィンランド中銀総裁、講演
○19:00 ◎ 3月独ZEW景況感指数
○19:00 ◎ 3月ユーロ圏ZEW景況感指数
○19:00 ◇ 1月ユーロ圏貿易収支
○21:30 ◎ 2月カナダ消費者物価指数(CPI)
○21:30 ◎ 2月米住宅着工件数
◎ 建設許可件数
○21:30 ◇ 2月米輸入物価指数
○22:15 ◎ 2月米鉱工業生産
◇ 設備稼働率
○米連邦公開市場委員会(FOMC)1日目
19日
○06:45 ◇ 10-12月期ニュージーランド(NZ)経常収支
○17:00 ◎ 2月南アフリカCPI
○19:00 ☆ 2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値
○19:00 ☆ 2月ユーロ圏HICPコア改定値
○19:45 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○20:00 ◇ 1月南アフリカ小売売上高
○20:00 ◇ MBA住宅ローン申請指数
○20:30 ◎ センテノ・ポルトガル中銀総裁、講演
○23:30 ◇ EIA週間在庫統計
○20日03:00 ☆ 米連邦公開市場委員会(FOMC)、終了後政策金利発表
○20日03:00 ☆ FOMC、経済・金利見通し発表
○20日03:30 ☆ パウエル米連邦準備理事会(FRB)議長、定例記者会見
○20日05:00 ◎ 1月対米証券投資動向
○20日06:30 ☆ ブラジル中銀、政策金利発表
○06:45 ☆ 10-12月期NZ国内総生産(GDP)
○09:30 ◎ 2月豪雇用統計(失業率/新規雇用者数)
○16:00 ◎ 2月英雇用統計(失業率/失業保険申請件数推移)
○16:00 ◎ 11-1月英失業率(ILO方式)
○16:00 ◇ 2月独生産者物価指数(PPI)
○17:30 ◎ スウェーデン中銀、政策金利発表
○17:30 ☆ スイス国立銀行(中央銀行、SNB)、政策金利発表
○17:30 ◎ 2月香港CPI
○19:00 ◇ 1月ユーロ圏建設支出
○21:00 ◎ レーン欧州中央銀行(ECB)専務理事兼主任エコノミスト、講演
○21:00 ☆ 英中銀(BOE)、政策金利発表
○21:00 ☆ 英中銀MPC議事要旨
○21:30 ◇ 2月カナダ鉱工業製品価格
○21:30 ◇ 2月カナダ原料価格指数
○21:30 ◎ 10-12月期米経常収支
○21:30 ◎ 3月米フィラデルフィア連銀製造業景気指数
○21:30 ◎ 前週分の米新規失業保険申請件数/失業保険継続受給者数
○22:00 ◎ ビルロワドガロー仏中銀総裁、講演
○23:00 ◎ 2月米景気先行指標総合指数
○23:00 ◎ 2月米中古住宅販売件数
○未定 ☆ 南アフリカ準備銀行(SARB)、政策金利発表
21日
○06:45 ◎ 2月NZ貿易収支
○09:01 ◇ 3月英消費者信頼感指数(Gfk調査)
○16:45 ◇ 3月仏企業景況感指数
○17:45 ◎ ホルツマン・オーストリア中銀総裁、講演
○18:00 ◇ 1月ユーロ圏経常収支(季節調整済)
○19:30 ◎ ロシア中銀、政策金利発表
○21:30 ◎ 1月カナダ小売売上高
○22:05 ◎ ウィリアムズ米ニューヨーク連銀総裁、講演
○24:00 ◎ 3月ユーロ圏消費者信頼感指数(速報値)
○南アフリカ(人権の日)、休場
※重要度、高は☆、中は◎、低◇とする。
◆NZドル、中銀総裁の交代で利下げ余地縮小の可能性
◆ZAR、SARBの金融政策に注目
◆ZAR、予算案を巡る交渉次第で下落リスク
予想レンジ
豪ドル円 91.00-95.00円
南ア・ランド円 7.80-8.30円
3月17日週の展望
豪ドルは神経質な動きが予想される。トランプ政権の二転三転する関税政策を巡って市場全般の方向性が定まらなくなっているが、来週も関税によってインフレ懸念と景気減速懸念のどちらが意識されるか、株価や米金利の基調に変化が見られるかなどを慎重に見極めながらの取引が必要となりそうだ。
豪州からは20日に2月雇用統計の発表が予定されている。2月17-18日の会合でついに金融緩和へと舵を切った豪準備銀行(RBA)だが、声明文などからは追加緩和への慎重な姿勢がうかがえた。今回の雇用統計が追加緩和観測を後押しする結果となるか確認しておきたい。なお、RBAは前回の会合で労働市場については「依然として逼迫している」と言及。「賃金の伸びは鈍化した」としたものの、「雇用増加が世帯収入を押し上げている」との見解も示していた。
隣国のニュージーランド(NZ)では前週にオアNZ準備銀行(RBNZ)総裁の突然の辞任が発表されたが、一部市場では「総裁の交代によってRBNZの今後の利下げ余地が小さくなる可能性がある」といった声も聞かれた。オア総裁は前回の金融政策決定会合時に「4月と5月に25bpの引き下げを想定」「(現在の)3.75%は中立金利のレンジ上限」「年末までに政策金利は3%程度になると予想」などと追加緩和姿勢を明確にしていたが、4月からの臨時総裁とその後の次期総裁の下で金融政策の方向性に変化が生じるか確認していきたい。なお、次期総裁候補としてはホークスビー副総裁やシルク副総裁、NZ財務省の首席経済顧問であるスティーブンス氏などが有力視されているようだ。
南アフリカ・ランド(ZAR)は荒い値動きに注意が必要となるだろう。来週は19日に2月消費者物価指数(CPI)、20日に南アフリカ準備銀行(SARB)の金融政策決定委員会(MPC)が控えている。市場では現在の7.50%から7.25%への金利引き下げが予想されているが、一部で金利据え置きを見込む向きもあり、前日発表のCPIとともに注目が集まる。
また、南アフリカ国内の政治情勢にも注意。今週発表された予算案で、付加価値税(VAT)の引き上げ幅は2025年5月から0.5%、26年4月からはさらに0.5%とされたが、国民統一政府(GNU)で連立を組む民主同盟(DA)は依然としてVATの引き上げに反対しており、予算案を支持しないと表明。アフリカ民族会議(ANC)とDAの交渉決裂、GNUからのDA離脱などのリスクが高まるとZARには下押し圧力が強まりそうだ。
3月10日週の回顧
豪ドルは対ドル・対円ともに方向感が定まらなかった。豪ドル円はドル円が昨年10月以来の安値をつけたタイミングで、昨年8月以来の安値となる91.82円まで下落したものの、その後はドル円の買い戻しが入ったことで下げ止まった。ZARも同様に方向感の乏しい動き。ZAR円は8.05円を挟んだ水準で神経質に上下した。
◆ポンド、英中銀は金利据え置き見込みも、MPC議事要旨に注目
◆加ドル、足もとのインフレ動向を確認
◆トランプ関税による不安定さは継続、日米金融政策に振らされる展開も
予想レンジ
ポンド円 188.50-194.50円
加ドル円 100.50-104.50円
3月17日週の展望
来週のポンドは、20日の英中銀金融政策委員会(MPC)に注目。政策金利については現行4.50%で据え置きが予想されており、こちらはサプライズなしと見る。ポイントは今後の経済・金利見通しについてMPC内でどのような議論が交わされたか。政策金利と同時に明らかとなる議事要旨を精査し、今後の利下げペースを改めて推測することになる。なお、金利市場では、夏前と秋口の会合で0.25%ずつの利下げを織り込み、年内3回目は判断が定まっていない。
このところ、各国中銀からはインフレの先行きに不確実性が高まっているとの声が相次いでいる。トランプ関税と報復関税により貿易戦争の様相を呈し始めたことがその要因だ。ただ、英政府は米政権による鉄鋼・アルミニウム輸入への一律25%関税発動に対して、報復措置を取らない方針を示している。英輸出にとって米国向けは14%弱を占め、国別では最大。政府はその国をこれ以上刺激せず、2国間の経済協定締結を目指しているようだ。英米首脳が先月末の共同会見で発表した「貿易協定に着手」に具体的な進展があれば、ポンドにとっても追い風となるだろう。
加ドルは、トランプ関税を巡る両国との関係を見据えた取引が続く。ただ、週前半18日に発表されるカナダの2月消費者物価指数(CPI)は確認する必要があるだろう。前年比では、前回まで3カ月連続でカナダ中銀(BOC)の目標値2%を下回っているが、米政権による関税強化の影響で、今後のインフレ上昇圧力が警戒されている。BOCは、12日の会合で予想通り政策金利を3.00%から2.75%に引き下げたが、「昨年の加経済は堅調に推移した」としつつも、米関税により「新たな危機に直面している」との認識だ。貿易摩擦による物価上昇と内需低迷を危惧する見方が広がるなか、マックレムBOC総裁の今後の判断は難しいものとなるだろう。
カナダでは与党・自由党の新党首にマーク・カーニー元BOC総裁が選ばれ、14日に加首相に就任する。政治経験のない新首相が、トランプ米大統領とどのように渡り合うかを注目したい。交渉の行方次第ではあるが、支持率が上向けば早期の解散総選挙に踏み切るとの見方もある。
来週は19日に日米の金融政策も公表予定だが、どちらも政策金利は据え置き見込み。市場参加者は、中銀声明や当局トップの会見を通じて次の一手(日本は追加利上げ、米国が利下げ)の時期を探ることになる。ポンドや加ドルは、金融イベントに反応した円相場やドル相場の動向に左右され、レンジを伴った動きが見られるかもしれない。
3月10日週の回顧
ポンドや加ドルは対円で荒い値動き。トランプ関税で貿易戦争への懸念が一層高まると、リスク回避の動きからポンド円は188円後半、加ドル円は一時101.30円台まで下落。過度な警戒感が緩むとそれぞれ193円前半、103.60円台まで切り返すも、一巡後は再び上値を切り下げた。
対ドルでは、ポンドは1.29ドル台を中心に上下した。加ドルは、1.45加ドル前半まで加ドル安が進むも、週後半には一時1.43加ドル半ばまで持ち直した。
◆ドル円、米関税政策に伴う株価動向に左右
◆日銀総裁、FRB議長の記者会見の内容に注目
◆ユーロドル、独財政拡張期待が支えもウクライナ情勢が重し
予想レンジ
ドル円 145.00-150.00円
ユーロドル 1.0650-1.1000ドル
3月17日週の展望
ドル円は、引き続き米関税政策を発端とした米景気後退懸念が高まる中で、株価や米金利動向を睨みながらの荒い値動きが想定される。3月に入ってから世界的な貿易戦争への警戒感からダウ平均は7%超、ナスダック指数は9%近く下落するなどリスクオフムードが広がっている。来週もトランプ米大統領の発言を巡って一喜一憂する相場展開となるだろう。
なお、来週は18-19日に日銀金融政策決定会合と米連邦公開市場委員会(FOMC)が予定されているが、米関税政策の行方を見極めたいとの見方から両会合とも政策金利の据え置きが予想されている。注目は植田日銀総裁とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長の会見内容となるだろう。
まず、日銀に関しては、連合が発表した春闘の賃上げ要求が32年ぶりに6%を超えたことで早期利上げ観測が高まっている。また、本邦長期金利は2008年10月以来の水準まで上昇しており、その背景としては日銀総裁が市場との対話に失敗していることで政策金利の最終到達地点(ターミナルレート)が不確かになっていることも挙げられる。賃上げ要求、ターミナルレートについて総裁からどのような見解が示されるか注目したい。なお、今のところ、市場では日銀の利上げ時期は6月と予想する向きが多くなってきた。
また、FOMCについては四半期に一度の「経済・金利見通し」を確認する必要があるが、現時点では6月会合での利下げ、そして年内計3回の利下げというのが大方の予想となっている。FRB議長は、基本的には米関税政策の影響を見極めながら「今後のデータ次第」という慎重な姿勢を強調するとみられているが、足元で米株安が目立つ中で発言に変化がないか注意したい。
ユーロドルは神経質な展開が想定される。ドイツ環境政党「緑の党」との交渉次第ではあるものの、ドイツの財政拡張期待は根強く、引き続き下値は堅そうだ。ただ、米国が提案したウクライナでの停戦案についてプーチン露大統領が疑問を呈し、即時停戦受け入れに難色を示したことで再び地政学リスクが高まっており、上値も限られそうだ。来週は18日に3月独ZEW景況感指数、19日に2月ユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値が予定されている。
3月10日週の回顧
ドル円は、上値が重かった。世界的な貿易戦争を懸念して株安が進むと、11日には一時146.54円と昨年10月以来の安値を付けた。その後は株価とともに短期的な戻りを期待した買い戻しが入り149.19円まで切り返したが、米国株が再び下落すると147円台半ばまで押し戻された。
ユーロドルは上値が重かった。独財政拡張への期待感やウクライナを巡る警戒感後退で一時1.0947ドルと5カ月ぶりの高値を付けた。ただ、週末にかけては米関税およびウクライナ情勢への懸念が再燃すると1.08ドル台前半まで押し戻された。
14日の日経平均は大幅反発。終値は263円高の37053円。
日経平均は大幅高。きのう13日は後場に急失速し、きょうは後場に急伸した。きょうの高値37154円はきのうの高値37326円を上回っておらず、きのうの失速がメジャーSQを意識した何らかの動きで、きょうはその反動が出たと捉えるべきなのだろう。それでも、米国株安を受けて大崩れしなかったことは安心材料。3桁の上昇となったことで、週間でもプラスを達成した。今週は一時36000円を割り込んだが、週末値では37000円を上回った。5日線(36896円、14日時点)も上回っているだけに、来週はこの5日線がサポートとして機能するかどうかに注目したい。
【来週の見通し】
不安定な展開か。18日~19日に日銀金融政策決定会合とFOMCが開催される。今回はどちらも政策変更はないとの見方が多く、結果発表前には手がけづらさが意識されそう。大型案件のJX金属を含めてIPOが多い週となるだけに、値幅を求めた資金はIPO市場に向かうと思われる。トランプ政権の関税政策がインフレを招くリスクがあるだけに、FOMC後のパウエル議長の会見ではリップサービスは期待しづらい。日本は企業が賃上げに積極的であることから、仮に日銀が今回利上げを見送ったとしても、早期の利上げに対する警戒はくすぶり続ける。東京市場は20日が休場で、FOMCの結果を現物市場で消化するのは金曜21日となる。日銀会合後の植田総裁会見で為替が大きく動く可能性もあり、21日の値動きが週の方向を大きく左右することになるだろう。
【今週を振り返る】 方向感は定まらなかったが週間では上昇した。週明け10日の日経平均は米国株高を好感して上昇したが、11日は場中に4桁安となって一時36000円を割り込むなど底割れに対する警戒が高まった。この日にある程度戻して終えたことから、12日は米国株安を受けても小幅高。一方、13日は一時500円超上昇したにもかかわらず、後場に崩れて小幅な下落と強弱感が入り交じった。メジャーSQ日の14日は売りが先行したものの、早々にプラス転換して200円を超える上昇。節目の37000円を上回り、週間でもプラスを達成した。日経平均は週間では約165円の上昇。週足では4週ぶりに陽線を形成した。
【来週の予定】
国内では、日銀金融政策決定会合(~3/19)、1月第3次産業活動指数、2月首都圏新規マンション発売(3/18)、植田日銀総裁会見、1月機械受注、2月貿易収支、2月訪日外国人客数(3/19)、2月消費者物価指数(CPI)(3/21)などがある。
海外の経済指標の発表やイベントでは、中国2月鉱工業生産、中国2月小売売上高、米2月小売売上高、米3月ニューヨーク連銀製造業景気指数、米3月NAHB住宅市場指数(3/17)、独3月ZEW景況感指数、米FOMC、米2月住宅着工件数、米2月建設許可件数、米20年国債入札(3/18)、パウエルFRB議長会見、米1月対米証券投資(3/19)、 米10-12月期四半期経常収支、米3月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数、米2月中古住宅販売件数(3/20)などがある。