【なぜ冬は死ぬ人が増えるのか】実は謎だらけ、なんとハワイでもアーカイブ最終更新 2025/02/03 03:191.影のたけし軍団 ★???クリスマスやバレンタインデーなどがある冬は華やかな季節だが、命を落とす人が最も多い季節でもある。これは世界的に見られる謎の多い現象で、「冬季超過死亡(EWM)」と呼ばれている。例えば、英国家統計局(ONS)によれば、イングランドとウェールズでは2021年から2022年にかけての冬(12~3月)、死者数がほかの季節の平均より1万3000人多かった。米疾病対策センター(CDC)によれば、米国では2011〜2016年、冬の死者数はほかの季節より8~12%多かった(編注:日本では厚生労働省の2014年人口動態統計に基づき、12~3月は4~11月に比べて死者数が17.5%多いという調査結果がある)。「このような死亡者数の周期性は世界中で見られます」と米ボストン大学の公衆衛生学教授パトリック・キニー氏は話す。この傾向は南北の両半球で記録されているうえ、緯度が低い冬がより暖かい地域でも見られる。北半球に暮らす私たちは今、短い昼と長い夜に耐えているところだが、冬の何が死者数を増やすのだろう?これらは科学者にとっても数十年来の疑問であり、完全な答えはまだ得られていない。この答えは重要だ。なぜなら冬に増える死亡はおそらく、適切な政策介入によって防げるからだ。しかし、それにはまず、人が冬に亡くなる主な理由を正確に知る必要がある。冬に死者が増える明白な要因が1つある。季節性ウイルスだ。理由は諸説あるものの、インフルエンザのようなウイルスには強い季節性があり、冬にピークを迎える。年によって異なるが、冬季超過死亡の多く、ときには約半数が、ウイルスによるものだ。しかし、ウイルスだけで全体を説明することはできない。答えの一部は心臓にあるようだ。ウイルス感染以外にも、科学者たちは別のよくある死因に手掛かりを見いだしている。「冬季超過死亡の半数が(脳卒中、心臓発作などの)心血管疾患によるものです」と米ワシントン大学の国際保健学教授クリスティー・エビ氏は話す。「パターンとしてはそうです。問題は、なぜそうなるのかです」その答えを探すために、まずは気温が循環器系に与える影響について調べる価値がありそうだと考える研究者たちもいる。原因が寒さにある場合、住宅の断熱や暖房費の補助が命を救うかもしれない。英ロンドン病院医科大学の生理学者ウィリアム・キーティングは1970~80年代にかけて、低温が人体の機能に悪影響を与えるかどうかを研究した。キーティングは被験者を毛布で暖めたり、ファンで冷やしたりする実験を行った。その結果、ファンで冷やされている6時間で、熱を逃がさないように皮膚表面の血管が収縮し、ほかの血管に血液が集中していった。また、冷やされている被験者は血球どうしが集まりやすくなり、血圧は暖められている被験者より高くなった。温度によるこうしたストレスは、血栓ができたり血管が破裂したりする原因になる可能性があり、心血管疾患による死亡の増加の説明になるかもしれない(実際、米心臓協会は同様の説明を使って、雪かきに注意するよう呼び掛けている)。キーティングはまた、これらの生理学的な発見が現実の世界の傾向とどう関連しているかについても疑問を抱いた。冬の寒さが厳しいほうが死者数は多いのか、という疑問だ。キーティングらはヨーロッパを対象に、イタリアのパレルモ(冬の平均気温は約15℃)のような暖かい地域とフィンランド北部(冬の平均気温はマイナス2℃台)のような寒い地域のデータを比較した。その結果、冬季超過死亡に関しては、とても寒い国ととても暖かい国との間に大きな違いはないことがわかった。これは必ずしも、寒さにさらされると心臓に危険が及ぶという研究結果と矛盾するものではない。寒い地域の人々は十分な暖房、優れた断熱、外出時の防寒など、寒さへの備えができているため、暖かい地域と違いがないのではないかとキーティングらは分析している。一方、暖かい地域に暮らす人々は、家が冷えやすく暖をとる手段も少ないため、寒さの影響を受けやすいのだろう。これは興味深い考察だ。このような考え方は、後の英国の政策にも影響を与えた可能性が高い。2000年代初頭、住宅の断熱や暖房の設置を助成した「ウォーム・フロント」プログラムはその一例だ。2008年に発表された英シェフィールド・ハーラム大学の研究では、このプログラムと高齢者の死亡率の低下との関連性が示された。
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例えば、英国家統計局(ONS)によれば、イングランドとウェールズでは2021年から2022年にかけての冬(12~3月)、死者数がほかの季節の平均より1万3000人多かった。
米疾病対策センター(CDC)によれば、米国では2011〜2016年、冬の死者数はほかの季節より8~12%多かった(編注:日本では厚生労働省の2014年人口動態統計に基づき、12~3月は4~11月に比べて死者数が17.5%多いという調査結果がある)。
「このような死亡者数の周期性は世界中で見られます」と米ボストン大学の公衆衛生学教授パトリック・キニー氏は話す。
この傾向は南北の両半球で記録されているうえ、緯度が低い冬がより暖かい地域でも見られる。北半球に暮らす私たちは今、短い昼と長い夜に耐えているところだが、冬の何が死者数を増やすのだろう?
これらは科学者にとっても数十年来の疑問であり、完全な答えはまだ得られていない。この答えは重要だ。なぜなら冬に増える死亡はおそらく、適切な政策介入によって防げるからだ。しかし、それにはまず、人が冬に亡くなる主な理由を正確に知る必要がある。
冬に死者が増える明白な要因が1つある。季節性ウイルスだ。理由は諸説あるものの、インフルエンザのようなウイルスには強い季節性があり、冬にピークを迎える。
年によって異なるが、冬季超過死亡の多く、ときには約半数が、ウイルスによるものだ。
しかし、ウイルスだけで全体を説明することはできない。答えの一部は心臓にあるようだ。
ウイルス感染以外にも、科学者たちは別のよくある死因に手掛かりを見いだしている。
「冬季超過死亡の半数が(脳卒中、心臓発作などの)心血管疾患によるものです」と米ワシントン大学の国際保健学教授クリスティー・エビ氏は話す。「パターンとしてはそうです。問題は、なぜそうなるのかです」
その答えを探すために、まずは気温が循環器系に与える影響について調べる価値がありそうだと考える研究者たちもいる。原因が寒さにある場合、住宅の断熱や暖房費の補助が命を救うかもしれない。英ロンドン病院医科大学の生理学者ウィリアム・キーティングは1970~80年代にかけて、低温が人体の機能に悪影響を与えるかどうかを研究した。
キーティングは被験者を毛布で暖めたり、ファンで冷やしたりする実験を行った。その結果、ファンで冷やされている6時間で、熱を逃がさないように皮膚表面の血管が収縮し、ほかの血管に血液が集中していった。
また、冷やされている被験者は血球どうしが集まりやすくなり、血圧は暖められている被験者より高くなった。
温度によるこうしたストレスは、血栓ができたり血管が破裂したりする原因になる可能性があり、心血管疾患による死亡の増加の説明になるかもしれない(実際、米心臓協会は同様の説明を使って、雪かきに注意するよう呼び掛けている)。
キーティングはまた、これらの生理学的な発見が現実の世界の傾向とどう関連しているかについても疑問を抱いた。冬の寒さが厳しいほうが死者数は多いのか、という疑問だ。
キーティングらはヨーロッパを対象に、イタリアのパレルモ(冬の平均気温は約15℃)のような暖かい地域とフィンランド北部(冬の平均気温はマイナス2℃台)のような寒い地域のデータを比較した。
その結果、冬季超過死亡に関しては、とても寒い国ととても暖かい国との間に大きな違いはないことがわかった。
これは必ずしも、寒さにさらされると心臓に危険が及ぶという研究結果と矛盾するものではない。寒い地域の人々は十分な暖房、優れた断熱、外出時の防寒など、寒さへの備えができているため、暖かい地域と違いがないのではないかとキーティングらは分析している。
一方、暖かい地域に暮らす人々は、家が冷えやすく暖をとる手段も少ないため、寒さの影響を受けやすいのだろう。
これは興味深い考察だ。このような考え方は、後の英国の政策にも影響を与えた可能性が高い。
2000年代初頭、住宅の断熱や暖房の設置を助成した「ウォーム・フロント」プログラムはその一例だ。2008年に発表された英シェフィールド・ハーラム大学の研究では、このプログラムと高齢者の死亡率の低下との関連性が示された。